転生ミクのSV最初からの旅路   作:イエッサム

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宝探し

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、一時間程経過した頃。

 通報を受けたアカデミーの教師達がやって来た。

 巨大化したガケガニを確認して、生徒達が撃破したという。

 主にあのスター団が、人助け。

 その功績は確かなモノで、目撃者も多数いる。

 代表としてピーニャが教師に語った。

 スター団はこれから改革を始める。

 ミクという新しい風が堂々とスター団の更生に来て、前向きに取り入れ、揉め事はや問題行動を控えたいと思う。

 だからスター団の継続を願いたい。

 今、スター団を必要とする生徒がいる。

 解体されては困るのだ。不登校もちゃんと改善する。

 パルデア地方の各地にいる主なる巨大化したポケモンを討伐。

 スター団がそれを担おう。

 いわば、彼等なりの宝探しの目的。

 ミクは自分の宝探しの様子を配信して、アカデミーの宣伝にする。

 バックアップはスター団がやる。

 アカデミーのチャンネルでミクの動画をバズったぐらいに上げたのだから、ミクが自主的に配信をしても文句はあるまい?

 近隣住民の安全確保の為に良いことをしようというのに、アカデミーは手伝う気は無いのか?

 ミクの宝探しの目的。世間的には、ライブ配信。

 そっくりさんミクの宝探しチャンネル。

 主にバッジ集めや巨大化したポケモンの討伐。

 その他アカデミーの宣伝など。

 ミクが待っている間に聞いた内容を伝えると、アカデミーの教師が慌てて理事長、オモダカを呼びだした。

 多忙なオモダカだったが、主とかいうとんでもない爆弾のことは知っているだろう。

 生徒が迂闊に好奇心で近寄って、返り討ちに遭う前に正式にアカデミー側からハントする。

 注意喚起も兼ねて、何よりアカデミーの歌姫ミクが、自分から人助けを申し出ている。

 用事をキャンセルして素っ飛んできたオモダカが現場に駆けつけ、事情を聞いて、パルデア地方の各地にいる危険なポケモンの存在を認識していた事を認めた。

 危険ではあるが、リーグのトップとして解決したいが人員が人手不足で居ない。

 派遣する優れたトレーナーはネモくらい。

 だが彼女も彼女で生活がある。

 結局、オモダカのお眼鏡にかなう相手が居ないのだが。

 ミクならどうだ? 知名度は抜群。

 駆け出しのミクでも、サポーターがスター団という更生を誓った生徒の集団。

 彼女はアカデミーの生徒として、悪い振る舞いはしていない。寧ろ実力を人気でカバーする逆転の発想だ。

 そっくりさんがパルデア地方で活動する。

 ナンジャモという前例を踏まえて、オモダカは許可した。

 スター団がちゃんとした、兎に角不登校を止めて戻るなら。

 今は目を瞑るが、ゆくゆくはアジトも解体して戻ってくることを条件に出す。

 宝探し中はミクの護衛と駐在の為に存続を認める。

 そもそもスター団の目的をキチンと説明しろ。

 理事長という立場で聞くからと譲歩した上で問う。

 ピーニャが渋々語った。スター団の不登校の理由。

 去年、起こした騒動の結末が理不尽だった。

 だから信用せずに不登校を始めた。

 創立者が音信不通の行方不明で、アカデミーに戻ったかどうかもわからない。

 創立者がもしも、戻った場合は素直に解散する。

 そもそもスター団の創立者は誰も知らない。

 仮名で皆を統率していたオモダカのような存在。

 マジボスという名で皆を集めていた。

 去年の不祥事と言われて、オモダカは溜め息をついた。

 全面的にアカデミーが悪い事案。

 オモダカに隠蔽工作をしていた当時の生徒や教師、特に教頭のせいでリーグの運営で忙しく飛び回る彼女も気付けず。

 気付いたときには、腐敗しきったアカデミーの一掃は終えていた。共倒れで。

「なるほど、去年のあの一件でしたか。申し訳ない事をしました。それについては、全面的に管理者の私の失態。謝罪のしようもありません。然し、おかしいですね? 彼女はもう、療養を終えて復学していますが?」

 理事長はマジボスの正体を知っていた。

 その上で言うが、もう戻っている。

 普通に校則違反ではあるが復学している。

 なのに、何故スター団に接触しない?

