蜂ガイル〜蜂は再び恋をすることが出来るのだろうか〜   作:龍造寺

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プロローグです。


プロローグー始まり。

 

プロローグ

 

別れの屋上中学の卒業式の日、学校の屋上は春の風が穏やかに吹き抜けていた。食蜂理沙は、付き合っていた上坂由伸と二人きりで立っていた。金色の長い髪を風に揺らし、星のマークが輝くヘアピンを付け、いつもの優雅な笑みを浮かべている。だが、その目は少し不安げだった。

 

「理沙、話があるんだけど」

 

上坂の声は静かで、どこか決意を帯びていた。理沙は首を傾げ、いつもの甘い口調で応じた。

 

「まあ、何かしら? 卒業式の後で二人きりなんて、ちょっとロマンチックねぇ☆」

 

しかし、上坂の表情は硬いままだ。彼は視線を逸らし、ぽつりと告げた。

 

「別れよう。俺たち、もう終わりだ」

 

理沙の頭が、一瞬真っ白になった。突然すぎる言葉に、思考が止まる。

 

「え……? どうして? 私、何か悪いことしたの?」

 

問いただす声が、わずかに震えていた。上坂はため息をつき、ようやく目を合わせた。

 

「別に好きな人ができたんだ。同じクラスの……あいつだよ」

 

その瞬間、理沙の胸にあった上坂への愛情が、急速に冷えていった。代わりに湧き上がるのは、嫌悪感。裏切りへの怒りと、失望。

 

「……まあ、そう。わかったわ」

 

理沙は意外にも素直に頷いた。もう、未練などなかった。二度と会うこともないだろう──そんな確信が、心に芽生えていた。無意識に、手に持っていた卒業証書が入った筒を強く握りしめる。

 

上坂とその女子は、海浜総合高校に合格していた。一方、理沙は総武高校。進路が違うのだから、本当に会うことはないはずだ。

 

理沙は背を向け、屋上を後にした。学校を去る足取りは、意外に軽かった。別れの痛みはあったが、それ以上に、解放されたような感覚が広がっていた。

 

高校入学までの数週間、理沙の心にはさまざまな感情が入り乱れていた。怒り、悲しみ、虚無。そして、徐々に平常心を取り戻していく。新しい自分になろう

 

──そんな決意を胸に、入学式の日を迎えた。

 

早く学校に向かい、今までの自分を変えようと意気込んでいた矢先、不運にも交通事故に巻き込まれてしまう。1ヶ月の重傷を負い、入院生活を強いられた。退院後、ようやくクラスに顔を出した時には、すでにクラスの輪が出来上がっていた。グループができ、友達同士の会話が弾む中、理沙だけが取り残されたような感覚に襲われる。

 

そんな孤立した状態が、1年生の1年間、続いた。誰も声を掛けてこない。理沙も、積極的に輪に入ろうとはしなかった。

 

金色の髪と美しい容姿、甘い話し方──それが逆に、クラスメイトを遠ざけていたのかもしれない。

 

そして、2年生になった今も──

 

 

千葉県・昼・総武高校・2ーF組。

 

はぁ〜、放課後にまた職員室に行かなきゃならなくなったわねぇ。平塚先生、一体何をさせようというのかしらぁ……。

 

ため息ばかりが出てしまうわ……。後ろの席の男子は、悩んでいる私を尻目に気持ち良さそうに寝息を立てて寝てるし……。そりゃ、私の席は窓から日光が降り注いでいるから眠たくなるのは分かるけれど、今の私にはそれすらもイラついてくるわ……。

 

斜め前の女子はスマホをいじってるみたいだし、きっとLINEで誰かとやり取りしてるんでしょうねぇ。ふと窓の外を見てみると、グラウンドで体育の授業をやってて、タイム測定中みたいわねぇ。そういえば、高校に入ってからはタイム測定なんて真面目にやったことなかったわ。中学までは普通にやってたのにねぇ。すべてはあの高校入学時の事故から狂ってしまったわけだけどぉ。

 

奉仕活動? 

 

先生の雑務とかさせられるのかしらぁ?再び溜息が出る。それにしても、平塚先生が出してきた『高校生活を振り返って』という作文……。嘘でもいいから真面目に書いておくべきだったわ。

 

真面目に書いていれば、放課後に職員室へ行くこともなかっただろうし……。数学の授業なのに、ため息ばかりついている私だったわ。

 

千葉県・夕方・総武高校・職員室。

 

ホームルームが終わって、即帰宅というのがいつものルーティンだったけどぉ、今日は平塚先生に職員室に来るように言われているから、変にサボったりしたら後でどんなことになるか考えたくないわねぇ。放課後の職員室を訪れると、平塚先生は自分の席からすぐに立ち上がって、私のところへやってきた。

 

「食蜂、来たな」

 

「はい、来ましたよぉ」

 

「それじゃ行くとしようか」

 

「行く? どこへですかぁ?」

 

「ついてくればわかる」

 

平塚先生は目的地に向かって歩き出し、私はどこに連れて行かれるのかわからないまま、その後ろを追うしかなかったわ。

 

平塚先生の後を追うように歩いていると、ちょうど中庭が視界に入ってくる。ここは昼休みになると、カップルが昼食を取ってイチャイチャしている場所でもあるわねぇ。中学の頃の私なら何とも思わなかったし、むしろ自分も混ざっていた可能性が高いわ。今は視界に入れたくないから、なるべく近づかないようにしてるけどぉ。

 

それにしても、奉仕活動とは一体何をさせられるのかしらぁ。

 

一般棟から特別棟にやってきたわ。特別棟は、音楽室や生物室、図書室と文化系の部活動の部室があるだけの校舎のはず。それ以外に何かあったかしらぁ?

 




登場人物①

食蜂理沙

この物語の主人公である。容姿はとあるシリーズの食蜂操祈の瓜二つであり、喋り方も同じ感じである。運動も姉よりは劣るが得意な方であったが、高校ではその能力を封印しているのだ。もちろん目立たないようにするため。勉強の方は常に上位を維持している。

前髪に四つ葉のヘアピンをつけている。

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