TS転生☆ドM悪役令嬢は、美事に破滅したい! 作:megajoy
古事記にもそう(以下略)
“……………………私はまるで、歯車そのもの───────────────”
『
転生真理亜でも、
と、いうより、設定資料集のキャラクター紹介ページの見出しでも
使われていたため、
というのもある。
─────真理亜から依存される前の叶穂は、自分の人生を諦観しており、
ただただ、機械的に生きている少女であった。
優れた〈
『
しかし、実際に目にした
魔力を操作できないことを理由に、言葉で精神的に虐待したり、無視したりする
兎萌も兎萌で、母親に
叶穂の姉である
………………………………………………このひとたちに、私の一生を
叶穂の心を、暗く冷たいものが
自分より慈悲深い姉の叶夜は、兎萌に大いに同情し、専属メイドとして、
まるで母親代わりをするかのごとく、兎萌を
だが、叶穂は、姉のように、兎萌を見ることができなかった。
いや、兎萌だけではない。
母である漱祗が
見ることができなかったのである。
兎萌お嬢様は、臆病な弱者で、そしてその母親である奥様は、冷血な暴君。
どちらも、“
このまま、盲目的に、
そう疑問を覚えても、叶穂は、母と姉に背を向けてまで外の世界に飛び出し、
やりたいことがない自分に気づくのだった。
この境遇と自分の心の
原作では、真理亜の専属メイドとなったあと、美摩の
真理亜から依存されることに暗い
と、主人公に心情を
その前までの時点で、叶穂は既に主人公に心奪われており、
転生真理亜がウットリしているところの、精神的
それでも叶穂が抱く、真理亜との〈約束〉への想いだけは嘘ではなかったため、
主人公への心情の吐露は、
あえて嫌われるように仕向けた
けれどそこで原作主人公から『あなたは〈歯車〉なんかじゃない』
心動かされる言葉を投げかけられ、熱い
情熱的KISSからの愛のまほろば(文学的表現)シーンに移行する。
そのあと、事後直後の現場を、
『あなたもわたくしを裏切るのね……?
“一生そばにいる”って言ったくせに……』
という例の台詞が、精神的にも物理的にも
放たれるのであった。
では、その肝心の、真理亜と叶穂が〈約束〉を交わすタイミングは、
いつか、というと。
真理亜が
肉体的にも精神的にも受け続け、初めて心が完全に折れた日の夜のことになる。
が、この世界では、転生真理亜が亡き母の手紙を美摩に渡したことと、
ノリで兎萌の体に眠っていた〈鳳凰の杖〉を復活させた一連の行いにより、
美摩が虐待毒親になる芽は完全に潰されてしまった。
つまり、叶穂と〈約束〉を交わす通常の流れは、転生真理亜自身の手で
ブッ
とんだ
それでいて『〈約束〉っていつするのかしらん?』などと悩んでいたのだから、
世話はない。
そして時は、転生真理亜が目覚めて、叶穂との〈約束〉のことで、ベッドの上で思い悩む、
その一時間前のことになる。
叶穂は、朝の支度を整え、メイド服に
呼び出された。
すぐさま叶穂が執務室に向かえば、既に正装を終えデスクに座る美摩と、
母である漱祗がその後ろに控え、真剣な
「叶穂。あなたには、真理亜専属の
「─────承知いたしました」
叶穂は、昨日の今日での、性急な人事発令にわずかに驚いたが、
そうなることも多少予想していたので、頭を下げて、
端的に、了解の意を示して見せる。
「あなたも、昨日の〈鳳凰の杖〉が復活
伝説の〈聖女〉である可能性が高いわ」
「………はい」
「それでなくても、あの子の魔力は、破格のもの。現時点でも、今の私より、
高い魔力を持っているわ。成長すれば、日本の、いえ、世界の頂点に立つ
〈
……この見通しがどういうことか、わかるわね?」
「────真理亜お嬢様が、
ということでしょうか」
「その通りよ。真理亜のおかげで、兎萌の“魔力操作不能症”は、
