ペストマスクは別のダンジョンに行ってみたい   作:読専の翁

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新戦力

 

 

 メイスを思い切り振るとあまり被りたくない液体をまき散らしながら倒れた後にゾンビは消えていった。いつも通りのゾンビ狩りである。

 ドロップアイテムが落ちたのを確認してから後ろから来ているスケルトンに振り返る、いつも通りに回収してくれているが少しだけ違和感を感じてしまう。間違いなくこのスケルトンは俺が使役しているスケルトンだ、そう感じるしこちらに攻撃してくるそぶりもない、だがさっきまでいたいつものスケルトンとは少しだけ何かが違う。

 もしやと思いステータスを表示させるとそこには『スケルトンポーター』と書かれていた、聞いたことがない種族である。

 

 

 モンスターの進化とはある程度の指向性を持ったランダムなものである、それがテイマー系統やサモナー系統における常識である。

 例えばの話ゴブリンを育てたとして、どれだけ荷物持ちとして育成したとしても進化するのはゴブリンソードマンやらゴブリンファイター、ゴブリンシーフ、ゴブリンアーチャーなどであり、極まれにゴブリンメイジになると研究結果が出ている。別の例でいえばゴブリンを剣士として育てたとしても100%ゴブリンソードマンになるわけではなく、こちらにもゴブリンファイターやシーフが混ざるとされている。つまりそのモンスターにも素質というものがあり、それと行動によって進化先が決まるが、そもそも進化先にないものには進化しない、というのが定説である。

 

 

 なぜここまで長々と説明をしたのか、それはスケルトンでも同じような実験は小規模だがされており、その実験でスケルトンポーターなど確認されていないからだ。つまりこの種族は新しく発見された新種族、ということになる。

 

 これは受付に報告しなきゃいけないだろうなと思いながらステータスを見ているとスケルトンが少し小首を傾げた後にこちらにドロップアイテムが入った袋を掲げてくる。少し胸を張っているためもしかしたら褒められたいのか?

 いつもありがとなと一言いうと嬉しそうに骨を少し鳴らした後にその袋が消失した。

 

 

 は?と一瞬固まった後すぐさまスケルトンに今何やったんだと問いかけるとスケルトンが少し前に両手を出し袋がどこからか現れる。中身を確認すると今日集めたドロップアイテムと思わしきものが入っているからほぼ確実に先ほど消えた袋だろう、これは厄介ごとの香りしかしないな……。ドヤ顔していると思われるスケルトンをしり目に少しだけ天を見つめる、薄暗い石の天井しか見えなかった。

 

 

 

 

 

 とりあえずスケルトンを褒めながら1階層までやってきた、いろいろ実験をするためである。もちろん先ほどの袋の実験もあるが、それ以外にも知りたいことが多いのだ、この実験の結果によって俺は他のダンジョンに行けるかが決まるといっても過言ではない。

 

 大部屋のスケルトンを全部蹴散らし実験を行う、まずは鎧系等をつけれるかどうかだ。

俺が狙っていたスケルトンソードマンやファイターであれば鎧系統をつけれるらしい、最悪頭と手足だけでも装備できればローブでもつけさせて偽装はできる。と思っていたがどうやら装備できないみたいだ。

 

 狙っていた進化ではないから仕方がない、もしかしたもう一度進化すれば鎧をつけれるようになるかもしれないしな。そんな風にこちらの顔色を窺っているスケルトンに気にするなと言いながら次の実験を行う。

 

 

 次は戦闘能力の実験、と行きたいところだが先ほど蹴散らしたばかりで少し探さなければいけない、どうせゾンビとも戦わせてみるつもりなので先にさっきは何をしたのかを確かめる。

 といってもステータスにそれらしきものが書いてある、アイテムバッグというスキルのようだ、だがステータスを確認してもどのくらいはいるのかや入れたものがどうなるか、また1日にどの程度入れたり出したりをできるのかはわからないので簡易的にだが実験をしてもらう。

