TS転生☆ドM悪役令嬢は、美事に破滅したい!   作:megajoy

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本日は二話更新です~
ゲーム世界転生モノは原作知識無双が王道!古事記にもそう書いてある(^ω^)


M〇七 唸るぜ原作知識!変態だてら紳士精神!

義母となる美摩(みま)が、未来への()兆候(ちょうこう)を見せだしている一方、

なにも考えていなかった真理亜も、義妹となる兎萌(ともい)について、思い出す。

 

(え~っと、兎萌ちゃんは確か、“魔力操作不能症”を主人公に解消してもらって、

恋人同士になったあと、邪悪な〈退魔法師(たいまほうし)〉の秘密結社に拉致監禁(らちかんきん)されて、

RIN-KANされちゃうんだっけ……)

 

前世で『(いと)しき花は門に咲く』シナリオ全ルートをフルコンプしている真理亜は、

目の前の幼女のたどる具体的な未来(ルート)も、当然、把握済みであった。

 

(主人公と恋人にならなくても、だいたい(ひど)い目に()って、

ヤンデレキャラになっちゃうんだよねー)

 

真理亜は、暗い未来が待っている兎萌を、じっと見つめる。

自分が散々(さんざん)無惨(むざん)な目に()うのはウェルカムだが、幼気(いたいけ)な女の子が

可哀相な末路を迎えるのはノーセンキュー!、と、心を痛めてしまうのが、

この真理亜だ。

 

『おまえはエロゲーで女の子が(ヒド)い目に()うのを(よろこ)んでたんだろう!』

というツッコミが入りそうだが、さにあらず。

前世において真理亜は、そのテのエロゲーの要所々々(ようしょようしょ)(意味深)では、

襲われるヒロイン視点で感情移入し、

ひとりハッスル(意味深②)していたものである。

 

“陵辱してほしいのは自分であって、他の()ではない!”

“不幸になるのは自分ひとりだけで充分!

 女の子たちは、みんな幸せになるべき!”

 

とゆー、自己犠牲的で女性尊重的、と呼べなくもない、

複雑骨折したような信条を、真理亜は、基本的に(いだ)いていた。

 

たとえ変態だとしても、決して紳士の精神を(ゆず)ることはない。

今世では、現在、幼女の姿だが。

 

その真理亜は、心の内で、兎萌の設定を再確認する。

 

(魔法が使えないせいで、美摩姐さんからもDV受けてるんだっけか。

そこを早く解消してあげれば、みんなHAPPYで埋め尽くして、

R.I.P(レスト・イン・ピース)まで行けるよねェ~)

 

そう思い立ったが吉日(きちじつ)、尋常ではないドMの行動力が、電光石火(でんこうせっか)だ。

 

「兎萌さん───突然で、ごめんなさい。……あなたは、魔力を、思うように

使うことが、できませんね?」

 

真理亜は、会話の流れをブッた()って、いきなり核心を口にする。

 

唐突に、幼女の切り出した言葉は、この場にいる一同を、等しく驚愕させた。

“魔力操作不能症”は、外見や、魔力を感じ取る感覚だけでは、

簡単に見抜くことができない症状だからである。

 

「真理亜、何故、そう思ったの……?」

 

驚きで声を出せない兎萌に代わって、美摩が、端的にそうたずねた。

 

「思った、というか────うまく説明できないのですけれど、そうである、と、

理解しているのです」

 

「理解……? どういうことなの……?」

 

「申し訳ありません、美摩お姉様。理解している、としか、言えません。

他の言葉で説明するのは、難しいのです」

 

美摩の質問を、真理亜は、困ったような表情を浮かべ、適当にごまかした。

『この世界は好きなエロゲの世界なんで、原作知識ッスわー!』とは、

さすがにこの真理亜でも口にできない。

 

この返答が、前世の容姿、オタク中年男性によるものであったなら、

美摩からのさらなる追求は、(まぬが)れなかったであろう。

だが、幼女ながら、(たぐ)(まれ)な真理亜の美貌が、美摩に、

それ以上の質問を思い(とど)まらせた。

 

真理亜を、不用意な言動で追い詰めるような真似はしたくない、

と、無意識のうちに口をつぐませてしまったのである。

 

「………美摩お姉様。わたくしなら、兎萌さんの(かせ)(はず)すことが、

できるかもしれません」

 

(かせ)───?」

 

「はい。それが、兎萌さんが魔力を使えない理由です。……今日、初めて会った

わたくしを、信じることは、できないでしょう。けれど、どうか、これから

わたくしが兎萌さんにすることを、手を出さずに、見守っていただけませんか?」

 

「それは……なにか危険なことをするつもりなの?」

 

「いいえ。兎萌さんが怪我(けが)をするようなことは、決してありません」

 

そう言い切る真理亜の目を、美摩は、じっと見つめる。

見つめ返してくる真理亜の目には、一切の揺らぎがなく、

確信に満ちているように見えた。

 

「────わかったわ。兎萌の症状が改善されるなら……是非、やってみて頂戴(ちょうだい)

 

「ありがとうございます」

 

