TS転生☆ドM悪役令嬢は、美事に破滅したい! 作:megajoy
……主人公がアレすぎて、書いてる本人も忘れそうですけども(^∀^;)
「……っ!!!
美摩の耳は、確かに、真理亜の、その悲鳴を拾っていた。
真理亜の呼び声が、気絶していた美摩に、覚醒を
その意識を明瞭とさせるには、至らない。
それでも、“母親”としての本能か、意識はなくとも、
『早く目を覚まさなければ!』
という焦燥感と衝動が、黒く沈んでいる意識の底で、もがき続ける。
だが、そうしても、美摩がはっきりと目覚めたのは、玄紺が立ち去って、
およそ一時間後のことであった。
思うように体が動かず、美摩は、テーブルを支えにして、よろよろと立ち上がる。
──────真理亜は、玄紺に連れ去られてしまったのか。
兎萌は、叶穂が連れて逃げたはずだが………、どれくらい時間が過ぎているのか。
広間には、電気の明かりが戻っていた。
しかし、屋敷の者が誰も、
いまだ玄紺に襲われた状態から、脱していない、ということであろう。
そう判断した美摩は、
ふらつく体を、無理矢理動かそうとした。
そこでふと─────テーブルの上に散らばっていた、メッセージカードが、
目に入る。
真理亜と兎萌が、チョレートと共に、美摩に差し出してきたものだった。
そんな場合ではないというのに、知らず、美摩は、弱々しい手つきで、
カードを開いていく。
【 】
【お母さまへ 】
【 】
【兎萌の、お姉さまといっしょにいたいというお願いを】
【聞いてくださりありがとうございます。 】
【学園に入学してお姉さまといっしょにがんばって 】
【いきますので、魔法をいっぱい教えてください。 】
【大好きです。 】
【 】
【 兎萌より】
【 】
【 】
【美摩お姉様へ 】
【 】
【お母様を亡くしたわたくしを、兎萌ちゃんと一緒に、】
【我が子のように育ててくださり、本当にありがとう 】
【ございます。お姉様のことは、いつも、もうひとりの】
【お母様のように思っています。お姉様に、真渡園家 】
【には、立派な娘がふたりいる、と思ってもらえる 】
【よう、これからも頑張ってまいります。至らない 】
【ところがありましたら、ちゃんと叱ってやって 】
【くださいましね。 】
【 】
【 愛をこめて 真理亜より】
【 】
ふたつのメッセージを読み終えたあと、美摩の目から、大粒の涙が、ポロポロと
「う、う、うううううううぅぅぅぅぅ────────────────!!!」
ふたりの子を、玄紺の魔の手から防ぎきれなかった、おのれの無力さと悔しさに、
美摩は、喉の奥から、無念の嘆きをほとばしらせる。
子供ふたり、まともに守れずして、何が
特に真理亜、あの子を、絶対に〈運命〉から守ってみせると、そう誓っていた
というのに………!
「うぅぅう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛───────────!!!」
美摩は、苦鳴のごとき声を上げて泣き、膝から崩れ落ちた。
暗い未来………その道で命を落とすかもしれぬというのに、すべてを守ろうと
決めている
その子の、助けにすらなれぬというのか。
流し続ける。
────────────〈力〉が欲しい。
真理亜、あの
涙に
美摩の体の
カキィィィィィィィィィィィィィィィィィ──────────────ン!!!
そして、けたたましい金属音が鳴ると同時に、黄金の光が、広間に満ちあふれる。
美摩は、涙に濡れた目を、見張った。
〈
〈鳳凰の杖〉
美摩は、驚くあまり、わずかの間、
(〈鳳凰の杖〉が、
そう思いかけた美摩だが、心の中で、その願望を、否定した。
(〈鳳凰の杖〉は、きっと、私を
涙を
────そうだ、なにを
“母親”ならば、すぐさま立ち直り、“子”を救うため、全力を尽くせ……!
