ダンジョンに才能を求めるのは間違っているだろうか? 作:なつきのぞ
オラリオ。
迷宮都市最強と謳われる都市には、かつての英傑達の姿はなく、ロキファミリアとフレイヤファミリアの2大派閥があった。
ロキファミリアには一人異質な少女がいる。
白銀の髪は腰まで流れ、透き通るような肌。
宝石のような蒼い瞳。
誰もが息を呑むほどの美貌を持ちながら、その瞳には光が無く、吸い込まれるような蒼が広がっていた。
彼女の名はリアン。
ロキ・ファミリア所属のレベル8の冒険者だ。
都市最強。その肩書きだけでなく、世界最強の人類とも言える。
その名はダンジョンのあるオラリオだけに留まらず、学区や遠い国々にまで知られている。
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「……もう今日は帰ろう、」
深層。
床には巨大なモンスターだった魔石が積み重なっている。
リアンの身体には傷が無く、「黒」がリアンの身体を覆っている。「黒」に幾つもの「眼」があり、リアンの片目は重瞳となっている。
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昔。
リアンには誰よりも才能がなかった。
剣も。
魔法も。
体術も。
誰よりも努力しても届かない。
ファミリアの皆は誰もリアンを笑わなかった。でも、リアンにはその気遣いこそが、苦痛だった。
そんなある日。
リアンに魔法が宿った。
《リィンカーネーション》
転生。
魂を別の存在へと繋ぐ奇跡。
魔法を発動する事で枝を生み出し、その刃を以て自らの首を切る。
自分に前世が無ければ、あるのは死のみ。
ロキやファミリアの仲間達は反対した。
しかし、少女は止まらなかった。
枝で自らの首を切る。
次に目を覚ました時には、その身に宿った以前では想像もつかない万能感と傍らで眠るロキの姿があった。
リアンが呼び起こした才能は、かつて異世界に存在した最強の武人。
項羽のもの。
その魂に宿る才能。それは「万象儀」として少女の力となった。
少女は人ではなくなった。
ただ強く。
ただ壊し。
ただ傷つける化け物へと変わってしまった。
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ロキ・ファミリア。
遠征から戻った団員たちは豊穣の女主人で騒いでいた。
「リアンは?」
ティオナが姉に尋ねる。
「また一人で帰ったわよ。」
「んなのいつもの事だろうが。おい、酒持ってこい!!」
ベートはリアンの事よりも、店員に酒を求めている。
誰も彼女を気にしない、
近寄らない。
少女は誰とも話さない。
誰にも笑わない。
必要最低限しか言葉を交わさない。
唯一。
その姿を静かに追いかける少女が居た。
金色の髪を持ち、レベル5の冒険者、ロキファミリアの
「剣姫」アイズ・ヴァレンシュタイン。
彼女もまた強きを求め、第一級冒険者となった今でも強さを求める冒険者だった。