ペストマスクは別のダンジョンに行ってみたい   作:読専の翁

6 / 7
撲殺ネクロマンサー

 

あれから数日ゾンビに慣れるために見学をさせ、昨日は一緒に戦闘もさせてみた。最初こそゾンビを意識してか誰かと一緒に戦闘する経験の少なさかぎこちなく戦っていたが最後の方にはのびのびとしているように見えた。これならゾンビフロアに行ってみてもいいだろう。

 

「おはようございます!」

 

 そんなことを考えていたら橘が来たようだ。俺はおはようとあいさつをし今日の予定を伝える。

 

 

「今日はゾンビを倒しに行ってみようと思う。ただその前に一つ言っておくことがある。」

 

「ついにゾンビですか!でも言っておくことって?」

 

「今のところ従魔がいないからステータスに補正がない、これはソロで戦っていくうえで非常に不利だ。なので今日はついでに従魔の確保もしていこうと思っている。」

 

「おお!!」

 

「だが、前も言ったように俺のゾンビに慣れたからといってダンジョンにいるゾンビはもっとえぐい見た目をしている。だから覚悟しておくように。」

 

 そこまで言うと橘は少しげっそりした顔をした、やっと少しだけ慣れてきた存在よりもえぐい見た目のやつを捕まえなきゃいけないのは精神的にきついだろう。

 

「それじゃもうそろそろ時間だ。準備が終わったら潜るぞ」

 

 は~いと少しだるそうに返事する橘を俺の借りたレンタル倉庫に押し込み着替えさせる。

 

 

 

 

 

 

 ダンジョンに入り、いつもとはスケルトンを最低限に倒しつつすぐにゾンビフロアに降りる。少し進んだところでゾンビを1匹見つけた。まだ入ってすぐだからか他にゾンビはいないようだ。

 

「ゾンビを見つけた。行けるか?」

 

「はい!行きます!」

 

 元気のいい返事にゾンビが反応しこちらに近寄ってくる。橘に次から気をつけろよと注意しゾンビを一緒に突撃させる。ゾンビが良く見えたからか橘が一瞬固まったがすぐに動き出し、メイスでゾンビを殴りつける。

 粘り気のある鈍い音が響いたがゾンビに痛覚はないので怯みはせずそのまま橘に大ぶりのビンタをしてくるが、そこに俺のゾンビが追い付き攻撃を受けつつ逆に大ぶりのビンタをくらわせる。少し体勢が崩れたところを橘がメイスで追撃、そのあと頭を思い切り殴りつけると大きく液体が噴き出た後にゾンビが倒れゾンビも橘に付着した液体も消えていった。

 

 

「お疲れさま、初めてのゾンビ戦はどうだった?」

 

 あの程度ではそこまで疲れていないだろうが大きく肩を上下させている橘に感想を聞いてみる。少したって呼吸が整った後橘は口を開いた。

 

「……正直根来さんのゾンビよりも恐ろしいはずがないって思っていましたが、言われた通りでした。なんていうかより腐敗しているというか、匂いも少し感じた気がします。」

 

「従属化できそうか?」

 

「……あと何体か倒してみないとわからないです。……すみません。」

 

「謝る必要はないさ、ほらこれが初めて手に入れたゾンビのドロップだぞ。」

 

 そういうとスケルトンポーターが拾ってくれたアイテムを橘に握らせる。少し黒っぽい透明感のある小さな石だ。これは魔石と言いとんでもなく弱いモンスター以外はドロップするもので色や大きさは敵によってまちまちだ、ゾンビの落とすこれは最低ランクといっていいだろう。そんな魔石を見て橘はでも半分は……と言い始めたのでさっさと行くぞと急がせる。

 

 

 

 

「次のゾンビを従属化してみたいです!」

 

 数度ゾンビと戦闘をした後橘が口を開いた。思ったよりも早く慣れたらしい、戦闘を重ねるたびに動きが良くなってるなとは思ったがさてはこいつ天才だな?

