テープNo.2 「守れない土地」
記録者:高橋信也1佐
ノイズが混じり、画像は粗いが信也が映る
「あーあー、撮れてるかな?」
「……あとで振り返る用の記録、その2回目だ」
信也はそう言って語り始める
「この話は、あの鉱山での話だ」
初めての海外派遣、少し浮かれてもいたがそれを抑えて任務にあたっていた
内容は国連部隊として、紛争地帯のある村の警備。
村の連中とも打ち解けた頃だった
ある国の民間軍事会社(PMC)が村にやってきた
米軍の連中に聞いたらどうやら「鉱山開発」が目的らしい
それを聞いた村の連中は反対した
なんせその鉱山は彼らの職場であり収入源だった、汗水垂らして、家族のために、生活のために働く。それは遠くから見てた俺や他の隊員たちもその辛さとたくましさは理解していた
村人はその企業に束になって押し寄せて猛抗議した
すると企業側の返答はこうだったらしい
「政府が許可した土地だ」
当然そんな返答、「はい、そうですか」と納得できるものじゃない
自分たちの生活を踏みにじられたのと変わらない
その怒りは見ていた俺以外にも何名か内心思ってたんだろう
すると彼らは鉱山前に立ち塞がり、鉱山開発を止めるようデモを始めた
俺は彼らが心配でこっそり見ていた
村人たちは道具を持って武装しているがPMC側の方が圧倒的に武力で勝っている
それでも彼らは怖じけず抗議を続けた
すると企業側はこう言った
「道を空けないのならここで全員射殺する」
と
兵士も武器を構え始め、いよいよ村人も怯え始めた
そんな彼らを見て俺はいつの間にか飛び出していた
村人たちの前に仁王立ちで立ち、俺は言った
「やめろ!ここはこいつらの土地だ!」
そう叫んだことで企業側は怯んだとその時思った、
しかし――
「Be quiet. Japanese army.」
そう叫んだ米軍の兵士が俺に一発殴ってきた
その時、何で殴られたのかは分からなかったが、今思えば俺の立場はあくまで国連の警備兵、あの村の問題に介入できる立場じゃなかった
だから、同じ国連の米兵に殴られたんだ……と思ってる
数日後、鉱山には重機が入り込み鉱山開発が始まった
俺ら自衛隊はその警備
ただし、俺だけは外され、強制的に帰国させられた
帰国後、俺は上官に報告した後尋ねた
「あれは正しかったんですか」
上官は紅茶を飲みながら答える。
「仕方ないさ。負けた国の土地だ」
そして、こう続けた
「この世界は弱肉強食だ」
「もし本当に弱肉強食なら。……それを止める奴がいなきゃいけない。」
「弱いから奪われるなんて、そんなのは間違ってる……!」
少しの間の後、信也は口を開く
「……いつか、この俺の思いが払われるように」
「記録終了――」
テープはそこで再生が止まる