TS転生☆ドM悪役令嬢は、美事に破滅したい!   作:megajoy

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今回は地上波放送アニメから失われた伝統を意識して書きました()
守れ!表現の自由!


M一七 肌色シーンのち家族!ドMの目にも涙!

────そんなこんなで、真理亜が真渡園(まどぞの)の屋敷にやってきてから、半年近く。

(こよみ)は、九月中旬である。

 

美摩と兎萌は、ぎくしゃくとしながらも、

健全な母と娘の関係を取り戻しつつあった。

真理亜が屋敷にやってくる以前の美摩が常にまとっていた、ピリピリとした、

神経質そうな表情も和らぎ、当主としての怒声が屋敷中に響き渡ることもない。

 

それが、屋敷に勤めるメイドたち、使用人たちの誰の目にも明らかであったから、

そのきっかけをもたらしたであろう真理亜への、彼女らの好感度は、

非常に高いものになっている。

 

なにしろ、見た目のガワだけは、魔性の美貌を持つ美幼女だ。

美摩からの虐待もないため、その表情が暗い感情で(にご)ることはなく、

静かに微笑んでいるだけで、仙姿玉質(せんしぎょくしつ)を描いた一幅(いっぷく)の絵画のようになる。

 

これで、見た目に(だま)されるな、というのが、無理な話であった。

というか、叔母である美摩を筆頭に、真渡園(まどぞの)()の屋敷にいる者ことごとくが、

もうすでに(だま)されている、と言っていい。

 

転生真理亜の魂年齢からくる物腰柔らかな所作と、

常時発動能力(パッシブスキル)優●変換(エレ●ント・チート)〉による貴族令嬢の鑑《かがみ》のような言動は、

あたかもおとぎ話に出てくるような姫君(ひめぎみ)そのものである。

そんな真理亜の頭の中が、寝ても覚めても、自身の官能被虐(エロマゾ☆)妄想(ファンタジー)

あふれ返っていると、どうして余人(よじん)に知れようか。

 

そして、真理亜を本当の姉のように(した)う兎萌などは、

例のカチューシャお買い物お出かけの数日後、とうとう、真理亜と一緒に

お風呂に入りたい、真理亜の部屋のベッドで一緒に寝たい、と、

おねだりしてきてしまった。

 

もしも真理亜の脳内を覗ける者がいたならば、兎萌を、全力で止めたに違いない。

が、そのような読心(テレパシー)能力を持つ者は、真渡園(まどぞの)()の屋敷には、

誠に遺憾(いかん)ながら、いないのである。

 

兎萌との仲を深め、〈退魔法師(たいまほうし)〉としてその成長を促進させたい真理亜としては、

望む(ところ)のジョージさん。

 

けれども、ここですべての事情を見通す神の視点を持つ、

アニメ・漫画・ゲームの美少女表現を嫌悪する人間が

いたのなら、転生真理亜が兎萌とお風呂やベッドを共にする場を見て、

口汚くこう(ののし)るかもしれなかった。

 

『いくら転生者でも、こんな幼女と一緒にお風呂に入ったり、同じベッドで

寝るだなんて! どうせ性的な目で見てるんでしょ! キモ! 優しくしてるのも

グルーミング(性的手懐け)じゃん! キッショ! SHIねばいいのに!』

 

これに対する転生真理亜の返答は、こうであろう。

 

『え、いや、幼児をそんな目で見るわけないじゃないですか。

現実と虚構の区別ついてます……?』

 

変態ドMのくせに、真顔でドン引きして、火の玉ストレート。

『エロゲ世界転生を望んだお前に言えたことか!』と、ネ●ジオ●総帥ばりに

ツッコミが入りそうだが、転生真理亜は、どこまでも変態紳士なのだ。

 

五歳の幼女に欲情することは、決してない。

ない、が、美摩と、囲碁留(いごどめ)母娘(おやこ)らの裸体には、

その紳士の精神(こころ)が、グラリと揺らぐ。

 

