俺のエクスドリームが止まらない   作:フォイオ

10 / 10
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The Beginning of the Collapse

 

 俺の名前は万津 獏。仮面ライダーゼッツ エクスドリームに変身する普通の好青年だ。明晰夢を自在に操る俺は夢を見ない。ただ、その夜だけは夢を見ていた。

 

 

「お前は俺だ、ゼッツ」

 

「これは、一体……」

 

 

俺の目の前に見た事もないナイトメアがいた。そいつは崩壊した街の真ん中で俺を見つめている。

 

 

「分かるだろ。これはお前が望んでいた事だ」

 

「俺が……望んでいる?」

 

「そうだ。この街を見ろ。誰もが身勝手な夢を見るせいで人々の集合的無意識が歪み、ナイトメアが生まれた」

 

 

ナイトメアが空に腕をかざすと雲の向こうから何かがゆっくりと降ってくる。黒い影を纏った球体は俺の目の前に降下する。

 

 

「この光は?」

 

「そいつはナイトメアの幼体。つまり、赤ん坊だ」

 

 

怪しく輝く球体に手を近づけると、黒い影が消え去り新たなナイトメアが現れた。

 

 

「キャッキャッキャ!」

 

「これがナイトメアの幼体。力は弱いが底知れない悪夢の可能性を感じる」

 

「そうだ、ゼッツ。赤ん坊って言うのは誰しも可能性を持ってるもんだ。そいつは一体だけじゃない。人の数だけ幼体が存在する」

 

「人がいる限りナイトメアは生まれるのか……」

 

「なら、分かるだろ?ナイトメアを滅ぼすには人間を滅ぼすしかない。俺たちの力で叶えるんだよ、俺たちの夢をよぉ?」

 

「お、俺は……」

 

 

俺は差し出されたナイトメアの手に無意識に手を伸ばしてしまう。

 

俺は……俺は……

 

 

「獏さんー!起きてー!」「万津さん起きてください!」

 

 

雲空に一筋の光がさす。その瞬間、夢が終わりを迎えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

————————————————————————————

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、うぅん……はっ?!」

 

「やっと起きたぁ。すごいうなされてたよ?」

 

「万津さん、ほらお水です。酷い顔してますよ?」

 

「あ、ありがとう。千束ちゃんとたきなちゃん」

 

 

 

どうやらいつの間にか寝ていたようだ。夢を見ていたような気がするが内容が思い出せない。俺はカウンターに置かれたコップの水に口をつける。

 

 

「ぷはっ……すっきりした」

 

「それで獏さん。あれどうするか決まった?」

 

「あれって?」

 

「もう、忘れたんですか?あれですよあれ」

 

「あ、あれか!」

 

 

俺は椅子から立ち上がり、ボディバッグを握りしめて走る。

 

 

「それじゃあ、行ってきます!」

 

「行ってらっしゃい、獏さん!」

 

「気をつけてくださいね、万津さん!」

 

 

俺は店のドアを開けて店内から飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

————————————————————————————

 

 

 

 

 

 

 

 

「えーと、シャベルとスコップと……そうだ、バケツ」

 

 

俺はホームセンターに来ていた。冬のリコリコ感謝祭に使う用具を買い物かごに入れていく。今年の冬は例年に見ない大雪が降っている。千束ちゃんがそれを利用して雪像や雪だるまを店の外に作ろうと言ったのが発端だ。俺は感謝祭の臨時スタッフとして雇われた。

 

 

「お買い上げありがとうごさいましたー」

 

「さて、そろそろ帰ろうかな」

 

 

俺は買い物袋の中身を一瞥し、ホームセンターから出る。すると、ゼッツフォンが突如鳴り慌ててポケットから取り出す。

 

 

『指令。○○区内でナイトメアの異常出現を観測。現場に急行し排除せよ』

 

「ナイトメアがまた現実に?!どういう事だ?!」

 

 

俺はリコリコに向かう足を止めて現場に走り出す。しばらく走り続けていると目的地が見えてきた。

 

 

「な、なんだこの数?!」

 

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「」「キャッキャッキャキャッキャッキャキャッキャッキャキャッキャッキャキャッキャッキャキャッキャッキャキャッキャッキャキャッキャッキャキャッキャッキャキャッキャッキャキャッキャッキャキャッキャッキャキャッキャッキャキャッキャッキャキャッキャッキャキャッキャッキャキャッキャッキャキャッキャッキャキャッキャッキャキャッキャッキャキャッキャッキャキャッキャッキャキャッキャッキャキャッキャッキャキャッキャッキャキャッキャッキャキャッキャッキャキャッキャッキャキャッキャッキャ」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

 

 

そこは街を埋め尽くす程の大量のベビーナイトメアが跋扈する地獄だった。ナイトメアの姿は灰を基調とした体色に蝶の羽根を思わせる大きな耳を持ち、獣のような両腕は赤ちゃんのような形状をしている。

