TS転生☆ドM悪役令嬢は、美事に破滅したい! 作:megajoy
ようやくシーンがちょっとだけ先に進むのですよ~(^∀^;)
“─────わたくしが破滅しても…………”
眠りに落ちて、朝、目が覚めても、
“はめつ”
それは、たしか、よくないことば───────────────
そう思った兎萌は、自分が
悟られぬようにと、
そして、ひとりになった時間に、辞典でその言葉の意味を確認することにした。
【破滅】読み:ハメツ・(は-めつ)
①ほろびること。また、物事のすべてがだめになること。
②人間の生命または人格・家・国家などが成り立たなくなること。
③社会的地位や財産のすべてを失い、落ちぶれること。
言葉の確かな意味を知り、兎萌の心臓が、ドクン、と、大きく音を立てる。
直接、
……………
もし、
きっと、自分が心配せぬよう、
幼い兎萌は、
それをいち早く察したのは、専属メイドの
「兎萌お嬢様、なにか、お悩みのことがあるのではないですか?」
叶夜から
兎萌の悩みを聞き、叶夜は、返答に迷う。
真理亜の秘密とは、未来において〈聖女〉として強大な〈魔〉と戦い、
その命を落とすかもしれぬ〈運命〉のことであろう、と、見当がついたからだ。
しかし、その〈運命〉の話は、
心苦しく思いながらも、叶夜は、助言だけを与えることにする。
「真理亜お嬢様のことならば、奥様にたずねられてみてはどうでしょう」
「おかあさまに……?」
兎萌の表情が、曇った。
母の、自分への接し方が変わったとはいえ、ふたりきりで話す、
ということは、想像しただけでも、いまだ困難なことである。
「はい。今、兎萌お嬢様が知っていてもかまわない、と、奥様が思われたなら、
きっとお答えくださるでしょう。逆に、お答えくださらなかったら、
それはまだ、兎萌お嬢様が知るべきではないこと、ということです」
真理亜の〈運命〉について、兎萌に語るべき人間となれば、母親であり、
叶夜は、今の幼い兎萌に、その真実を告げるか否かの判断を、
美摩に
「よろしいですか。大切なのは、兎萌お嬢様のお気持ちです。
お嬢様が、どれくらい真理亜お嬢様のことを心配されているか。
それをしっかりとお伝えすれば、たとえお答えくださらなかったとしても、
奥様は、今、何故、兎萌お嬢様が知るべきではないかということを、ちゃんと
説明してくださるはずです」
「お、おかあさまに、つたえる……わ、わたしが───?」
「はい。真理亜お嬢様についてのお話となれば、それは、
兎萌お嬢様と、奥様だけが口にできるお話です。私ども、
口出しを願うわけには参りません………兎萌お嬢様。どうされますか?」
言葉の最後を、叶夜は、少し突き放したような問いにする。
叶夜は、この半年間における、兎萌の成長と変化を、信じていたからだ。
「わ、わたしは………」
兎萌は、
兎萌にとって、美摩は、優しさを取り戻した今でも、
恐れを感じてしまう存在なのだ。
だが───────────────────────────────────
“似合っているわ、兎萌ちゃん。本当に可愛いらしくてよ”
“そうね。一緒に大きくなりましょうね、兎萌ちゃん”
兎萌の心の中で、真理亜の微笑みが、何度も思い浮かぶ。
そして、母への恐れよりも、真理亜の身を案じる気持ちが、
「───わっ、わたしは、おかあさまと、おはなしする……!」
「承知いたしました」
叶夜は、兎萌の決意に、満面の笑みを浮かべて、うなずく。
それから美摩の一日のスケジュールを確認し、メイド長である母、
実の娘だからといって、日中、いつでも、
会えるわけではない。
叶夜の
対面可能となる。
「兎萌。なにか、私に話したいことがあるのですって?」
当主の席に
兎萌には、そんな母が、いつにも増して、大きく、恐ろしい人間に見える。
その美摩の傍らには、メイド長の
兎萌の一挙一動を観察するような視線を送ってきていた。
ふたりを前にした兎萌の心臓は、ばくばくと鼓動を早く、大きくさせる。
ごくり、と、喉を鳴らしたあと、意を決して、兎萌は、声を絞り出した。
「───おかあさま。おっ、おねえさまは……ごびょうき、なのですか……?」
