俺はカビ猫と生きていく!~魔法の世界で、猫型カラクリと歩く~ 作:ねこねこてんちゃん
*
【ミツイ視点】
お師匠の言葉で、場の空気がそのまま凍り付く。
信じられない。心底、信じられないよ。
「……どういうこと?」
聞き間違えてないか、冗談じゃないかって、アタシは自分からお師匠に聞き直した。
今夜、一人で? ブロカードの本拠地に?
「ミツイ。そのままの意味だ。俺が単独で向かえば……可能性はある」
「無いよ! 無い! 無理だよ!」
忘れちゃったの!?
今までだって、何人も何人も集落の人たちは取り返しに行ってたよ!?
若い人も、腕のいい人も、誰一人生きて帰っては来られなかった! それは討伐を依頼したギルドの冒険者たちも一緒だった!
「自分の言ってることの無謀さ! それがわからない人じゃないでしょ!?」
どうしよう。アタシ、どんどん声が大きくなってる。
もっと落ち着いて……しっかりと話さないといけないのに。
「ミツイ。お前の言っていることは理解できる」
「だったら!」
「だが、俺はみんなの気持ちがわからない人間でもないんだ」
お師匠の言葉に、またざわつく。
マナちゃんの、里長の、おばちゃんの。集落のみんなの視線が、お師匠に注がれてる。
ゆっくりと、お師匠は落ち着いた声で話し始める。
「俺もお前たちと一緒だ。ブロカード陣営は、昨日の襲撃で大きく数を減らした。指示に従う数多くの狼と、それを束ねる知性あるオーク。失ったものは小さくないはずだ」
そうかもしれないね。でも、そうじゃないかもしれないじゃん。
あそこに来てた狼が全滅しても、ブロカードはまだ狼を飼っているかもよ?
オークだってなんだって……。取り返しに行ける根拠にはならないよ。
「奴らが武装集団ならば、きっと今日は動きがあっただろう。だから俺は監視をした。だが実態はなにもなかった」
あいつらはそうだろうね。
連中は国を滅ぼそうとか、どっか別の魔物と争ってたりとかもしない。
「戦力を補充するような動きもなく、報復すらない。連中はどこまで行っても、収集にしか興味がない」
お師匠はそこまで伝えると、俯きながら地べたに座る。
話を聞いていたみんなと同じ、地べたに。
「……俺は、お前たちと一緒だ。いつまでたっても暖かい日々を忘れられずに、こうしてトモリに留まっている。いつかなにかが変わらないか、と離れられずにいる」
夜の静けさと地面の冷たさを肌で感じる。
いつの間にか、アタシたちはみんな静かになっていた。
焚き火が無いのが不思議なくらい、明確に話を聞く場所になっていた。
「ノブレスオーブは白の人の誇りなんだ。それが奴らの手にあるのは、俺の恥だ。奪われたまま安穏と暮らすのは、俺の怠惰だ」
……怠惰?
お師匠、それはないよ。トモリの暮らしは、みんなが作り上げて、ユキが必死に守ってるものだよ?
なんで、そんな言い方するの。
「お師匠……?」
「聞けミツイ。俺たちは変わらないといけないんだ。俺たちのために、そしてユキのために」
ユキのため?
