終末世界で世界最強の剣豪を目指す者   作:ワニノコ

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第四話

 

あれから、ゾロと邪兎屋は無言で歩き続けるイアスの背を追って、ホロウ内を彷徨っていた。

 

「ガウゥゥ、ホロウに侵蝕されて化け物になった。ガジガジ」

 

アンビーはそう言いながら、ビリーの手を噛む。

 

「おいアンビー、手ぇ噛むのはやめろ・・・つーか歯は大丈夫なのかよ!?」

 

「ごめんなさい、ニコを笑わせようと思って。私はこういうことに向いてないと再確認した」

 

「でも確かに、随分長くホロウの中にいるよな、俺たち。エーテル適応体質だっていっても、化け物になるスピードは遅いだけで・・・」

 

ビリーはこのままホロウ内にいたら起こるであろう最悪のシナリオを頭に思い浮かべた。

それを聞いたニコはため息を吐く。

 

「はぁ・・・あたしらしくないことをしたわ・・・金銭至上主義の邪兎屋・・・自分のこと以外はどうでもいいのがあたしの信条だってのに・・・これも全部、あんたのせいよ」

 

ニコはゾロに指を差す。

だが、指を差されたゾロは鼻で笑った。

 

「はっ、知るかよ。おれはあくまで提案をしただけだ。決断をしたのはお前だろ」

 

「提案って・・・あんた、あれは明らかに脅迫でしょ!?」

 

ニコのツッコミに書いていたアンビーとビリーは首を縦に振る。

ゾロはあの場でアンビーとビリーを斬り殺そうとした。

提案を脅迫と捉えられても仕方のないことだろう。

 

『確かに、ゾロのやり方は強引だったかもしれないけど、それでもニコはゾロの提案を受け入れた。ニコは良い人だよ』

 

「ははっ、別に慰めてくれなくてもいいわよ。あたしが『良い人』だなんて・・・いやあぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

ニコは、今まで無言だったイアスが突然喋り出したことに驚き、悲鳴をあげた。

 

『ニコ、ちょっと反応が遅いんじゃないかい?』

 

「プロキシ!?本当にあんたたちなの!?」

 

『お待たせ!実はさっきからいたんだけどね。アンビーとビリーが騒いでたのに、ニコは感傷に浸ってて気付かなかったみたいだね。因みに、ゾロはアンビーとビリーよりも先に気付いていたよ』

 

「ってことは・・・全部聞かれて・・・うっ、うぅぅぅ〜〜〜!何で教えてくれなかったのよ、ゾロ!」

 

ニコは顔を赤くし、ゾロの胸ぐらを両手で掴み、ぐわんぐわんっと揺らしながら問い詰める。

 

「おれは言ったはずだ。『あいつらならどうせすぐに戻ってくるはずだ』って」

 

「ッ〜〜〜〜〜!」

 

それを聞いたニコは、声にならない叫び声を上げて、ゾロの胸ぐらをさらに勢いよく揺らす。

 

『長い付き合いなんだし、恥ずかしいとか、情けないとか思う必要はないよ』

 

「は、恥ずかしいだなんて思ってないわ!」

 

ニコは掴んでいたゾロの胸ぐらを離して反論する。

一方、ゾロはニコに掴まれていた胸ぐらを整え、イアスに近づく。

 

「それより、何があった?」

 

『あぁ、それは・・・』

 

アキラは、接続が途絶えた間の出来事を手短に説明した。

 

「・・・なるほど。連絡が途絶えたのは、店長の設備が謎のハッカーに乗っ取られたのが原因だったんだな」

 

「ニコが依頼料をケチったことを怒ってたわけじゃないんだ」

 

『そんなに血も涙もないプロキシじゃないよ。それに、そっちにはゾロがいるからね』

 

アキラの言葉に邪兎屋の全員が納得した。

ゾロはとんでもない方向音痴だということを邪兎屋の全員は知っている。

そして、質の悪いことに、これが無自覚ということである。

 

「お前ら、どうしてそんな顔をしてるんだ?」

 

