転生ミクのSV最初からの旅路   作:イエッサム

13 / 25
初めてのジム戦

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして、第一の目的……厄介者を追い払ってオモダカに通達。

 メロコの知り合いから芋づるで釣り上げられて、纏めて処分を食らったようだ。

 流石は理事長。特徴を言うだけで何処の誰かを直ぐに分かって見つけ出した。

 その手腕は見事だとミクは思う。

 だが、同時に地雷を踏んだらしい。

『ミクさん。貴方が不良を追い払ったときに、トドロクツキを放ちましたね?』

 先制で自分を狙ったことは百も承知。

 自衛のためにやったことだが、不味いらしい。

『ミクさんの手持ちが、明らかに駆け出しと名乗るパワーバランスをしていないと、コルサさんから直通で連絡が来ました。よって、ミクさんはポケモンが上澄みでもミクさんが素人というアンバランスなケースになります。故に特別措置として、ミクさんには申し訳ないのですが……ジムリーダー各自に、中級者程度のポケモンを使用するように言いました』

 要するに難易度が上がった。

 手加減こそしてくれるが、ミクのポケモンは質が良い。

 本人の経験値が不足しているがカバーできるだけのポケモンがいる。

 つまり、初戦から結構ガチの構成で、コルサは来るらしい。

「ですよね……。皆さんに頂いたり、バハムートみたいに強いならそうなりますよね」

 分かっていた。駆け出しとしては期待値が大きい。

 そもそも、素人に扱えないバハムートという例外が居る以上、この措置は妥当とも思う。

 それと、気になる事をオモダカは言った。

 パルデア各地に、余所の地方のポケモンが徘徊するようになった。

「徘徊……?」

 何だろう。余所の地方のポケモンが?

『はい。何処からか来たのか、よく分かりませんが……レホール先生によると、目撃情報から推察するに、各地方の伝承に残っているポケモンらしいと』

 ……待て。歴史の詳しいレホールが言うって事は。

 過去作の準伝説の徘徊系ポケモンのことだ。

 何故発生している。徘徊自体は放置でも良いらしいが、あちこちで縄張りを争っているそうで。

『つい先日も、ポケモンリーグの本地が謎のポケモンの襲撃を受けました』

「大丈夫ですか!?」

 猛烈に嫌な予感がする。

 ポケモンリーグに出てくる謎のポケモン。

 原作で言うなら……。

『幸い、私とネモさんで対処して捕獲しています。レホール先生に確認したところ、アローラ地方に出没する謎の生き物……ウルトラ・ビーストの一体とのこと。ソルガレオ、と言われる個体だそうです』

 案の定、太陽を食らう獅子が出て来た。

 リーグの屋上で突っ立っていたそうだ。

 慌てて二人で対応したが、ソルガレオは応戦こそしたが、無闇な破壊はしなかったようだった。

(後編のおやつ無くても来るの、禁止伝説と準伝説!)

 後編で謎のおやつで対戦で使える強いポケモンがパルデア各地に出没したが、まさかの自力で旅行に来やがった。

 クソ迷惑な……と思いつつも一個言っておく。

 オモダカなら返り討ちに出来ると思いたい。

 ソルガレオが居るなら警戒して欲しい。

 其奴は太陽の化身。何処かに月光の化身も来ている。

 そしてそれを狙っているウルトラ・ビーストも襲ってくるだろう。

『なるほど? 捕食者と言うことですか』

「ニュアンスはそうです。ソルガレオを吸収して一体化を狙うウルトラ・ビースト……ネクロズマが、きっと来ます。月光の化身……ルナアーラも何処かに居るでしょう」

 ミクの知る限りネクロズマはろくなもんじゃない。

 日食でも月食でも迷惑な危険ポケモン。

『分かりました。警戒を怠らないようにしておきます。それでは、後ほど』

「……はい?」

 後ほど?