 

しかし、安らかな表情で眠っている頭部に別の小さな手足が生えており、胸元には巨大な眼球が2つ存在するなど、名前とは裏腹におぞましい造形となっている。また、閉じた瞼の下には瞳孔のない妖しい紫色の瞳が隠れている。

 

 

「た、助けて!」「いやぁああ!」「やめてくれええええ!」「ゆ、夢でも見てるのか?」「いいから逃げろ!」

 

「くっ?!とにかく倒さないと!」

 

 【フルライズ!メツァメロ! メツァメロ!メツァメロ! メツァメロォ!!】

 

 

俺はエクスドリームドライバーにエクスドリームライズカプセムを装填する。

 

 

「I'm on It(さぁ、やろうか)!へんし「どいて!」うぉっ?!」

 

 

俺は背後から突き飛ばされて前に転ぶ。ドライバーからカプセムが抜けてコロコロと遠くに飛ばされてしまった。

 

 

「カプセムが?!」

 

「「「「キャッキャッキャ!」」」」

 

「ど、どけぇ!」

 

 

俺は迫り来るベビーナイトメアを殴り、蹴り飛ばしカプセムの元まで近づこうとする。しかし、圧倒的な物量に押されてカプセムと距離が離れる。

 

 

「このままじゃ?!」

 

「獏さん、伏せて!」

 

 

俺はその声がした瞬間頭を伏せる。二、三発銃声が聞こえるとベビーナイトメアが悲鳴を上げて後退していく。

 

 

「大丈夫、獏さん!?」

 

「ち、千束ちゃん!?どうしてここに?!」

 

 

俺の元に千束ちゃんが駆け寄ってくる。彼女の手には赤い硝煙が立ち上る銃が握られていた。

 

 

「帰りが遅かったから来てみれば!何なのあれ?!」

 

「千束!後ろです!」

 

「くっ?!」

 

「万津さん、立って!」

 

 

千束ちゃんが振り返り襲ってきたナイトメアに銃弾を撃ち込む。その隙にたきなちゃんが俺に手を差し出し立ち上がるように促してくる。

 

 

「ありがとう、たきなちゃん!」

 

「お礼は後で受け取ります!まずはこの場から撤退しましょう!」

 

 

俺はたきなちゃんの手を取り立ち上がる。逃げるのが先かもしれないが、ナイトメアが跋扈する中心地にはエクスドリームライズカプセムがある。ここであれを失うわけにはいかない。

 

 

「ごめん!俺行ってくる!」

 

「い、行くってどこに?!」

 

「うぉおおおおおおお!」

 

 

俺はナイトメアの群れに突っ込み、手頃な奴から殴り飛ばす。そして、ゼッツフォンを操作してコードゼロイダーを呼び出す。

 

 

「あ、あれはゼッツのバイク?!」

 

「どうして獏さんの所に?!」

 

「ハァッ!」

 

 

俺はコードゼロイダーにジャンプして乗り込み、ナイトメアを引きまくる。

 

 

「あの技はジャックナイフ!?」

 

 

俺はフロントブレーキを強くかけて前輪をロックさせ、その反動でリアタイヤ(後輪)を空中に持ち上げ、後輪でナイトメアにアッパーを喰らわせる。もう少しでエクスドリームライズカプセムに辿り着く。俺はさらにギアを上げてグリップを強く握る。

 

 

「もらった!」

 

 

俺はバイクを右に倒してカプセムを拾う。今度こそ邪魔は入らない。

 

 

 【フルライズ!メツァメロ! メツァメロ!メツァメロ! メツァメロォ!!】

 

「変身!」

 

 【アブソリュート! ライダー!ゼッツ・ゼッツ・ゼッツ! ゼーッツ!エクスドリーム!】

 

 

俺は仮面ライダーゼッツに変身してバイクから降りる。

 

 

「キャッキャッキャ!」

 

「フン!」

 

「ギャアアアアア!?」

 

 

向かってきたナイトメアを殴り飛ばし、一撃で爆殺する。一体一体はたいした事ないけど数が多いな。

 

 

「そ、そんな……獏さんがゼッツ?」

 

「嘘……万津さんがゼッツだったなんて」

 

 【カタストロム!】

 

 

俺はカタストロムの力を発動し、巨大ドローンを召喚。ドローンのローターでナイトメアを吸い込み塵へと変える。街を埋め尽くしていたベビーナイトメアは徐々に数を減らしていった。

 

 

「悪夢の終わりだ!」

 

 【ライズ! グレートバニッシュ!ゼェッツ! ゼッツ!! ゼェーッツ!!!】

 

 

止めの飛び蹴りで残りのナイトメアを倒す。777の文字がZZZへと変化し、プリズム状の光が宙を舞う。

 

