TS転生☆ドM悪役令嬢は、美事に破滅したい!   作:megajoy

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勝った!第一部完!
……長編一冊分くらいで、いったん〆です(^ω^;)


M四〇 春告桜にドMの嵐!悪役令嬢の破滅はこれからだ!

見渡す一面は、ひと足早い桜の開花で、春の(いろど)りを見せていた。

穏やかに晴れ渡った空の(もと)、ゆったりと、風が流れる。

 

その風が、桜花(おうか)(その)を、柔らかに、吹き抜けていった。

春告桜(はるつげさくら)たちが、静かに、さざめき揺らめく。

 

────────玄紺(げんこん)襲撃の夜から、一週間ほど経った、二月下旬。

無数にある真渡園(まどぞの)()私有地のうちの、そのひとつ。

 

美摩(みま)は、その山へ、子供たちを、花見に連れ出していた。

 

花見、とは言っても、別荘に泊りがけの、小旅行である。

その目的は、子供たちの、気晴らしのためであった。

 

…………美摩は、あの夜、玄紺を滅ぼし、〈鳳凰の杖〉で、真理亜の意識を

回復させた時のことを思い出す。

杖の〈力〉を使った直後、真理亜は、昏睡状態にあったとは思えぬほど、

活力に満ちた様子で意識を取り戻した。

 

それだけではない。

元々(もともと)膨大な魔力をその身に宿していた真理亜だが、どうやら、さらに

途方もない量の魔力を得たようなのである。

 

それは、真理亜が昏睡から目覚めた時に、あふれほとばしった黄金の魔力光と、

その“圧”で、はっきりと知れた。

神導教(しんどうきょう)祭司長(さいしちょう)の推察通り、〈妖神(ようしん)〉が備えていた魔力を、取り込む

ことに成功したのであろう。

 

那由他(なゆた)の蛇〉の生き残りの証言から、真理亜が、〈妖神(ようしん)〉を、その聖性のみにて

討ち滅ぼしたことは、間違いない。

ひょっとしたら、〈聖女〉どころか、善なる〈女神〉の生まれ変わりなのでは

なかろうか──────。

 

美摩は、真理亜の持つ、想像を超えた聖性と魔力に、そんな妄想すら抱いてしまう。

加えて、魔力量の増大以外に、真理亜の成長……変化に、誰もが気づいていた。

 

(もと)より真理亜の容姿は、“美しい”という表現の似合う、優れたもの

であったが────あの夜以来、その美貌(びぼう)に、(みが)きがかかったのである。

まだ幼い女児だというのに、ただそこに()るだけで、(つや)ある異彩……色香を

感じられるほどの、妖艶(ようえん)な美しさへと、変貌(へんぼう)してしまったのだ。

 

この急激な成長は、〈妖神(ようしん)〉を滅ぼしたことが、原因であろう。

美摩は、すぐさま、祭司長に相談した。

 

これが、好ましい変化なのか、どうなのか、心配でたまらなかったからである。

だが、美摩の心配に対して、成長した真理亜を見た祭司長の反応は、

おおらかなものであった。

 

───〈神〉を倒したことで、真理亜さんの霊格が〈神〉に近づいたのでしょう。

 

〈聖女〉が(ひと)()きつける魅力を得ることは、喜ばしいことですよ。

むしろ、もっともっと、美しくなっていただかないと。

 

祭司長は、本気とも冗談ともつかぬ物言いで、おかしそうに笑ったのだった。

 

あまり心配しすぎぬように、との心(づか)いをしてくれたのかもしれないが、

美摩としては、祭司長の言うようにまでは、楽観視できない。

今の真理亜の美しさは、人を魅了しすぎてしまう、“傾城傾国(けいせいけいこく)の美”……

魔性(ましょう)の美”であるように思えてならないのである。

 

〈聖女〉の魅力とは、桁外(けたはず)れなものであって当然なのかもしれないが、

“母”としては、不安の種が、またひとつ、増えた思いであった。

 

そう、真理亜の変化といえば、さらに、もうひとつ。

昏睡から目覚めた真理亜は、美摩のことを、“お母様”と呼びはじめたのである。

 

玄紺の魔の手から守りきれなかったにもかかわらず、“母”と呼んでくれるのか。

そう面映(おもは)ゆさを感ぜずにはおれない美摩だったが、真理亜もやはりまだ

幼子(おさなご)なので、“母親”を求めているのであろう、と、何も言わず、

“お母様”呼びを受け入れることにした。

 