兎萌のその言葉に、美摩は、なにかを悟ったような表情をする。
そして、すぐさま、漱祗に告げた。
「漱祗。しばらく休憩するわ。あなたも、休んでいて
「承知いたしました」
美摩からの暗なる言葉に従い、漱祗は、一礼して、執務室から退出していく。
「………兎萌。どうして、真理亜が病気に掛かっていると思ったの?」
漱祗が部屋から出て行ったあと、美摩は、重く口を開いてきた。
「こ、このまえ、おかあさまと、おねえさまといっしょにおやすみしたとき、
おねえさまが、うわごと?、を、いったのをきいたのです──────────
おねえさまが、“じぶんがはめつしても、おかあさまと、ともいちゃん、それと、
ほかのおんなのこを、まもらなくてはならない”、って……………」
「────────そう………………………………………」
兎萌の返答を受けて、美摩は、顔を伏せる。
しばし沈黙したあと、椅子から立ち上がり、兎萌の正面に来てしゃがむと、
まっすぐに目を合わせてきた。
「兎萌。一度しか言わないわ。よく聞きなさい」
「……はっ、はいっ」
「今の私は、あなたの母親として、あなたに、幸せに生きていってほしいと、
そう願っているわ」
「……………」
「けれど。この先、真理亜のそばで生きていくつもりなら、
幸せに生きるということは、諦めなさい」
「えっ────────」
どうして、と、兎萌は、
が、その言葉が、兎萌の口から、声になって出ることはなかった。
一度しか言わない、という母の言葉と、
自分の目をじっと見つめてくる真剣な眼差しが、それを許さなかったからである。
「でも、逆に言うなら、真理亜と共に生きることを諦めれば……
並の〈
母の声は、娘を
半年前には、聞いたことのない、柔らかな声音。
兎萌の心の中のなにかが、“幸せ”という言葉に、揺らいでしまうほどの響き。
「─────────────だから、兎萌。あなたが選びなさい」
「えら、ぶ……?」
「そう。これは、あなたを試すとか、そういう話ではないの。どちらが
正しいとか、間違っているとか、そういうことじゃない………。本当よ。
大切なのは、あなたが、どう生きたいか。あなたの意志。あなたの心の問題なの」
美摩は、兎萌の両肩に、そっと手を置いてくる。
「幸せになることを諦めて、真理亜のそばで生きていくか。それとも、真理亜とは
別れて、幸せに生きていくか………あなたが、決めるのよ」
美摩の顔には、沈痛な表情が浮かんでいた。
幼い我が子に、突然、酷な選択を
その自覚がある美摩だが、これは、いずれ
「……わっ、わたしは───────」
母の真意はわからずとも、兎萌は、直感でそのことを悟り、必死に考え、
自分の想いを、口にする。
「わたしはっ、おねえさまのそばにいられるなら、それだけでしあわせです!」
兎萌の心からの返答を聞いて、美摩の口元が、わずかにほころんだ。
しかし、そんな兎萌を見る瞳には、哀しみの色が増している。
「─────兎萌。母親として、そう言えるあなたを、嬉しく思う。
………でも。それだけの想いでは、駄目なの」
美摩は、おのれの
「ただ真理亜のそばで生きていく、という軽い気持ちでは、それだけで、
真理亜の負担……邪魔になるのよ。それではいずれ、真理亜を苦しませることに
なる─────」
「じゃま───わ、わたしが、おねえさまを、くるしめる……?」
「ええ……。兎萌、あなたは今のままでも、将来、優秀な〈
なれるでしょう。けれど、それでも、真理亜のそばにいるには、足りないわ。
あの子は、本当に、特別な子───あの子と共に歩むのなら、一流の〈力〉を、
何段階も超えた実力……強さを備えていなければならない。それでやっと、
あの子に付いていく資格があると言える」
ひとつ息を置いたあと、美摩は、力強く、兎萌の瞳の奥を、覗きこんでくる。
「はっきり言うわね。兎萌─────あなたがその資格を得るほどの強さを
持つのは、
関の山かしら…………命に関わることだから、嘘はつけないわ」
淡々とした美摩の言葉が、兎萌の心を、強く
兎萌の目から、とめどなく、涙があふれこぼれる………………………………。
厳しかれども母の愛……。
兎萌ちゃん、がんばって……!(;ω;)