ホロウ内部調査記録… 作:MEGATOON
んーでもノルムーほちい…(´・ω・`)
今回からオリ主人公の事を載せてこうと思います(`・ω・´)ゞ
【ゲイル】:幼い頃に両親が他界。その後は学校に行くことなくホロウ調査員として生きる道を選んだ。とある特殊な依頼からからエレンと知り合う事になって…
夏を迎えた新エリー都の午後は、アスファルトから陽炎が立ち上るほどの熱気に包まれていた。六分街の裏路地。直射日光を遮るビルの影に、【エレン・ジョー】は長いサメの尻尾を気怠げに揺らしながら、ベンチに深く腰掛けていた。
「あー…暑い…非番の日くらいホロウの冷気で冷やされたいんだけど…」
口に咥えたロリポップキャンディをガリッと噛み砕き、不機嫌そうに呟く。そんな彼女のすぐ隣に、音もなく影が落ちた。
「……熱中症で倒れられても困る。ほらよ」
低い抑揚のない声。
声をかけてきたのは、学校に通わずホロウ調査員として裏社会で名を馳せているらしい青年【ゲイル】だった。
ゲイルは感情をあまり表に出さない「ザ・仕事人間」らしいのだが、なぜかエレンの非番の日の「要求」にだけは、こうしてぶっきらぼうに付き合ってくれ、顔も緩むのだ。
差し出されたのは、表面に水滴をびっしりとつけた冷たい炭酸飲料の缶。
「……遅いんだけどゲイル、あたしを何分待たせたと思ってんの」
エレンはジロリと彼を睨みつけたが、ゲイルは表情一つ変えずにその隣へ腰を下ろした。
「お前が提示した時間の3分前だ。お前が気の早いサメなだけだろう」
「なによそれ……まあいいわ。あ〜…冷たいから許してあげる」
エレンは缶を首筋に当てて、気持ち良さそうに目を細めた。今日の彼女はラフな私服姿で、いつものメイド服の時よりもどこか無防備だ。ゲイルはそれを一瞬だけ一瞥すると、すぐに視線を前に戻した。そのクールな横顔に、エレンは少しだけ不満を覚える。この男は、いつだって氷のように冷徹で、何を考えているのか読めない。
「あ、今からあんたの家行っていい?」
「唐突だな、別に構わんが」
ただ、彼はエレンのこういった要望は殆ど応えてくれるため、エレンも自分自身のことを悪く思われていないことは分かっていた。
ゲイルの家の冷房は、エレンの火照った肌を冷やすには十分すぎるほど効いていた。しかし、ゲイルの腕にしがみついたままのエレンの不機嫌の温度は、下がるどころかむしろ急上昇している。
「……ちょっと、ゲイル。なんでスマホ見てるわけ?
あたしを見てよ…」
エレンはゲイルの肩に頭を預けたまま、彼の手元中で淡く光った携帯端末を睨みつけた。サメの尻尾が、不満を証明するようにゲイルの脳天をペシペシと叩く。
ゲイルは表情一つ変えず、空いた方の手で画面をスワイプした。暗い液晶に映し出されたのは、ホロウの警戒区域内で発生した緊急の物資回収依頼のデータだ。
ホロウ調査員として信頼されている彼のもとには、時折こうした「即応」を求められる【高額】な案件が舞い込んでくる。
「……依頼だ。ホロウ外縁部のルートの歪んだ先にブツがあるらしい。今すぐ出ないと、境界線が閉じる」
淡々と告げるゲイルの声には、私情を挟まないホロウ調査員としての確固たるプライドがあった。彼はエレンの体をそっと引き離し、立ち上がろうとする。
「はぁ?! 冗談じゃないんだけど!?」
エレンはさらに力を込めてゲイルの腕を引っ張り、ソファーへと引き戻した。普段の気怠げな態度からは想像もつかないほど強い力だ。口に咥えたロリポップの棒を思いきり噛み締めながら、ムスッとした顔でゲイルを見上げる。
「あんた、さっき今日の残りの時間はあたしに付き合うって言ったよね? 『午後は予定無い』って、自分の口で言ったじゃん。嘘つき…」
「嘘を言ったつもりはない。だが、これは緊急事態だ」
「知らない。あんたへの依頼なんて対策室の連中にでもやらせとけばいいでしょ。なんでよりにもよって非番の、しかもあたしといる時間にわざわざ行くわけ?」