 どういう意味かと言えば。

 ボウルタウンに、今ネモと向かっている。

 コルサとの配信が迷惑にならないように、日程を多忙なのに合わせてこっちに来ると。

 ナンジャモが配信すると、聖地巡礼とか言い出すリスナー勢がボウルタウンに押しかける。

 その抑止に、配信に出るらしい。

 来るなと言うためにわざわざ。

 ネモは応援と観察。テラスタルを取得したミクの実力を見たいらしい。

 視察とは、また随分とネモ特有の理由だった。

 日程の時間までには到着する。

 キチンと準備をしておけと。

 一番最初の晴れ舞台。気合いを入れていく。

 緊張もする。コルサに勝てるかどうかよりも。

(そもそもポケモンが違うだろうから、こっちもどうにか出来ると良いけど……)

 勝ち目云々より前。 

 初音ミクのイメージダウンにならないように奮闘せねば。

 皆がお膳立てしてくれた以上、最低でも善戦したい。

 ナンジャモの配信に泥を塗る行為は避けたいので、頑張るしかない。

 腹を括ろう。初のジム戦。

 歌ってどうこうの前に、トレーナーとしての実力テスト。

 ミク自身の勝負。

 出来うる最善を尽くそう。

「気張りすぎてミスするなよ、ミク」

 厄介払いを出来て機嫌の良いメロコに言われる。

 分かっている。自分は、チャレンジャーなのだ。

 多くが挫折するという道のりの第一歩。

 逃げるつもりはない。楽しむ余裕もない。

 ひたすら、頑張るだけだ。

 いざ、行こう。

 その日の午後。昼前に到着したオモダカとネモは応援すると言うが、ミクは深呼吸して冷静になる。

 取り柄のない、通じない本人の不得意なジャンル。

 果たして経験の浅いミクにポケモンに的確に指示を出せるか。

 その辺がアンバランスで、ちぐはぐなトレーナー。

 コルサにはあらゆる意味で勝てる気がしない。

 芸術然り、腕前然り。

「ミク氏? ちょっといいかな?」

 ジム前にポケセンで待機して、待っていると配信の準備をしているナンジャモが声を掛ける。

 何だろう、緊張してるのに。

 ミクが向かうと、ナンジャモは裏事情を語った。

 コルサは恐らく、テラスタルとメガシンカを両方やってくる。

 というか、ミクに関してはジムリーダー全員がそうしろとオモダカから言われている。

「えぇ……」

 ミクの雪の髪飾りにメガストーンが入っている時点でメガシンカを使えるのは一目瞭然。

 お互いにフェアプレーをするなら、条件は同じでないと。

 圧倒的に相手が有利だったが。

「ミク氏、ゴメンね? ボクの時も中級者程度って言うから、まあまあ本気出す。あ、でもミク氏には全然足りてないよね。捕獲って意味じゃ」

 そう。トレーナーの基本、捕獲が初期以外やってない。

 貰い物か交換か、合意の捕獲で普通がない。

 この時点でミクは益々素人であると指摘する。

「オモダカ氏も重たい条件出すよねぇ……。いや、ミク氏の手持ちのインフレおかしいけど。言うこと聞くのも人徳だけど。普通はもっと成長過程のポケモンで挑むのに、最終形態に暴走したおっかねーポケモンってレベチ過ぎて勝負にならないんよ。だからここは経験も覚悟しとけって事。ジム戦は一応何回でも出来るから。まぁ、大抵は諦めちゃうけど。挑んでも無理だって、ならもっと楽しいことしようって皆居なくなるんだ」

 挫折するという理由は無理して挑んでも楽しくない。

 つまり最初期こそ手軽な目標でも途中でしんどくなって投げ出すと言うこと。

 強制ではない以上、無理強いは出来ない。

 止めたいから止める。それも理由だ。

「そうですか……」

 経験も覚悟しとけ。負けることも有り得る。

 そういう警告か。だろうとも思う。

 負けたらこっちで再度チャレンジの企画立てるから、特訓の配信とかも出来て転んでもタダじゃ起きない。

 ナンジャモはそう励ました。

 オモダカの期待もある。

 一応最初の迷惑なスター団の不良は追い出せた。

 一回目の目的は達成した。でも序の口だ。

 乗り越える山は沢山ある。

「まぁ、ミク氏。気軽に行こうよ。ガチガチじゃ、出来ることも出来ない。負けてもまたリベンジで挑めるのがチャレンジャーだもん。ミク氏は、あんまりバトルは得意じゃないんだと思うけど」

「そうですね。……そもそも、歌っている方が好きです」

 バトルより皆と歌っている方が楽しい。

 でも、それじゃ何も進まない。

 目的は、進むことだ。遊ぶことではない。

「まぁ、ミク氏のプロデュースってのが今のボクだからねぇ。アドバイスすると、コルサ氏は草タイプだから弱点多いし、ミク氏の手持ちで有利なポケモン居れば、積極的に攻めていくといいよ。基本的なコルサ氏のマジの時の戦術、聞いとく?」

 裏事情で教えてくれるとナンジャモは言う。

 聞きたい。でも、それは……アンバランスだったとしても。不公平ではないか?