「な、何でもないわ。それより、プロキシの話を聞く限り、一番怪しいのはパスワードが保存されてたメモリディスクよね。そのハッカーは、それを介してあんたを見つけたのかしら?」

 

『H.D.Dの脆弱性診断をやったけど、確かにその可能性が一番大きいね』

 

「それじゃ、赤牙組の連中も誰かに依頼されて、金貨を奪ったってことになるわね・・・はぁ、あの時は多額の報酬に目がくらんだけど、結局今回も碌な仕事じゃなかったわね。もう二度と情報屋の口車には乗らないんだから!帰ったら、さっさとこの火の粉を振り払って、仲介業者に二倍の追加料金を要求してやる!」

 

ニコは憤り、そう意気込んだ。

 

「・・・で、これからどうするんだ?おれは大丈夫だが、お前たちはもうちょっとで限界がくるだろ?」

 

「決まってるでしょ!急いでターゲットを追うわ!プロキシ、引き続きガイドをお願い!」

 

『あぁ、任せてくれ』

 

ゾロと邪兎屋はアキラのガイドに従い、目的の金庫の場所まで向かうのだった。

 

 

 


 

アキラのガイドに従い、ゾロと邪兎屋は裂け目を通ると、目の前に目的の金庫があった。

 

「見つけた!」

 

「今日はツイてるぜ!」

 

「あたしの金庫!」

 

邪兎屋は目的の金庫に嬉しそうに近づく。

背後を警戒せずに。

 

「おい、後ろだ!」

 

突然、さっきまで立っていた場所に『デュラハン』が現れる。

『デュラハン』は避けきれなかったアンビーに狙いを定め、剣を振り下ろすが、『和道一文字』を鞘から抜いたゾロに受け止められ、『デュラハン』は弾き返される。

 

「次は油断すんなよ?」

 

「ごめんなさい・・・」

 

アンビーはゾロに謝罪し、心の中で油断は絶対にしないと誓い、電磁ナタを抜く。

 

「全く、今日はツイてるぜ!」

 

ビリーは皮肉を込めて言い放ち、ホルスターから銃を抜く。

 

「ゾロ、あんたも手を貸して!」

 

「・・・」

 

『・・・ゾロ?』

 

「・・・まぁ、盾ぐらいはぶった斬ってやるか」

 

ゾロは最初、邪兎屋の仕事は手伝わず、イアスの護衛に徹するつもりだった。

だが、『デュラハン』が凶暴化しているのを見て、今の邪兎屋では少々分が悪いと思ったのだ。

 

「ただし、盾を斬るだけだからな」

 

ゾロはそう言い放ち、『和道一文字』を『デュラハン』に向けた。

 

「一刀流」

 

そして、ゾロは渾身の一振りを『デュラハン』に向けて放った。

 

 

『ー"三百六十煩悩鳳"ー』

 

 

その斬撃は地面を裂いた。

『デュラハン』は盾を構えるが、螺旋状の軌道の斬撃により盾を抉られ、おまけに盾を持っていた左腕も斬り落とされた。

左腕を斬り落とされ、『デュラハン』は悲鳴を上げる。

 

「じゃ、後は頑張れよ」

 

ゾロは『和道一文字』を鞘に戻した。

 

「サンキュー、ゾロの兄貴!」

 

「これで、楽に倒せる」

 

「後はあたしたちに任せなさい!」

 

邪兎屋の面々は前に出て、そう言い放つ。

一方『デュラハン』は、ゾロに斬り落とされた腕は再生できていないものの、大勢を立て直し、ニコに斬りかかる。

だが、アンビーが電磁ナタで受け止め、ビリーが弾丸を何発も撃ち込む。

 

『ガアァァァ!?』

 

ビリーに弾丸を浴びせられ、『デュラハン』は怯み、後ろへと後退しようとするが

 

「逃げようったって無駄よ!」

 

ニコが手に持っている銃火器を内蔵したアタッシュケースから、エーテル属性の弾が発射され、『デュラハン』をその場に留まらせる。

そして、アンビーは姿勢を低くして、『デュラハン』に向かって突っ込んだ。

 