完全にヘソを曲げたエレンは、ぷいっと顔を背けてしまった。
いつもなら「仕事なら仕方ない」と割り切るドライな彼女が、ここまであからさまに感情を剥き出しにして引き止めてくる。
それはゲイルに対する甘えであり、彼女なりの最大限の「離れたくない」という意思表示だった。
ゲイルは立ち上がるのをやめ、背を向けたエレンの細い肩を見つめた。いつもクールな彼だが、自分のためにここまで怒るサメの少女をただ突き放すほど無情ではない。
「……エレン」
「何よ。早く仕事に行けば?」
「1時間だ」
低く、しかし確信に満ちた声がエレンの耳に届く。
「外縁部のデータはすでに頭に入っている。突入から回収、脱出まで、1時間以内にすべて終わらせる。……だから、ここで待っていろ」
「……は? 1時間とか盛ってんじゃないの?」
エレンが疑り深い目で振り返る。ゲイルはいつものクールな表情のまま、彼女の前に片手を差し出した。
「俺が依頼の時間を読み違えたことがあるか? 終わったら、その足でここに戻ってくる。お前の好きな限定のイチゴタルトでも買ってな」
「っ――、子ども扱いしないでってば!!///」
エレンは顔を赤くしながらも、差し出されたゲイルの手を、自分の両手でぎゅっと握った。その手のひらは、冷たい風貌に反して驚くほど温かい。
「……約束だからね。1分でも遅れたら、あたしの尻尾で本気で叩き出すから。あと、タルトは2個」
「ああ、約束する」
ゲイルは小さく口元を緩めると、彼女の手を優しく握り返し、今度こそ静かに席を立った。
扉が閉まる音を聞きながら、エレンは「先程までゲイルが被っていた毛布」で顔を隠した。
文句を言いつつも、彼女の口元は少しだけ緩んでいる。
時計の針を見つめながら、黒髪のサメは、自分を誰よりも甘やかしてくれる青年の帰りを静かに待ち始めるのだった。
「………待って……ふふ♪いいこと思いついたかも♪」
否、待ち始めたわけでは無かったようだ。
ホロウ――それは都市を蝕む超自然災害であり、物理法則が捻じ曲がった危険地帯。
ゲイルが引き受けた緊急依頼の現場は、旧市街の地下鉄跡地だった。かつては人々の足だった場所が、今はエーテル濃度が極めて高い、不気味な静寂に包まれた迷宮と化している。
(……全く、バカ正直に1時間なんて言うから、気になってきちゃったじゃん)
ゲイルが去った彼の家から、徒歩で数十分。ホロウの外縁部、立ち入り禁止区域のフェンスの影にエレン・ジョーの姿があった。
臆することなく、大きな鋏を一応持ちながら彼女はホロウ内部に足を踏み入れた。
ホロウの内部は、外とは空気が違う。
澱んだエーテルが紫色の霧のように漂い視界を遮っている。その霧の奥、地下鉄の入り口付近にゲイルの背中が見えた。
「……周辺のエーテル濃度、基準値内。歪みは……北東方向へ15度」
ゲイルは淡々と、誰に聞かせるでもなく呟きながら、端末を操作している。
彼の周囲には、感情の機微など欠片も存在しない。冷徹なまでに無機質で、無駄のない動き。ダイナーでエレンの我儘に付き合っていた時とは、完全に別人の真剣な「調査員」の顔だ。
エレンは息を潜め、その様子をじっと見つめる。
(……あいつ、やっぱり仕事の時はあんな顔するんだ)
胸の奥が、少しだけチクリと痛む。自分の知らない、ゲイルのプロとしての顔。それは、彼女を甘やかす時の、あの不器用な優しさとは対極にある、氷のように冷たい顔だった。
端末を操作し、組織から配布されているであろうホロウ内部を弄ることのできる機械を操作しているゲイル、彼の後ろに大きな影が見えた。
―――エーテリアスだ
(ゲイル……っ!)
エレンの手が、無意識にフェンスを強く握りしめる。
気づいていないのか、それともあえて無視しているのか。行くべきか、行かないべきか…?