 仰天のピーニャ。戻ってきている。

 なのにスター団を放置しているのか?

 個人情報なので誰かとはオモダカも言わないが、事実だけ言うならとっくに復学している。

 停学処分を終えて。

 今来ない理由はわからない、とも告げて。

 待っているのは勝手だが、現在の素行に愛想を尽かす可能性がないとも言えない。

 そう、ピーニャは思った。

 少なくとも本人も現状を見てさぞ驚いているだろう。

 嘗ては加害者に反撃するためのレジスタンスが、今じゃ素行もマナーも悪い不良グループだ。

 尚更、改革する必要がある。

 前提的に、マジボスが戻れる状況では無い。

 悪化した後始末をしないといけない。

 故に、彼等にチャンスを欲しい。

 一年以上、迷惑をかけた。

 停学処分を食らったマジボスも。

 それを聞いて、彼女は戻る気が失せたかもしれない。

「最後までやらせて下さい。それでもマジボスが、戻らない。だとしたら……僕らも意地は張りません。素直に解散します。どうか、お願いできませんか。理事長」

 マジボスにその気も無いのに待っていても仕方ない。

 出来るだけの改善をする。それでも尚、ダメなら。

 諦めようと思う。少なくとも、今の所アカデミーに失望しても思っていたほど淀んではいない。

 ミクが言うにはクリーンで清々しい空気だという。

 だったら、うじうじと腐ってないで前向きになろう。

 スパッと諦める。見限られたのだから。

 スター団の管理の不届きで。

 この会話には、ピーニャのスマホを通じて各自ボスが連なっていた。

 全員が意地を捨てて謝罪し、頼み込む。

 あの問題児達が、一年以上不登校だった彼等が。

 ミクを通じて、前に進もうとしている。

 そもそもスター団の経緯はアカデミーの不手際。

 オモダカも、アカデミーに落ち度もあるので良いだろうと言った。

 えっちらおっちらバトルの後始末をする教員や助っ人の生徒達を尻目に、オモダカは告げる。

 スター団の結成創立者が逃げたかどうかはまだわからない。

 オモダカから本人に聞いてみるが、もしもノーと言った場合は解散するように。

 或いは、姉妹校のようにするかもしれない。

「はい? どういう事ですか?」

「いえ。ピーニャさんも知っているでしょう? 昨今、ポケモンリーグに新たなチャンピオンが誕生しないのは」

 オモダカは言う。というか、嘆いていた。

 由緒あるアカデミーの野外授業、宝探し。

 ここでよくジムリーダーを倒してチャンピオンになろうとする生徒が多い。

 お決まりの目標だという。

 だが問題は、基礎的な事をアカデミーで学んでもジムリーダーに生徒が勝てないで挫折する。

 四人ぐらいでギブアップしてしまう。

 残り後半に行く前に、メンタルが限界を感じて諦めてしまって、四天王すら超えられない。

 だから折角のスター団の施設、勝手に作った罰として没収、アカデミーの敷地にしてしまおうかと思う。

 トレーニングセンターのように。スター団はそこのスタッフとして奉仕活動で出席とかの帳消しにするのはどうか。

「チャンピオンがネモさん以来、出て来ません。そこで皆さんの施設を再利用するというわけです。ミクさんも宜しければ、ジムリーダーの踏破は如何ですか?」

 ピーニャ達も、ちゃんと利益になるように動くオモダカに参ったと降参した。

 これが大人の、ビジネスのやり方。妥協な着地点。

 双方の利害と主張を汲み取った措置。

 ミクはまだまだ未熟。

 パルデア地方の各地に巡る配信者になるなら、先輩としてナンジャモを紹介すると言われた。

 オモダカ曰く、絶対に言うことを聞く。

 試しに呼ばれた。ナンジャモに直通。

