TS転生☆ドM悪役令嬢は、美事に破滅したい! 作:megajoy
ありがとうございます、ありがとうございます!(;∀;)
正しい原作知識無双回です!
………正しい──────?(←突然不安に)
【違法薬物実験容疑で元大学教授逮捕】
【人身売買及び人身取引容疑で大企業CEO逮捕】
それら大きな見出しのついた新聞をデスクに放り、美摩は、深々と椅子に
身を預けた。
「真理亜お嬢様のお手柄ですのに、真実を公表できないのは、残念です」
メイド長の
置く。
美摩は、苦笑して身を起こし、それに手をのばした。
「仕方ないわ。〈予見〉の力で犯罪を見抜いた、なんて
大騒ぎになるでしょうからね。────真理亜が〈聖女〉であることは、まだまだ
紅茶を口にしつつ、美摩は、十一月はじめに、真理亜が興奮し、思い詰めた顔で、
この執務室へ、走り込んできた時のことを思い出す。
『……わたくしのお友達になってくれる女の子ふたりに、危険が迫っています!』
気を引き締めて、真理亜の話に耳を傾けた。
元大学教授が行おうとしている魔力増強実験。
大企業が裏で運営している女子児童人身売買。
真理亜が口にするふたつの事件で、『女の子ふたり』は、それぞれ、犠牲に
なってしまうのだという。
『お願いします、美摩お姉様!!! ふたりを、助けてください────!!!』
姉の
初めての
美摩は奮起し、
真理亜が〈予見〉した事件現場こそおぼろげだったが、犯人らと被害者らの実名が
確実に判明しており、事件発生の日時と、解決への鍵となる要素もはっきりして
いたため、すべての捜査は、容易に進展した。
警察とも連携し、あらゆる証拠を揃えた完璧な布陣で、決定的な瞬間に、
事件現場を取り押さえる作戦を決行。
結果は、見事なまでの大成功である。
犠牲になるはずだった女の子ふたりは無事保護され、違法薬物の取引ルートと
反社組織、人身売買組織を撲滅、汚職政治家や警察幹部、有名企業家らが
芋づる式で次々に逮捕される、大捕り物となった。
ふたつの事件を解決へ導いたのは、真理亜の〈予見〉だが、その事実を知る者は、
美摩を含めた、
第一に、まだ幼い真理亜を衆目から守るためであり、真理亜が〈聖女〉である
ことを隠しておくためであった。
真理亜の尋常ならざる魔力の高さと、その才能、〈予見〉の力から、いずれは
〈聖女〉として認知されるのは間違いない。
しかし、現在の真理亜は、まだ幼すぎる。
いくら魔力が並外れていても、自衛を心掛けさせるには不安が残る、子供なのだ。
周囲が警備を万全にしているとはいえ、注目の的になるリスクは、真理亜がもっと
成長するまで
真理亜の将来と安全性のことまで頭に思い浮かべて、美摩の口元に、ふ、と、
笑みが生まれた。
「それに、そもそも、真理亜は、あのふたりを助けることしか考えてなかったわ。
功名心や、自己顕示欲なんて、
未来で良い友達になるのでしょうね」
真理亜が、未来で良き友を得る。
そのことを、我が事のように喜ぶ美摩であった。
「───
……やはり、偶然とは思えません。〈聖女〉の〈運命〉に導かれている、
ということでしょうか──────」
漱祗が〈運命〉という言葉を口にした途端、美摩の表情が、にわかに
それをすぐさま察した漱祗は、ただちに、深く頭を下げた。
「申し訳ありません。失言でございました」
─────〈聖女〉は、邪悪な〈魔〉と戦い、その命と引き換えに、〈魔〉を
打ち滅ぼす〈運命〉………………………。
自分の
そんな
「……いえ、いいの。確かに、運命的なものを感じるわ。助けたあのふたりの
子らも、きっと、優れた〈
助けになってくれるはずだわ。これは、私の勘だけれどね」
「奥様の勘ならば、間違いありませんね」
漱祗のうなずきは、決してただの追従ではない。
そうなるであろう、と、漱祗も、予感めいたものを、感じていたからである。
真理亜という、
集結する………そんな予感を。
「────私たちも、
「はい………」
迫りくる脅威の姿は、いまだ見えない。
だが、その存在を事前に知る美摩と漱祗は、〈運命〉の子らを守る決意を、
改めて、固めるのであった────────────────────────。
一方、当の真理亜は、当然のことながら、そこまで深刻なことは、
まったくと言っていいほど考えていなかったりする。
しばらくしたあと、あっ、と、不意に思い出したものであった。
(そういえば、今月じゃん!)
