転生ミクのSV最初からの旅路   作:イエッサム

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古代の置き土産

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ミク、初の大目玉。直行で理事長に呼ばれた。

「ミクさん、レホール先生の調査は無許可だと知っていましたか?」

「いえ、何も……。助手でついてこいとしか……」

「案の定ですか、彼女は……」

 頭痛のように頭を抱えるオモダカ。

 何も知らせず生徒のミクを巻き込んで遺跡の調査。無断で。

 結果的にミクの抵抗で双方無事だったものの、封印されていたポケモンを野放しにした。

 剰え捕まえたレホール。

 彼女は悪びれない。

「確かに私は教鞭に立つ。だが生憎と、私は根っからの学者でね。学者というのは己の探究心を捨てられない生き物と言うことだ。理事長には悪いが歴史の解明には、封印を解かねば分からぬ事もあると言う。悪いことではあるまい? 害の無い遺跡の調査だ。災いの祠の封印を解いた訳では無いぞ? 何、災いと伝わる祠にも興味はあるが、あの歌姫の言うとおり、厄災が起きたから封印されている。それを興味はあれど解放するほど愚かでも無いさ」

 考古学者からの見聞で調査をしただけと堂々と開き直る。

 何せレホールは専門家。

 遺跡のポケモンを解き放っても危険は歴史的事実から無いと分かりきっている。

 それの何が悪いと言い返す始末。

 ミクを巻き込んだのも、調査に必要な知識を持つ助手だったからだ。

 興味本位で開いたのは認めよう。

 だがその興味本位が無ければ解明も究明も出来ないが?

 と、専門家の立場で反論する。

 そこじゃ無い。事前に言わずに無断で調査したこととミクを利用したことに問題があるのだ。

 ミクも謝罪する。歴史の確認をレホールに聞きに行ったら流れでこうなった。キッカケは自分だ。

 オモダカもそこは責めない。レホールは以前から授業ほっぽり出すような言動が多々あった。

 ミクの言い出しっぺは、悪いとは言わない。

 生徒としては普通のことだ。

 問題は、捕獲したポケモンの処遇。

 また古代の置き土産のような封印されているポケモンをどうしろと。

 ミクが慌てて何かをレホールに確認していた。

 その後、アカデミーの書庫の許可をオモダカに貰って、血相を変えて駆け込んで何かを調べている。

 古い文献を、素人なのに必死に読み解こうとする。

 ミクの行動にただ事じゃないと担任も手を貸す。

 相手は人々の勝手な恐怖で理不尽に封印されているポケモン。

 ミクはアテに出来ないレホールに代わって鎮めるために出来ることを探していた。

 結果、パルデアにもやっぱりあったらしい。

 オモダカが何を探していたのかと思えば。

 パルデアに伝わる古い祭事に記された神楽歌だった。

 荒ぶる神を鎮めるために作られた歌。

 それを必死の覚えて捕まえたポケモンに捧げていた。

 本来であればこの神楽歌は祠のポケモンに捧げる歌。

 厄災が怒らぬように鎮める舞や歌で落ち着いて貰う為の歴史的経緯がある。

 それを、ミクは調べてレホールから楽譜がないので言い伝えのように口伝と言われて、持ち前の音楽の才でどうにかこうにか覚えて、レジというポケモンに捧げる。

(まさか古きパルデアの祭事に舞と共に伝わった神楽歌? そんな古い伝統の歌まで歌うとは……。いえ、流石ミクさん。時代などあなたには関係ないのですね)

