願いの物語シリーズ【ヒナちゃんねる3】   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第5話『私と、アイドル、やって下さい!!』

前夜に引き続き、行われる麻雀配信だが……今夜は前夜とは違い、どこか重々しい空気が漂っていた。

 

まるで本当のプロ麻雀配信の様に張り詰めた空気が場を支配している。

 

実況と解説は前夜麻雀を打っていたメンバーだが、むしろそちらの動画の方が穏やかに感じられるほどだ。

 

『はい。始まりました。ヒナちゃんねる。エレメンタルさんとのコラボ配信ですが、今夜は前夜に引き続き麻雀配信となります。本日こちらで進行をさせていただくのは陽菜に変わり、私。立花光佑でお送りいたします』

 

【お、おぉ……よろしくお願いします】

 

【なんか雰囲気違うな】

 

【メンバーがメンバーだし】

 

【昨日のは所詮お遊びメンバーだからね】

 

『では今日のメンバーを紹介しましょう。まずはこちらの会場を用意して下さった麻雀協会よりご紹介いただきました次代を担う麻雀アイドル。霜月一華さんです』

 

『よ、よよよよ、よろしく! おねがいしみゃす!!』

 

【おー。一華ちゃん来たのか。これは面白くなってきたな】

 

【強いん?】

 

【かなり強いぞ。しかも歌って踊れる可愛いアイドルや】

 

【おじさんには無い強さが来たな】

 

『一華さん。本日の意気込みをお願いします』

 

『きょ、きょ、今日は、お爺ちゃんに! 麻雀の面白さを教えてこいって言われました』

 

【ちな祖父は麻雀協会会長。子供の時から麻雀ばっかりやってたらしいぞ】

 

【ガチの奴きたー】

 

【まぁ言うて接待麻雀してくれるやろ。こっちはプロじゃ無いし】

 

『な、なので、全員飛ばします』

 

【ひぇ】

 

【急にガチな顔になるな】

 

【さっきまでのオドオドしてた子はどこに?】

 

【オドオド枠終了】

 

『じゃあ、次は陽菜からの推薦でここに立っているこの子。元スターレインのアイドルにして、陽菜の親友。古宮ひかりちゃんです』

 

『ど、どどどどうも!』

 

【オドオド枠復活】

 

【ひかりちゃん……昔は小悪魔系だったのに】

 

【無理してたんだろ。良いじゃん最近のひかりちゃん。可愛くて好きだぞ】

 

【まぁスイッチ入ればアイドルらしくなるしな】

 

【むしろ昔からこの自然体で売っててほしかった】

 

『今日の意気込みはどう?』

 

『はい。大丈夫です! 麻雀のルールは全部覚えておきました!』

 

『お。頑張ったね』

 

『えへへー。えっへん!』

 

【かわE】

 

【しかしこの笑顔が歪む事になるかと思うと……たまりませんな】

 

【ボロボロになって半泣きになるひかりちゃんを見に来ました】

 

【最悪の視聴者しかいねぇ】

 

『さて、次の方はこの方。この企画の立案者にして、芸能界で最も有名な雀士。土屋海斗君です!』

 

『待ってました。この時を! まさかあの伝説の立花さんや霜月さんと戦える日が来るとは! 今日が楽しみ過ぎて昨日は夜遅くまでネット麻雀で極限まで鍛えてきましたよ』

 

【マジクソのガチ勢】

 

【アイドル辞めたらプロ雀士になると豪語する男】

 

【男アイドルの中で最も男に有名な奴】

 

【てか立花の伝説ってなんだ? 麻雀でホームランしたんか?】

 

【どうせ立花だから、どっかで意味不明な事やってたんじゃないの?】

 

【四階から落ちる麻雀卓を抱えて地面に無傷で下ろしたのかもしれない】

 

【笑った】

 

【いや、それは確かに伝説になるだろうけどもさ】

 

『そして、最後のメンバーは私、立花光佑が参加させていただきます。では始めてゆきましょう』

 

【さて】

 

【順当にいけば勝つのは一華ちゃんだが……分からんのは土屋と立花か】

 

【土屋の言葉を信じるのなら、立花は結構強いんじゃないの? それにいざとなれば例の燕返しがあるだろ】

 

【いや、流石にこの場でイカサマをする様な男じゃ無いだろ。立花は】

 

【まぁ燕返しを抜きにしても、立花は結構強いんじゃない? メンタル強いし。陽菜ちゃんや視聴者に教えている時も明らかに経験者だったしな】

 

【経験者だからイコール強いって訳じゃないだろ。符の計算出来なきゃ素人と変わらないぞ】

 

【麻雀歴二十年で符の計算出来ないワイ。咽び泣く】

 

【満貫以上であがれば関係ないから】

 

【いや、そうやって縛りを設けなきゃいけないから弱いって言ってんだぞ】

 

【お】

 

【はやい】

 

【さすが土屋】

 

『自摸平和は700、1300』

 

【綺麗に作ったなぁ】

 

【土屋って形に拘るよな。愚形では絶対に攻めないっていう熱い意思を感じる】

 

【まぁ二盃口を愛する男だから】

 