なにより、真理亜から、“母親”と認められ、(した)われだした(あかし)に思えて、

誇らしく嬉しい気持ちになる。

“母親”として自信がつく変化があった一方で、その自信自体が、揺らいでしまう

気がかりがあった。

 

実の娘、兎萌(ともい)が、(ふさ)ぎこんでしまったのである。

 

玄紺襲撃時、自分だけ屋敷から離脱し、避難したことについて、

思い悩んでいるらしい。

あの時の場合は、幼児である兎萌は避難して当然、と、美摩が、(さと)

(なぐさ)めるのだが、兎萌の気持ちが、上向きになる様子は見えなかった。

 

そのような一般的な論理で、兎萌を納得させることは、難しい話ではある。

なにせ、兎萌と同じ、幼児である真理亜が、〈妖神(ようしん)〉を滅ぼしたことで、

今回の事件を、ほぼ終息させてしまっているからであった。

 

〈聖女〉である真理亜と、兎萌(あなた)では、なにもかも違う。

そう言い切ってしまうのも、今の美摩には、躊躇(ためら)われた。

 

従姉(あね)の支えになると誓い、必死に努力する我が子のことを思えば、現実を

突きつけるだけでは、その後の成長に(つな)がらないように思えたのである。

そこで、美摩は、気分転換を兼ねて、家族で、花見の小旅行に出掛けることに

したのだった。

 

暗い気持ちは、楽しい思い出を作ることで、薄めてしまおう、という、

安直な考えであることは、美摩自身も、自覚している。

 

しかし、三月の頭には、真渡園(まどぞの)()主催の、(ひな)祭りの食事会が控えているのだ。

(おも)真渡園(まどぞの)()派閥の〈退魔法師(たいまほうし)〉らに、“家の子供の(ひな)祭りパーティに招待”という

形で、跡取りの娘たちを連れて顔見せに来させる、権力色の強い食事会である。

 

同時に、公的な場での、真理亜と兎萌の、初の社交界デビューの場でもあった。

実質的には、真渡園(まどぞの)()後継者の、お披露目(ひろめ)会とも言える。

 

一年前は、兎萌の“魔力操作不能症”のこともあり、開催するつもりはなかった

のだが、その悩みも解消されたうえ、なにより今年は、〈聖女〉である真理亜が

いるのだ。

しかも、〈退魔法師(たいまほうし)〉界ではすでに、“真渡園(まどぞの)()の〈鳳凰の双姫(ふたひめ)〉”と

呼ばれるほど、真理亜と兎萌の存在は、噂になっているという。

 

食事会の主役のひとりなのだから、当日までには、精神状態を持ち直して

いなければならない。

真渡園(まどぞの)()面目(めんもく)のこともあるが、美摩は、兎萌本人のために、そう思っていた。

 

(しぼ)んだ気持ちのまま、食事会に出席すれば、兎萌は、

ただの、真理亜の()え物だと、見損なわれてしまいかねない。

美摩の見立てでは、兎萌には、真理亜の足元にこそ及ばないにせよ、超一流の

退魔法師(たいまほうし)〉になれるほどの、才能がある。

 

〈聖女〉である真理亜が、異次元的に、別格な存在であるだけなのだ。

親の欲目というだけでなく、兎萌は、真理亜の側で(かす)んで済ませるわけには

いかない、逸材(いつざい)なのである。

 

かと言って、今、兎萌を叱咤(しった)して心に活を入れるのも、優しく励まして

心を(いたわ)わるのも、違うような気がした。

……それらでは、雛祭りの食事会での、兎萌自身の体裁(ていさい)を取り(つくろ)うだけの、

無理強(むりじ)いにしかならないように思えたのだ。

 

────どんなに歯痒(はがゆ)く感じても、兎萌自身が、おのれの心に向き合って、

明日に踏み出さねばならない。

 

自分の一生を()けてでも、従姉(真理亜)の助けになるのだと、涙ながらに誓った我が子。

兎萌なら、きっと、ひとりで奮起できる。

 

美摩は、そう信じていた。

とはいえ、不安が微塵(みじん)もない、というわけではない。

 

……だから、別荘にやってきてすぐに、真理亜が、(しと)やかな微笑(ほほえ)みと共に、

願いを口にしてきた時に、美摩は、安堵したのである。

ああ、これでもう大丈夫だろう、と。

 

なにもかも、真理亜に押し付けるような形になってしまうことに、申し訳なさと、

不甲斐(ふがい)なさを覚える美摩。

だが、真理亜こそが、兎萌にとって、最良の相談相手であろう、と、

確信していた。

 