 本人なりに責任を感じて、速攻で覚えて捧げた。

 レホールからポケモンを没収して、オモダカ管理の下、念のためにネモと同席し危険が無いか万全の状態で神楽歌を奏でるミク。

 舞も必要だが巫女がいない。踊れない。

 だからせめてこの神楽歌を歌おうと代理で、割りと必死に対応する。

 オモダカも舌を巻く。神楽歌という馴染みの無い歌でも覚えて代わりに歌える。

 彼女、下手したら海外の哀悼歌や鎮魂歌、挽歌すら歌えるかも知れない。

 ポケモン達は、付け焼き刃と言えど仮にも祭殿に使われた神楽歌を聞いていた。

 沈黙したまま、軈てゆっくりと立ち上がる。

 流石に暴挙で叩き起こされているのでビクビクしているミク。

 その捕獲されたポケモン達は捧げられる神楽歌を受け取った。

 現代に蘇った己達に、鎮める神楽歌を歌ったミクに向かって代表のように白い巨人が膝をつく。

 そして、巨大な腕を伸ばした。

「へっ……?」

 ミクも驚く。巨人達は機嫌が良いのか、一匹の雷鳴の小さき巨人の端くれが燥いで目にも見えない速度で駆け巡る。喜びの舞のよう。

 岩の巨人、氷の巨人、鋼の巨人、龍の巨人は、白き巨人に従うように佇む。

 絶句するオモダカとネモ。鎮魂に成功したのか。

 元々被害者のポケモン達は、わざわざ解放した上に丁寧な歓迎に、感謝しているかのように。

 手を伸ばして、繋ごうと言う意思を見せた。

「え? 上手くいった……?」

 恐れ多くも歴史的な歌を歌おうと自分なりに努力はしたが。

 意図は、どうやら伝わったらしい。

 レジの王はミクの小さい腕を取り、三本の指で確りと掴む。

「まさか、彼等は舞を省略した無礼すら許すと……?」

 オモダカも驚愕の現状。

 王は、地面に何かの点を打った。

 ……これは、点字?

 長く、多く、打っていく。

 慌てて当人のレホールを呼びだして翻訳させる。

 すると……。

「ほぅ。……つまりこの王は、こう言っている。封印解除に感謝する。我々への神楽、聞かせて貰った。元より怒りなどとうの彼方に忘却したが、巫女の懸命な祈り、確かに聞き入った。我ら一族、神聖なる神楽の返礼のため、巫女の力になる事を誓おう。……だそうだ」

 巫女って。ミクですが。

 ミクの神楽歌に感激し、鎮魂のために歌ったお礼に手持ち入りするとか言いだした。

 とうとう歌でレジ系まで対話してしまった。

 古くから何処の国でも歌は舞や祝詞などと一緒になって神様への捧げる文化はある。

 海外でも哀悼歌や鎮魂歌、そういう分野があるように死者に送る歌もあれば神に送る歌もある。

 ミクは遺跡の巫女役として、見事に果たした訳だ。

「えぇー!?」

 畏まる王たち一族は、ミクの神楽に礼を言う。

 ミクもビックリ。レホールは兎も角、レジ系全員が遺跡から解放されて窮屈だったのが、外に出られて清々したのに解除した本人達に鎮めの祝詞の代わりに懸命な神楽歌を貰った。

 出て来て早々暴れたのも理不尽に捕獲を試みる人への抵抗(ノリノリで捕獲を狙ったレホールの事)であって、その場に居ただけのミクには特に嫌悪は無い。

 暴れた事も謝罪する。

 この身はそもそも分霊。

 人々が恐れ戦く、尊重する程の事でも無い。

 自由。その意味は、王たち一族には最も遠い意味だった。

 それをくれた巫女に、感謝を。

 礼を尽くす為、我が一族は巫女の力になろう。

 ……という返事。

「やはり推測通り、世界中に分散した分霊か。パルデアにも居るわけだ。歌姫、聞いての通り此奴らは本体では無く、力を分散した分霊の一体。要は巨大な神の一部に過ぎん。安心しろ、祟り神の部類では無いのは知っているだろう。貴様の神楽歌の礼というなら受け取れ。これは神の慈悲。貴様は代理の巫女として、我々人は神の加護を受け取る義務がある。その為に神楽歌を捧げたのだ」