また口を挟みたくなる気持ちを、ぐっと強く堪えて聞くことにする。
話をしてるお師匠の眼は、覚悟がずっとにじんでるから。
「俺たちの住むトモリは安寧の地ではない。ブロカードの気まぐれでいつでも滅びうる。この集落の防衛施設も、なんてことはない。……それを理解しているユキがなにをしているのか知ってるか?」
「……ユキが?」
なにも聞かされてないマナちゃんは、不安げに聞き返す。
そうだね。ユキはあんまりいろんな人には話さないから……。
「あの子はギルドと協力し、移住先として交易街ヤンベの一画を手配しているんだ。俺たちが安全な場所で暮らせるように、コツコツと金を用意してな」
「えっ……?」
お師匠の言葉に、マナちゃんは驚いた表情。またあっちこっちからざわざわしだす。
たぶん、場所まで用意できたって知っているのはアタシとお師匠。あと里長だけ。
前々からそれとなく聞いても、里の人たちは全然移りたがらなかったからさ。ユキも準備できるまでみんなにひた隠しだった。
「俺たちは、いまだにユキを……。最後の白の人を不安にさせて過ごしている。ノブレスオーブを取り返すことも、捨てることも出来ないまま」
突きつけられた言葉を前にして、誰も何も言えなかった。
みんなが思ってる。ずっと、ユキに甘えて過ごしてたってわかってる。
全部忘れて逃げるでもなく、誇りを胸に戦うでもない。あの子だけが未来を見てる。
「もう決めなければならない。ブロカードと決着をつけるのか。それとも、ユキが用意してくれた場所で託されたものを守るのか。……どちらがいいのか、は決まっているはずだ」
うん……。そうだよ。
今、ブロカードのところに突っ込んだってほとんど無駄死にじゃん。もしうまくいって、ノブレスオーブを取り返しても絶対にあいつは追いかけてくるよ。
「……ヤンベなら、安全なんですか? ブロカードがヤンベに来たら、どうなるんですか」
マナちゃんが静かに、でもはっきりと質問した。
集落の男の人たちも、少しずつ声を上げる。
「そうだよな……。あそこは安全だとは限らない」
「トモリよりはいいのかもしれないが……。あちらの街をただ巻き込むことになるんじゃないのか?」
むむ。確かに。
ブロカードがヤンベに乗り込んできたら、街中のギルドとアタシらやユキで防衛することになる。
追っ払えたとしてもだよ。トモリからの移住者は、元から住んでたヤンベの人たちから疎ましく思われそうだね……。
「ヤンベが襲われる可能性は低い。里長、そうだろう?」
「……そうじゃな。ブロカードがトモリに目を向ける理由は、常にユキとノブレスオーブだけじゃ。それらが無ければ、探されもせんじゃろう」
お師匠と里長の話は、あんまりだった。
「でもユキは。ユキはどうなるの……? 一緒にヤンベで暮らすんでしょ?」
マナちゃんが両手で口を覆い、震えた声で呟いた。
お師匠は、しっかりとマナちゃんの顔を見て答える。
「ユキには、仲間が出来た」
「仲間?」
「そうだ。俺は昨日、彼らの戦いを見た。ライトたちは若いが、その実力は相当だ。少なくとも、俺たちよりユキのことを守ってくれる」
お師匠、ユキが無事にいられるかだけじゃないでしょ?
ユキはきっと、トモリのみんなと一緒に居たいよ?
マナちゃんは、ゆっくりと俯きながら声を絞りだす。
「ユキとは、一緒に居られないんですね」
「そうだ。今のままだと、彼女が望まない。俺たちと一緒に居たくても、俺たちを危険に晒すことは選ばない」
「それで、いいんですか!?」
顔を上げて、お師匠に詰め寄ったマナちゃんの瞳には涙が浮かんでた。
絶対いいはずがないって、訴えてた。
お師匠は手で、マナちゃんに少し下がるよう促して、ひとつ息を吸う。
アタシも、息を吞んだ。もうここからは、説得じゃないかもしれない。
「俺たちは、ブロカードを倒せないんだ!」
大きすぎる声じゃない。想像よりも落ち着いた声だった。
でも、お師匠の顔には全く余裕はなくなってた。心の底の淀みを掬うために、無理矢理傷つけながら削り取ったような言葉だった。
「俺たちは! いまだにずっと目を逸らしている。倒せない、解決できないという一番の事実から!」
伝えられたマナちゃんの眼が見開く。
全部が全部、望んだとおりに出来るなんて段階はもう超えているんだって、改めてお師匠はぶつけている。
ハレノヒがなくなったあの日から、みんながどこかうっすらと、淡く抱いていた希望に現実を突きつけてる。
「……もうすでに。どうにもならないんだ。それを認められていないから、この場所が残ってる。今このトモリの集落は、ユキを苦しめるだけの場所だ」
この場にいる誰もが、何も言えなかった。
いまだに自分たちが、白の人から救われるハレノヒにいた時のまま。
ユキを助けられる側じゃない。少なくともアタシはそう思った。
「……あたしゃねぇ。ユキちゃんに『もういいんだよ。頑張らなくていいよ』って伝えられたことがなかったよ」
おばちゃんがぽつりと、こぼした。
すると、集落のみんなからも、いろいろな言葉が漏れた。
「俺もさ……。あの子に戦わなくていいとか、何も言えなかった」
「もっと早く、大人として出来ることを探してあげられたら……」
みんなの反応が変わった。変わったよ! これは……落ち着いて、収まる!