 正々堂々と行きたいと思う。

 ゲームなら対策もする。

 リアルでも競技、対戦なら意識して当然勝つためにメタを張る。

「いえ、良いです。何も知らない状態で戦うのは、コルサさんも同じでしょうし」

 縛りでタイプが決まっている以上、向こうだってハンデがある。

 チャレンジャーに有利なように。

 それでも同等の条件なら、ミクに限ってはジムリーダーが有利なのだが。

 草タイプ。原作知識は最早価値なし。

 立ち回りは、演出込みの方が良いのかなとも思うが。

「配信は意識しなくて良いよ。仮にもトップのオモダカ氏のいる配信でボクの皆の者(リスナー)が変なこと言うはず無いし」

 そこは長年インフルエンサーやっている経験値で語るナンジャモ。民度の良い配信なので、安心して良い。

 あとでアドバイスくるかもね? と言うくらい。

 そう言うモノか。ミクは次第に気楽になってきた。

 勝つとか負けるとかに執着がない。

 ただ無様を晒さないように、頑張れば良い。

 そう思う。

 だから、ミクは本当に何もないトレーナーという立場で。

 コルサに、挑む。

 時間になった。コートに移動する一同。

 野外の風車の近くにあったコートに辿り着く。

 周囲には、アーティストやオモダカ、ネモが見守っている。

 ナンジャモがお得意の挨拶と口上を述べて配信開始。

 真っ先にオモダカが登場し、聖地巡礼をするなとだけ言っておく。

 此処は芸術家の町だから観光地では無いので。

 余所に行くように、釘を刺す。威圧感が凄かった。

「さてさて! オモダカ氏の注意を聞いたな皆の者! 本来此処は配信出来ないけど今回は特別に許可貰ってやってるぞい! ミク氏、意気込みを聞かせて!」

 今度はミクに振るナンジャモ。

 此処は本音で言う。

「精一杯、頑張ってみます! 応援よろしくお願いします!」

 頭を下げて頼み込む。

「聞いたな!? これはミク氏にとっての大一番! 野暮な茶々を入れるなよ皆の者! アドバイスなら、コメント欄に残して欲しいな! 終わったら伝えておくから!」

 最低限マナーを言わせて、ナンジャモは実況に入る。

「相変わらず喧しいな、配信者という人種は」

 そう言いながら対峙するように対面から現れるコルサ。

 嫌気のような表情だった。

「提案がトップで無ければ却下していたのだ。余計な騒ぎを起こすな」

「了解です、コルサ氏!」

 敬礼して、お送りする初のジム戦。

 打って変わって、ニヤリと笑うコルサ。

 ミクに問う。得意の分野を全て失った気分はどうだ。

 これが、才能で何も出来ないという状況。

 ミクの恐れる、死ぬ世界だ。

「やっぱり……怖いです。でも……挑みます」

 震える手を見下ろす。ミクは歌以外では凡人。

 ジム戦など、大勝負も良いところ。

「ならばこの恐怖を糧にしろ。それが貴様の歌に艶やかにする養分になる」

 激励のように言うコルサに、何事も経験だと言って貰えるなら。

 挑もう。ビビっているけど、震えているけど。

 相手からも言って貰えたなら。

「行きます……! 全力で!」

 真っ直ぐ、相手を見据えて。

 覚悟を決めろ。公式戦だ。

 多くが見ている、期待の一戦。

 だから、出せるものがないけど。

 精一杯、取り組む。

「良い目だ。では、始めようか。これが貴様と私の合作だ。私のアートに付き合って貰うぞ、歌姫!」

 そう言うと、お互いにルールの確認。

 案の定メガシンカもテラスタルも使うらしい。

 手持ちの数は、5匹。交換はしてもいい。

 いきなり再戦の時と状況が同じ。

 数が多い。でも、やろう。出来うる限りの最善を。

 こっちだって、頑張るって決めたんだから。

 負けたくない……というより、全力をぶつけたい。

 バトルすら歌の輝きになるというなら。

 やってみせる

「では、ゆくぞ!」

「はいっ!!」

 初のジム戦、開始だ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。