俺の名前は万津 獏。普通の好青年だ。俺は今、銃撃戦が行われているとあるビルの窓を隣のビルからジャンプで飛んでぶち破り室内に転がり入る。
その瞬間、紺の制服を着た女子高生風の少女が機銃を持ち上げ人質もろともテロリストへ一斉掃射を行った。
「きゃあああ!」
【バリア!】
「なっ?!」
俺は前方に腕を突き出し、バリアカプセムの力を発動。緑色のドームが出現し、機銃の掃射を防ぐ。しかし、機銃の掃射は簡単には止まらない。
数十秒程射撃は続き、辺りを削りながら粉塵を撒き散らした。おかげで周りは全く見えない。しかし、強化された俺の視界には全て丸見えだった。
「I'm on It(さぁ、やろうか)」
「ぐはっ?!」「だ、誰だ?!ゴホッ!?」「おい、一体何が起きて、ぐぁっ!?」
俺は少女を人質にとっているテロリストを次々に手刀で気絶させて行く。その隙に縛られている少女の拘束を解く。
「あ、あなたは一体?」
不意に少女が警戒心をあらわにしこちらを見つめる。俺は彼女 エリカを安心させるようた言葉を発する。
「俺は仮面ライダーゼッツ エクスドリーム。無敵のエージェントさ」
「おい、視界が晴れたぞ!あそこにいるのは何者だ?!」
「じゃあ、またね」
「ま、待って!」
俺は少女たちの視線から逃げるようにぶち破った窓から外へ飛び降りる。そして、3点着地を決めると停めておいたバイクにまたがりアクセルを全開にその場を離れた。
「対象捕捉しました!ゼッツです!」
「DAか。逃げるか」
【クリア!】
俺は後ろから迫るドローンをブレイカムゼッツァーガンモードでノールックで撃ち抜く。そして、クリアカプセムの力を発動して透明になる。
「対象ロストしました!?」
『チッ……また逃げられたか』
DAの追跡をかわした俺はバイクの速度をさらに上げ、ある場所へと向かった。
「ここまで来れば大丈夫かな?」
俺は路地裏に入り、バイクを降りて周囲の安全を確認した後にゼッツエクスドリームドライバーからエクスドリームライズカプセムを抜き取り変身を解除する。
「緊張したぁ」
俺はかの有名なリコリス・リコイルの原作第一話に介入し、無事に死傷者ゼロで終えられたことに安堵する。
「たきなちゃんかわいかったなぁ」
俺は突如現れた俺にびっくりした顔を見せた井ノ上たきなちゃんの姿を反芻し、感情に浸る。
「それにしても反則すぎるよなこの力……」
俺は改めてこの世界に転生した時に手に入れたエクスドリームドライバーとエクスドリームライズカプセムを見る。
基礎スペックはもちろん、能力はあらゆる事を夢オチにできるし、ゼッツ本編で出たコードソムニアカプセム以外の全てのカプセムの力を自在に使える。チートもいいところだ。
「SAVE THE LYCORIS(リコリスを救え)。それが俺のミッションだからな」
俺はゼッツフォンを取り出し、画面に表示されているオーダーを口に出す。エージェントとしての装備一式と資金、情報、力を与えられた俺はミッションを課せられている。それがリコリスを救えという事らしい。
「原作だと真島にサードリコリスが殺害される事件が起きる。俺が何としても食い止めないと」
そう、このリコリス・リコイルにおいて最もリコリスを殺したのは真島という電波塔事件・地下鉄駅襲撃・サードリコリス殺害など一連の事件を起こしたテロリストグループの一人だ。
奴は日本に入国した雇われテロリストたち全員が失踪する理由の究明とその解決のためにDAを潰すことを目的としている。そして、ストーリーが進むにつれ錦木千束に出会い彼女に強い執着を見せるようになる。
その過程でどれだけの人間が不幸になるかなんてアニメで痛いほど観てきた。俺はその不幸の連鎖を止めるためにこの世界に転生したのだと思う。
「やるしかないでしょ。原作救済」