美摩は、真理亜に、兎萌を(たく)す思いで、

ふたりを送り出すのだった…………………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お母様。お昼ご飯の前に、兎萌ちゃんとふたりで、お散歩してきても

よいでしょうか?」

 

別荘に着くなり、真理亜が、そう美摩に願い出てくる。

美摩は、それに、嬉しそうに笑顔で許可を出した。

 

叶夜(かなや)叶穂(かなほ)を連れて行きなさい。それと、あまり遠くへ行っては駄目よ」

 

「わかりました。行ってきます、お母様」

 

美摩から、(こころよ)く送り出されて、別荘から外に出る真理亜一行。

 

道々に連なる桜の木々と、野に広がる菜の花たちは、晴れやかに咲き誇っている。

桜色と、黄色の調和で、山の一面は、美しく(よそお)われていた。

 

しばらく歩いたところで、真理亜は、叶夜と叶穂に、振り返る。

 

「叶夜、叶穂。少しだけ、兎萌ちゃんと、ふたりきりにして頂戴(ちょうだい)。……大丈夫。

見えないところには、行かないわ。あそこの、大きな桜の木の下までよ」

 

「ですが、真理亜お嬢様───」

 

異論を挟もうとする叶穂を、手で制して、叶夜は、頭を下げた。

 

「承知(いた)しました。私たちは、ここでお待ちしております」

 

頭を下げる叶夜に、微笑んで見せる真理亜。

 

「ありがとう。それじゃあ、行きましょう、兎萌ちゃん」

 

「………はい」

 

兎萌は、伏目がちに、真理亜から手を引かれるまま、歩いていく。

普段ならば、新鮮な景色を見て、兎萌のほうがはしゃぎ、真理亜に話しかけ続ける

ところなのだが、兎萌は、口を閉ざしたままだった。

 

─────兎萌は、あの夜から、ずっと、おのれを責め続けている。

 

お姉さまを助ける、って言ったのに。

お姉さまとずっと一緒にいる、って言ったのに。

 

なのに、自分ひとりだけ、逃げ出してしまった。

 

なにより、思い出すだけで許せなくなるのが、あの時の自分である。

……恐怖に震えるばかりで、従姉(あね)に抱き着くことしかできなかった自分。

 

なにもできなかった、無力な自分。

その不甲斐(ふがい)なさには、今も、胸を()きむしりたくなるほどだ。

 

母である美摩は、兎萌には、まだ戦う術がなかったのだから、仕方がない、と、

(なぐさ)めてきたが、結果、従姉(あね)がひとりですべての敵を討ち滅ぼした、

という事実が、兎萌の心を、さらに重くする。

自分は、従姉(あね)にとって、足手まといにしかならないのではないか────。

 

『ただ真理亜のそばで生きていく、という軽い気持ちでは、それだけで、

真理亜の負担……邪魔になる』

兎萌は、以前、母である美摩から、はっきりと告げられた言葉を思い出していた。

 

ずっと、真理亜のそばで、生きていく。

決して、軽い気持ちなどではないつもりでいた兎萌であったが、自分の心が、

揺らいでいくのを、感じていた。

 

自分では、従姉(あね)に、着いていけないのではないか。

助けにも支えにもなれず、負担になるだけなのではないか……………………。

 

「────兎萌ちゃん、ほら、上を見て?」

 

従姉(あね)の声に、反射的に、顔を上げる。

 

見上げれば、光差す桜の天蓋(てんがい)

その花々と、広がる枝の隙間(すきま)から覗く、空の青。

 

いつの間にか、桜の大樹の下に、たどり着いていたのだ。

 

日常では見れぬその景色に、兎萌は、息を()む。

幼いながらに、その美しさに、感動したのであった。

 

「……こうやって見上げないと、見えない景色もあるのよね」

 

共に見上げる真理亜の言葉に、兎萌は、はっ、と、胸を突かれた思いになる。

────従姉(あね)は、あの夜以来、うつむきがちになっている自分に対して、

言っているのだ。

 

「こんなに太い幹になって、大きく枝をのばして、花をあふれるほど咲かせる

まで、どれほどの年月の、風と雨に耐えてきたのかしらね────────」

 

続けられた、従姉(あね)の静かな感嘆に、息つく間もなく、兎萌は、胸を突かれる。

 

そうだ。

このように、見事に咲き誇るこの桜の大樹も、初めは、きっと、小さな木だったに

違いない。

 