 まずはスケルトンにどのくらいはいるのか聞いてみたがわかっていないのか首を横に振っている、先ほどの袋何個分入りそうだと聞き直してみたがこれもいまいちわからないようで首を横に振っている、後日ダンジョン外で出して実験しなければいけないな。

 

 次に何度か出し入れをしてもらう、この実験に対しては少し不思議そうに小首を傾げていた、もしかして全く疲れないのか?何度か入れて出してを繰り返してもらったが疲れているようには見えない、一応疲労や何か代償はありそうかと聞いてみたが横に首を振るのでこれもなさそうだ、ただ出し方的に手の上に出しているので重さの上限はありそうな気はする、ここも後日実験しなければいけない。

 

 最後に戦闘能力の実験だ、スケルトンは不死系統で最弱の存在だ、だからこそ経験値も少ないし旨味もない、わざわざ武器を持たせて同じスケルトンに殴らせるよりも少し潜ってゾンビを俺が殴り倒していたのもそれが理由だ、最低限ゾンビと戦えるくらいにはなっていてほしいのだが、少し高望みかもしれない。

 ステータスを見ながら同じスケルトンと戦っているスケルトンポーターを見て戦闘用ではないなと再確認した。全体的なステータスは上がっているが攻撃系統に下降補正がありそうだ、予備のメイスを持たせてみているが全然攻撃が当たっていないし当たっても倒せていない、明らかに攻撃に関していえばスケルトンより劣化している、ただしスケルトンの攻撃を物ともしていないので防御系統はしっかりと数値分ありそうだ。この分ならゾンビの攻撃を受けても生き残りそうだしレベル上げも楽になりそうだ。

 そこまででいいぞと言い相手のスケルトンを処理するとスケルトンポーターにお疲れ様と労う。

 

 

 

 そしてゾンビと戦わせようと思ったわけだが異様なほど首を横に振っている、どうやらゾンビは怖いようだ、進化するまでワンパンで死ぬかもしれなかったし仕方ないかもしれない。

 だがなにも倒せと言っているわけではないのだ、1度攻撃を受けてどのくらいダメージを受けるか知っておかなければいけない。この先もっと深い場所でレベルをあげるならなおさらだ。

 何とか説得したら弱い方の女ゾンビならという条件で納得してくれたので早速探していく、ついでにまだまだ巣窟に幽閉されることが決まったのでゾンビも仲間にしておこう、ゾンビはスケルトンよりはレベルアップが遅いがレベルが上がるごとに腐敗度が軽減されていき最後には人間のようになるらしい、とはいえ日本だと最初の臭いやら見た目やらであまり育てる人はいないのだがずっとゾンビフロアにいた俺には関係がないことだしな。

 

 正直仲間にするのは男ゾンビでも女ゾンビでもよかったのだが運がいいことに最初に出会ったゾンビは女ゾンビだったもう一体探す手間が省けて済む。

 まずはスケルトンポーターの耐久度チェックからだ、覚悟を決めて前に出るスケルトンポーターを涙なしで見れるだろうか、俺からは涙は出ていなかった。両手を強く握り少しだけ震えてるスケルトンポーターに悪いことしたなーと思いながら見ているとゾンビが軽く腕を振るう、腐乱が進んでるし軽く見えるがこれでも当たれば結構痛い、スケルトンならなおのことだ、だがその攻撃を頬で受けたスケルトンは衝撃で座り込み頬に手を当てているがダメージは少なそうだ。

 もう一発攻撃されるのを見ててもよかったが流石にかわいそうなので少し加減してゾンビを殴り従属化スキルを発動する、成功すれば攻撃してこなくなるがそうじゃなければすぐに下がった俺じゃなくて今だ呆然としているスケルトンポーターに攻撃するだろう。

 

 どうやら従属化は成功したようだ、起き上がったゾンビはこちらに攻撃してくることはせず、そのまま佇んでいた。

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