ナイトシティを喰らう 作:高濃度補給剤ぶんぶん丸
「さっきのブロックは好まし……おいしかったが、その割にセル変換効率が良くないようだ。」と食後にふと首をかしげてヴァンが言う。
「結構カロリーあるはずなんだけどな。足らないのか?」とリカルドが聞き返す。
「通常稼働するには十分だが、弾薬生成にまわすとなると厳しいな。補給剤に比べるべくもない程度の補給量だ。」
「が……いや、問題ない。白兵戦を主体としての戦闘もこの身は得意としているから。」とヴァンは首を振りながらつぶやく。
「ちなみに、ヒトはどうやって弾薬を補給するんだ?」
「そりゃ、銃砲店で買うとか、器用なやつだと単純なのは自分で作ったりするやつもいるが、まぁ持ってるやつとか、あるとこからこれよ。」と何かをつまみ上げるようなジェスチャーをするリカルド。
「そもそも金ねぇもんな!撃ち合いなんてできる金ねぇから銃が撃てるギャングが怖えんだこれが。色々ブースター入ってる分、銃なしでも力が強いしな。」
「そういやヴァンは戦闘型がどうのとか言ってたな。何ができるんだ?」
「戦闘に関する事なら何でも。個人戦闘から部隊戦闘、指揮もできなくはない、と思う。後は自分の装備の整備とかもできるが技師型には劣る。」
「技師、テッキーみたいなのがいるってことか。」
「何かを作る、産む*1ことに特化したニンフだ。ヒトにもそういうのがいるんだな。」
「産む……?まぁ、その手で色々生むやつらだな。」
「となると、やはりここで手に入る銃も欲しいな。ヒトの銃の方がここでは補給が容易だろう。」
「だからそんな金ねぇって!」と大げさに天を仰ぐテッド。
「まぁこの街じゃ銃くらいは誰でも持ってるもんだし、俺らみたいなホームレスでも持ってるがよ。弾買う金はねぇからいつからさしてるか分かんねぇマガジンに半分残ってるのがまだ撃てるといいなぁ。ってもんなんだよな。」
「じゃなけりゃパシフィカまで流れてきてねぇ。」
「その
「(穏便に?戦闘??これが種族の差か?文化の壁が思った以上に厚いな!!)」リカルドが背後に宇宙を背負って、ヴァンを拾ったことを少し後悔したような顔をし始めたときに、こうヴァンは続けた。
「いや、困らせるつもりはなかったんだ、言葉の選択を誤ったらしい。穏便に……えっと、力でどうにかなる方法を知らないか?こう……こういうやつ。」と背中から伸びる副腕に懸架されていた
「あんま変わってなくねぇそれ?」と突っ込むテッドの横でリカルドは考え込み続けている。
「ヒトの言語難しすぎないか。これは私にプリセットされてた言語パックのせいなのか?」と考え込むヴァンがその横に加わった。
少しして、リカルドが何かを思いついたように話し始める。
「NCPDスキャナってのがある。簡単に言うとなんかやらかした悪いやつを無力化するとそれをするはずだったやつから報酬が入るってわけだ。まぁ、傭兵として一時的に雇われる、みたいなもんだな。」
「それだ、ターゲットの情報はどこで得られる?」
「まぁ慌てんな。申し込みをしてデータを連携すりゃいい。NCPDはパシフィカから撤退済みだから、起こる犯罪は三種類しかねぇ。つまり、NCPDスキャナでどうにかされるやつと、NCPDスキャナでどうにかするまでもないやつと、そもそもなかったことになったやつだ。」と言いながらリカルドはスマホのような端末を取り出す。
「問題は端末がなぁ、古い俺のしかないから遅い、それにそもそもパシフィカの誰でも使える方の通信網は半分死んでる。今も使えるはずのシャローネット*2もしょっちゅう切れるし、この間も半日くらい動かなかった。リアルタイムの情報が必要*3なのに端末と回線のダブルパンチで届かないってわけだ。こいつの代わりできるようなテックが
「やってみよう。おそらく、動いている仕組みから違うだろうけど。一部だけの切り出しはできなくてもこれを丸ごとコピーして代替することは可能なはずだ。」と言って端末を受け取る。
「スキャンしているから、しばらく想定の動作をしてみてくれ。こっちで分析する。」
「どうせなら
と端末をいじくりまわし始めた二人の足元で、
しばらく後……
辺りはすっかり日が暮れて夜になっていた。
「なんとかホロはつながるようになったか。直接つながる短距離なら回線関係ないからな。」ふぅ、と息を吐いて立ち上がるリカルド。とそこに寝ているテッドの腹が鳴る。
「『昼間の金属を売って夜飯を買ってくる。つないだままちょっと見てておいてくれ。』」と言ってリカルドは通話状態のまま片手に箱を持って行ってしまった。
『ところでこれはどれくらいの距離まで通信できるんだ?』と少ししたところでヴァンがたずねる。
『ん?こいつは何世代も前のおんぼろだからなぁ。お互いに外にいてもローカルじゃ半マイルを割るくらいだな。』
『まぁパシフィカでもなきゃ普通にいつも使えるアンテナがあるからな、電波に乗れば相手も同じ電波の下ならいくらでもってわけだ。街はずれの電波塔につながってるとこなら別の街にもつながるしな。』
『それは誰でも使える回線なのか。それじゃ盗聴とかあるんじゃないか?』とホロで首をかしげる。
『ランナーがいれば暗号化とかして盗聴対策をしたりとかあるらしいけどな。それは専門じゃないからわからん。』
『ランナー?電子戦機か。』
『それに聞かれて困ることは直接しゃべりゃいいさ。』
『違いない。少なくとも今はそれでいいな。』
『そういや実はこの話の途中で広域に切り替わってた。それでもちゃんとつながってそうだな。そっちの確認もできたしなんもなけりゃ一回切るぞ。』
『あぁ。問題ない。何かあれば連絡する。』
NCPDは株式上場されていて民営化されているのに、トップの署長の立ち位置は市議会直下なの未だによくわからん。