美摩は、かっと両眼を見開くと、杖の
それから、意識を集中し、体内の異物を、
そのまま、〈鳳凰の杖〉が持つ、魔の存在だけを焼き払う浄化の炎で、玄紺が
美摩の体内に潜ませていた
「うぐぅっ……!」
さすがにその余波による内臓への損傷なし、というわけにはいかなかったが、
即座に治癒魔法を使い、肉体を全快させた。
美摩は、続けて、倒れている
「あがっ!? あっ、あっ、あぁ……お、奥様────?」
漱祗は、激痛と、魔法で癒される感覚で目を覚まし、自分を見下ろしている
おぼつかぬ意識のまま、呼びかけた。
そんな漱祗に
「んっ、んぅ───っ…………は、ぁ……お、奥様………」
「────真理亜がさらわれたわ。玄紺を、追うわよ」
唇を放し、漱祗と抱き締め合ったあと、美摩は立ち上がり、簡潔に、現状と、
次に取るべき行動を口にした。
漱祗は、数秒、目を
「承知いたしました。───
「そういうのは、あとよ。
可能な限りの武装を急がせなさい」
頭を下げる漱祗を制して、美摩は、最優先の指示を
「承知いたしました」
漱祗は再び一礼すると、いまだ気を失ったままの叶夜を起こしにかかる。
美摩は、自分の携帯端末を取り出すと、ひとつのアプリを起動させた。
GPS発信機の信号を、追跡するアプリである。
─────今夜、真理亜と兎萌に贈ったペンダントには、ふたりの安全のため、
最新の超小型GPS発信機を、仕込んでおいたのだった。
(まさか、贈ったその日に、機能を使うことになるなんてね)
万が一の時のために、と、安全の
それが即日、効果を発揮することになろうとは。
発信機が真理亜を救う
美摩は、
もし、真理亜と兎萌に、ペンダントを着けてあげていなかったら、こうして
意識を取り戻していても、真理亜の行方は一切わからず、
違いない。
おのれの防犯意識を、おのれで
端末の画面操作に集中した。
その直後、画面に表示された地図の場所に、驚愕する。
「この場所は────!?」
漆黒の闇………その空間に、青白い炎が
その炎に続けて、ひとつ、またひとつ、と、炎が生じていく。
青白い炎の列に照らし出された空間は、巨大な洞窟であった。
天井は
地面が整地されている以外は、すべて、天然の地下空洞である。
───────いや、ひとつ、明らかに、人の手による、構造物があった。
洞窟の
巨大な、両開きの
全幅は八メートルほどで、その高さは、十メートルはあろうか。
その巨大な石扉の前に、黒衣の男たちが、
その数、四十八人。
総じて、蛇を
その仮面の男たちが、突然、一斉に、ひざまずいた。
ゆらり、と、男たちの首領である、玄紺が、洞窟に姿を現したのである。
その両腕には、意識を失った美幼女……真理亜を抱えていた。
真理亜の身は、
「見よ。
〈器〉に捧げ、我らが〈神〉、
玄紺の言葉に、仮面の男たちの間で、感動のどよめきが広がった。
そう、男たちは、魔道秘密結社〈
〈
女性優位の社会を破壊することにあった。
その悲願が、今、まさに成就しようとしている……!
仮面の男たちの興奮は、かつてないほどに高まっていた。
「〈扉〉を、
玄紺が、高らかに命じる。
仮面の男たちは、すぐさま、古代魔法真言の唱和を開始した。
四十八人の、魔力のこもった詠唱に、巨大な石扉が、ゆっくりと、反応する。
ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ………
地響きのごとき音を立てながら、石扉が、左右に横滑りで開いていった。
……………石扉の開かれた、その中、その広大な空間に、
それは、赤黒い表皮の、
それらが、地面を、壁を、天井を──────すべて、埋め尽くしている。
触手群の表皮は、粘質のある液体を
照らされ、ぬらぬらとしたてかりを見せていた。
そのすべての触手は、おのれらの息づきを示すかのように、
およそ人が見るだにおぞましく、
「さあ、我らが〈神〉よ!!! 貴方様の新たな〈器〉にございます!!!
どうぞお受け取りくださいませ!!!」
玄紺が、触手の群れに向けて、真理亜の体を差し出して見せる。
すると、赤黒い触手が複数伸びてきて、真理亜の体を、絡め取った。
そのまま、扉の奥、おのれらの
向かって、伸び出ていった。
四十八人の男たちのその身に、赤黒い触手が、巻き付いていく。
その途端に、異変が起こった。
仮面の男たちの、魔法真言の唱和が、崩れていく。
────赤黒い触手に、男たちの生命力と魔力が、
吸い取られていっているのだった。
だが、それでも、男たちは、魔法真言の詠唱を
おのれの命を差し出して
その狂信に応えるかのごとく、扉の奥、触手の群れから、黒い
暗い闇の中にあって、なお黒い、その漆黒の
触手に絡め取られた、真理亜の体に──────
真理亜の体が、ビクン!、と、
「我らが〈神〉!!!
玄紺は、
……そう、この巨大洞窟の扉の先は、〈
秘密の
石室を埋め尽くす赤黒い巨大触手の群れは、魂の抜けた、
〈
それら触手群に、生命力と魔力を与えることで、〈
復活させる呼び水とし、その魂を〈器〉に
それが、この降臨の儀式であった。
真理亜こそが儀式に必要な、魔力に満ち溢れた“
黒の気流はいよいよ激しさを増し、無数の竜巻となって、真理亜の体へと、
流れ込んでいった。
触手に拘束された真理亜の体は、それを拒絶するように、大きく
あたかも、大嵐の海に翻弄される小舟のようだった。
やがて………………真理亜の体への、“黒”の流入が、終わる。
真理亜の体の
“────────────
真理亜の口から、真理亜のものではない声が、発せられる。
その声を耳にして、玄紺の顔に、勝利の笑みが浮かんだ。
千年以上の
〈
〈妖神〉が復活したー!?
うわー!もーダメだー!(@きくたけリプレイモブ)