確信をもって里長の方を見ると、まだ険しい顔のまま。
あれ? なんで?
改めて周囲を見渡すと、お師匠もマナちゃんも、気の抜けた顔はしてなかった。
グッと何かを見据えるような、険しい表情のまま。それは集落の若い男の人たちも一緒。
「……これだけで諦められるなら、こじれてないよな」
かしゃり、お師匠は刀を自分の脇に置いた。
少し緩んでいた人たちは、困惑してる。
みんなに向かってお師匠は、苦しそうに話しだす。
「なにもせず、あの日々を諦められないとは思う! 忘れて生きるのは簡単なことじゃない! 俺だってそうだ!」
そっか。お師匠はまだ、あの日の自分を許せないんだ。
両手を地面につけながら、お師匠が続ける。
「ただ、やるならば。誇りを賭けて取り返すというのなら、それは可能性の高いやり方であるべきだ。それはお前たちが奴に挑むことではなく、俺が向かうことなんだ」
……いや、ちょっと待って!
お師匠、まだそれ言って――。
「どうか頼む! このままみんなが無駄に死ねば、白の人たちの、ユキの思いを無駄にすることになる! いつまでも引きずっていては、ユキを長く苦しめる! 俺にすべてを託して! ……これを、最後にしてくれないか」
地面を頭につけて、お師匠はみんなに懇願した。
アタシには、死にに行く人の言葉にしか聞こえない。
「……イサギさん。あのね?」
マナちゃんがお師匠へ、顔を上げるよう手で促す。
優しい顔で、微笑みながら続ける。
「ダメです。託せません」
「……ええっ!?」
お師匠より先に、アタシの声が出ちゃった。
びっくりした。そんな笑顔で……えぇ?
お師匠も目がまんまる。そりゃそうでしょーよ。
「だって、ズルいじゃないですか。イサギさんだけ自分の心の通りに決めちゃうなんて。私からしたら、背負う人がユキからイサギさんに代わっただけです」
「……」
お師匠もアタシも、マナちゃんの圧に押されて言葉がない。
そ、そうなの? ユキからお師匠になっただけと言われればそうだけど……。ズルなのかな?