美摩の返事に、真理亜は微笑んで、ベッドから下りる。

そのまま、兎萌の前まで近づいていった。

 

「兎萌さん。両手を開いて見せてください」

 

「え……?」

 

「こういう風に。はい」

 

真理亜は、にこりと笑って、胸の高さで、両(てのひら)を広げてみせる。

 

「こ、こう────?」

 

真理亜に(なら)って、兎萌は、おずおずと、自分も両(てのひら)を広げた。

 

「そう。そのまま」

 

言いつつ、真理亜が、自分の(てのひら)を兎萌の(てのひら)に合わせ、指を絡ませる。

兎萌は、その真理亜の行動に、雷に打たれたがごとく、全身を強張(こわば)らせた。

 

誰かと真正面から両(てのひら)を合わせ、指を絡めることなど、幼女の兎萌には、

初めてのことだったからである。

メイドの叶夜と手を握ることはあっても、同年代の幼女、しかも、見惚れるほど

美しい女の子からこのように手を密着させたことなど、一度もなかった。

 

緊張と恥ずかしさで、兎萌は、頭が真っ白になる。

 

「目をつぶってください。────大丈夫。なにも、怖くありませんよ」

 

そう微笑んで、真理亜は目をつぶってみせた。

兎萌は、なにも考えられず、言われたとおりに、自分も目をつぶる。

 

それから、ゆっくりと、真理亜が、自分の額を、兎萌の額に、くっつけた。

目をつぶっていた兎萌は、一瞬だけ、ビクリと肩を振るわせる。

 

「驚かせてごめんなさい。……でも、これからなにを感じても、絶対に手を放さないで」

 

「は、はい、おねえさま……」

 

真理亜にそう囁かれた兎萌は、気弱そうな声で、そううなずいてみせた。

 

兎萌の心の中では、わずかだが、不安と恐怖がざわついている。

しかし、兎萌は、出会ったばかりだというのに、不思議と、真理亜に、

強い安心感を覚えていた。

 

原作設定による魔性の美貌と、転生真理亜の、物怖じしない、

大人びた態度の勝利である。

 

「────今から、わたくしの魔力を、兎萌さんの体に、流しこみます」

 

その真理亜が、静かに、だが、宣言するように、そう口を開いた。

 

美摩、漱祗、叶夜、叶穂らは、困惑しつつも、事態を見守る。

四人も、兎萌と同様に、真理亜に対して、不思議な安心感を抱いていた。

 

だが、次の瞬間、全員、戦慄する。

かつて感じたことのない魔力を、真理亜から、感じ取ったのだ。

 

真理亜が解放した魔力は、体をまとう強い燐光となって、可視化できている。

文字通り、目に見えてわかる、真理亜の魔力の強大さであった。

 

(……!? これだけの魔力を、子供が!? ありえない────!!!)

 

美摩は、(めい)からほとばしる魔力の質と量の感覚に、息を呑む。

退魔法師(たいまほうし)〉有力派閥・御三家(ごさんけ)真渡園(まどぞの)()現当主の自分を

上回るほどの魔力を保有していると、本能で直感させられたのだ。

 

【娘の真理亜には、破格の魔力が、その身に宿っています。         】

【私の見立てでは真渡園の歴史上でも、類を見ないほど、いえ、日本の歴史上、】

【最高の魔力を持つようになる可能性がある、と確信しています。      】

 

美摩は、手紙に書かれていた、姉の言葉を思い出していた。

手紙を読んでいた時点では、真理亜から強い魔力を感じなかったので、

真理亜が成長してからの話であろう、と、その点については、

気に留めていなかったのだが────────。

 

(これほどの魔力を、ひとりの人間が持ちうるなんて……!)

 

戦慄を通り越し、美摩が恐怖すら覚えるのも、無理はない。

 

すべては、この真理亜が転生するにあたり、〈女神〉ルキミステルが与えた、

魔力百倍チートが原因である。

 

……原作設定での、悪役令嬢・真渡園真理亜が本編スタート時点で

保有する魔力は、通常成人女性の百倍ということにされていた。

これが、真理亜が幼女である現時点だと、一桁下がって、通常成人女性の十倍。

 

そこにうっかり、〈女神〉の転生特典が()ってしまったから、さあ大変。

一〇(じゅう)×(かける)一〇〇(ひゃく)のゆ●理論で、通常の千倍POWERとなっていたのである………!

 

『どーせ自分じゃ比較できっこないから、チート魔力つけてもバレやせんだろう』

そんな〈女神〉ルキミステルの思惑どおり、

自分の魔力量がそのようなトンデモ数値になっていようとは、

まったく思ってもいない真理亜であった。

 

「さあ、行きますよ、兎萌さん─────」

 

なにも考えず、目の前の女の子を助けたい、と願い、行動する。

───ここだけ見れば、この真理亜は、確かに変態ではあるが、善良な幼女には

違いない、と言えるのかもしれなかった。




『たとえ変態だとしても、変態と言(以下略)』
これは漫画史に残すべき名言ですゎ……( ˘ω˘ )
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