「粛清する!」

 

『ガアァァァ・・・!』

 

電気属性を纏った電磁ナタで『デュラハン』を斬り上げる。

斬り上げられた『デュラハン』は地面に落ち、体が崩壊し始めた。

そして、完全に消滅した。

 

「ははっ、ははははは!やっと・・・やっと!みーつけた!」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

ニコは両手を上に上げて喜びながら金庫に駆け寄る。

アンビーとビリーはハイタッチだと勘違いし、片腕を上げたが、見事にスルーされた。

ニコは金庫を回収しようとした。

だが、それよりも先にゾロが金庫を回収し、目の前にイアスが飛び出てきた。

 

「ちょっとあんた!その金庫はあたしのなのよ!」

 

「あぁ、分かってる。それより、まずはこいつの話を聞け」

 

ゾロはニコにアキラの話を聞くように促した。

 

「プロキシ、話って何よ?」

 

『・・・実は、僕たちにはまだ厄介な問題が一つ残ってるんだ』

 

「厄介な問題?」

 

『脱出経路を計画するためのデータが削除されて、本来のルートが使えなくなったんだ』

 

「って事は・・・ここから出られないーー!?」

 

ニコはアキラから聞かされた厄介な問題にショックを受け、地面に座り込んでしまった。

 

「ははっ・・・あんなに苦労して、やっと元に戻ったと思ったら、まさかこれで終わりだなんて・・・」

 

「くっそ、まだモニカ様とデートしたこともねぇってのに、悔しくぜ。けど・・・なかなか悪くない人生だった」

 

「落ち着いて、他に手がないか考えてみる」

 

「・・・はぁ」

 

ゾロはアンビーの冷静さに感心したが、ニコとビリーの弱音を聞いて、思わずため息が出た。

ゾロは邪兎屋が『デュラハン』と戦っている時、アキラから厄介な問題を聞かされたが、あまり動揺はしなかった。

あまり動揺をしなかったのは、アキラが別の方法を説明したからだ。

そして、それを聞いたから、ゾロはニコよりも先に金庫を回収したのだ。

 

「おい、何弱気になってやがる。こいつは『出られない』とは一言も言ってねぇだろ。だろ?アキラ?」

 

『あぁ、そうとも。僕に一つ考えがあるんだ。だけど、それにはニコの同意が必要なんだけど・・・』

 

「同意する!」

 

『・・・まずは話を聞いて』

 

アキラはニコが説明を聞く前に即答したことに呆れ、まずは説明を聞くように言い、説明をし始めた。

 

『僕のシステムに侵入したハッカー曰く、金庫にはあの『ロゼッタデータ』に匹敵するものが入っていて、それがあればホロウを自由に出入りできるそうだ。もしその話が本当なら、それを使ってホロウから脱出できるはず。君が金庫を開けることに同意してくれれば・・・』

 

「同意する!さっきから言ってるじゃん!」

 

『依頼人からの任務なんだろ?少しくらい躊躇しないの?』

 

アキラはニコの躊躇いのなさに呆れながら聞いた。

 

「生きるか死ぬかの瀬戸際なのよ!第一あたしがここから出られなかったら、誰が金庫を渡すっていうの?開けちゃっていいわ!」

 

「こいつもそう言ってるんだし、開けても問題ねぇだろ。アキラ、番号を教えてくれ」

 

『・・・分かったよ』

 

アキラはゾロに金庫の番号を教えた。

ゾロはアキラに言われた通りに番号を打ち込んで開け、中から出てきたデータチップを渡した。

 

『でも、これは『賭け』だ。強制的にデータを読み取った結果、どうなるかは分からない・・・』

 

「待って、質問があるんだけど。あなたの本体はホロウの外でしょう?そのまま立ち去ることもできたのに、どうして危険を冒してまで私たちを助けに来たの?他に何か企みでも?」

 

「アンビー!」

 

『何を言っているんだい?僕は君たちの『プロキシ』だ。連れて行くって約束した以上、絶対に連れ出してみせる。もちろん、代替案は用意してある。もしこっちが失敗したら、H.D.Dシステムがインターノットに救援依頼を出してくれることになってるんだ。その時は・・・』