マナちゃんは一度目を閉じると、先ほどまでの笑顔をなくして、お師匠に向けて告げる。
「だから、私の想いは私が背負います。私も今夜ノブレスオーブを取り返しに行きます」
「マナ! 自分がなにを言っているのか、わかっているのか!」
お師匠の両手が、マナちゃんの両肩をグッと掴む。
でも全然マナちゃんはひるまない。さっきよりも強く、お師匠の両目を見つめる。
アタシには、場の流れをマナちゃんが握っているように見えた。
「私の居たい理想の場所には、みんないました。ユキがいて、イサギさんもいます。もともとありました。もともとみんないました!」
「だから! そういう段階じゃ」
「――諦めたくないんですっ!!!」
場を切り裂くように、その言葉は響いた。
マナちゃんの強い決意が、お師匠の口を止めた。
「私だって望みがあるんです! 奪われてるんです! 取り戻したいんです! たとえユキが、あなたが、ノブレスオーブが望んでいなくたって……私にとっては大切なもの。それだけじゃ、ダメですか?」
……わかるよ。切実なのは、ユキやお師匠だけじゃないよね。
一人一人が大事な人がいて、思い出があって、望むことがあるよね。
すると、集落の男性の声も聞こえた。
「俺もそうするよ。イサギさん。俺はね、恥ずかしい自分のままじゃいたくない」
マズい。これはマズいよ。
マナちゃん一人を説得するだけの話じゃなくなっちゃう。
みんなが武器を持って、決意を宿して、立ち上がってる。
「待て。気持ちはわかる。ただ、どうやるかが大事だという話だ」
急いでお師匠は静止する。でも、止まらない。
集落の人はそれぞれの思いをお師匠に伝えていく。
「イサギさん。もう、あり方なんだ。アンタだけ行かせても、人生に恥が増えるばかりだ」
「みんなも行くんでしょ? 置いてかれたら寂しいじゃん」
「何の役に立つのかわからないけどさ。弾除けくらいにはなるかもよ?」
バカバカ! みんなして急になに言ってんの!
イサギさんの話も全然聞いてないじゃん! どうしてこうなんの!?
「ダメだって! どうしよう里長!」
「ウム。しくじったのうイサギよ」
アタシの叫びに里長が答えて、お師匠の隣に歩いてく。
「イサギ。お主が悩む間に、誰もが悩んでいたということじゃよ。お主の出した答えは、彼らの答えにもなってしまったなぁ」
「長……」
いやいや! しっとりと語っている場合じゃないでしょうが!
止めないと!
「ねぇ里長。うちの子がバカでも本気でやってるときは、最後まで付き合ってあげるのが親の務めかねぇ」
「そうじゃな。ワシも同じようなことを思っていたよ。たとえ無謀であれど、トモリの皆と共にあるのが務めじゃとな」
ウソだ。おばちゃんも、里長もそっち側なワケ?
お師匠の話を聞いて、ユキのことを知ってて、そうなっちゃうのはおかしいよ。
……アタシが、今やらないといけないことはハッキリしているんだね。
誰と向き合えるようにありたいか。アタシにだって、あるもんね。
「……みんな。待って」
腰の鞘から、刀を抜いて。里からブロカードの本拠地に向かう側を塞ぐように、立つ。
トモリの人たちに対して、こうなる日が来るとは思ってなかった。
「絶対に行かせないから。一人も、行かせないよ」
月明かりは少し暗くて、視界はだいぶ滲んでる。
でも、止めないといけない。大事な人達だもん。
「みんな自分勝手すぎるよ。どれだけユキがトモリのこと大事にしてるか……わかるでしょ?」
全然、カッコよくも、落ち着いても声が出ない。涙声。
「あの子は家族もなにもかも無くしてるんだよ? ひとりぼっちになったんだよ!? すっごい辛かったんだよ!? それでもみんなから大事にしてもらって、生きられるようになったんでしょ? だからみんなが大好きなんじゃん!」
わかんない。どうしてわかってくれないの?
ユキはみんなが大切だから、ここまで頑張ってきたんだよ。
「どうしてまたアタシたちが、あの子をひとりぼっちにするの……! 置いて行っちゃうの!? ユキからしたらあと一歩ってところじゃん! 場所まで準備して……。どうしてそれを知ったみんなが、こういうことをするの!?」
あまりにもひどいよ。ひどい仕打ちだよ。
もうみんなの顔がわからないよ。ずっとずっと、滲んで見えない。
「……みっちゃん」
マナちゃんが、一歩一歩近づいてくる。
誰も止めない。アタシは刀を抜いてるのに。
「ごめんなさい、弱い私で。諦められない私で」
そう言いながら、マナちゃんは両手でアタシの顔に触れ、涙を拭ってくれる。
止めないと。こっちから、動かないと。
……その手がアタシの鼻下に触れると、くらりとして、立っていられなくなった。
そっか。痺れ薬とか、そういうのだ。
「……待って」
マナちゃんの足元に崩れたアタシの言葉に、返事が聞こえた。
「ユキのこと、お願い。戻ってこられたら、ちゃんと怒られるから」
意識が遠のいていくことが、なによりも悔しかった。
こんな別れで終わっちゃうことに、抵抗できないのが辛かった。
*
(ライト視点)
「……キ。ユキ! 起きて!」
んお……? なんだ?
