バトスピオリカ勢によるオリカ勢のための血塗られた(笑)歴史エッセイ 作:しくお
2018年12月。当時高校生だった作者は、何も作れないくせに、クリエイト欲だけは有り余っていた。
絵は描けない。曲も作れない。ゲームを組むスキルもない。手元にあるのは「文字を打って画像を加工するくらいならできる」という、ほぼゼロに近いもの。それを、どう血迷ったか、作者はバトルスピリッツの自作カード――通称オリカの制作に注ぎ込み始めた。
そうして完成した、記念すべきオリカ第1号。(画像を上げたらさすがに怒られそうなので、文字で勘弁)
[導界者]八雲 紫 BSTH01-XX01/レアリティ:XX
色:赤・紫・緑・白・黄・青/コスト:4/軽減:導・導・導
種類:ネクサス/系統:導界者・賢者/シンボル:導/収録:BSTH01 東方紅魔郷
Lv1:0コア Lv2:10コア
──効果──
このネクサスは導界者ネクサス/創界神ネクサス対象の効果しか受けない。このネクサスには導託と導界者ネクサス対象の効果でしかコアを置けず、そのコアは導界者ネクサス/創界神ネクサス対象の効果しか受けず、移動できない。
【導託:[幻想] [幻想&アルティメット/ブレイヴ] [賢者&ネクサス]】
◆対象の自分のスピリット/アルティメット/ブレイヴ/ネクサスを召喚/煌臨/配置したとき、ボイドからコア1個をこのネクサスに置ける。
◆このネクサスを配置したとき、同じカード名の自分の導界者ネクサスがなければ、自分のデッキの上から3枚をトラッシュに置ける。その中の対象カード1枚につきボイドからコア1個をこのネクサスに置く。
Lv1-Lv2 このネクサスのシンボルは赤/紫/緑/白/黄/青/究極としても扱う。
【導技:2】Lv1-Lv2『自分のメインステップ』〔ターンに2回、このネクサスのコア2個をボイドに置く〕自分のデッキを2枚オープンする。その中の系統:「幻想」を持つカード1枚を手札に加える。残ったカードは好きな順番でデッキの上か下だけに戻す。
【導域】Lv2『自分のアタックステップ』系統:「幻想」を持つ自分のスピリット/アルティメットすべてはブロックされない。
……一発目から、これである。
まず、紫様は紅魔郷じゃねえだろ!というツッコミは反論できない。
が、後にちゃんと別の紫が妖々夢に出てくるから勘弁。
普通、最初に作るのは単色のスピリット(生き物)とかだろう。なのに全色。なのに最高レアのXX。対戦相手が1人もいない環境で、堂々と足場を踏み固めようとしている。有り余ったクリエイト欲に、ブレーキという部品は最初から付いていなかった。
だが本当の問題は、性能ですらない。系統の欄をもう一度見てほしい。「導界者」。これは公式に存在しない。作者の発明品だ。
説明しよう。導界者ネクサスとは?
当時の公式の「創界神ネクサス」は、神キャラしか適用されなかった。だが紫様は神ではない。ならば自分で作ればいい――と、神とは言い切れないキャラのために作者が勝手にこしらえた独自カテゴリ。それが「導界者ネクサス」、読みは "グランシーカー"。文字で「導き」を、読みで「探索」を表したつもりらしい。ちゃんと病気である。
(※作者は今でも、この単語を仲間内に口頭で言われると、体がかゆくなる。)
恐ろしいのはここからで、作者はこの発明品をルール上きちんと成立させるために、公式と張り合う精度の裁定文まで自前で整備している。さっきのカードに詰まった、あの豆粒みたいな字の洪水がそれだ。読まなくていい。量を見てほしい。対戦相手はいない。提出する先もない。なのに裁定だけが、誰のためでもなく律儀に積み上がっていく。
そして念のため言っておくと、この「導界者」という発明、一度きりの悪ふざけでは終わらなかった。以後7年、だいたいの弾に導界者は顔を出し続け、環境を支える基幹システムへと育っていく。つまり記念すべき第1号は、勢いで作った一枚であると同時に、その後の全てを縛る設計図でもあった。重症の初期衝動が、なまじ土台になってしまったのである。
紫に続いて魔理沙を作り、「汎用パーツ」と称して大妖精を作る。(推しの霊夢はあえて温存)
誰一人使わないのに、カードプールだけが膨らんでいく。観測者のいない宇宙で、星だけが勝手に増えていくように。
しかも作る順番が完全に倒錯している。最高レアの全色神を真っ先に作ったくせに、"デッキ"らしいデッキの第1号が組み上がったのは、年が明けた2019年4月。霧雨魔理沙のデッキだった。神から作って、個別デッキの土台は後回し。家を建てる前に、屋根の風見鶏から作り始めるタイプである。
そして翌年2019年4月、この無人の荒野で、ついに「環境」が動いた。作者は、tier表を作ったのだ。
【2019年4月 環境tier表】
Tier1:魔理沙
――以上。
プレイヤー1人。デッキ1個。当然、tier1も1個。母数1の頂点に、魔理沙がただ静かに君臨している。バトスピ史上、もっとも平和で、もっとも無意味なtier表だ。
だが、言っておく。この一行だけの牧歌的な表は、7年後、他作品だの規制だので文字どおり血の海になる。タイトルが「血塗られた(笑)環境エッセイ」なのは、伊達ではないのだ。……まあ、それはまだ、ずっと先の話。
観測者ゼロ。星だけが増えていく宇宙に、2人目の住人が現れるまで――あと、半年。
次回:魔理沙デッキ