TS転生☆ドM悪役令嬢は、美事に破滅したい! 作:megajoy
ちょっとくどすぎるかな……?と自分でも思うくらい、別視点が長く続きます。
よろしくお願いします(^∀^;)
魔力光操作の激しい魔力消耗と、幼い肉体への極度の負荷により、
真理亜は気絶してしまった。
美摩は、おのれの不明を恥じる。
魔力光操作の中止を
厳しく命じなければならなかったというのに、
真理亜のあまりの才能に、見惚れてしまった。
その事実に、親として、また、指導者としての、自分の未熟さを
痛感する美摩である。
そのことに後ろめたさを感じながらも、美摩は、真理亜に、
魔力を操作することの危険性を厳重に注意し、説き伏せねばならなかった。
その場に
感情が
だが、その熱弁の甲斐あってか、以後、真理亜は、魔力光操作の訓練では
無理をせず、美摩の指導に従い、地道に基礎の反復練習に取り組んでいる。
ほっ、と胸を撫でおろしたのも束の間、今度は、
別の問題が浮かび上がってきた。
兎萌が、真理亜の魔力訓練の
───兎萌の魔力光操作能力は、決して低くない。
つい最近まで、“魔力操作不能症”とされ、一切、魔力を操ることが
できなかったことを考慮すれば、むしろ、高い素養を持っているさえ言えた。
しかし、真理亜の非凡な能力からすると、どうしても見劣りしてしまう。
いや、真理亜が、同年代の幼児から傑出しすぎているだけなのではあるが。
………兎萌が、真理亜に付いていけなくなっているのは、
魔力訓練だけではなかった。
真理亜と一緒にやらせている、勉強や、手習いごとのすべてで、
わずか半年という短い期間にもかかわらず、既に明確な差が
付きはじめていたのである。
『兎萌お嬢様も、頑張っておられますし、熱意も感じられ、
優秀ではあられるのですが………。真理亜お嬢様とは、
別々に学ばれたほうが良いかと思われます』
それぞれ専門の家庭教師たちはみな、気まずそうな感じで、
美摩にそう告げてきた。
兎萌の母である美摩としては、複雑な気持ちにならざるをえない。
だが、実の娘が、その才能と見比べられ、差の開きを
知らされれば、ほんのわずかでも嫉妬心がわき起こってしまう。
それと同時に、何故、真理亜が自分の娘ではないのか、という、母親として
抱いてはいけない
いけない──────自分は、良い母親に変わる、と、決めたのに。
ひとりかぶりを振り、兎萌の、今後の教育方針について悩む美摩。
……兎萌自身のためにも、真理亜とは分けて、何事も学ばせたほうがよいだろう。
今は、無邪気に真理亜を
いずれ、兎萌は、おのれと真理亜との差に、
ある朝、内心でそう苦い溜息をつきながら、美摩は、リビングに向かっていた。
すると、そちらから、真理亜の声が、聞こえてくる。
どうやら、朝食を済ませたあとらしい真理亜と兎萌が、ソファに並び合って座り、
なにやら語り合っているようだった。
「もったいないわ────兎萌ちゃんは、可愛らしいお
こうやって、おでこが見えるくらい前髪を上げれば、お
見えて、もっと可愛らしくなると思うの」
真理亜はそう言うと、両手で優しく兎萌の前髪を掻き上げ、その顔を覗きこむ。
「やっぱり! とっても可愛らしいわ!
ね、
そばで控えているメイド姉妹に振り返り、真理亜は、同意を求めて微笑んで見せた。
「はい。真理亜お嬢様のおっしゃる通りかと」
「ええ、とても可愛らしゅうございます」
真理亜と兎萌のやりとりを、微笑ましく見守るメイド姉妹は、ふたりして、
にこやかにうなずきを返す。
ああ────あれは、いつかの景色…………………………………………。
美摩は、かつての自分と、姉の真魅の姿を、真理亜と兎萌に重ねて見ていた。
自分よりも、遥かに優れていた姉。
……姉に対し、
けれど、姉のことを、誇らしく思い、世界の誰よりも愛していたことだけは、
胸を張って言える。
そうだ。
我が
以前の自分は、信じることすら放棄して、娘のことを、
諦めてしまっていたのだから────────。
そのことに気づかせてくれた真理亜と兎萌の姿に、
美摩は、思わず涙ぐんでしまう。
「こうやって、カチューシャを着ければ、きっと似合うわ」
見れば、にこりとそう微笑んでくる真理亜に、兎萌は、のぼせたように、
コクコクとうなずきを返していた。
「それなら、今日は、みんなでお買い物に行きましょう」
涙をぬぐった美摩は、そう言って、
「おかあさま!?」
突然の母の言葉に、兎萌は驚いて、わずかに硬直してしまっていた。
美摩から、出かけの買い物の提案など、久しく聞いたことがなかったからである。
「────兎萌。カチューシャ、欲しいのよね?」
「えっ……あっ、は、はい。ほしい……です」
「そう。それじゃあ、今日の訓練はお休みにして、お買い物に行くわ。
お外に、みんなでね」
言いながら、美摩は、長い間、我が子と確たる休日を過ごしていないことも
思い出していた。
思えば、真理亜にも、気晴らしとなるような時間も、与えられていないのでは、
と、同時に気付きを得る美摩である。
単にカチューシャを買う、というだけならば、専門の業者を屋敷に呼びつけても
構わない。
しかし、それでは味気ないし、気分転換にはならないだろう、と、美摩は、
予定をすべてキャンセルし、今日一日を、子供たちのためだけに
使うことに決めた。
昼食も、外で取ることにしよう。
家族で外食など、いつぶりだろうか………………。
メイド長の
