TS転生☆ドM悪役令嬢は、美事に破滅したい! 作:megajoy
真理亜は、本能的にそれを実践しているようです(^ω^;)
それはそれとして、転生真理亜は、母親を
叶穂との〈約束〉後に、思い出していた。
前世の記憶覚醒当初における、おのれの欲望だけを優先した行動・言動を
(珍しく)深く反省し、その日から半年以上は、喪に服す意味もこめて、表向き、
深窓の令嬢然として、おとなしく、落ち着いた暮らしを送っている。
厳格そうな女性家庭教師の
習い事に、魔力操作の訓練と、五歳の幼児にはやや厳しいスケジュールの日々であった。
しかし、前世で苦学し、ブラックな職場での労働の過酷さをエンジョイしていた
ドMにとっては、それらもほどよい心身への負荷にすぎず、心地良いとしか
言えない毎日だったりする。
特に、魔力操作の訓練、これが真理亜的に、非常にお気に入りであった。
魔力を体外に放出し、光に変換し、その魔力光の形状と動きを自在に操る訓練。
この訓練は、実際に魔法習得に入る前の段階の訓練、言わば、
基礎中の基礎である。
真理亜は、前世の記憶が
手ほどきを受けていた。
その経験があったからこそ、
魔力を
とはいえ、魔力の体外放出という行為自体が、幼児の精神と肉体には、
大きな負担を掛けてくるのだが、この疲労が、ドMにとっては、
なによりのご
加えて、魔力光の操作が、普通に楽しい。
前世ではありえない、ファンタジーな現象が、真理亜のオタク
揺さぶりまくりであった。
苦しくて、楽しくて、ココロ踊る、夢踊る。
訓練初日は、膨大な量の魔力を
光のアートよろしく、魔力光で虚空にビジュアルイメージを
演出・投影してみたら、ものの見事に大成功。
美摩から慌てた様子で制止の声が掛けられたが、苦し楽しい真理亜は絶好調、
調子にノリノリで操作を続けていたら、途中、バツンと突如ブレーカーが
落ちる感じで、気絶してしまった。
魔力は膨大であっても、魔力光にカラフルな色合いを出したり、
複雑な動きをさせたりするのは、幼児の精神と肉体には、
掛かりすぎたのである。
『魔力の扱いでは、命に関わることもあるの! できると思っても、
小さいうちは、無理をするんじゃありません!』
と、美摩から、泣きながら激しく説教されて、
反省する真理亜────────────。
………反省しているのは確かなのだが、その実情が、ちょっと違った。
まずは叔母からのお叱りの言葉が、ドM的に
そして、その心中では、
『もっとキツくてもイイんだけど、自分、幼女だからね、仕方ないね』、
などと、謎の後方
さらに、変態の不謹慎な思考は、そんな反省だけには
────────前世では肉体の限界を考えず、
今世は、同じ過ちを繰り返さない。
肉体的な無理はせず、健康第一、破滅への道は、一日にして
“兎萌ちゃん
慎重、堅実かつ、
無理はしない、と
目下のトコロ、最高の
こんなに苦しくて楽しいこと、毎日続けないテはない。
初日に気絶した時の状態を思い出し、感覚的に、気絶限界のライン、
そのギリギリ一歩先まで、魔力操作の訓練に没頭することを決める。
表向き、真理亜は、美摩から言われたとおり、魔力光のサイズと光量を抑え、
動きも大きくない操作の訓練を反復していた。
ところがその実態は、魔力光の中に、さらに、魔力感知でも捉えられにくい
微細な光の流れを別に生み出し、の●太くんもビックリな、光の糸による
綾取りを行っていたのである。
その難易度は、ボトル瓶三本でジャグリングをしながら、そのボトル瓶の中で
船の模型を
真理亜は、並の〈
脳神経が焼き切れそうな痛みの中、平然とやってのけていた。
美摩の監視の
そのため、間近で仕える専属メイドの
メイド長の
『遊びたい
涼しげに修練を続けていらっしゃる────やはり真理亜お嬢様は、
〈聖女〉であるに違いない』
などと、本人の知らぬところで、勘違いが加速している。
真理亜としては、そんな調子で、あらゆる未来のルートを想定し、もうしばらく、
静かに、
だが、兎萌が思っていた以上に
叶夜らの笑顔も多くなってきたことから、『そろそろ……“動く”か────』
と、真理亜は、いよいよ行動を開始しはじめる。
(まず、兎萌ちゃんには、きゃわゆい(死語)お
隠す“メカクレ”キャラをやめさせんとな! 物語後半に解放される、
魔力覚醒
さっさとクラスチェンジや! ほんで自分のかわゆさに自信を持たせる!)
