ナイトシティを喰らう 作:高濃度補給剤ぶんぶん丸
リカルド・エドワーズ:白髪交じりの青緑のドレッドヘアの黒人。元中小コーポ。ウェルスプリングス出身。愛称はリック。色々説明する関係上すごくしゃべる。
テッド・アダムス:短髪黒髪で髭を伸ばした白人。バカ。常に他の人より声がデカい。ランチョ・コロナド出身。テッドがそもそもエドワードとかの愛称で使われるような名前なのである意味常に愛称で呼ばれている。難しい話になるとよく寝ている。
しばらく後……
数十センチ砂浜を掘り下げた二人の前には、横に一本通った骨から羽のような板が立っている何かが姿を現していた。
「お、だいたい見えてきたな。なんだぁこれ、飛行ドローンかAVのエアロパーツかなんかか?そんなもんついてんの見たことねぇけど。」
「掘った砂が横に丘になってるせいでいつもよりうるせぇ。黙ってほら、お前そっち持てよ。こりゃ金属だけの値でも重量の分、結構いくぞ。」
「あっれ?持ち上がらねぇぞ!重いんじゃねぇ、これまだ下に」
そうテッドが言い終わらないうちに砂の中から手が生えてくると、それは彼の足をつかんでそのまま数m飛び上がった。
「うわ!逆さま?俺もしかして飛んでんじゃねぇか!?リックゥ!!助けてくれ俺どうなってる??」と腕をばたばたさせるテッドの少し上を、リカルドは両手を上げて見つめていた。
「……うるさい。」リカルドの視線の先にいたニンフはテッドを地面に向かって捨てると、空中に浮いたまま二人に銃を向けた。
「お前らどこの窟の亡骸漁りだ……いや、何だ?分析結果、生きている
「えっと、すまない。人が埋まってるなんて思わなかったんだ。撃たないでくれ。どうか落ち着いて……。」リカルドがそう言ったところにドッグタウンの方からAVが通りがかる。その音に気付いて上を見たニンフの目には雲一つない空が飛び込んでくる。
「靄も層間プレートも、世界に区切りがない……?ここは……ホドではないのか?」そうつぶやいてニンフはリカルドのことなんて忘れたかのようにふらふらと掘られた穴から滑り出ていく。
リカルドは静かにするようにテッドにジェスチャーをすると倒れている彼を起こしながら静かに囁いた。
「逃げるぞ、人間サイズで浮ける外骨格のクロームが実用化されたなんて聞いたこともねぇ。どう見てもやべぇやつだ。んなもん訓練された軍人以外が着けたら一発でサイバーサイコになってもおかしくねぇ……。見たろ?」
「んぇ?何を見たって?女の子か?」テッドの返事は大声でこそなかったが、囁きでもなかった。
「そうだ、あんな子供がまともに使えるようなやつにはとても見えねぇしなんかふらふらしてただろ。なるべく刺激するんじゃねぇぞ。向こうは銃を持ってんだから。」そう言って自分たちの掘ったくぼみから這い出ようとするところに声が振ってきた。
「ここはどこだ?そこの、ホドと言ってわかるか?」
「ホドはわかんねぇけどここはパシフィカ、ナイトシティだ。あんた名前は?俺はテッド。で、こっちはリック、や、リカルドだ。」
「……。」ニンフはじっと考えるような表情を見せる。やはりナイトシティという名前に心当たりはない。
「おい、テッド。」
「大丈夫さ。なんか大丈夫な気がする。」
「お前の勘で助かったことは何回もあるがよ……。」
「この身は型式番号F0156_VAN、名は、多分ない。」
「VAN……OK、ヴァン・カタシキ。名前あるじゃねぇの。なんでこんなとこに埋まってたんだ?」と自信満々のバカと
「確かに、俺たち以外が掘り返したような跡はなかったしな。」と疲れたような顔をする男の表情は対照的であった。
「ヴァン……私に、名前を……承認。」
「わからない。私にはさっき二人の声をセンサーが拾って再起動する以前の記録はない。少なくともホドの外に出た覚えもないし、帰る方法もわからない。確かなのは今たしかに生きてることくらいでわからない事ばかりだ。」
「あらためて自己紹介をさせてもらう。私はヴァン、戦闘型ニンフだ。」
「人間は初めて見た、もしよかったら色々教えてほしい。どうにもこのあたりには人間が多そうだから。」
「ニンフ?ってのは?戦闘型?」とテッドはリカルドの方を振り返る
「なんでも俺に聞くなよ。
「戦闘に関する事全般は任せてくれ。で、人間は炭素生物だけどニンフはセル生物だ。歴史としては……。」
「あー……聞いておいて悪いけどその話って難しかったり長くなりそう?とりあえずヴァンが人間じゃないらしいってコトはわかった。今はそれでいいだろ、それより飯にしねぇ?ニンフって何食べるんだ?」
「補給剤……?体内で弾薬セルとかエネルギーに加工が容易な硬いブロックみたいな。」
「ブロックねぇ。この辺で手に入るものが食えるといいが……。」と首を傾げ続けのリカルド。
「試してみようぜ。ちょっと分けてやるよ。」
「それより二人はここで何を?」
「探知機で鉄くずを探してたんだ。くず拾いだよ。」
「私も手伝おう。スキャンで探す方が早いだろうから。飯代くらいは働くさ。それで掘るのかな?」と鉄板を拾い上げたテッドに手を伸ばす。
「持てるか?って聞くまでもないか。さっき俺のこと持ってたもんな。」とテッドが差し出す鉄板を受け取るとヴァンは、スコップの先端の形に厚紙でも切るようにまっすぐ鉄板の先端をちぎり始めた。
「おぉ……。俺はちょっと昼飯取ってくるからテッドといてくれ。頼んだぞ。」と素手で工作を始めたヴァンにやや引き気味のリカルドは続ける。
「あぁ。そうだ。ナイトシティにようこそって言っておくべきか?とりあえずな。」
「どうも。しばらくこの街に厄介になることになりそうだ。」スコップの持ち手になる部分を握って丸めながら彼女はそう返した。
今日のナイトシティスラング
delta:ずらかる、逃げる、出ていく。あるいはそれらの命令形。
例)Let’s delta.