しっかりと根を下ろし、風に耐え、雨に耐え───花を咲かせては、散らせてを、

繰り返し………。

今、大きく、美しく、花を咲かせている。

 

従姉(あね)は、自分(兎萌)に、人間(ひと)も同じだ、と、示唆(しさ)してくれているのだ。

一度の難事に(くじ)けることなく、努力と精進(しょうじん)を続ける者こそが、強く、大きく、

成長できるのだ、と………………………。

 

兎萌は、ひとり挫折(ざせつ)感に(さいな)まれていた自分が、恥ずかしくなる。

同時に、従姉(あね)に対して、申し訳なくも、喜ばしい気持ちになってしまった。

 

従姉(あね)は、自分(兎萌)従姉(あね)と共に生きていくことを諦めることなく、

強く成長してくれると信じて、待っていてくれている。

弱い自分(兎萌)の心すべてを見透かしながらも、あえてはっきりと言葉にはせず、

この桜の大樹を引き合いに、“成長”するために最も大切なことを、

ほのめかしてくれたのだ────────。

 

兎萌の目から、大粒の涙が、こぼれ落ちる。

 

「………お姉さま───わ、私………………」

 

それだけ言ったところで、兎萌は、言葉を詰まらせてしまう。

いくつもの気持ちが先走り、兎萌の胸の中で混ざり合って、どれをどう、

明確な言葉にすればよいのか、頭が追いつかなくなったのだ。

 

「────ごめんなさい……お姉様………ごめんなさい────────」

 

ポロポロと涙をあふれこぼれさせながら、兎萌は、謝罪の言葉を口にする。

幼い兎萌には、それだけを言葉にするのが、精一杯であった。

 

真理亜は、涙を流す兎萌に、少し、驚いた顔をしたが、すぐに微笑(ほほえ)んで、

そっと、兎萌を抱き締めてくる。

 

「大丈夫よ、兎萌ちゃん────わたくしは、わかっていますからね………」

 

従姉(あね)の柔らかな抱擁(ほうよう)に、兎萌の胸の内で、複雑に入り混じっていた感情は、

晴れやかに吹き払われた。

兎萌の心に、もはや、一点の(くも)りもない。

 

自分(兎萌)は、一生、従姉(あね)と共に、生きていく。

涙をこぼしながら真理亜を抱き締め返す兎萌は、改めて、

そう硬く決意するのだった………………………………………………………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、毎度毎度、当然のことながら、真理亜は、美摩の葛藤(かっとう)や信頼など

知る(よし)もないし、兎萌の心情を(おもんばか)って成長のための示唆など、

まるで考えていない。

いつものように、単なる思いつきで、発言&行動していただけである。

 

はえー、マジで桜が綺麗やな~、よっしゃ、ここンとこ暗い顔しとる兎萌ちゃんを

連れ出して、ウェイウェイしたろ!

…………お昼前散歩の提案は、深い思慮(しりょ)からはほど遠い、

そんな脊髄反射(せきずいはんしゃ)的なノリによるものからであった。

 

一応、兎萌を気にかけての提案であるから、一概(いちがい)に考えなしと見做(みな)すのも

難しい、最高にめんどくさいところが、この真理亜の一挙一動である。

 

「……こうやって見上げないと、見えない景色もあるのよね」

 

この言葉も、特に深い意味をこめて言ったものではなく、文字通り、

思ったことを、そのまま口にしただけのものであった。

 

だが、現在の真理亜の外見的魅力は、生来の魔性の美貌に加え、

妖神(ようしん)〉の権能(けんのう)のひとつ、“強天位魅了(ごうてんいみりょう)”、(すなわ)ち、圧倒的上位存在として、

人を魅了してしまう霊格を、獲得してしまっているのである。

そのため、真理亜が頭カラッポのまま、なにげなく口にした戯言(タワゴト)までもが、

含蓄(がんちく)ある言葉に聞こえてしまうようになっているのだった。

 

兎萌が、良いように勘違いして、ひとり感銘してしまうのも、無理はない。

 

「こんなに太い幹になって、大きく枝をのばして、花をあふれるほど咲かせる

まで、どれほどの年月の、風と雨に耐えてきたのかしらね────────」

 

これも、桜が大樹となる、その成長過程への感慨(かんがい)などではなく、長い年月、

厳しい風雨に(さら)されてきた艱難辛苦(かんなんしんく)(うらや)む、真理亜のドM欲望(デザイア)から

口に出た言葉である。

かような変態的真意など知りようもなく、兎萌は、また、ズギャンと心を打たれ、

感動して、大粒の涙まで流してしまう始末だ。

 