『え、えっと? 私何点渡せば良いですか?』

 

『ひかりちゃんは子だから700点。この赤い奴渡して、海斗君から300点貰おう』

 

『はい! 分かりました! どうぞ! 土屋さん!』

 

【うーん。この場違い感】

 

【もっと他の子居なかったの?】

 

【殺伐とした環境に潤いをって事だろ】

 

『自摸。ダブ東白。7700』

 

『ひかりちゃんは、2000点ね』

 

『あっ、ご、ごめんなさい。点数言わなくて!』

 

『いえー。大丈夫ですよ』

 

【立花のフォローが光る】

 

【ひかりちゃんだけに?】

 

【審議中】

 

【死刑】

 

【そんなー!】

 

【一華ちゃん周りが経験者ばっかりでマジモードだから、ひかりちゃんへの対応で戸惑ってて面白い可愛い】

 

『……』

 

『えっと、霜月さん? 何か』

 

『あっ、ご、ごめんなさい! 勝手に見てしまって!! ごめんなさい! ごめんなさい!』

 

『いえいえ。私なんかで良ければいくらでも見てください』

 

【ジー】

 

【ジロジロ】

 

【ひかりちゃん「全員訴えますね。死刑です」】

 

【なんて、ことだ!!】

 

『実は私! ひかりさんのファンなんです』

 

『え? そうなんですか? ありがとうございます!』

 

『デビューした時から、好きで。リトルカラーズの時から、ずっと憧れで、リトルカラーズは、残念でしたけど、スターレインも、好きで、ひかりさんの写真も持ってます! ライブにも行きました』

 

【リトルカラーズ?】

 

【知らんのか!?】

 

【調べたけど、ホンマ小さいグループだったんだな。ひかりちゃんが抜けて解散してるやん】

 

【いやぁ良いグループだったよ。最高だった。スターレインを悪く言う訳じゃないが、あの頃のひかりちゃんは今にかなり近い自然な笑顔だったからな】

 

【多分演技はしてたんだろうけどな。まだまだ甘くて、他のメンバーと話してると結構素が多かったよな】

 

『わ。私、今回の麻雀で勝ったら! ひかりさんにお願いしたい事があります!』

 

『おねがい、ですか?』

 

『私と、アイドル、やって下さい!!』

 

『……』

 

【おぉ】

 

【これは、大分アリなのでは?】

 

【しかし、あまりいい方法じゃ無いよな。だって勝てる訳無いし。印象は良くないぞ】

 

【これには流石のひかりちゃんもマジ顔】

 

【普段の抜けた顔が消えてるやん】

 

『本気で言ってる?』

 

『はい。本気です! 陽菜さんにも許可を貰いました! でも、ひかりさんが嫌なら私は』

 

『嫌って訳じゃないよ。一華ちゃんは良い子だって少し話しただけで分かるし。アイドルが好きなのも分かる』

 

『……なら!』

 

『でもね。駄目だよ。これは。駄目。一方的に寄りかかる様な関係は、壊れちゃうから』

 

『ひかり、さん?』

 

『だから、ごめんね? 光佑さんも土屋君も。ごめんなさい。私……少しだけ悪い子になるね』

 

【なんや?】

 

【悪い子って、なんだ? イカサマって事?】

 

【まぁ、一応禁止はされてないぞ。発覚したら罰符五百万点払わないといけないけど】

 

【それは禁止と同じ意味では?】

 

『じゃあ、やろうか。うん。良いよ。私に勝ったら一緒にアイドルだよね。うん。分かった』

 

『……お、お願いします!』

 

【言うて、プロに勝てるんか?】

 

【イカサマをバレずに出来るなら、まぁ勝てるんじゃん?】

 

【一回で役満決めてどーん。って感じ?】

 

【あ?】

 

【いやいや】

 

【悲報:ひかりちゃん暴走】

 

【既に揃ってる白三枚から一枚切ってどうすんだよ】

 

【実は勝つ気が無いのでは?】

 

【誰か麻雀を教えてあげて! 麻雀は数字を三つ並べるか、同じ牌を三つ揃えるゲームだぞ!】

 

【もしかして国士無双】

 

【なら一索切ったのはなんでだよ】

 

【まったくわからん】

 

【ふぁ!?】

 

【切った白で鳴いてる!? なんで!?】

 

【意味不明でござる】

 

『はい。揃ったよ。えっと、三つずつ揃ってるから、このトイトイって奴で良いのかな』

 

『場風白チャンタドラ3、かな。跳満で親だから6000オールだね』

 

『こ、こんなの、おかしい……だって、なんで白切って、白で鳴いて!? なんで? 後から揃った? でもなら、なんで最初に残さなかったの!?』

 

【一華ちゃん完全に混乱しとる】

 

【いや、画面見てる俺らも意味不明だったから】

 

『さ、次にいきましょう』

 

『終わったかな』

 

『ま、まだ! まだ終わってません!!』

 

『そうだね。古宮さんも化け物だったなんて思わなかったけど、面白くなってきたよ!』

 

【想像以上に荒れてきたな】

 

【面白くなってきました!!】

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