そう考えている間にもゲイルとエーテリアスの距離がぐんぐん迫っていく…
しかし、エレンの心配は無用だった。
ゲイルは背中のエーテリアスに、ノールックで自身の愛用している武器【M-34 バルカン】の焦点を弱点に向けて合わせた。
カシャ、という静かな引き金を引く音…
次の瞬間、ホロウの静寂は乾いた銃声によって切り裂かれた。
「――邪魔をするな」
ゲイルは最小限の動きで銃弾を放つと、ゆっくり後ろを振り向いた。視界に認識したのは5体…全てのエーテリアスを正確に、躊躇なく撃ち抜いていく。敵の動き、弱点、すべてを計算し尽くした冷徹な死の舞踏。
弾丸がエーテルに満ち溢れた霧を突っ切り、エーテリアスたちが次々と光の粒子となって霧散していく。
(………)
エレンは、言葉が出なかった。
あまりにも冷徹で残酷なまでの強さ、両親のいない彼はこうすることでしか生きられないことを知っている。きっと必死に努力したのだろう…
(……あいつ、こんな危ない事してたんだ)
正直な話、エレンは「ホロウ調査員」とゲイルから聞いた時、複数の調査部隊でエーテリアスのいない地域でホロウ内を観測する仕事かと思っていた。
だがまさか生死の天秤の上にいるなんて…
最後の侵蝕体が倒れた瞬間、ゲイルは銃を収め、端末に目を戻した。
「……目標完了。脱出ルート再計算」
彼の声は、一連の戦闘の後でも、微塵も乱れていない。
彼の頭には予定通り1時間以内にすべてを終わらせ彼女のもとへ戻る、それだけしかない。
エレンはふっと、握りしめていたフェンスから手を離した。
(何か…あたしがバカみたい…)
口ではそう毒突きながらも、彼女の心の中の不機嫌の雲は、すっかり晴れ渡り、口角も吊り上がっていた。
彼の仕事、それは誰かを守るためのものだ。
そして彼の冷徹な仮面を脱がせることができるのは、新エリー都でただ一人、自分だけだということを彼女は知っている。それがたまらなく嬉しいのだ。
(……タルトは2個じゃ足りないかも。3個、いえ4個奢らせないと。……早く帰ってきなさいよねゲイル)
エレンは、もうすぐ1時間を示す時計の針を見つめながら、ゲイルよりも先にゲイルの家へ戻るべく、静かに立ち入り禁止区域を後にしようとする…
「……何をしている、エレン」
「ひゃんっ!?」
聞き馴染みのある声が鼓膜を叩いた瞬間、エレンは飛び上がるほど驚いて振り返った。瞬間肩に何かが乗っかる感覚に、心臓をバクバクと高鳴らせながら目の前に立つ調査員の仮面を外したゲイルを睨みつける。
「げ、ゲイル……!バレてた…? 脅かさないでよ…!?///」
「脅かしてはいない。立ち入り禁止区域に一般人が忍び込んでいるのを見つけただけだ。……大人しく俺の家で待っているんじゃなかったのか?」
ゲイルは腕を組み、深紅の瞳でエレンを見下ろした。
エレンはバツが悪そうに視線を四方八方へ彷徨わせ、咥えていたロリポップを再度ガリッと噛み砕く。
顔がみるみるうちに赤くなっていくのが、薄暗いホロウの中でもはっきりと分かった。
「……別に、あんたのこと心配して来たわけじゃないし…!///ちょっと散歩してたら、たまたまここに着いただけ…! ///
だから…
「散歩でホロウの境界線に来る奴がいるか」
う…うるさい!/// あたしが来るって言ったら来るの! ///」
正論である。エレンはぷいっと顔を背けながらも、ゲイルの体に傷がないか、チラチラと盗み見るように確認してくる。その不器用な優しさに、ゲイルの胸の奥の氷が、また少しだけパキリと音を立てて割れた。
ゲイルは一歩足を踏み込み、エレンとの距離を詰めた。
「……怪我はない。言っただろう、1時間以内に終わらせると。お前との約束を破るほど、俺はヤワじゃない…♪」
そう言うと、微笑みながらゲイルは手袋を外し、エレンの少し冷たくなった頬にそっと手を添えた。
「っ――!///」
エレンの身体がびくりと強張る。しかし彼女はその手を拒むことなく、むしろゲイルの温かい手のひらに、吸い寄せられるように自分の頬を預けた。
「……バカゲイル…///平気でそういうこと言うの、本当にやめてってば…!///」
エレンは潤んだ瞳でゲイルを睨みつけ、仕返しとばかりに彼の胸元に頭を預け、その衣服をぎゅっと掴んだ。
「エレンお前何して…」
「黙ってしばらくこうする!…おとなしく補充されてればいいの…」
しばらくホロウの中でエレンはゲイルに抱き着き続けた。
「ん、ほら仕事は終わりでしょ?約束通りはやく戻る、タルトは4個。
そ、それと……帰るまで…」
エレンは顔をほんのり紅く染めつつ、人差し指と人差し指でツンツンしながらゲイルをチラチラと見る。
「…その…手…繋いで…///」
「え?何だって?」
「聞こえてるくせに…!!///」
尚、ゲイルはちゃっかり2個増えていることには触れなかった。
ゲイルは何か不満気に文句を言ってくるエレンを軽くあしらいながらながらも、エレンの細い指に自分の指を深く絡ませた。
ホロウ調査員の顔はどこへやら、今の彼の表情は、世界で一番甘い砂糖に溶かされたように、優しく緩んでいた。
書いて欲しいキャラとかいたら頑張るかもしれないんで教えてくだちい(´・ω・`)
んー次はなぎ姉かなぁ…