はっきり言って、真理亜がもたらす、この勘違い発生症候群(シンドローム)は、

人類規模で大迷惑の、大問題である。

人類の大半を己の信奉者と化させ、人心を掌握し、世界の支配者となりかねない。

 

唯一の救いは、真理亜が、自身の圧倒的カリスマ性に気づいておらず、また、

気づいたとしても、それを悪用する可能性が皆無な、究極ドMの大変態であること

だった。

 

「────ごめんなさい……お姉様………ごめんなさい────────」

 

なにもかもが勘違いの中、兎萌による、突然の、涙ながらの謝罪。

真理亜は、それに対し、温かな微笑と抱擁で応える。

 

「大丈夫よ、兎萌ちゃん────わたくしは、わかっていますからね………」

 

当然、真理亜は、わかっていない。

 

ドMを目指す兎萌もまた、桜の大樹に“Mの波動”を感じ取り、はしたなくも

欲情してしまった。

そのことに対しての謝罪である、と、四次元殺法めいた勘違いをしている。

 

ええんやで~、やらし~こと考えてまうのも、人間の本能や、人間、み~んな

助平(スケベエ)なんやから、なんも恥ずかしいことあらへんかまへんメルヘン・メ●ヘン。

そんな、歴戦のドM大先輩として、兎萌を優しく抱き締めていた。

 

見なよ空は日本晴れ、オレたちドM姉妹を、祝福しているかのようだぜ。

などと、晴天まで巻きこんでの、勘違い狂い()きサンダーロード。

 

なにせ、真理亜のお気楽極楽脳内は、現在、

ノンストップ・サタデーフィーバーナイト状態。

 

うっかり〈妖神(ようしん)絶沌(たちふせ)と玄紺を倒してしまったようだが、美摩母さんや、

兎萌ちゃんたちに、今後、〈那由他(なゆた)の蛇〉関連で危害が及ぶことが

なくなったんで結果オーライ。

この調子でヒロインみんなを幸せにして、自分ひとりウマいこと破滅したるで~、

破滅フラグは、まだまだわんさか残っとるさかいな! ガッハッハッ!

 

────そのように、心の中で、呵々大笑(かかたいしょう)している。

 

しかし、真理亜は、気づいていない。

おのれが、その破滅フラグすべてを、余裕のよっちゃんで消し飛ばすことが

できるほどの、神的存在、〈半神〉と化してしまっていることに。

 

真理亜は、今や、ラスボスの〈力〉を得ているのだ。

 

致命傷を受けても即座に全快する、完全回復(フルリカバリー)能力に、

常に生命力と魔力を(みなぎ)らせ続ける自動回復(オートリジェネ)能力。

まさしく、〈神〉、チート(ズル)にも、ほどがある権能の数々を有しているのである。

 

限りなく〈不死〉に近いうえ、魔性の美貌に、神性の魅了の〈力〉を得て、

失われた古代魔法を無限に操る〈退魔法師(たいまほうし)〉…………。

もはや、今の真理亜を、物理的に倒せる存在はおらず、また、社会的に

真理亜を毀損(きそん)しようとする者など、出てくる可能性は、(ゼロ)に近い。

 

むしろ、完全無欠の〈聖女〉として(たた)えられ、信仰の対象とされていくに

違いなかった。

幼女であるこの時点で、(すで)に、破滅ENDは、彼方(かなた)のほうへと、

すっ飛んでしまっているのである。

 

そのような事実に気づくことなく、真理亜は、桜舞い散る中、呑気(のんき)呑気(のんき)

ケンタッキー。

兎萌を抱き締めながら、この晴天と桜の大樹に、無邪気な思いで、おのれの

満願成就(まんがんじょうじゅ)を、願い続けている有様(ありさま)なのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………悪役令嬢として、絶対、美事(みごと)に破滅したい!、と─────────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【幼少期編・完】




約一ヶ月の投稿にお付き合いくださり、ありがとうございます……
感謝……( ˘ω˘ ) 人

また、お気に入り登録&評価投票くださった方々、ありがとうございます!
感想くださったみなさま……嬉しかったぜ/// てんきゅ☆(@アマガミのもじゃ子)

続きはうっすら考えてるような……いないような……(^ω^;)
落ち着いたら活動報告に本作の今後とかイロイロ書かせてもらいます~
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