 

「安心して!ここを脱出できたら、何があっても店まで助けに行くから!それに、こっちにはゾロがいるのよ?こいつがいれば例え『虚狩り』が相手でも怖くないわ!」

 

「ははっ、それもそうだね。依頼料もそれくらいあっさり支払ってくれればいいのに・・・」

 

アキラは小言を言いつつ、データチップをイアスの頭に差し込んだ。

そして、まばゆい光がイアスから放たれるのだった。

 

 

 


 

あれからゾロと邪兎屋はホロウを脱出した。

そして、ゾロはリンと一緒にソファに横になっているアキラを心配そうに見ている。

数分が経ち、アキラが目覚めた。

 

「起きたか」

 

「お兄ちゃん!やっと目を覚ました!もう大丈夫。お兄ちゃんは今、家の中にいるんだよ」

 

リンがそういうと、アキラは辺りを見つめて口を開いた。

 

「あのデータチップは?ニコたちは?それと、僕は一体どうやって帰ってきたんだ?」

 

「まぁ落ち着けよ。お前は回復したばっかなんだから、もう少し横になってろ」

 

体を起こし、質問攻めをしてくるアキラをゾロは無理矢理体を横にさせた。

 

「そうだよ。ちゃんと状況を説明するから、まずはデータチップを読み取った後、お兄ちゃんの身に何が起きたのか教えてくれる?」

 

リンに聞かれ、アキラは辛く奇妙な共感覚の体験を話した。

 

「うん・・・なんだか夢みたいな話に聞こえるけど・・・とにかく、何があったのかは大体把握できたよ。それじゃ次は私たちが話す番だね」

 

リンはそういい、少し間を開けて話し始めた。

 

「お兄ちゃんがデータチップを読み取った後、私たちのボンプが暴走したの。それから何らかのオーバーロード状態に入ったらしくて、ライブハウス『404』のミラーボールみたいにピカピカ光り始めたんだ。脱出計画は失敗したと思ってたんだけど・・・」

 

「急にボンプが動き出して、おれたちを出口まで誘導した」

 

「それからお兄ちゃんは途中で気を失っちゃって、痙攣しながらずっとうわ言を言ってたんだよ」

 

「そんな事が・・・こっそり録画してくれてないよね?」

 

アキラのお門違いの質問に、ゾロとリンは呆れていた。

 

「それ、今気にすることか?」

 

「はぁあ、こんなに余裕があるんだったら、遠慮せず録画しとくべきだったなぁ!」

 

「その・・・ごめん」

 

「まぁいいや、続きだけど・・・それで私が慌ててたところに、ニコたちが知り合いの闇医者を連れて来てくれて、ゾロがお兄ちゃんを無理矢理H.D.Dから引っ張り出したの」

 

「この件はあいつらが調査してくれてる。良い知らせは、借金を返済する約束を守ってもらえたぐらいだな。まぁ、ほとんど医療費とボンプの修理代で消えたけどな」

 

「でも、本当の『悪い知らせ』はこれじゃないの。心の準備ができたら、パソコンを見てみて」

 

そう言い、リンはパソコンの前に行った。

アキラはリンの意味深な発言に困惑していた。

 

「ゾロ、一体何が起きているんだい?」

 

「そうだな・・・何て表現すればいいかは分らねぇが、何かがいるんだ」

 

「???」

 

「とにかく、見たら分かる。心の準備をして行ってこい」

 

アキラは訳も分からないまま、心の準備をし、リンの元に行った。

 

「びっくりしないでね。・・・『Fairy』いる?呼んで来たよ」

 

リンが『Fairy』と呼びかけると、電源が付いていたテレビがバグり始め、電気が消えた。

 

『システムを起動・・・lll型総順式集成汎用人工知能Fairyです。こんにちは、マスター』

 

「・・・」

 

アキラは目の前で起きたことに開いた口が塞がらなかった。

 