 レホールが言うには世界中に分散した分霊という一部の封印。

 大本とは違うがミクの歌に加護を与えるというので、受け取るべき。

 そうでないと逆に無礼。 

 怒りこそないが不愉快にさせる。

 故に、ミクは遺跡のポケモンを全員引き取る羽目になった。

 レホールも上機嫌だ。長年の謎の解明が出来た。

 此処から来る結論を文献に残すべく纏めるとか言って、授業をほっぽり出して趣味に走った。

 オモダカは何を言っても無駄だと言って諦めた。

 尚、助手に付き合ったミクにはコレクションの骨董品を幾つかくれた。

 ……埃を被った泥炭の塊に、黒曜石の欠片。

 それぞれ、ミクが近場で捕まえたポケモンに使える奴だった。

 リングマ、ストライク。

 特にリングマは人里に降りてきたのを偶然発見して危険だと言ってネモと捕まえた個体だ。

 空腹だったらしく、腹一杯食ったら満足して大人しくなった。

 この個体は大人しいようで、ミクにもよく懐く。

 餌をくれる相手なら納得だ。

 そして、その日は満月だった。

 ミクが本来無いはずのアイテムを寄越したレホールに何処の墓場で荒らして持ってきたブツだと思いながら渡すと、泥炭の塊はボロボロに崩れて、リングマに纏う。

 咆哮しながら月下で月輪の生誕が起きる。

 リングマの進化、ガチグマ。

 四つ足になった巨体に泥炭を纏った、原種。

「このポケモン……何? リングマの進化系って見たこと無いよ」

「だろうね。本来はとっくに絶滅して居ないもん」

 まさか現代のリングマも自分が進化できるとは思ってなかったろう。

 ミクが条件を知るのはレホールが用途を言ったからだ。これリングマに使うか大事にしとけと。

 歴史的価値のあるブツを気軽に貰ったようだが、レホールなら盗品も有り得る。ミクはもう知らない。

 黒曜石の欠片も翌日ストライクに与えると進化した。

 バサギリ。こっちは姉妹校に復元した野性個体が居るから知っているネモ。それでも貴重なポケモン。

 管理するネモが増えたポケモンに呆れる。

 これどうしろと。生き神みたいな存在、ミクに使えるのか。

 大凡、ネモの経験を超える分霊。

 育成も何も必要ないと担任が言う。

 相手は神様って言っても良いポケモン。

 不思議な現象でミクに合わせて勝手に自分を調整する。逆を言うと人からの育成が通らない超常事態。

 一斉にミクの一人で謳う神楽歌を良く聞いている。

 駐在するナンジャモが言葉を失う。

 結局神楽歌を覚えて、律儀にあの神様とか言うポケモンに歌うミク。

 どんだけの才能あれば神に捧げる古代の置き土産を歌えるんだ。

 アオキがナンジャモと校舎の片隅で今日もコミュニケーションをとる彼女を校舎の廊下から見下ろしてぼやく。

「彼女は神に歌を捧げた巫女だそうです。歌姫以外にも肩書きが増えましたね」

「シンオウの神殿が大本らしいけど……。ボクが知る限り、本家初音ミクもシンオウが拠点じゃん? 祭事のイベントで一回挑戦してダメだった数少ない失敗例よ? 何でミク氏は出来るのよ……?」

「コミュニケーション能力の差ですね。イベントで開催はあくまで、大衆向けのナンジャモさんのようなクリエイターがやったこと。ミクさんは純粋に祭事の真似事でも直に捧げた。故に出来るんですよ」

「コミュニケーションの化け物かい!?」

 ここまで来ると最早規格外。

 悪徳教師の巻き添えで尻拭いらしいが、仮にも分霊の言えども神様である。

 神罰とか落ちないか心配なナンジャモ。

「自分にも無理ですね。本来ああいうのは神職……宮司などの役目です。一般市民に古代の神楽歌など、難解で理解が難しい上に習得が困難な代物。ミクさん曰く、心を込めて歌うしか出来ないとのことらしいので、アレでも不完全です」

