ナイトシティを喰らう 作:高濃度補給剤ぶんぶん丸
しばらくNCPDスキャナをこなす生活を送り、ギャングから漁った銃で二人も遠距離からカバーできるようになったころ、寝起きしているテントから出てきたリカルドがヴァンにこう切り出した。
「今日はヴァンの市民ID作りに行くぞ。フィクサーと話が付いた。」
「へぇ、フィクサーはそういうものも扱っているのか?仕事をくれるものと聞いたが。」
「なるほどな、ちょっと長くなるが、この街で生きていくうえで"大事な話"だ。よく聞けよ。」と指をわきわきさせて"強調"のジェスチャーをしながらリカルドは話し始める。それを察知してテッドは近くのベンチで夢の世界に旅立った。
「フィクサーってのは人によりだが何扱っててもおかしくない"商人"だからな、タダで何かをくれることはねぇよ。仕事をくれるってやつも、もしお前にそう見えてるんだとしたらそりゃ間違いで、そう見えてるときは、お前の働きとお前への金を交換する取引がちゃんと最後まで遂行されるっていう"信用"を向こうの言い値で買わされてるだけだ。手数料って名前でな。仮に金としては本当にタダの時があったとしても、恩とか貸しとか未来への投資とかお前の実力とかの情報とか何か別の形で払わされたってだけのことさ。」
「絶対に変なもんよこさないとか、金払ったら持ち逃げしないっていう"信用"が相手にないならどこか別のところからそいつを持ってくる必要がある。取引はフィクサーを通せって言われるのはそういう話だな。」
「今回は適当な仕事されても困るし、こっちに都合の悪いことをしないやつだって知ってるやつに伝手もない。だからフィクサーを通して贋作屋の働きを買うわけだ。そいつがお前に、本物と見分けがつかないか、本物と同じ棚に紛れ込んだIDを持ってくる。」
「ミリテクの広告に載ってた『他人に身を任せるな。武器を埋め込んだ自分の腕だけが頼りだ』ってやつができれば一番いいが、ないなら他人の腕でも頼れる腕は使えってことになる。頼れる腕がどれかわからなけりゃそれを知ってるやつに聞くか、エディーを出すか、その両方をするしかねぇ。」
「つまり、エディーを出して知ってるやつに聞く、というのがフィクサーを通すってことか。」
「そうだ。後は、そうだな……。フィクサーと何かやり取りするときにイニシアチブを渡すな、ってのは気を付けた方がいいかもしれねぇな。ようは、お前はフィクサーの取引相手であって、フィクサーの商品でも子分でもねぇ、ってことだ。わかるか?わからなけりゃそのうちわかりゃいい。」
「そのうち、か。まぁそうだな。人間社会は無駄に複雑だ……。」
「ま、今日会いに行くフィクサーはセバスチャン・イバラ、
「つまり名の通った
「割とあくどいことはしてない*1側のフィクサーだからまぁ抜きすぎないくらいになら気は抜いててもいいぞ。悪人*2を消す都合のいい始末屋とかにされなきゃそれで。」
「言いなりの子分にならなければ、なるほど。初めてのフィクサーとしては難しくないところを選んでくれたのか?」
「単に元からどんなやつか知ってただけだ。俺はヘイウッド生まれだからな。それだけだぞ。」
「そういうことにしておく。」
「しておくも何もそれだけだからな。ったく、とっとと行くぞ。」
そうして二人はヘイウッドに向かって歩き出した。
( ˘ω˘)スヤァ
「そういや本当の意味でナイトシティの一員になるんだ、この件が済んだらお祝いだな。ヴァンは何か食いたいものあるか?」
「そうだな……それなら前に言っていた――」
普通についていくつもりだったのにベンチで寝てたら最後の最後で置いていかれたバカ
特に今回はテッドは関係ないので連れて行くつもりはなかったし、寝ていたので起こすのも悪いかと放置したリカルド
リカルドが何も言わないなら別に口を出すつもりがなかったヴァン
一旦これが最終回で、以降は出るとしたら書きたいネタが出てきたときに一話完結を都度足す感じになります。
いや、書きたいネタはあるんだけどうまく形にならないまま一月とか経っちゃっており、終わらなくなりそうだったのでエンド優先。