転生ミクのSV最初からの旅路   作:イエッサム

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友達と出かける日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ミクは本来、セルクルタウンのジムバッチのスケジュール管理の為にアカデミーに残っていた。

 その間にもメロコは補習を終えて、待っていると笑いながらアカデミーを出て行った。

 四天王のプロジェクト、開始らしい。

 その中、同じ目線のスグリは言った。

 自分も、一個目のバッジ取ってくる。

 パルデアのジム戦を勝てば学園での単位になるので非常に有利。

 なので行ってくると向かっていった。

 ボウルタウンの方だった。

 ミクは待っていても暇なのでセルクルタウンに行こうとするも、カエデが未だに繁忙期。

 手が離せないとオモダカを通じて連絡が来た。

「仕方ないのです、ミクさん。パルデアのジムは兼業が殆どで、アオキやナンジャモさんのような融通の利くジムリーダーは少ないので。申し訳ないです。人員の確保が出来れば、私も嬉しいのですが……」

 そのアオキも仕事で出払い、ナンジャモが漸く落ち着いてきたくらい。

「まるでボクが暇みたいな事言われてもね。自営業だからって、自分でやらんといけないから暇って訳じゃないんだけどなー」

 なんて言いながら、新しいメンツのスグリについて語るミクとナンジャモ。

 ミクの部屋で、動画編集をしながらナンジャモと過ごす。

 ナンジャモはスグリには普通に対応するとは言うが、果たして三つが境と言われるこの壁を超えられるか。

「うーん……厳しいようだけど、楽しむだけでジム戦を勝てば苦労しないってね。ネモ氏が異常なだけで。スグリ氏はミク氏と違ってマジモノの普通だし、正直ミク氏に憧れているっていう時点で難しいかなぁ。身の程を知って止めちゃうパターンかもよ。あの手のミーハーは、すぐに覚めるから」

 なるほど、大人の視点では良く居る生徒の一人。

 だがミクは敢えて否定する。多分めげない。

 折れない。逃げない。諦めない。

 弱さを自覚をしたスグリは軟弱とは言い難い。

「ん? どういう事?」

 ナンジャモは普通に見える彼に、ミーハーと言うが。

 そっこにあるのは渇望と自己嫌悪だ。

 徹底的に彼はそれを認めず変わろうとする。

 執念すら纏って、己の弱さを変革させると思う。

「そんなにガッツあるのスグリ氏? ボクには見えないなぁ……」

「執念深さなら、相当ですよ彼。あとナンジャモ氏は分からないと思いますけど、往生際も非常に悪いです。是が非でも諦めないし、スグリはああ見えて努力家なんで結果にしがみつくんですよ。絶対に受け入れたくない部分は、拒絶します」

「こっわ……。一歩違えば妥協できない性格なのスグリ氏?」

「妥協は出来たら多分スグリも苦労しないでしょうね」

 憧れを捨てたら今度は泥臭い執念で立ち上がる。

 認めて欲しいという承認欲求から、自己肯定感を得るために変化して妥協は負けと認識する。

 投げ出したら自分は敵として自分を見る。

 情けない奴。また弱い自分に逆戻り。

 それが嫌だから努力して変わろうとする。

「修羅ってんなおい……。大人しいように見えてストイックなのね」

「スグリも結構苦労してるんですよ。這いずってでも前に進んで立ち上がって、勝ち取る。諦めたら終わりって分かってるからでしょうね」

「バスケ漫画よりも諦め悪いなぁ……」

 そう言いながら暇を潰す。

 二日ほどで戻ってきたスグリは無事に一個目貰ってきたと報告した。

 基礎は習っているので多少有利だが、普通の範囲で勝てたらしい。

「ミクは調べないで行ったって向こうの人は言ってた。でも俺は勿論対策してから行くし、ミクみたいな大々的なバトルじゃないから。俺は悪くない凡作だって。良くも悪くも、努力は認めるけど方向性は間違えるなって言われたよ」