そう、兎萌と一緒にお風呂に入る時、美摩と、囲碁留(いごどめ)母娘(おやこ)らも、

湯舟(ゆぶね)を共にすることになったのだ。

 

現在の真理亜と兎萌は、五歳の幼児。

当然ながら、保護者同伴でないと、安全な入浴は保証できない。

 

そして、真渡園(まどぞの)()の屋敷には、高級温泉旅館のような、豪奢(ごうしゃ)かつ格式高い大浴室が

備えられており、多人数の同時入浴が余裕で可能となっている。

以前までは、兎萌の入浴時には、専属メイドの叶夜(かなや)がひとりで世話をしていた。

 

しかし今、真理亜が真渡園(まどぞの)()にやってきてから、美摩と兎萌は、

母娘(おやこ)の絆を取り戻しつつある。

美摩がコミュニケーションの一環として、“家族でお風呂に一緒に入る”という

行為で兎萌との交流を増やそうとするのは、当然の流れであった。

 

けれども、つい最近まで育児放棄同然であった美摩は、自分の母親としての

レベルが、極端に低いことを自覚している。

なので、お風呂場にて、兎萌と真理亜、ふたりの面倒を見れる自信が、

まったくなかった。

 

そこで、美摩は、当主権限を行使。

漱祗(すすぎ)に、娘共々、入浴に同伴するよう、命じたのである。

 

要するに、

『ひとりじゃ幼児ふたりの面倒見きれないから、助けて頂戴(ちょうだい)

という、言外のメッセージ。

囲碁留(いごどめ)母娘(おやこ)らはそれを察し、

美摩をサポートすべく、一緒にお風呂と相成った。

 

結果、真理亜の眼前に、エロゲ美女と美少女の恵体(めぐたい)真裸(マッパ)がズラリ。

二十四時間ピンク色妄想に(ひた)っているとはいえ、中身が前世童貞中年の真理亜には、

刺激が強過ぎる光景である。

 

 

 

 

 

ぼんのうわいたって いいじゃないか にんげんだもの @まりあ

 

 

 

 

 

なので、お風呂の時間は、心の中で、そんな言い訳しながら過ごさざるをえない真理亜だ。

 

なにしろ、上も下もたわわなエロゲ女体(にょたい)が、現実として目の前で、

どたぷん♡ぷるん♡、と、揺れに揺れるのである。

目に毒、猛毒、ホットドッグ(感動モノ)であった。

 

真渡園(まどぞの)()に来てから半年、真理亜は、入浴の際、叶穂に付き添ってもらっている。

叶穂との一対一(マン・ツー・マン)の裸のお付き合いを続けているが、浴場では、

借りてきた猫のように、いまだ緊張しているのだ。

 

それなのに、美摩ら美女&美少女オールスターと共に入浴とくれば、

嬉し恥ずかし夢心地(ゆめごこち)

いろいろと、理性が決壊してもおかしくない。

 

(ダメ─────っ! わたくしには、心にキメた(ひと)

いるのだから─────っ!)

 

ところが真理亜は、劣情(れつじょう)に負け、美摩らの美しい肢体(したい)をガン見しそうになるも、

すんでのところで(こら)えている。

まだ見ぬ原作主人公への、一途(いちず)な想いが、なんとか理性を(たも)たせていたのだった。

 

呼吸するように猥褻(わいせつ)な妄想をしているくせに、

妙なところで乙女心を発揮(はっき)している。

 

前世では美少女たちが(ヒド)い目に()うエロゲーばかり(たしな)んでいた真理亜だが、

その恋愛観は、大正ロマネスクだ。

つまり、前時代的なまでに、純粋(ピュア)無垢(イノセント)非現実的恋愛主義者(夢見るアリスチャン)なのである。

 