人として、仮面ライダーとして俺は俺の正義を貫く。前世のような悲劇は懲り懲りだ。目指すならネームドキャラもそうでない人も笑っていられるハッピーエンドだ。
「まずはたきなちゃんのリコリコ左遷だけどどうなるかなぁ。一応テロリスト全員生存してるし……あれ、もしかして俺やばいことした?」
本来であれば、犯人が人質殺害を予告したため、たきなちゃんは敵から奪った重機関銃を用いて独断で機銃掃射を行い犯人グループを射殺した。
しかし、取引されたはずの銃1000丁が現場から見つからず、DA上層部はAI「ラジアータ」がハッキングされて指揮系統が混乱したことを隠蔽するため、たきな一人のスタンドプレーによる失態としてDA本部から喫茶リコリコに左遷し、事件を幕引きしたのが顛末だ。
それがなくなったとすれば、彼女がリコリコに来ることも無くなるのでは?嫌な汗が出てきた。俺はプルプルと震えながら頭を抱えた。
「やっばい、どうしよう!オリチャーとか無理だよ俺!?」
いや、落ち着くんだ万津 獏。俺は無敵のエージェントだ。こんな事で狼狽えるな。リコリスを救うんだろ。弱きになるな。
「しばらくはリコリコを監視しよう。そうすれば、たきなちゃんが左遷させられてくるのか分かるはず」
そうと決まった俺はバイクにブルーシートをかけてエクスドリームライズカプセムの力を発動。使用する能力はクリアカプセムの力。ブルーシートを被せられたバイクは瞬く間に姿を消した。
「よし、明日からリコリコに通ってみるか」
俺はボディバッグにドライバー諸々を詰め込んで、まずは自宅に帰ることにした。
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「いらっしゃいませー。おひとり様ですか?」
「はい、俺だけです」
「お好きな席にどうぞー!」
「ありがとうございます」
俺は喫茶リコリコに一般客として潜入することに成功した。ちなみに俺の推しである千束ちゃんに接客をしてもらった。ファン冥利に尽きる。
「注文は?」
「えと、コーヒーとお団子を」
「少々お待ちくださいー」
ミズキさんから注文を聞かれて俺は咄嗟にメニュー表を横目に注文をした。店内をちらっと見るもたきなちゃんの姿はない。やはり、左遷の線は消えたのか。
「ちょっとー!そろそろ出てきなさい!」
「今着替え終わります」
ミズキさんが更衣室をノックしながら誰かに呼びかける。すると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「遅いよ、たきなー!ほら、早く手伝って!」
「どうして私がこんな目に……」
「おお!」
更衣室のドアが開き、中から1人の少女が出てきた瞬間、俺はたまらず歓喜の声を上げた。可愛らしいツインテールに青の法被姿。やや不服そうな顔している彼女こそ、井ノ上たきなちゃんだ。
「ん?彼女が気になるのかい?」
「えと、とても可愛くてつい」
「ははは、うちの看板娘なんだ。よろしく頼むよ」
カウンター越しにミカ店長が声をかけてくる。可愛いなんてレベルじゃない。俺の目の前に伝説のちたさきコンビが揃ってるんだ。最高すぎる!
「か、かわいい?!私がですか!?」
「お、たきなの可愛さに気づくとはお客さんもやるねぇ」
「千束ちゃんもすっごくかわいいよ」
「え?私?もうー、照れるなぁ!あれ、てか私名前言ったっけ?」
俺の心配は杞憂だったようだ。やはり、命令を無視したスタンドプレーが原因だろうと予想を立てる。
俺は内心ホッとしながらコーヒーを飲む。しばらくはリコリコの監視もしながらこの世の悪でも撲滅することにしよう。そう思った俺はコーヒーをおかわりした。
「コーヒー追加で」
「かしこまりました!」
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