 案の定、スグリの内面を見て大人達はそう見えるか。

 諦めの悪い凡人。ミクとは違って背負うモノこそ無いから、気軽に行けば良いと。

 これが本来の普通なのだろう。

「なぁ、ミク。これで俺達一個目のバッジ手に入れたわけだけど。ちょっと遠出してみようよ。もっと俺はパルデアの景色が見たい」

「んー……バッジ一個のトレーナーが遠出しても、戻ってくるの大変じゃない?」

 お互い、一個程度ならアカデミーに腐るほど居る。

 なのにスグリはこう言った。

「ミク、これは俺達の目的を探す授業だべ? 今のミクの思考は、効率ばっかりだ。聞いたら事情変わったんだって? 尚更、急ぐ理由は無いよな? 相手もタイミングあるんだし」

「あー……まあ、ね。急いでいるつもりは無いけど」

 急いでいる。効率で進もうとする。

 その気は無いが、そう見えるか。

 それに、楽しんでいるのにその楽しみを消費するような行為は頂けない。

 今をただ消費するのは勿体ない。

 楽しもうという。だが、ミクには主の排除もある。

 戦力は十分だ。トレーニングセンターの助太刀、ネモ、ナンジャモ、アオキ。これだけ居れば、十分。

 近隣住民の迷惑も加味して急いだ方が良いのではないか。

 スグリの反論。分かっているなら普通は近寄らない。

 向こうから来ても聞いてる限り縄張りで動く節がある。

 テリトリーに入らないなら、有害とも言えない。

 そもそも主は予定に関係なく襲撃すれば良い。

 もっと、見聞を広げて楽しむべきだろう。

「言いたいことは分かるよ」

「俺も未熟だ。でも、ミクはちょっと先を見すぎて現状を後回しにしてる。焦る理由はそこまで無いでしょ」

 カエデの予定は残念だが、どうしようもない。

 結局、ミクはもっと楽しもうという気持ちが薄れている。

「否定できないなぁ」

「アオキさんのタスク処理と似てるべ。淡々とやってたら、意味ないよ」

 悪い影響を受けている。

 効率優先、それは予定の詰まった人の場合だ。

 ミクはそうでもない。

「ぐうの音も出ないや」

 スグリの意見に降参。

 ミクはもっと楽しんでいくべきなのだ。

 だから言っている。遠出でもして、知らない場所を先ずは見て、紹介動画でも撮りながら帰り道カエデのセルクルタウンに寄れば良い。

「遠出か。何処に行く?」

 当然二人で行くわけにも行くまい。

 目的地を決めるにも、理由が必要かスグリは問う。

 ポケモンの新発見。スグリは特にパルデアのポケモンが魅力的。

 ハッコウシティ近くまでタクシーで行って、二日程滞在したい。

 付き添いは必要ない。ただの散策だ。

「分かった。出かけるからナンジャモ氏に言ってくるね」

 ネモも言えば付き合うだろうが、スグリの手持ちの分析を任せるのも不安。

 スグリは育成校出身故、多数捕獲しても学園がサポート体制が出来ている。その辺は流石というか。

 そういう訳で、近辺の散策を兼ねてハッコウシティにタクシーで向かう。

 大きな都市部で、ナンジャモのお膝元。

 田舎者のスグリは、街に興味は示さず、近くの浜辺に向かった。

 強力なポケモンがそこそこ居る。

 彼は慣れた様子で、ウッウを使って戦い捕獲。

 浜辺を攻略して、真逆の山間部に向かう。