 

「従属化の方法はわかるか?」

 

「なんとなくはわかります、けど今の戦闘で試してみたけど失敗しちゃったみたいで……。」

 

「それはレジストされたんだな、次出たやつは一人で戦って弱らせたら何度も従属化するんだ。ゾンビを何度か倒したからレベルも上がっているだろうし何回かやったら成功するだろう。」

 

「わかりましたやってみます!」

 

 

 

 

 ゾンビに橘が素早く肉薄していく、橘に気づき振り向くゾンビにメイスを振り上げ顎をカチあげる、衝撃で仰け反るゾンビに向かってカチあげたメイスを振り下ろし、そのまま体制を整える前にもういち「待て待て待て待て!」

 

 橘がゾンビを倒す前に素早く止める、意外と1匹でいるゾンビは少ないのだ。もう十分弱ったぞと伝えるとなんか調子よくってやりすぎちゃいましたと可愛らしく言ってくる、やってる内容は全然可愛くはなかった。とりあえず従属化するように指示すると橘は従属化スキルを使用した、多分。従属化には決まった動きがないのでぱっと見では判断できない。

 少し待つと起き上がったゾンビが橘を襲う、それを避けて攻撃をしようとする橘に従魔になるまで従属化を連打するんだと言い含める。それから5回ほどレジストされた後にそのゾンビは橘の従魔になった。それを確認した後に今日のダイブはここまでだと伝えてダンジョンから帰還する。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてこれでやっと従魔を手に入れたわけだが、ステータスの補正は自覚できるか?」

 

「レベルアップによるものかネクロマンサーによるものかわかりません!」

 

 そりゃそうだろうなと思ってしまう。まさかあれほど動けるとは思わなかった。正直もうダイブに関しては無理をしなければどうにかなるだろう。

 

「後日ゾンビを召喚して確かめるしかないだろうな、その補正があってこそのネクロマンサーだからしっかり確認するんだぞ?」

 

 そう強めにいうと橘はわかりました!と元気良く返事をする。

 

「それでだ個人的にはもうこの講習会もどきは終わりにしようと思う、あそこまで動ければ十分だろう。」

 

「えっもう終わりですか?」

 

「ゾンビを倒せるならひとまずは一人前だ、その証拠にさっきの査定見ていただろ?」

 

 今日の成果は6000円ほど、少なく感じるが数回だけゾンビを倒した報酬と考えればかなり高いだろう。初めてゾンビを狩れた橘の記念すべき初収入だ。

 

「でもいいんですか?僕はこの貰った魔石だけでも…。」

 

 大事に握っていた魔石を見る橘、最初のゾンビを倒した時に渡した奴のはずだ、それ以外は全部スケルトンポーターに持たせて一気に査定に出したしな。査定に出すか聞かれて記念に持っておきますと言っていたような気がする。

 

「いいんだよ、それでうまいもんでも食いな。」

 

「……あ、あの!なら帰りに一緒にこのお金で何か食べませんか!」

 

 これからのアドバイスと注意点、ネクロマンサーとしてのマナーは守れよと伝えようとした時橘が声をあげた。

 流石に悪いし自分のために使いなと言おうとしたが橘があまりに真剣な目をしているので断るのをやめ、おいしい店を教えてくれよと伝えた、アドバイスとかはご飯中や食べ終わった後からでも問題ないだろう。

 そんな話をしていると受付があらぁいいわねーと話に交じってくる。慌てて橘が

あお姉も一緒にいく?と聞いている。そういえば受付の名前を初めて聞いた気がする。

 

 

 その後受付と橘が話し合った結果食べ放題の焼肉に行くことになった、男の橘はまだしも受付は焼肉の匂い着くの嫌じゃないのだろうか。

 ある程度食べた後橘にアドバイスや注意点を伝えた後、もし悩むことがあったらいつでも相談してくれと言っておいた。受付にはダンジョンでの橘の動きなどを伝え将来の巣窟のエースの誕生を祝福しておいた。

 何か忘れているような気がするが、思い出せないのならば問題ないだろう。伝えたいこともなくなったし腹も膨れた、店を出て解散した後速やかに帰宅した。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。