『もしもし!? これオモダカ氏!? 嘘、何で!? ボクやらかしました!? 何もしてませんよね!?』

 出て来たのはオモダカにビビりまくるナンジャモ。

 リーグ関係者が迂闊に妙なことを口走ったらどうなるか、よく分かる構図であった。

 配信者として、ジムリーダーとして、立場を弁えないで調子に乗ると、オモダカの逆鱗に触れる。

 オモダカがゆっくり、優しく画面に向かってニコッと微笑むと、

『ひぇ……』

 ナンジャモから心底怯える声が聞こえた。

 オモダカは言う。バズる相手見つけたぞ喜べ。

『えっ? オモダカ氏直接の紹介ですか? どちら様……』

「私です、初めましてナンジャモ氏!」

 こいこいとオモダカに呼ばれて画面に飛び込むミク。

 敢えてリスナーなので親しげに呼ぶ。

『ぶふーっ!? ちょ、アカデミク!? マジモノ!? オモダカ氏、まさかのアカデミーの歌姫ですか!? いや、確かにバズるけど! 公式も認めたそっくりさんだけども!! ボクも挑発したけどぉ!! この仕打ちは酷すぎませんか!?』

 ナンジャモにミクを見せて、パルデアの歌姫をお前に任せるから面倒見ろとか言い出した。

 そもそも、だ。

「ナンジャモさん。誰の許可を得て、ミクさんに煽りをしていいと言いました?」

 スッゴい冷えた声で煽っていたことを問い糾すオモダカ。

 ガタガタ画面の向こうで竦み上がるナンジャモ。

 こっちはアカデミーが出した紹介動画で歌っただけ。

 お前の動画のネタにしていい許可を出した覚えは無いが?

 勝手にかかってこいとか言った理由を聞こうか?

『いえ、その……。ボク的には……コラボしたいとは思ってましたけど……。ただノリで誘ったというか……』

「聞こえませんね。何時ものハイテンションはどうしました?」

 怖い。普通に怖い。

 現場もいたピーニャもペパーも思った。

 背筋が凍るような寒気がする。

 それだけ威圧感が凄まじい。

 理事長という立場と生徒。

 ジムリーダー、つまりリーグ関係者とトップ。

 構図は同じだったらしい。

『すいませんでしたァ!!』

 結局謝るナンジャモ。

 お前の目玉にエレキネットしてやろうか? と決まり文句で脅すオモダカ。

『ひぇ!? あの、オモダカ氏……。これ、ボクにミク氏の面倒を見ろって言う流れですか……?』

「諸事情あって、配信者としてミクさんはパルデア地方の各地を巡る旅路に出ます。ナンジャモさん。今回の煽りがリーグ関係者がしていい言動だと思うのならお断りしても構いませんよ?」

『いや事実上の死刑宣告ですよね!? 断るなって圧ですよね!? ボクの配信にリーグが潰しにかかるの、大勢の皆の者が血涙を流しますよ!?』

「なら、ミクさんとのコラボを断りませんね?」

 笑顔の怖いオモダカに、負けたような声で了承するナンジャモ。

『……はい、やります。ボクから挑発したので精一杯イロハを教えます。そもそも企画とかはどうするんです?』

 企画ならある。

 パルデア地方の噂の巨大ポケモン、討伐してみた。

 尚ミクにはスター団の後方支援のバックアップがあるとする。

『うわ、意外と面白そうな企画……。オモダカ氏、良いんですか? ミク氏、目的がこんがらがること無いです?』

 ……確かにごっちゃになった。

 ミクの目的はスター団の更生。

 それがオモダカによって、鍛える過程に加えてジムリーダーの踏破とペパーの巨大ポケモンの駆除も増えた。

 結局原作のルート三つを通ることになる。

 その代わり、ホームウェイ組が減ってスター団とナンジャモが代理で来たが。

『巨大ポケモン……噂には聞いてます。他地方の主とかいうポケモンですよね? パルデア地方にもいるとは聞いてましたが、それの討伐をボクとミク氏、そのバックアップのリスナー勢で行うと?』