美摩は、自分の心が浮き立っているのを自覚する。
買い物に出掛ける、という自分の言葉に、真理亜と兎萌が嬉しそうに
はしゃぎだすのを目にして、さらに、口元をほころばせてしまった。
そうして、真理亜と兎萌を連れ、漱祗とメイド姉妹を
高級デパートへと繰り出す。
事前に連絡をさせておいたが、それでもデパート側をあわてふためかせて
しまったようだった。
外商部のサロンに通された美摩たちの応対に、デパートの社長が、
緊張した
これまで大衆育ちだった真理亜に、
良い機会だと、美摩は、やや尊大な振る舞いをすることにした。
「娘がカチューシャを欲しがってるの。とりあえず良さそうな物を
見せてくれるかしら?」
「お嬢様が! 左様でございましたか……! すぐにお持ち致します。
少々お待ちくださいませ……!」
美摩の言葉を聞いたデパートの社長はおもねった笑顔を見せたあと、
部下たちにさっと目配せをする。
それを受けた従業員たちは、深々と礼をしてから、各自、動き出した。
美摩らの前に飲み物が用意され、商品を持ってくる間、その待ち時間潰し用の
写真集や画集、児童向けの絵本が揃った移動式マガジンラックが提示される。
「……お嬢様は来年、
「ええ。その予定よ」
「学園の制服や、指定の学習用品なども、各種取り揃えております。
ご入学の際にご
お声がけくださいませ」
「そうね。なにかあったら、お願いするわ」
わかりやすく
ふたりの学園入学のことについて思いを
────
由緒ある名家の子女が通う、小・中・高一貫の名門校にして、〈
養成機関でもある。
美摩と、その姉である
自分の娘と、姉の娘が、共に同じ学び
「真理亜お嬢様。こちらのお本には、ペンギンのお写真がたくさん
「まあ、見て、兎萌ちゃん。かわいいわね。
この写真、“ペンギン・ハイウェイ”を
海から、陸のお
「“はいうぇい”? って、なんですか? おねえさま」
「えっと、そうね、英語で、まっすぐ速く走れる道路のこと……そうよね?
叶穂」
「はい、お嬢様のおっしゃった意味で、間違いございません」
「ペンギンさんが、早くお
そう呼ばれるようになったのかもしれないわ」
「そうなんですね! おねえさまは、すごいものしりです!」
「たまたま知っていただけよ? テレビ番組かなにかで見たことがあったの」
メイド姉妹を交え、笑い合う真理亜と兎萌を見て、美摩は、口元をほころばせた。
わずか半年ほどで、昔からそうであったような、仲の良さである。
まるで、本当の姉妹のようであった。
互いに、相手が似合うと思うカチューシャを選び合う
心が
美摩はそこで、ふたりの同学年に、
心の中で苦々しいものを滲ませてしまった。
無論、娘たちが楽しんでいる手前、それを表情に出すことはない。
取り
〈
この時代の学園生活は、波乱必至であるのは、間違いない。
……真理亜に出会う以前ならば、“魔力操作不能症”と診断されていた兎萌と、
ほぼ敵対関係と言っていい両家の跡取り娘らが、同じ学園に通うことに、
強い苛立ちを覚えていたことだろう。
が、今や兎萌の魔力の問題は解消され、なにより規格外な姉の遺児、
真理亜がいるのだ。
両家の娘らがどれほど〈
真理亜に及ぶとは思えない。
そして、魔力の枷が外れた兎萌の能力も、同年代の子供に比べれば、
優秀と言っていい部類に入る。
兎萌は内向的な性格で、弱気なところが目立つが、真理亜と一緒ならば、
問題はないだろう、と、美摩は見通しを立てていた。
〈
真理亜の圧倒的な魔力の前には、元から
真理亜と兎萌が、学園生活において、
泥を塗るようなことはあるまい。
笑い合う
そのうちに、美摩らの面前で、児童向けカチューシャの数々が、
見栄え良く、ずらりと並べられた。
すべてブランドもので、シンプルなデザインの物から、意匠の凝った物、
多様な種類が揃えられている。
「カチューシャは、おねえさまがえらんでください!」
商品を一通り見たあと、兎萌は、真理亜に選択を
これは、自分の
身に付けたい、という願望であろうと、美摩は察する。
「そうね……兎萌ちゃんの髪の色には、こういうのが似合うんじゃないかしら」
真理亜が選んでみせたのは、シンプルな作りをした、
光沢は控えめで、ともすれば地味な出来合い物として、幼い子供らには
敬遠されそうな一品である。
美摩は、ひとまず試しに、と、兎萌の髪を手ずから
真理亜の選んだカチューシャを着けてやる。
「どうですか、おかあさま……?」
「────可愛いわ。うん、とても似合ってる……とっても」
美摩の返事に、兎萌は、顔をほころばせた。
「おねえさまも、みてください! どうですか? にあってますか?」
「似合っているわ、兎萌ちゃん。本当に可愛いらしくてよ」
真理亜が微笑みと共にそう答えると、兎萌は頬を染めて、はにかんでみせる。
美摩も笑みを浮かべてふたりを見守っていたが、心の中で、少なからず、
兎萌のカチューシャを着けた姿に、
────────────似合いすぎている。
真理亜が提案した髪型と、真理亜の選んだカチューシャ、それらの組み合わせは、あたかもそうなることが当然だったかのような、高い親和性を見せているのだ。
……………真理亜には、どこまで、
日常のふとした行為にも、〈聖女〉の片鱗を見せる真理亜に、
驚嘆と畏怖の念を抱かざるをえない美摩であった──────────────。
別視点差異と同時に、設定情報をチラホラと……。
設定が使えるかは謎ですが(^ω^;)