願いの物語シリーズ【ヒナちゃんねる3】 作:とーふ@毎日なんか書いてる
先日のヒナちゃんねるにて、話題性のある暴露事件があった。
発売後じわじわと人気を集め、アニメ化によって炎上し、作品が有名になり、ゲームによって人気が爆発した作品の原作者と引退した元人気アイドルが姉妹関係である事が判明したのだ。
今までは広報のみ発信していたアカウントがアイドルである姉に甘えている様子が瞬く間に拡散され、世間からの注目の的となった。
そしてそんな注目の中、ヒナちゃんねるに、開発の中心人物である二人がゲストとして招待されたのである。
『おっすおっすー。ヒナちゃんねるはじまるよー!』
『いぇーい!』
『お。元気が良いねぇ。じゃあ早速ゲストの方から紹介させてもらおうかな! なんと! 今日のゲストはあの人気ゲーム! 異界冒険譚のゲームを開発した柏木愛理さんと古宮あかりさんでっす! まずは柏木愛理さんどうぞー!』
『どもどもー! 柏木愛理だよー。よろしくぅー!』
【頭大分ユルそうなの出てきたな】
【何を作った人なんだ】
『あぁ、アタシ? あかりが触ってないとこ、全部。だからーえっとー。絵と、音楽と、プログラムと、後なんだっけ?』
【いや全部やないかーい!】
【え? あの精霊システム作ったの!? キャラデザとかも!? マジで人間か!?】
【世の中にはこういう化け物が居る。勉強になるな】
『あ。でも2はプログラム以外は外注してるから、アタシの仕事は少なくなったよ!』
【いや、2って3DアクションRPGなんですけど。プログラムは他に何人居るんだよ】
『だからアタシ一人だって』
【マジか……マジか……】
【天才って言っても限度があるだろ】
【マジモンの化け物。ジャンルは違うけど立花とか陽菜ちゃんと同類】
『天才って言うんなら、あかりの方が凄いと思うけどね。アタシは』
【原作者か】
【言うてそんなにか? 内容は別に平凡だろ。俺でも書けそう】
【そういうセリフは書いてから言え定期】
【とは言っても、他全部やってる化け物と比べるとどうかって問題】
『いやいや。甘いなぁ。浅いよ諸君。ね? あかり』
『そう? 言ってる事正しいんじゃない? 私なんて別に大した事してないけど。愛理の方が大変でしょ』
『えー。そんな事ないよぉー。もっと自分の仕事に誇りをもってー!』
『誇りとか。笑える。ただカタカタキーボード叩いてるだけだよ』
『もう! あかりがそんな事言うなら、アタシが自慢しちゃうもんねー!』
『どうぞどうぞ。大した事ないから』
『ばばん! デケデケデケデーン! あかりの凄いポイントー! まず一つ目! アタシの書いたプログラム全部見て、シナリオ上に問題がある場所を全部チェックしてくれる!』
【は?】
『まぁ、それが出来るのもー。あかりってばゲームの全シナリオ頭に入れてて、それの通りになってるか見てるからっていうんだけど、とにかくこれが早いんだよー。すごいでしょー』
【待って待って待って!】
【おかしいおかしい! 既におかしい!】
【頭が追い付かないんだが、確かゲームのシナリオって、発売して四年くらい経った今でも新しいセリフとかシーンが出てくるんだよな? しかもそのセリフが場面とキャラクターと感情に完全に一致してるからゲーム開発は原作への愛が強いとか何とか】
【愛が強いも何も本人でしたって話だな。笑える】
【なんも笑えんが。それが全部頭に入ってる? もしかして人間のフリしたAIか何かですか?】
『まぁまぁ。驚きポイントはこれだけじゃないから。落ち着いてって。まー。冷静に考えてみれば。これは結構普通かもなぁって感じだし』
【普通……?】
【明日改めて落ち着いてから思い出しても頭おかしくなる自信があるわ】