「ええ。これも立派なリーグの仕事です。ジムリーダーで一番出番の欲しがるナンジャモさんにお鉢が回ったのは当然では?」

 何せ残ったジムリーダーはパティシエ、芸術家、料亭、サラリーマン、タレント、元スノーボーダー。

 大体が兼業で忙しい。グルーシャはああ見えて今、リハビリ中だ。無理は言えないと言うオモダカ。

『ボクも編集で忙しいんですけど……』

「世間的には貴方、自営業でしょう?」

『うぐぅ……』

 動画の編集などそもそも動画が無いと意味ないだろうに。

 そのネタを提供してやろうというのだ。

 文句はあるのか、聞いているが兎に角怖い。

「私、そっくりさんで歌うだけしか出来ませんけどよろしくお願いします!」

『ストレートでピュアか! ボクみたいな奴と違って数字気にしないタイプ!! ちくせう、眩しい! 眩しいぜ! 興行気にしない個人系は趣味で出来るから長続きするのがこの業界! ボクみたいな世俗のインフルエンサーに指導出来るかなぁ……。プロデュースってボクも未経験だけど……最悪皆の者に聞くかぁ』

 ブツブツと言いながら、了解して通話を切る。

 ナンジャモクラスの有名人に押しつけるオモダカ。

 これで決まりだ。

 ミクの行方は、手始めにスター団の更生。

 次いでナンジャモの弟子入り。

 配信者しながら主の討伐。

 ジムリーダーの制覇。

 ゆくゆくはリーグのチャレンジャー。

(あれぇ? 私、主人公っぽくなってきたぞー?)

 どの道パルデア地方の冒険にこのルートを辿るのは同じなのか。

 幸い、先人のピーニャやナンジャモがいるけど。

 唯一の取り柄、初音ミクでも策士オモダカによって運命的に進んでいく。

 これ、オモダカの思惑通りで逃げられないよね? と思うミク。

 挫折しても、折れても、囲まれてる。

 念の為に聞く。ダメだったらどうしよう。

 凡人の自分に出来なかったら。

 その時は普通にしてて良いらしい。

 要は歌って旅して楽しんでヨシ! と。

 スター団という味方、ナンジャモという先輩がいるが。

 逆を言えば後戻り出来ないという事。

 出来るだけ頑張って、とオモダカは優しく送り出す。

 出来ると期待している。

 凡人のミクはまだまだひよっこだ。

 でも、有望と言われたら……頑張ろうと思うのは、単純だから?

 それでも。オモダカが言ってくれるなら。

「やってみます! 私に出来ること、精一杯!」

 行こうと思う。弱いけど、素人だけど。

 でも、最初から無理だと言いたくない。

 それが、ミクの最終的な答えだった。

 お膳立てはしてもらった。だったら行くだけだ。

 最低でもスター団の更生はする。

 それにスター団の誤解も上から解けたのなら、後は自浄作用に任せると言ったオモダカ。

 託された、沢山。重たいとも思う。

 でも、楽しみだとも思う。

 これがミクの物語。歌姫のお話。

 宝探しは、もう始まった。

「ではミクさん。いってらっしゃい」

 トップに見送られて、彼女は旅立つ。

 凡人の平凡が、波瀾万丈の荒波を超えて。

 宝探しを、始めてみたのだった。

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