設定資料に記載されていた、ふたりの運命を狂わせる、悲惨な出来事。
それらは、それぞれ十一月の、六歳の誕生日に起こったという。
コイツはヤベーぜ、
結構
ふたりの女の子を救うタイム・リミットが、迫っている。
時間がない。
一刻も早く、ふたりを助けなければ─────────!
しかし、ここで真理亜は、ふたりを救うことを、わずかに、
なにしろふたりは、悪役令嬢・真理亜の破滅に欠かせない、裏切りの取り巻きズ
なのである。
まず、霧絵の、原作の設定はというと………幼少期からの過酷な実験により、
肉体の魔力生成機能をほとんど失うことになっていた。
薬物投与と、父親が途中で導入しはじめた性魔術儀式による魔力
かろうじて〈
取り巻きのひとりとなる。
そして、重要な局面で、真理亜を裏切るのだ。
真理亜を罠にかけ、
『霧絵さん……!? わたくしたち、お友達ではなかったの!?』
『冗談言わないでください、真理亜“お嬢様”。私はね、いつも魔力の高さを
鼻に掛けるあなたが─────ずっとずっとず~っっっと!!! 憎くて憎くて、
仕方がなかったんですよっ……!!!』
『そ、そんな、酷い─────────!』
『ふふ。真理亜“お嬢様”ったら、可愛らしいですね。私の裏切り程度で、
そんな風に傷ついちゃって。………これから、肉体的にも、傷ついていく、
っていうのに』
『えっ……!? あっ!? い、嫌ぁぁぁぁぁ───────っっっ!!!』
………その後、真理亜は、原作主人公である
施された上に陵辱を受け、人工的に〈
行き着くのだ。
次に、原作での舞だが───表の顔は実業家で、裏では人身売買と売春斡旋を
行っている
支配されてしまった影響で、通常生活で見せる喜怒哀楽の感情を、失ってしまう。
唯一、喜びの感情を
快楽
幼い真理亜の容姿に心奪われた駿府の命令で、
真理亜の取り巻きのひとりとなる。
当然ながら、真理亜の情報を
そして、重要な局面で、真理亜を裏切るのである。
真理亜を罠にかけ、
真理亜の抵抗力を奪い、秘密の地下室に、監禁拘束するのだ。
『舞さん……!? わたくしたち、お友達ではなかったの!?』
『───お友達、だよ?』
『だったら、何故、こんなことをするのです!? お友達と言うのなら、
わたくしを、解放してください!』
『……それは駄目。真理亜様も、舞と一緒に、ご主人様から、可愛がってもらう。
───大丈夫。すごく、気持ちいい、よ? 他の事、考えられなくなる、よ?』
『えっ……? あっ!? い、嫌ぁぁぁぁぁ───────っっっ!!!』
………その後、真理亜は、原作主人公である
陵辱され続け、駿府の所有する島の屋敷で、一生を性奴隷として終えるENDを
迎えるのである。
────転生真理亜としては、どちらも甲乙のつけがたい、極上の
どっちのルートも制覇したい、と、真理亜は、心底、苦悩している。
転生チート特典で、セーブ機能アリの〈死に戻り〉スキルをもらっておけば
良かった!、と、今頃になって、そう滅茶苦茶に後悔するほどであった。
さておき、ふたりを救うことに、迷いを見せる真理亜。
……真理亜は、心の根底に
“不幸になるのは自分ひとりだけで充分!