「びっくりしたよね?お兄ちゃんが気を失った後、H.D.Dが再起動したの。そして・・・彼女が現れた」

 

「この声、聴いたことがある・・・間違いない。僕が気を失っている間、脳内に語りかけてきた人物だ」

 

『肯定。私はlll型総順式集成汎用人工知能。Fairyとお呼びください。マスターがサインした利用規約に則り、あらゆる面でマスターをサポートし、貴方様がご自分の作業を完了できるよう協力いたします。『その時』が来るまで』

 

「おい待て、規約って何だ?」

 

「それに、その時って・・・?」

 

『利用規約に則り、私はその質問に答える権限を有しておりません。回答は適切な時期に、適切な場所でお知らせいたします』

 

Fairyはゾロとリンの質問への返答を濁した。

 

「手強そうな女の子だけど、固く閉ざされた心の扉ほど攻略し甲斐があるってもんだよね!」

 

「そういうことなら、アキラが適任だな。頼んだぞ」

 

ゾロはアキラの肩に手を置いた。

 

「二人とも、なんだか楽しんだないかい?」

 

アキラはリンとゾロに呆れていた。

 

『マスターのデータが第三者によって削除、及び伝送された直近の形跡を検知いたしました。これにより、マスターの違法ホロウ事務調査員、通称『プロキシ』としての個人事業が損害を受けております。私はこの損害を補填し、マスターの事業を再建することができます』

 

「待って、削除したデータを復元できるってこと?」

 

『否定、削除命令は撤回できません。しかしデータベースを再構築することができます。私は全都市80%以上の知能設備に対し、無制限のアクセス権限を有しています。私の協力があれば、累積式でホロウデータを獲得する必要がなくなり、毎回リアルタイムでホロウ脱出ルートを分析することが可能になります』

 

「そ、そんなの出来るわけないでしょ!?」

 

リンはFairyの言葉を否定する。

それぐらい、Fairyの言っていることは現実離れしているからだ。

 

『否定、これは私のコア機能です。証明のために、ホロウ調査活動を補佐いたします。すでにホロウ調査事務の個人情報統合センター、通称『インターノット』の匿名フォーラムより、マスターの現状に相応しい依頼を選別しました。どうぞ、スケジュールやご希望に合わせて、実行時間をお選びください。これからよろしくお願いします、マスター』

 

そうして、Fairyは仲間になった。

 

「お兄ちゃん、ゾロ・・・確認してみたけど、この自称Fairyっていう人工知能・・・確かにインターノットから依頼をいくつか選別してきたよ」

 

リンはスマホでFairyによって選別された依頼をアキラとゾロに見せた。

 

「難易度は私たちのサブアカのレベルを考慮してるし、報酬も良さそう」

 

「いっそ、手を組んでみるかい?」

 

「結論を出すのはまだ早ぇだろ」

 

「そうだよ。だってもし、彼女がこういう依頼を選ぶことに別の意図があったら?もっと詳しく検証してみないと。お兄ちゃんも、焦らなくていいんだからね。気を失ってからあんまり経ってないし、最近はもういろんなことが変わっちゃったんだから・・・」

 

「そうだね。謎のハッカーのせいで、今まで培ってきたものがパアになったんだ。僕たちに残されているあのサブアカがプロキシ業の新たなスタート地点になる・・・」

 

アキラは肩を落とした。

それもそのはず。

今回の依頼では、得はしたがそれ以上に損をした部分が大きいのだから。

 

「でも、私たちの本質までは変わってない。名前は変わったけど私たちは『パエトーン』なんだから。・・・H.D.Dシステムには、招かれざるお客さんが増えたけど」

 

「そうだね・・・」

 

「とにかく、今日は休もう。他のことは、また明日になってから話そ?」

 

「そうしようか」

 

「それじゃ、私ももう寝るからお休み。それとゾロ、見張りをしてくれるのは嬉しいけど、明日に支障が出ない程度にお願いね?」

 

「あぁ、分かった」

 

ゾロの返事を聞き、アキラとリンは二階に行った。

それからゾロは、朝の四時になるまで見張りをしてから眠りにつくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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