適切な
その瞳を覗きこむ作戦を実行。
可愛い目を隠しているのはもったいない、前髪をカチューシャで抑えて髪型を
変えてはどうか、
果たして兎萌は、真理亜の魔性の美貌にワン・ツー・パンチ・
激しく同意してしまう。
真理亜の
うなずいてしまうのだった。
なんならそれを聞きつけた美摩が、
『それならみんなでお買い物に行きましょう』と、
真理亜の発言に乗っかってくるではないか。
(おお……美摩
ええこっちゃで……)
真理亜は、その美摩の提案に快く賛同し、美摩と兎萌、
一緒に深めてしまおうと、心の中で、ニチャリとほくそ笑む。
その日の内に、真理亜、美摩、兎萌の
高級デパートへと、リムジンでショッピングへレッツゴー。
デパート側は、超・名家である
娘らを連れてのアポなし来訪に
デパート外商部の責任者をすっ飛ばし、すべての予定をちゃぶ台返しした社長が、
大慌てで部下を引き連れ本社に急行、真渡園美摩様とそのご家族様にご挨拶、
といった次第。
『娘がカチューシャを欲しがってるの。とりあえず良さそうな物を
見せてくれるかしら?』
との、美摩の言葉に、
社長とその部下らは平身低頭、『『『『『ヨロコンデー!!!!!!』』』』』
と、魂の大合唱。
“とりあえず良さそうな物を見せてくれるかしら?”とは、
“うちの家にふさわしい名品持ってこなかったら、
おまえ、KOROすからな?”という意味同然であるから、
デパート側は、文字通り、必死だ。
可及的マッハなスピードで、
高級ブランドの、幼児用カチューシャの数々が、
きらびやかに並べられる。
(はえー、
などと、他人事のようにその
『オマエの発案のせいぢゃい!』という神のツッコミは、当然ながら、
入ることはない。
『カチューシャは、おねえさまがえらんでください!』との兎萌からリクエストが
あり、真理亜は、原作で主人公が、淡いレモンイエロー色のカチューシャを
兎萌にプレゼントで贈っていたことを思い出した。
まるきり色がカブってはイカンな、と、同系色の、
トパーズ風色合いのカチューシャを兎萌に選んでみせる。
じゃあこれにします!、と、兎萌はご機嫌で購入を決断。
その様子を見守っていた美摩が、その場にて、兎萌の髪を整え、カチューシャを
着けることになった。
(兎萌ちゃんの“カチューシャおでこ出し”実装と、美摩
真理亜はまた、心中でそうニチャリと笑みを浮かべる。
表立っては、美幼女が嬉しそうに微笑んでいる図であるから、
誠に腹立たしいことこの上ない。
そんな、心の中では邪悪な、外ヅラ的には天使のような笑みを浮かべる真理亜に、
『おねえさまは、カチューシャ、かわないのですか?』と、
兎萌が問いかけてきた。
その問いかけで、
(あっ、そーいや
デコ出さないけど)
と、思い出す真理亜である。
真理亜の脳内に、
相手を見下した目つきを向けてくるテンプレ悪役令嬢立ち絵が、想起された。
(真理亜の着けてるカチューシャには、特にエピソードなかったよな?
兎萌ちゃんに選んでみてもらうか……)
真理亜は、試しとして兎萌に、どれが似合うかしら、と聞いてみる。
果たして兎萌が示してきたものは、金色の、意匠の凝ったカチューシャであった。
その結果に、真理亜は、上機嫌にならざるをえない。
(フフ……“命を運ぶ”と書いて、〈運命〉─────!
ガイアがオレに〈悪役令嬢〉に
兎萌が、原作と同じ色のカチューシャを選んできたことで、真理亜は、
“シナリオ強制力”の存在を確信する。
これはきっと、原作どおりの風貌に成長するという
それは真理亜にとって、“どう
美摩から髪を整えてもらい、カチューシャを着けてもらって、鏡に映った自分の姿は、
原作立ち絵の幼女版にしか見えなかった。
(このまま普通に令嬢してれば、向こうから〈破滅〉がやってくる、って
寸法よぉ……。“シナリオ強制力”
心の中ではそんなニチャった自己完結型
外界的には、美幼女がはにかんだ笑みをかわいらしく浮かべている図に
なっているのだから、本当に世の中、ままならない。
と、いうか、“シナリオ強制力”が存在するとなると、原作主人公や、
他のヒロインたちのバッドエンド行きも
そこまでは深く考えていない真理亜である。
お気楽、極楽、
スルーしてしまっていた。
さらに言えば、そもそも勝手に“シナリオ強制力”の存在を感じている
この買い物の場は、美摩が原作のような毒親にならなかったからこそ、
美摩の毒親化ルートが消滅している時点で、“シナリオ強制力”の理屈は
破綻しているのだが、そのことにも真理亜は、気づいていない。
超有名サスペンス漫画において、
『人間は楽しい思い出ばかり残るよう、都合よくできている。
だから生きていける』
というような台詞があるが、この真理亜の場合、
『生きていけば苦しいことばかり起こるよう、都合よくできている。
だから楽しい~♡』
といったところだろうか。
都合がよいのはおまえの思考形態だ!、と、
修正ビンタを入れてくるブ●イト艦長はいないので、
真理亜は自信満々に、我が道をズンズンと
その歩みを止めたほうがいいのか、
もういっそ行くところまで行かせたほうがいいのか。
困ったことに、その判断を下せる者もまた、
この世界には、誰ひとりとしていないのであった──────────────。
誰も傷つかないし、誰も不幸になっていない………
それでも狂気というものは、忍び寄ってきてしまうものなのかもしれません。
(『世にも●妙な物語』のタモさん風に)