 

「mission complete(任務完了)」

 

「獏さん!」「万津さん!」

 

 

千束ちゃんとたきなちゃんが驚きの表情でこちらに向かってくる。俺はどんな言い訳をしたもんかと考えながら立ち尽くしていた。その時だった。

 

 

「おい、何終わったつもりでいるんだよ?悪夢はまだ始まったばっかりだぜ?」

 

「え?」

 

「逃げろ!千束ちゃん!」

 

 

俺の視界に夢に出てきたあの正体不明のナイトメアが千束ちゃんに手をゆっくりと伸ばす。彼女の左胸に手が触れた瞬間、赤い衝撃波が彼女を襲い吹き飛ばした。

 

 

「千束ォ!!?」

 

「うぉおおおおおおおお!」

 

 【プラズマ!】

 

 

俺は吹き飛んでいく千束ちゃんの背後に回り込み抱き止める。千束ちゃんは気を失っているようでグッタリとしている。

 

 

「千束ちゃん!?彼女に何をした?!」

 

「ミッション コンプリートってな。さぁ、悪夢を楽しもうぜ?ゼッツ!」

 

「貴様ぁ!」

 

「よせ!たきなちゃん!」

 

 

激昂したたきなちゃんがナイトメアに銃を乱射する。しかし、銃弾はナイトメアの体に弾かれダメージは通らなかった。

 

 

「ハァッ!」

 

「きゃああ?!」

 

 

ナイトメアがたきなちゃんに向かって衝撃波を飛ばすとたきなちゃんがゴロゴロと地面を転がり、パタリと動かなくなった。俺は千束ちゃんを抱えたままたきなちゃんに近寄り、ショックカプセムの力を発動して停止した心臓を動かす。

 

 

【ショック!】

 

「ごはっ?!がはっ!はぁ、はぁ……今何が起きて?!」

 

「千束ちゃんを連れて逃げるんだ!」

 

「万津さん!?」

 

 

俺は千束ちゃんをたきなちゃんに託してナイトメアに殴りかかるも、赤子の手をひねるように軽く受け止められる。そして、腹に重い蹴りを喰らった。

 

 

「ゴホッ?!」

 

「お前が望めば望むほど俺の力も強くなる。こんな風になぁ!」

 

「ぐぁあああっ?!」

 

 

俺は頰に強い衝撃を受けて吹き飛ぶ。

 

 

「ゼッツ、俺はお前から生まれた。お前がこの世に生まれた頃から俺たちは一つだった」

 

「何を言ってる?」

 

「気づかないか?俺の力を?」

 

 

ナイトメアが崩壊の力を発動し、その衝撃によって街が凄まじい勢いで壊れていく。

 

 

「この力?!カタストロムか!」

 

「正解だ」

 

 

俺はカタストロムナイトメアの崩壊の力をバリアで防ごうとするも一瞬でバリアが崩壊する。俺は立っていられず地面に伏した。

 

 

「これならどうだ!」

 

 【フルライズ!】

 

「クッ?!おぉ?!」

 

 

俺は奴がバリアを破る前まで夢を書き換えて、奴に渾身のストレートを打ち込む。そして、ジャブで頭を揺らし蹴りで地面に叩きつける。

 

 

「万津さん!千束が息をしてません!」

 

「何だって?!」

 

「俺相手によそ見とはいい度胸じゃねえか!」

 

「ガァアアアア!?」

 

 

俺は崩壊の力を纏った蹴りを喰らい千束ちゃんたちの前まで離される。

 

 

「ち、千束ちゃんは俺が今治す!」

 

 【リカバリー!】

 

「まったく……馬鹿な奴だ」

 

 

リカバリーの力で千束ちゃんを治療する。そして、息を吹き返した千束ちゃんの安否を確認する。

 

 

「大丈夫?!」

 

「む、胸が苦しい!」

 

「どうして?!」

 

 

リカバリーカプセムは万物を復元する力を持っている。なのに、何故彼女は胸を抑えて苦しんでいる?

 

 

「俺の崩壊の力で千束だったか?そいつの人工心臓を壊した。俺を倒さない限りそいつ死ぬぜ?」

 

「何だと?!」

 

「これで残るはメインディッシュだ。今度は本気出せよ、ゼッツ」

 

「待て!」

 

 

俺は足を引きずりながらナイトメアを追うも奴は体を影に変えて虚空に消えていった。千束ちゃんの命を救うには奴を倒すしかない。でも、まずはこの場から避難するのが先決だ。

 

 

「たきなちゃん!」

 

「は、話は後です!千束を病院に!」

 

「うん!」

 

 

俺は千束ちゃんとたきなちゃんを両脇に抱えてプラズマの力で体をプラズマ化させる。そして高速で病院に向かう。間に合ってくれ。

 

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