 そこでも、見事な手捌きで捕獲していく。

 丸一日かけて付き添ったミクも数匹捕獲する。

 悪くない。順調故に、そろそろ帰ろうと言うと、戻って行く。

 潤沢になった手持ち達。

 パルデアのポケモンはまだまだいる。

 アカデミーで学園から送って貰ったポケモンも追加しようと思うらしいスグリ。

 学園の方で、ミクも欲しいポケモンが居るなら知り合いに捕獲して送って貰うと言った。

 折角だ。もっとアカデミーで生徒と交流しよう。

 二日程、滞在してポケモンを捕獲。

 アカデミーに戻ると、アオキ達が日程調整で来週末にはカエデの仕事が落ち着くので、その頃に来てくれとのこと。

 それを聞いて、増えたポケモン達とコミュニケーションを取りながら、次に備えるか考える。

 更に担任が、シンオウの御三家を所持して二人に渡した。

 学会の発表で頂いたらしいが、学者でこっちも論文で忙しい。

 ミク達なら、これと一緒に大切にしてくれるだろう。

 そう言って、御三家をネモと含めて三人は貰った。

 新しいポケモン。早速特訓しようと自主トレをネモが率先して、恒例の言動に反論の気力も無いスグリ達を牽引して張りぼて相手に特訓する。

 効率の良い特訓で、三日もすればあっという間に最終進化。

 その他、ミクがまさかと思って学園のポケモンをスグリを通じて頼んだら、普通に来た。

 曰く向こうでは野性で飼育されているので捕獲は手間では無い。

 こうなるとナンジャモやアオキも口を挟む。

「ミク氏? いやね、前に比べてポケモン多くね? スグリ氏も元々大概だけど、ネモ氏といい手数が矢鱈多いんだけど?」

「自分も同感です。最早熟練のトレーナーのようですね」

 自重しないとこうなるのは分かっていた。

 原作の手持ちの再現のようになっているミク。

 速い段階で、後編のポケモンを多数捕獲。

 旅のメンツは固定じゃなったのか。

「……増えすぎたかな」

 スグリは学園の時から複数持ちが当たり前で、皆学園のサポート体制でこうなってる。

 ミクもネモがお嬢様のおかげで、世話を頼ってネモも半分自分と世話を兼用のような形で上限の解放で増えまくったポケモン。

 ゲームじゃボックス込みで多数捕獲など基本だが、リアルでやると一匹へのコミュニケーションが疎かになる。

 そう思ったが、不思議とミクは学園のポケモンにも好かれるらしい。

 面々はそれでも言うことは聞いてくれるし、戦力がバカにならない程増えた。

「良いんじゃないかな。学園だと皆やってることだし」

 スグリはそういう。優れたトレーナーが多い学園では、時と場合の適材適所で育成する。

 学園では専攻する学科によって兎に角要求数がべらぼうに多いため、寧ろアカデミーのような余裕が欲しかったそうだ。

 つまり、スグリが言いたいのは。

 駆け出しであろうが、バックアップがあるなら遠慮無く有効活用した方が良い。

 ジムリーダー達もそうだろう。

 そっちに比べたら苦労は全然違うとは思うけど。

 駆け出しなら精一杯の数匹が当たり前のアカデミーと、強豪校故にサポート体制があって多数捕獲が基本の学園。

 この差だという。

 ミクはネモのように面倒をかけてはいるが、支援者が居るなら問題ないと思うが?