「もう笑うしか無いんですけど……。不完全で神様に許されるって寵愛凄くね?」

「ミクさんの徳ですね。純真無垢の巫女だから神は許したと自分は思います」

 無垢なる歌姫。

 確かにミクに悪意や邪心は全くないが、だからって。

 コミュニケーション能力だけで神に加護貰うとか。

 分け隔てなく敬意を払うことは、何であれ大事だと言うことだ。

「尚、あの神は大陸を動かした巨人の一部だそうです」

「スケールデケえ!?」

 巨人達はミクの祈りをずっと聞く。

 ビカビカ模様が点滅しているがアレが返答らしい。

 ミクもよく分からないが岩、氷、鋼、稲妻、龍、主。

 このポケモン達に許されたので仕えないといけない。

 トレーナーよりずっと上の神様を育成とか何様案件。

 なので、開き直るが巨人達は普通で良いようで、指示には従う。

 悪心持ったら神罰とか来そうなので、ミクもやっぱりビビっていた。

 旅路に出る前に、巨人共が手持ちになった。

 増えるのは良い。ただ、肩書きに古代の巫女なるものが乗っかった。レホールのせいで。

 普通にやっていくつもりが、準伝説にエンカウント。

 手持ちとか言う状態であった。

 有り難いが、ちょっと困るのが王たるこいつ、レジギガス。

 ゲームでは神殿の置物、トロすぎる、レジワロスとまで酷評の此奴だったが。

 リアルだと……お察し下さい。

 ダメであった。置物とは言わないが、デカい、遅い、でも異常にタフという寧ろ気軽に頼れるぐらいの強さ。

 レジギガスに頼んで物理攻撃の弱体化は分かる。

 それは奥の手で遠距離型にしてくれないか言ってみたら自分の呪いの枷を理解してくれるという喜びの和解で特殊の飛び道具担当、初手レジギガス決定にする。

 特殊は飛び道具がメインで持ち物に残飯をお願いすれば完璧だ。

 本人の意思で体力と特殊に思いっきり振って貰った。

 そもそも、レジギガスのスロースタートは数値が上乗せされればその分半減される呪詛だ。

 速度も物理も。逆に特殊はどうか?

 半減された攻撃よりなんぼかマシで、ゆっくり動けば良いだけのタフなノーマル。

 だったら耐久高いし遠距離でやれば良いじゃん、とリアルのミクは思った。

 尚、スロースタートは移動速度、攻撃速度双方が鈍くなるので基本的にデカい的。

 その癖遠距離攻撃の火力はそこそこある。

 大地の力とか悪の波動とか破壊光線とか。

 テラスタルフェアリーでテラバーストも特殊になる。

 本来ならガスを吸って動くのがレジギガス。

 でも生憎とガスを出す毒がいないし前提はシングル。

 つまりデメリットがミクにとっては丁度良い。

 置物? レジギガスはミクにとっても幸いだが。

 ここまで火力で素人に使いやすいのも逆に有り難い。

 高い攻撃と速度? 呪詛で強制半分の時点で死ぬ。

 だったら多少低くても影響の無い特殊の遠距離型にして何が悪い。鈍くても大雑把に攻めれば良い。

 異常までに硬い耐久力で早々沈まない。

 SVのインフレを加速させたのはパラドックスと四つの災いが大きい。

 未来のパラドックスで脅威なのはあくまで小さなサンタだけ。

 古来なら髪が居ないなから大丈夫だ。

 大体、ミクはレホールの好奇心のせいでレジ系の加護を受けた。

 一般市民からすれば初手レジギガスの時点でステータスで普通に有利なのである。

 なのに控え目な火力。異常なのは耐久力。

 普通にバトル出来る範疇である。

 寧ろ鈍い分不利な位で良い。

 良かった。他のレジも頑張った。

 一番使いやすい龍はバハムートがダブる。

 強いし差別化も出来るけども。

 ロックはかなり良心的だった。雑に強い。

 鉄壁とボディプレス最高。 

 ストーンエッジと地震で物理もこなせる。

 でも身体がよく欠片が落ちるのが怖い。

 スチルはバランス故コミュニケーションで微調整するのに苦労した。

 鉄壁とボディプレスは勿論搭載、アイアンヘッドと地震で物理。

 アイスはチャージビームでチビチビ特殊を上げながら気合い玉とか冷凍ビームとかパワージェムとかにした。

 エレキ? こいつコミュニケーションが取れない。

 いつも燥いで残像を残すほどの速度で動き回るので止まってくれと言うと止まるがソワソワする。犬か。

 電気最速が伊達ではなく、とんでもない速度で回避するので躱せ! が一番強い。

 呪詛付きレジギガスとは大違いだった。

 まあ火力はレジ系の中では高い方だが電気しか使えないらしい。

 サンダーダイブ、ボルトチェンジ、神速。

 専用技? 回避特化にバインド居るかという話で。

 仕方ないのでジュエル持たせて大爆発とか酷い戦術を申し訳ないが頭下げてお願いした。

 燥いで頷いた。困るミク。

 ドラゴは本当にバハムートが居なければエースだった。

 普通に龍の舞、反撃にドラゴンクローで相手は倒れる。

 地震もアームハンマーも一応ある。

 持ち物龍の牙にしたら大半ワンパンで倒す。

(皆強すぎる……)

 結論、ゲームほどレジ系弱くなかった。

 一般市民に向けるには呪詛付きレジギガスが丁度良いくらい。但ししぶといが。

 ネモと手持ちの捕獲とかをしつつ、そろそろセルクルタウンを目指すのだった。

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