ナイトシティを喰らう   作:高濃度補給剤ぶんぶん丸

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味で体は動かない!必要なのはカロリーだ!

特徴:子供の歯が欠けた事例があるほど硬い。ここでのトーフバーは脱水したトーフ(おそらく豆腐とはインディカ米とジャポニカ米ほどに似て非なる大豆加工製品と思った方がいい)と任意の原料を混ぜて味付け、バー状に成型して固めたもので、見た目としてはブロックタイプのカロリーメイトに近そう。


2:一口目:ヤイクス!トーフ・バー

「すっげえなヴァン!やべぇ。ドワハハハハハ!」

「テッド、うるさい、とっても。」

 

砂の向こうからテッドがはしゃぐ大きな声と砂がザクザク言う音が聞こえる。

「おいおい俺は一瞬目を離しただけだぞ、今度はどうしたってんだ……?」とぼやきながら食事を持って小走りで戻ることにしたリカルド、砂の丘を越えたところで目に入ってきた光景に彼は空を仰ぐ。

「うわっ……。」息を漏らして数秒、カリフォルニアの暑い空の青さを確かめてから視線を降ろして見直してみてもそれは変わってはくれなかった。

 

「お、リック!!見てくれよヴァンのやつやっばいぞ!最高だ!!」

つい数分前までは流れ着いたゴミでだいたいが埋め尽くされた砂浜だったものしかなかったはずだった。最近はいつもそこで売れるものを掘って暮らしているリカルドはちょっと前の姿をよくわかっていた。

 

それが今はどうだ?自分のアイインプラントがイカレたのでなければ砂浜には三か所ほど爆撃でも受けたクレーターのような穴が開いているし、その横には普段の二三日分じゃきかない量の金属が積んであるように見える。

 

「ちょっと来い二人とも、なぁ俺ちょっと待ってろって言わなかったか?」*1

「ちゃんと言われた通り二人で待ってたろ?やることも済んでるぜ。」

「わかった、おとなしくって付けなかった俺のミスだな、しかし加減ってもんがある。」

「今日は一旦終わりだ。なるべく何もなかったみたいに穴を埋めて、掘ったもの持って帰るぞ。」

 

「何かまずかっただろうか?これを集めるのだろう?」どうするか考え始めるリカルドに、首をかしげながらヴァンが話しかけた。

「派手にやり過ぎだ。この穴もこの量も目立ちすぎる。目立ちすぎると目をつけられる。そうなれば面倒じゃすまない。飯どころじゃなくなるぞ。」

 

そうして後片付けを済ませた後、三人は近くにあるホームレステント(リカルドとテッドの住処)に戻ってようやくの昼ごはんにありつこうとしていた。

「で、今日の昼飯は何だ?おっトーフバーじゃねぇか、どうしたリック甘いもんなんてなんかお祝いか?」

「あっなんだヴァンの歓迎会か!なんだよそういうのしれっとやるのよくないぞちゃんと言わねぇと!」

「うるせーな。ブロックみたいなの食べてたって言ってただろ?多分これがこの辺では一番近いと思っただけだ。」

 

「それは……ありがとう?」気を使わせてしまったか?と首をかしげるヴァンに対して

「あぁ。堅いから気をつけろよ。歯を欠けさせたりしないようにな。」とリカルドは続けるのをわくわくしたような顔でテッドが見ている。

 

「これこれ、優しい甘みだよな。」手で中身を折ってから袋を開け、コリコリと音をさせてブロックを咀嚼するテッド

 

それを真似してヴァンもひとかけら口に入れると勢いよくかみ砕いた。一撃目に歯がガチンとかみ合う音に続くゴリゴリという音に驚く二人に対してのヴァンの第一声は

「補給剤よりずっと柔らかいな。もっとこう、堅いのかと。」だった。

「これよりもっと?そいつは……食べ物っていうより鈍器っていうんじゃないか。」と呆れるリカルドだったが

「より高純度で固めたものはそういう使い方もできる。なんだ、わかってるじゃないか?」とヴァンに真面目そうな顔で返されてしまった。

 

マジかよ……と力なく首を振るリカルドをしり目に、ヴァンは口の中を探るような顔をする。

「いや、これは歯ごたえだけじゃないな……。口腔センサーにノイズ、なんか、こう、口の中がぎゅってする。」

「ぎゅ?」

「そりゃ……甘味っていうんじゃねぇの。」

 

「これが……甘味。」

「補給剤?ってやつはなにも味なかったのか?」

「特に今回のような反応はなかったな。戦闘中に余計な情報処理が増えても邪魔になる。」

「うへぇ。ずっと何も味なしなんてぞっとしないぞ。」

 

「まぁ、なんだ。必要なけりゃ昔のことを聞くつもりはないさ。それで、甘いってのはどうだった?」

「悪くない、いや……好ましい。」

「そういう時は"おいしい"っていうんだぜ。」

「……おいしい。」とヴァンは微笑んだ。

 

「ちなみにもしニンフってのが人間と同じなら甘味以外にも味覚は4種類あるぞ。」

「それは!……楽しみにしておく。そのうち出会えるか?」

「きっとな。」とリカルドとヴァンが話す横でテッドは何回も指折り何かを数えている。

 

「4つ?しょっぱみと、辛みと、苦みと、酸っぱみと、最近はやりのうま味*2と、うわっ、こないだ知ったワサビ*3を数える指が足りなくなっちまったぞリック助けてくれ!」と混乱するテッド。

「右手も使えバカ。あと辛味は味覚じゃなくて痛覚で、ワサビも味覚じゃなくて嗅覚じゃねえの。」

「そーなの!!??」

 

と目をむいて驚愕するテッドと呆れるリカルドをヴァンは微笑んだままじっと見ていた。

*1:
言ってない。テッドといてくれ。なら言った。

*2:
最近ナイトシティではうま味調味料ドカ盛味が一部で流行っている

*3:
オージアティックーワサビジンジャー味、好評()発売中!




今日のスラング
yikes:うわっ。やば。げっ。
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