R18指定思考が初期設定(デフォルト)の真理亜だが、いまだ出会ってもいない原作主人公に

操立(みさおだ)てしている、というわけだ。

その一方で、原作通りに悪党(ヴィラン)に自分の純潔を無惨(むざん)に奪われることを

心待ちにしているのだから、“歩く支離滅裂(しりめつれつ)”と言う他ない。

 

それならば、美摩たちとの入浴時は、緊張したまま、ひたすら紳士な精神で

賢者タイムしているのか、というと、そこは尋常ならざる究極ドM。

“浴場で欲情してはいけない”という禁欲、それによる精神的抑圧が生む

心的苦痛で、被虐タイムを楽しんでいたりする。

 

どんな時でも、どういう状況(シチュ)でも、(すき)あらば被虐。

もうなんというか、いっそ天晴(あっぱ)れなほどのポジティブ変態性であった。

 

とにもかくにも、入浴時に、美摩らをいやらしい目で見ることはないのは、

確かである。

ただ、前世がアニメ・漫画のオタクでもある真理亜は、自身が幼女であり、

一緒に入浴する女性らの体つきが豊満であるのなら、

言っておかねばならない台詞があった。

 

それは、“おっぱいの成長を気にする女の子”のテンプレ台詞。

前世の日本での、アニメ・漫画・ゲーム作品では、絶滅の危機に

(ひん)している(たぐい)の台詞である。

 

「────わたくしも、お母様や美摩お姉様のように、

お胸が大きくなるでしょうか………?」

 

幼い自身の胸を見つめて、ペタペタと触りながら、真理亜は美摩に、

そうクエスチョン。

 

………2000年代あたりから、社会倫理遵守(コンプライアンス)を盾に、

創作物における女性キャラの肌の露出が多いシーン、いわゆるお色気シーンへの

クレームは、激しさを増しだした。

そのため、お風呂場等で“おっぱいの成長を気にする女の子”のシーンなど、

“ちょいエロ”がセーフであった少年漫画誌でさえ、()けられがちになっている。

 

それは、良くない。

 

表現の自由が、嗜好(しこう)の違いによる難癖(なんくせ)に負けてはイカン!

『お風呂場でこんなこと言う女子なんていないわ(嘲笑)』

などという、ゲンジツの声に屈してはならないのだ!

 

そのような、よくわからない使命感に駆られて、真理亜はテンプレ台詞を

口にしたわけである。

口にしたところでどうなる、という話なのだが、

脳内で『やってやったゼ!』と達成感イッパイの真理亜。

 

問われた美摩や、そばにいた漱祗、叶夜、叶穂らは、微笑ましそうな表情で

真理亜を見つめながら、まだ子供なのだから気にしなくても大丈夫云々(うんぬん)

と、優しい(さと)しを返してきた。

それらの返答もまた、真理亜的には、

失われたお約束のやり取りシーンそのもので、

またまた謎の達成感を感じてしまう。

 

コレよ、コレコレ、コレなのよ、ベタでケッコー、メリケン()

エロゲのお風呂場シーンはこうでなくちゃあいけねえ、と、真理亜は、

満面の笑みを浮かべるのであった。

 

いや、そもそもエロゲでも幼女の全裸シーンは、昨今NGなんだが?、と、

真顔で指摘する識者(しきしゃ)はいない。

 

ゴキゲンウキウキHAPPY状態のその笑みは、見た目、完全に無邪気に

喜ぶ美幼女である。

本当は、邪気邪念が形を成した存在の笑みであるから、このドMを、

純然な令嬢たる真理亜に転生させた〈女神〉ルキミステルの罪深さは、

マリアナ海溝よりも深い、と言わざるをえない。

 

────入浴が済んだ後は、当然、就寝の時間となるのだが、ここでまた、

真理亜の計略が発動だ。

 

「わたくし、今日は、美摩お姉様と、兎萌ちゃん、おふたりと一緒に

おやすみしたいです………」

 

