ペストマスクは別のダンジョンに行ってみたい 作:読専の翁
前回のダイブの時に受付に報告した結果結構な大事になってしまい最終的にはダンジョン組合の支部長やダンジョン研究員達立会いの下いろいろな実験をすることになってしまった。正直気になっていたこともあり、ありがたいことも多かったが無駄に堅っ苦しい状況が多く肩が凝りそうになってしまった、こんなことなら報告しないほうがよかったかもしれないと思うほどには疲れ果てていた。
そんなこんなで久々の巣窟である、今回の目的は前回捕まえたゾンビの戦力確認とスケルトンポーター共々レベル上げだ。この先さらにレベルが上がりにくくなっていくため出来ればもう少し深い場所でレベルをあげたいが、ゾンビの耐久度によっては最初のうちはゾンビでのレベル上げをしなければならないだろう。
一応海外の情報を調べて装備を揃えてきてはいるが如何せんレベルを上げる前のゾンビは思いのほか肉体がボロボロだ、個体によって程度は違うが基本的に最初のうちは鎧はつけれないと思った方がいいとのこと、なのでそこそこお高い盾とローブを2セット用意してきた。
できればこれでジョブスケルトン(スケルトンソードマンなど)やグール(ゾンビの進化個体)にある程度持ちこたえることができれば経験値もかなり期待できる、場合によってはスケルトンを育てていた時よりもよっぽど早く進化させることができるかもしれない。
とはいえそれにはまずどこまで耐えきれるか見てからの話である、さっそくゾンビにゾンビをぶつけてみることにした。
ゾンビ対ゾンビを見て思ったことがある、あまりにも盾が意味をなしていない。というのもただ装備しているだけであり敵も味方もペチペチペチペチ殴り合いしているだけで盾で防御したりすることはなかった、装備の差でこちらのゾンビが勝っていたがこのままもう少し深くにいくと何かの拍子でやられてしまうかもしれない、再度召喚できるようになるまで時間がかかることを考えると結果的にレベル上げが遅くなるだろう。
とはいえレベルが上がれば肉体が修復されていき知能も高くなる、防御できるレベルまで修復してくれればステータスの上昇も合わせてパワーレベリングもやりやすくなりそうだ。
1日ゾンビ狩りをした結果、今のところ盾が使えるほどの知能はなさそうだ、とはいえスケルトンポーターがまだスケルトン時の最初の頃スケルトンでレベルを上げていたのと比べて格段にレベルが上がっている、初期の方はこんなにレベルが上げやすかったのかと思う気持ちとスケルトンの経験値の少なさに戦慄を覚えてしまう。
もしこれで盾が使えるようになればもっと早くレベルが上がることを考えると思わず笑みがこぼれてしまう。
「あの、いきなり笑ってどうかしましたか?」
そんな様子に受付が不思議そうにこちらを見てくる、流石に不審すぎたらしい。
「思った以上にスケルトンポーターとゾンビのレベルが上がったからな、盾が使えるようになったらもう少し深くでレベリングできるかもしれない。」
「ゾンビなんて連れていましたっけ?あ!ここで召喚しないでくださいよ!」
「ここで召喚するくらいなら別のダンジョンに既に行っていただろうな、ゾンビは前回のダイブの時に手に入れたんだ。まだまだ別のダンジョンにいけなさそうだったからな。」
「あぁ……気にしすぎだと思いますけど、一応マナーですもんね。」
そういうと受け付けは今日の分のお金を取りに裏に行った。
俺が他のダンジョンにいけない理由、それはネクロマンサーの悪名があまりにも広がっているからだった。ネクロマンサーが使役するモンスターの見た目は正直悪い、それこそゾンビを連れてダイブしていたら他のダンジョンダイバーに迷惑が掛かってしまう、それにアンデッドが苦手な人も多いのだ。
俺はソロで潜ると決めているから他人からの目など気にしない、と言ってしまえば簡単だがあいつはネクロマンサーだからマナーすらわからないのだなどと言われてしまえば面白くない。だから俺はスケルトンを偽装できるまで他のダンジョンに行かないようにしているのだ。
「そういえばお願いしたいことがあるんですよ。」
今日の分のお金を用意した受付が戻ってきて言ってくる、受付に何かをお願いをされることなど初めてだ。
「実は私の友人の弟がネクロマンサーになったみたいで、なのであなたに最初の方だけでもいいので少しだけ面倒を見てあげてほしいんですよ。」
正直受けようか受けまいか悩みどころだ。俺はネクロマンサーになったときに頼れる人もいなかったし誰からも何かを教えてもらうことなんてなかった、最初の頃は金もなかったし大変なこともたくさんあった。なのでネクロマンサーを本気でやるのであれば力になりたいとは思うのだが……。