ダンジョンに才能を求めるのは間違っているだろうか? 作:なつきのぞ
「リアン、私についてきてね」
「う、うん。…でも良かったの?、リヴェリアさんにも何も言わずにダンジョンに来ちゃって」
アイズとリアンは現在、ダンジョンの7階層に来ていた。
レベル3のアイズとレベル1のリアン、アイズのレベル的にはなんら危険はない為、あまり深く考えていなかった。
「はぁぁぁぁ!」
リアンが剣でキラーアントと交戦する。
アイズは少し離れた位置で何時でも助けに入れるようにしていた。
その後もモンスターを狩り、魔石が袋一杯になったタイミングで今日は帰ろうとした時だった。
ダンジョンが鼓動する。
鳴いている。
そして、ソレを生み出した。
正しく
だが、アイズもレベル3の冒険者。二度も器を昇華させたその身体には突如として出現したモンスターに臆することなく肉薄する。
ミノタウロスの推定レベルは2〜3、アイズ一人で十分対処できる。
・・・・・・筈だった。
アイズは高速でミノタウロスに切りかかるが刃が通らない。
元々ミノタウロスの肉は断ちにくいとされているが、異常なまでにアイズの攻撃が通じなかった。
そしてミノタウロスの剛腕がアイズを捉えた。
推定レベル4からの攻撃、アイズは一気にダンジョンの壁まで殴り飛ばされた。
「アイズ!、」
そしてミノタウロスの瞳は、端で腰を抜かしていたリアンを捉えた。
「ひっっ、こ、来ないで!」
リアンは手に持つ剣をがむしゃらに振るうが、レベル1のリアンの悪足掻きなど歯牙にもかけず、その距離は狭まっていく。
(どうする?!、どうするどうする?!、この状況を脱するには、!倒す?・・・いや、無理だ。アイズが勝てなかった相手に、私が勝てるわけない。でも、私が何かしなきゃ、アイズもこの怪物にやられる。、!
何か、何か手段は!、───魔法は?、私には魔法がある。リヴェリアさんとアイズには使うなと言われたけど、今はそんな事言ってる暇はない!)
─《花が散る 愚者の謂れ 聖者の謂れ 堕ちた英雄 錆びた剣に役はなく
錆びた私に役はない 神よ、愚かだと貶すがいい 過去に縋る私の姿を
【リィンカーネーション】
その瞬間、ダンジョンから光が立ち上った。本来有るまじき魂に干渉する魔法。
その光はまるで神が天界へ還ったようで、、その光は魔法の成功の証でもあった。
「リ、リアン?、、、」
意識を失っていたアイズが目を覚ました時、彼女が目にしたのは見慣れた天井、ロキファミリアの黄昏の館、そのアイズの部屋だった。
「アイズ、目が覚めたのか…お前は5日も意識がなかったんだぞ」
「リヴェリア!、リアンは?!リアンはどこ?!私ダンジョンでミノタウロスに……」
アイズがリアンの居場所を聞くが、リヴェリアはただ顔を伏せるだけでアイズの質問に答えてくれない。
「─ッッ!」
アイズが身体が痛みで悲鳴をあげるのを無視してベッドから起き上がろうとする。
「止めろアイズ!お前は暫く安静にするんだ。……私が言葉足らずだったな。大丈夫だ、リアンは無事だ」
この言葉を聞いて、アイズも力を緩める。
「本当に?、本当にリアンは無事なの?」
「あぁ」
「リヴェリア、誰があのミノタウロスを倒したの?」
「リアンだ。」
「え?、」
「リアンがミノタウロスを討伐した。」
「─でもっ、リアンはレベル1で、他のモンスターにも苦戦してたのに、!」
その時、アイズの脳内で。一つの仮説が立てられた、
(─魔法、魔法だ。もしリアンが魔法を発動して成功していたら?いや、だとしてもあのミノタウロスを倒せるくらい強くなれない?、)
「アイズ、お前も薄々勘付いただろう?、そう、リアンが魔法を使った。
そして成功した。
私達が辿り着いた時にはモンスターの魔石とアイズを抱えるリアンだけだった。」
「リヴェリア、リアンは今どこ?」
「今は治療を終えてロキの元でステイタスを更新している筈だ。」
「……待てアイズ、リアンに会うならばこれだけは守って欲しい。
どうか、今まで通りに接してやってくれ。
リアンは変わった。だが、中身はこれまでと同じく優しいあの子のままなんだ。」
「...うん、私とリアンは友達だから」
「そうか、」
──────────────────────────
「なぁ、リアンたん。もう魔法で得た力はステイタスを更新せんでも身についとる。もしかしたら他のスキルが発現しとる可能性もあるんや。本当にステイタスを更新するんか?、もう、ダンジョンに拘らんでも……」
「ロキ様、やって下さい。私はもう決めたんです。」
「分かった。、でも、もっとウチらを頼ってくれてええんやからな…。ウチらは家族なんやから。」
「じゃあ、やるで。」
リアン
Lv1
力 : I 327→546
耐久 : I 510→621
器用 : I 310→411
敏捷 : I 240→324
魔力 : I 0→0
《スキル》
【廻り者〈罪人格〉項羽】
・万象儀
・“黒”の支配
・“黒”で覆った物の支配
・最終的に傷つけること、その過程の自由
【⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎】
・⬛︎⬛︎⬛︎に命掌握
・絶対不可侵
・⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎からの加護
【
・魔法スロットの消失
・消えない花弁
・理から外れし者
【資格を得た者】
・獲得経験値増加
・器の拡大
「...なんやコレ、」
(魔法スロットの消失?!、それに、資格を得た者ってなんや?!それに、文字化けして読めへんし!絶対不可侵って何や!チートにも程があるやろ!...でも、それよりも、……罪人格やったか、、、
コレはリアンたんには見せられへん。どうすれば、、、)
「あっ、」
リアンがステイタスの紙をロキから取り上げる。
「やっぱり、罪人格だったんだ。それにこの花弁も...」
「や、やっぱりって、リアンたんは自分でわかっとったんか?」
「うん、何となくだけど。初めてこの力を使って分かったんだ。コレは傷つける為の物だって。助けるために使えない。」
「何や、それ... そんな訳あるかいな!実際リアンはアイズを救ったやろ!そんな自嘲的にならんでいいやろ!ウチは言ったで!ウチらは家族やって!」
「……ありがとうございますロキ様。でも、怖いんです。...だから、私は私なりに行動します。」
「その考えは変わらないんやな?、」
「はい、」
「分かった!、でもこれだけは覚えてるんや、リアンたんはウチらロキファミリアの家族や」
「はいっ!」
リアンはロキの主神室から飛び出していく。
「はぁっ、」
(全く、初めての我儘がこれかいな。
でも、優しいあの子なのは変わっとらんな)
───────────────────────────