お風呂上り、魔性の美幼女が、上目遣(うわめづか)いでキメ。

これに(あらが)える保護者女性がいるであろうか、いやいない。

 

『それじゃあ三人で寝ましょうか』、と、美摩は迷うことなく、了承してしまう。

 

(   (おも)   い   (どお)   り   !   )

 

“美摩(ねえ)さんと兎萌ちゃん母娘(おやこ)仲良(なかよ)小好(こよ)し計画”が

また一歩、(こと)がうまく運び、心中で、

邪悪に口の()を吊り上げる真理亜だ。

美摩と兎萌の母娘(おやこ)関係が改善されていくことは、誰にとっても

喜ばしいことのはずだが、第三者がすべての実情を知れば、

複雑な思いを(いだ)くしかない成り行きである。

 

そんな真理亜の思惑(おもわく)どおりに、三人は、穏やかなムードでベッド・イン。

ベッドに向かって左から真理亜、兎萌、美摩の、川の字配置。

 

しかし、策士策に溺れる、というか、油断していた、というか、なんというか。

“家族で一緒に(とこ)()く”という、この状況(シチュ)が、思いもよらず、

真理亜の心の、柔らかいところを突いた。

 

前世での、小学生に上がる前に離婚していなくなった母親と、

真理亜の早逝(そうせい)した母親、真魅(まみ)の思い出が、

現・転生真理亜の心の中に、ダブルで呼び起こされたのである。

これには、転生真理亜としても、完全に予期せぬ一撃、

見えないパンチ(ファントム・パンチ)”を受けたかのような衝撃で、心を揺さぶられた。

 

真理亜の目から、涙があふれ出てしまう。

 

基本、精神的苦痛はどんなものでもウェルカム・マイ・ハウスである真理亜だが、

さすがに、“肉親の喪失”という耐え(がた)い悲しみにだけは、

愉悦を感じることなどできなかったのだ。

尋常ならざる被虐(マゾ)性癖が突出(きわ)まってはいるが、

まっとうな人間としての心は、ギリギリ、なんとか、ちゃんと残っていたらしい。

 

突然泣き出した真理亜に、美摩と兎萌は、驚き慌てる。

ふたりから、涙の理由を問い(ただ)され、真理亜は、素直に、母のことを

思い出してしまって云々(うんぬん)、と返答。

 

すると、兎萌から『おねえさま、なかないで』としがみつかれ、美摩からは、

『大丈夫よ。これからはずっと、私たちがいるから』と、兎萌の体と共に、

その(かいな)で抱きしめられた。

美摩と兎萌の体から発せられる、花のような甘い香りと、陽だまりのような

(ぬく)もりに包まれ、真理亜の意識は、微睡(まどろ)みだす。

 

そこに真理亜は、前世から通して、久しく忘れていた種類の、安らぎを覚えた。

 

(ああ──────こういう気持ちも、あったのだったか…………………………)

 

人としての安らぎの感覚に、普通の、正常な“幸せ”を思い出す真理亜。

自分のようなド変態異常者(※自覚はあるらしい)に、こんな気持ちを

与えてくれる“家族”────ふたりだけは、破滅の道づれにしてはいけない。

 

いや、ふたりだけではなかった。

囲碁留(いごどめ)母娘(おやこ)や、まだ出会っていないヒロインたちも、

幸せになってもらわなければ。

 

(────たとえ、わたくしが破滅しようと……美摩(ねえ)さんも……

兎萌ちゃんも……(いな)─────まだ見ぬヒロインたちでさえも────

わたくしが守護(まも)らねばならぬ)

 

幸せな微睡(まどろ)みの中にあって、確かにそう(かた)く決意し、

真理亜は、眠りへと落ちていくのだった……………。




家族のぬくもりに、紳士精神遵守を改めて決意……。
イイハナシダナー?
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