きっと解消されたでしょうけれど、真理亜の魔力保有量には、
まるで及ばない────元より真理亜は、
兎萌より、正当な当主
そこで美摩は立ち上がり、叶穂の目を見据えてから、言葉を続けた。
「叶穂。あの子、真理亜の
責任重大です。もちろん、漱祗や他のメイドたちもサポートはするけれど
……あなたの持てる力のすべてを
「はい。真理亜お嬢様の専属となるお役目、
叶穂はそう応えて、深々と頭を下げる。
……そもそも、歯車である自分に、
と、胸の内でつぶやきながら。
真理亜の専属メイドに任命されても、仕事内容は姉の叶夜とほぼ同じであろうし、
たいして変化もあるまい。
歯車のように、これからもただ淡々と、
自分の人生に対して、
専属メイドとして最初の仕事となる、真理亜の体調
なんの
感情のこもらない定型句を口にする。
「真理亜お嬢様、お目覚めでしょうか? 失礼致します」
起きていても、他人同然の家で目覚めた状態、まして
正確な返答はない。
そのように判断して、叶穂は、真理亜からの返答を待たず、ドアを開けた。
そして、目が合う。
かわいい、ではなく、美しい、という言葉がふさわしい、
その視線を受けて、叶穂は、全身に、かすかな電撃が走ったかのような感覚を
覚える。
続けて、幼女の視線に対して、わずかに
あたかも、ベッドの上で、自分を待っていたかのような視線に
感じられたのである。
───そんな不思議な思いを振り払いながら、
叶穂は、真理亜に頭を下げて見せた。
「……おはようございます。お目覚めになられていたのですね。
ご気分は、いかがでしょうか」
叶穂の問いかけに、真理亜はふわりとした微笑を返してくる。
「おはようございます。体調は大丈夫です。お
叶穂の表情が、かすかに曇った。
メイド長である母親の
鍛えられているため、真理亜が気分の優れない状態にあることは、
察せられたからである。
加えて、
それが無理をした演技とも感じられない。
実母を
初めて会った
それら心的負荷に、
だというのに、目の前の、美しい幼女は、何事もなかったかのような微笑《えみ》を
浮かべているのだ。
叶穂は、美摩が言った言葉を思い出す。
『あの子、真理亜は、伝説の〈聖女〉である可能性が高いわ』
〈聖女〉、本当にそうなのか。
この子は、自分でも、それを理解しているのか。
──────────この子は、〈聖女〉であろうとするあまり、
自分が
様々な疑問を
痛ましいものに思えてきた。
叶穂の胸に、
叶穂は、自分でもそれと気づかず、真理亜に対して、
強い
「改めて、自己紹介させていただきます。私は、
この
────本日より、真理亜お嬢様の、身の回りのお世話を
担当させていただくことになりました。どうぞ、よろしくお願い致します」
幼児にもわかりやすいようにと、ゆっくりと説明するように自己紹介し、
丁寧にお辞儀をする叶穂。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
にこりと、真理亜は、花咲くような
微笑んだ美幼女の応えに、叶穂はまた、年齢以上の物腰の落ち着きを覚え、
軽く感服した。
自分が同じ年齢の頃、このように落ち着いた受け答えができただろうか、と。
だが、感服してばかりではいられない。
「……まずは、お嬢様のお熱を測らせていただきますね。失礼しま─────」
体温計を取り出し、叶穂は、真理亜の胸元の寝衣に手を掛ける。
その手に、真理亜の小さな手が、そっと重ねられた。
「真理亜お嬢様?」
叶穂は手を止めて、真理亜の顔を覗きこむ。
その叶穂に、真理亜が、刃のような言葉を投げかけてきた。
「──────────叶穂さん。
〈歯車〉だと思っていますね?」
忍び寄る原作知識チート……
叶穂ちゃんにも、もちろん念入りに勘違いしてもらいます(^∀^;)