誰の声だ? 女の人だな。外はまだ暗い。
頭がボヤっとしてっけど、少し異変を感じつつ、声の元へ向かう。
「ユキ! 起きてってば! お願い!」
そこには、泣きながらユキを揺らすミツイがいた。
……バチン!
青い宝石が放つ光が、部屋中を照らす。
ユキとルミエルネとおんなじベッドで寝てるハルンを強めに充電した。
一回充電落ちしてるときはがっつり貯めてやるのがコツだ。
そんで、目覚ましにこいつほど使えるヤツはいない。
「どしたぁライトォ!」
クソデケェ声を出しながらハルンが飛び起きる。
ベッドははずみ、ルミエルネは弾き飛ばされた。
俺は全く回ってない頭で、現状をハルンに説明する。
「なんかあった。ミツイが泣いてる」
「どしたミツイ!」
「ねぇ! ユキ起こして!?」
バチッパァン。
「いったぁ!?」
ハルンの強烈なハンマーパンチが、ユキの脇腹に落ちた。
稲妻と衝撃が見事に絡み、誰もが目覚める一撃にユキの悲鳴も響く。
「……なにすんよハルン」
「おはよう。ライトがミツイ泣かせてる」
「ちげぇだろ!?」
なんで俺が泣かせたことになってんだ。
この時間にミツイ泣かせてたらエグイだろいくらなんでも。俺はどんなバケモンなんだよ。
ユキはミツイの顔を見て、すぐに切り出す。
「どったんみっちゃん」
「あのね……! トモリのみんながオーブを取り返しに、ブロカードのところに行っちゃったの!」
「……はぁ!?」
余りにも突然な話に、ユキも驚いた声を上げる。
なんだそりゃ。今何時だ。嘘だろ。
ミツイは涙が止まらず、必死に話し続けてる。
「アタシ、止めたんだけど止めらんなくて! 薬で痺れちゃって、意識飛んで動けなくてぇ」
「わかった。わあったわあった。みっちゃん今はどう? 痺れとかめまいとかある?」
「アタシは大丈夫なんだけどみんなが!」
ユキはミツイの手を握りながら話を聞いてる。
いや、えらいことなったな。緊急事態にもほどがあんだろ。
とにかく時間が惜しい。俺たちは俺たちで動こう。
「ハルン。ルミエとラジ起こせるか?」
「任せろ! 飛び出せるようにするぜ!」
「うし、ちゃちゃっと準備しよう」
服、道具、荷物、靴。
緊急事態は早さと確実性が大事だ。
俺の魔法はこういう時便利だな。電撃を広げればある程度モノが揃ってるかわかる。
「ハルン! アンタ私のこと引きずって歩くんじゃないわよ!」
「いったぁ!? どうしたんですかハルン朝から……」
「ぼさぼさしてんじゃねぇ! 緊急事態だおらぁ!」
ハルン側はバタバタだな。
そのうち終わんだろ。さほど時間はかかるまい。ご愁傷さまって奴だ。
それよりも気になるのはユキとミツイの様子だけど……。
「……はぁ~。お師匠がおって、里長もおってそうなるんか。あんにゃろども信じられんほどアホバカ」
「ごめんねユキ。本当にごめん……」
「ん! みっちゃんあの場でどうにもならんのしゃーない! とりあえず出来ることしよ!」
ユキはそう言うと、ズボンをはき替える俺の方を見て声を掛けてきた。
「……ライト、ありがとう。助けてくれる?」
俺は片足を上げたまま、答える。
「もちろんだ。ちょっと待ってろ。すぐ準備終わらせっからな」