女の子たちは、みんな幸せになるべき!”
言葉の前半は、困惑するしかないものだ。
が、後半のほうは、人として真っ当な信念ではある。
そんな複雑骨折したような信念を持つ真理亜だから、基本、女の子の不幸など、
見過ごせるわけがなかった。
だが、それでも、迷う。
信念と同時に
……大切な破滅ルートを、ふたつも潰してしまって、よいのか────?
未来は、どう
可能な限り、残しておくべきではないのか…………?
不確実さへの保険を掛けることに、真理亜の心は、揺らいでしまう。
が、そんな自分の弱さに気づき、逆に、真理亜のふるえる
燃え尽きるほど
───────────────────────────────
断じて
YES!!! ロリータ!!! NO!!! タッチ!!!
たとえ変態だろうと、紳士の精神は、黄金なのだッッッ!!!
そんな奇跡など、起こりはしないというのか!?!?!?
─────いいえ、奇跡は起きますッッッ!!! 起こしてみせますッッッ!!!
女の子ふたりを不幸にしてまで掴む
そんなことでは、胸を張って
カッ!、と、目を見開き、真理亜は、そう覚醒した。
そうなった真理亜はもはや、
『美摩お姉様助けて!!! 助けてクレメンス(*2)!!!』とばかりに、
スライディング土下座する勢いで、美摩へ、可及的
求めるのだった。
『その
ガチ説教してくれるジュ●ー・アー●タは、どこにもいない。
原作本編テキストは、Hシーン以外、ほぼほぼスキップして覚えていないが、
設定資料集は、熟読している真理亜である。
霧絵と舞の幼少期に関する設定知識を、うまいこと美摩に伝え、
一掃することに成功。
ふたりの女の子は、無事、救われたのだった。
……これでふたつの破滅ルートが、潰れてしまったわけだが、転んでもタダでは
起きない、無駄にポジティヴなのが、この転生真理亜。
ふたりの女の子に、しっかりと、自分の顔を覚えておいてもらおうと、事件現場で
治癒魔法を掛ける係を、抜かりなく買って出ている。
『ふたりとも、心身共に健康状態のまま、普通に
私も入学するから、
待ってっからっ! ちゃんと未来で私を裏切ってネ! ジョイナス(*3)!』
そんな下心満々の笑みで、千倍チート魔力による治癒魔法を、ふたりに
これで裏切りフラグはバッチリだぜ!、と、真理亜は、豪快に胸を撫で下ろす。
────しかし、真理亜は、自分の容姿が、魔性の美貌を誇っていることを、
いまだに理解していなかった。
いかに自分本位で、
美幼女の清らかな
そんな微笑を、傷心の女児らが
(〈天使〉──────自分を救いに現れた、〈天使〉───────────)
ふたりの幼女の心には、真理亜の微笑が、そのように、はっきりと焼き付き、
刻み込まれたのであった。
そんなふたりが、救い主に対して、裏切りの
悲惨な過去を持つはずだったふたりの子らは、
絶対の忠誠心を
なっていようとは、まったく察知できていなかった。
裏切りフラグどころか、忠実な
カケラも気づくことなく、真理亜は、上機嫌である。
『よっしゃ決まったな! 風呂にでも入るか!』
ガッハッハッ!と、ひとり、心の中で高笑いする真理亜だが、のちに、
『どうして原作と差ができてしまったのか───。慢心、環境の違い……』
と反省することになるのを、この時はまだ知る
*1・ベーゼ:ドイツ語で“悪い”の意。ちなみにフランス語では“キス”の意。
*2・クレメンス:ラテン語で“慈悲深い”の意。
「許してクレメンス」でおなじみ。
*3・ジョイナス:“Join us.”のくだけた発音。
某元野球監督の蔑称ではない。
真理亜の心がヒートするあたり、書いててめっちゃ楽しかったッス~♪
ハイになりすぎてたカナ?と思わないでもない(^∀^;)