『実はさ。アニメのシナリオもー。ゲーム開発と同時期に進めてて、さらに、原作のシナリオも同じ頃に書いてたんだよねー。えっと、書き始めたのって、いつだっけ』
『お姉ちゃんの最後のライブが終わってからだから、六年前くらい?』
『で、ゲーム出たのが四年前だからー。二年間くらいかー。あれ。思ったよりも時間あったねー。アハハ』
『そ。大した事ないよ。愛理の方が凄いし。そんな愛理より、凄いのはお姉ちゃん。これは世界の真理だから』
『アハハ。あかりはお姉ちゃん本当に大好きだなぁ』
【なんか本人らは納得してらっしゃいますけど?】
【人間に可能ですか?】
【単純に文章量で考えると、まぁざっと文庫で百冊分くらいか?】
【一応、出来るんじゃね? 俺だって一日が300時間くらいあれば出来るわ。その上で、何も他にしない訳だが】
【てか気になったんだけど、二年で書いたって言うのなら、企画書とかプロットはいつ頃に完成したんだよ】
『プロット?』
『企画書ぉー?』
【何も分かってない顔してて笑った】
【つまりこの子らは頭の中だけで出来た物を共有して、形にしたのか……そうか】
【なんか自分の仕事に自信なくなってきちゃったな。オジサン】
【悲しくなってきた】
『あ。まずいよー! コメントの人たちの元気が無くなっちゃった! ごめーん。陽菜さん』
『あー。まぁ良いんじゃない? 普段は煩いくらいだし。むしろ静かで良いね』
『あ。ホント? 流石陽菜さん! じゃ気にしなくて良いか!』
『私は最初から気にしてないけどね。ムフー』
『おー。流石はあかり!』
『という訳で、褒めて。お姉ちゃん』
【ん?】
【いや、ひかりちゃんは居ないが……】
【見えないだけで居るんだろ。スタッフしてる訳だし】
『呼ばれてるよー。ひかりちゃん』
『ヨテイニナイデス!』
『良いから』
『イヤ、デモ』
『お姉ちゃんが来ないなら、お姉ちゃんの恥ずかしい秘密をこの場で暴露する。あれは私がまだ小さかった頃なんだけど、お姉ちゃんが誰も入ってないトイレの前で、必死にノックを繰り返しながら』
『わー分かった分かったから!』
【やっぱりひかりちゃん居たんだな】
【いや、俺としては恥ずかしい話の続きが気になるんだが】
【それは確かに】
『膝枕して、よしよしして』
『いや、これ全世界放送なんだけど……』
『あっ、そう。それで、トイレの前で震えてたお姉ちゃんなんだけど』
『わー! 分かった! ほら。はい! いいこいいこー』
『むへへへ。よきかなよきかな』
『アハハハ! やっぱあかりってばホントに面白いわー』
【こ れ は 酷 い】
【ひかりちゃんって家でもこんなんなんだな】
【ひかりお姉ちゃんが、お願いすれば何でもしてくれる?】
【なるほどな。ひらめいた】
【……ふぅ】
【今夜はこれで良いか】
【突然元気になるオジサン達】
【まぁその程度だから、その程度の仕事しか出来ないんでしょ?】
【急に刺してくるやん】
【別に痛かねぇ!! 俺は痛かねぇぞ!! うっ、ゴハッ!】
【瀕死で笑った】
【割といつものヒナちゃんねるに戻ってきたな】
『そうだねぇ。私は残念だよ』
【このチャンネル主はホンマ】
【視聴者が苦しんでいると喜ぶ配信者とはいったい……うごごご】
【その名も! 夢咲陽菜ちゃん!!】
【また炎上しそう】
【大丈夫。今回はゲストの人も燃えるから。ヒナちゃんねる的にはいつもより燃えないぞ】
【笑った】
【ろくでもない考えの奴が居るな】
【民度が低すぎる】
『じゃ、まぁ自己紹介も終わったし。色々と話聞いていこうかなー』
まだ配信は始まったばかり。
陽菜ちゃんは笑いながらゲストと話を始めるのだった。