 ネモだって歓迎している。 

 そもそもネモだって学園と同じで時と場合のポケモンを所持する。

「そうだけどねぇ……。ミク氏の人徳怖いわ。好待遇の理由がオモダカ氏の期待だから何も言えねえ」

「重荷のご褒美でしょう。これ位ならいいと自分も思いますが」

 大人達はほっぽり出すことが無いならいいと言う。

 ネモが居る限り、それもない。

 なにせ彼女の実家は研究所並みにポケモンが居るらしい。富豪の強味であった。

 増えまくったポケモンを一匹ずつミクは個性も把握している。

 要するに問題ないと。

 その分、要求される知識量。

 そこは原作知識がまだ補える。

 そしてぶつかる物理的問題、テラピース不足。

 テラスタルのタイプ変更に必要な欠片。

 ゲームでも不足したがこっちでも圧倒的に足りない。

 結晶洞窟行くかとミクはスグリを誘う。

 滅多に出ない進化系が結晶洞窟はホイホイ出る。

 そこでちょっと集めてきながら、捕まえるかと聞く。

「いや、二人だと厳しいベ?」

「適当にネモ誘えば良いよ。ネモなら単独で倒せるから」

 因みに結晶洞窟の難易度など最初から最大値だ。

 どう見ても選べない強さのポケモンが居るが、ネモなら大丈夫だろう。

 此奴なら大抵、中に入ってから最適なポケモンを出して戦う。

 声を掛けると二つ返事で了解する。

 オススメの黒い結晶洞窟とか言い出す。殺す気か。

 チャンピオンでないと許可が下りない奴だろうが。

 近場にタケノコよろしく生える普通の結晶洞窟に向かう。

 尚、ミクはライドにモトトカゲが居るがネモはモトトカゲおらず、スグリも居ない。

 どうやって移動するかと思えば。

「私のライドはこの子任せかなー」

 そう言って放り投げたボール。

 出て来たのはポケモンの主人公のあだ名を持つ、ガブリアス。

 何時ぞや偶然、旅行中に野性でテラスタルしている個体を見つけて勝負して捕獲したらしい。

 おい待て。その個体、原作知識だと水テラスの65とかいう終盤レベルのガブリアスだったはずだ。

 ガブリアスなら、基本的に何処でも移動できる。

 設定的にはガブリアス飛べるので、背鰭にしがみついて低空で飛ぶ。

 尚、ライドは通常手持ちに入らないがネモは普通に勝負の手持ちにカウントしているとか言いやがる。

 おかしいだろ、ルールは守れチャンピオン。

「ふっふっふー。甘いよミク。ライドはあくまで、乗っかってる状態の時にカウントしないだけで、公式戦とかには使えるんだよ。その代わりその最中はライド禁止になるね」

「マジで?」

 オルティガが言ってたのは完全にダメだと思うのに。

 ああでも、原作でも一応滅多に無いけどあの相棒は枠を切ると手持ちに入る仕様だったか。

 その代わりライド出来ないけど。そう言う意味か。

「俺も一応ライドは居るよ。よく大丈夫か言われるけど」

 スグリも一応持ってる。こっちは本当に危なっかしい。

「スグリ、これ運搬中アクセル全開だよね?」

「特性加速だからね」

「落下したら死ぬよ?」

「ホールドはガッチリしてっから割りと平気だべ」

 メガヤンマだった。初期からのスグリの手持ち。

 自分を運搬する荷物として移動していた。

 度胸あるなと思う。ミクは怖くて出来ない。

 そんなこんなで一堂移動する。

 安心安全のモトトカゲの上で、滑空するガブリアスと加減しながら飛ぶメガヤンマ。

 こんなライド、聞いたことがない。

 ちょっとセルクルタウンを越えて、其処から片っ端から結晶洞窟を潰していく三人。

 道中、欲しいポケモンが居たのでミク一匹、スグリが数匹捕獲。

 ネモはただ、ひたすら笑って戦う。

 強い相手を見るや、興奮して突っ込んでいく。

 集団戦と言えども、ネモの攻撃をミクやスグリがアシストするというか。

 ついていけない。常時テラスタルの相手にタイプを見て判断してこう言うときに直ぐさま出せるようにスタンバイして、的確に弱点をつく。

 一方的に伸していく。

 捕獲されない倒されるポケモンは消えていくが、20近くの結晶洞窟を三時間で潰した。

「うーん、スッキリしたぁ! 皆全力で戦えるから結晶洞窟は丁度良いんだよねー!」

「……」

「……」

 終盤には、ミクもスグリも言葉が出ない。

 結晶洞窟は最強の暇潰しの犠牲になっていた。

 毎日生えてくるから、ほぼ通い詰めで潰して回っているそうだ。

 この広いパルデアの結晶洞窟は無数にある。

 ガブリアスで一っ飛びで駆け抜けて、見つけたら即座に潰す。

 飢餓状態のネモは加減を知らない。牙を剥くのが結晶洞窟なだけ、まだいい……のか?

「アカデミーの四天王もこの位強かったらなぁ……」

 不意に言う一言。もう挑んだのか。

 ビクッと反応するミク。

 呆れながら聞いたらそこそこ強かったと言うネモ。

 味見程度に手加減して挑んだら制覇しちゃったそうだ。

「メガシンカもテラスタルもあるけど、やっぱり基礎が我流だと癖出るよね。その辺指摘したらトップが参考にするって」

 スグリが後半みたいな目でネモを見ている。

 目が死んでいた。

 いっそのことネモはホウエンのバトルフロンティアかカロスのバトルシャトーにでもぶち込んでおけば引き篭もって永遠に戦っていそうだ。

 何故パルデアにあの手の施設がないのか。

 無いから今作ってるんだが、もう踏破。

 ネモに満足を与える相手にミクはなれるのだろうか。

 何か、心配になるミクだった。

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