「俺の名前は仮面ライダーゼッツ エクスドリーム。無敵のエージェント」
俺は全国生放送の番組をジャックし、TV局の人たちに協力してもらいカメラに映っている。
「おい、カメラ回せ!」「は、はい!」
「世界各地で発生してる犯罪歴のある人々の不審者。そのブラックケースの黒幕は夢の怪人パニッシュゴアナイトメア」
俺はカメラの前でパニッシュゴアの悪行を語る。ナイトメアの存在を暴露する事は混乱を招く事になるがやむを得ない。これも奴を炙り出すため。
「な、何言ってるんだ?」「面白い事になってきたぞ!」
「奴を倒すため、俺は覚悟を決めた」
俺はカメラの前で力強く宣言する。
「な、何が起こるって言うんだ?!」「カメラズームしろ!」
「まずは、この場にいるTV局の人間。そして、一般市民の諸君には死んでもらう事にする」
そして始める死の宣告。TV局の人間や一般市民の間に動揺が広がる。
「し、死ぬって……」「どう言う事だよ……」「あ、あいつ頭おかしいんじゃねえか?」
「I'm on It(さぁ、やろうか)」
【プロジェクション!】
「さぁ!悪夢の始まりだ!!」
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「フハハハハハ!ゼッツ、やはりお前は面白い!」
パニッシュゴアナイトメアが闇の中で映し出されるブラウン管のTVを観る。そこにはゼッツが人々を虐殺する映像が流れていた。今頃、全国放送で阿鼻叫喚の嵐が巻き起こっているだろう。
『やめてぇえええ!』『たすけ!ぎゃああああ!』『お、俺の腕ぇえええええ?!』『はやくにげろぉおおお!』
「さぁ!今こそ罪人となったゼッツを裁こう!」
パニッシュゴアナイトメアは闇の中より姿を現し、ゼッツの元へと進む。全ては罪人を裁くため。その目に昏い闇を宿して。
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「これで終わりか……」
ゼッツは眼下にくたばっている人間たちを見下ろす。辺りには血が広がり、散らばった肉片がグロテスクに周囲を彩る。
「これは滑稽だ。自らの犯行を国民に晒すとは。……まさに、まさにぃっ!最高の罪人だ!」
「来たか、パニッシュゴア……」
仮面を血に濡らしたゼッツの前に狂喜乱舞するパニッシュゴアが出現する。
「さぁ、悪夢を叶えよう!」
「パニッシュ。お前は何のために人を裁く?」
ゼッツはパニッシュゴアに問う。その瞳は真っ直ぐナイトメアを貫いていた。
「……ほう。それを私に聞くか。決まっている。悪を滅ぼすためだ」
「……お前が死刑にした人間の中には軽犯罪……比較的軽い犯罪の者たちもいた。罪状が軽いからと言って罪の重さは変わらない。でも、何も殺す必要はなかったはずだ。罪を償う機会はあったはずだ」
「……ククク……ハハハハハ!そんな事は関係ない!悪党は所詮悪党!罪人は裁かれて当然!どうせ他者から恨まれ憎まれるだけの人生ぃっ!せめて私が楽にしてやろう!」
軽犯罪か重犯罪か。そこに罪の重さを問うのは間違いだ。罪は等しく罪。裁かれるのはこの世の定め。その死刑執行人はパニッシュゴアナイトメア。彼こそが絶対正義だ。罪は死で贖え。
「嘘つけよ。本当は罪人を死刑にしたいだけだろ?」
ただ1人。ゼッツは見逃さなかった。ゼッツは糾弾する。パニッシュの罪状を白日の元へ晒すため。
「……ぷっ……フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!その通りだよ、ゼッツぅううううう!」
パニッシュゴアは嗤い肯定する。悪夢のような独白が始まる。
「人間は全て罪を背負っている!アリを踏み潰した事はあるか?!家畜を殺して食う肉は美味いか?!人が人を傷つける世界は何だ?!この世の人間は生まれてから一体どれだけの罪を重ねた?!私はな、ゼッツ!偉そうな顔をして踏ん反り返っている人間を裁き、絶望の表情を見るのが大好きなんだよ!」
「チッ!悪趣味な奴だ!それがお前の本性か!」
ゼッツは怒りを露わにして拳を握りしめる。
「お前が言うかゼッツ?たった今まで人間たちを虐殺していたお前も罪人の1人だ。お前にも悪夢を見せてやろう!」
パニッシュゴアがゼッツの真上に向かって手を掲げるとそらに奇妙な紋様が出現し、ゼッツに高速で飛来する。
「その紋章は罪人の罪を暴き、有罪と確定したものを死刑にする力を持っている!罪状はもちろん一般人の虐殺!さぁ、お前の絶望を魅せろ!」
「……」
ゼッツは動かない。ただ、紋章が己の体を通過するのを待っている。そして、遂に紋章がゼッツに当たる。
「ウワァアアアア?!!」
「ハハハハハ!苦しめ苦しめ!悲鳴を聞かせろ!」
ゼッツはもがき苦しみ、倒れ伏す。やがて彼はぴくりとも動かなくなった。ゼッツは死んだのだ。
「はぁ……ゼッツの排除は完了した。次は日本国民全員を私の手によって死刑にしてやろう」
パニッシュゴアが踵を返す。その足取りは軽やかだった。
「さて、日本国民の罪状は……そうだな。生きている事が罪そのものにしよう!フハハハハハ!」
【パニッシュ!】
「フハハハハハ「おい、まだ俺の夢は終わってないぞ」何?!ガハァッ?!!」
パニッシュゴアは突如、背後から胸に飛び出た剣先に苦痛の声を漏らす。後ろを振り返るとそこにはゼッツが立っていた。
「ば、馬鹿な!何故生きている?!」
「あぁ、そうだ。そろそろ夢の終わりを見せてやるよ」
【プロジェクション!】
「あ、あり得ない?!」
パニッシュゴアナイトメアにかけられていた夢が解ける。彼の目の前には死んだはずの人間たちが立っていた。
「生中継をジャックする前に予めプロジェクションの能力を発動して、周囲の人たちに俺がドッキリの撮影の監督に見えるよう手品を打って手伝ってもらってたんだよ。ちなみに辺りに散っている血は全部トマトケチャップ、肉片とか落ちてる腕は撮影用の小道具を借りたよ」
「あの、撮影ってこれで終わりですか?ゼッツさん?「いやぁ、まじでVRみたいだったわ。すごいな最近のCGは!」「そろそろ休憩いいっすかぁ?」「うーん、肩凝ったわぁ」「パニちゃんも休もうぜー?」
「馬鹿な!全ては幻だったと言うことか!」
「あぁ、お前を誘き出すための罠だ」
「ならば、私がお前たちを裁いてやる!……くっ、体が?!何だこの剣は?!」
パニッシュゴアナイトメアが動こうとするも激痛と脱力感に苛まれ自由が効かない。その隙にゼッツはエクストリガムを処刑宣告のようにゆっくりと押していく。
「効くだろ?ブレイカムドォーンの刃は?ペナルティドレインは斬撃と同時に対象の持つエネルギーを吸収する特性を持っているんだ。つまり、お前はもう終わりだ」
「馬鹿な!この私が?!」
「さぁ、悪夢の終わりだ!」
【ライズ! グレートバニッシュ!ゼェッツ! ゼッツ!! ゼェーッツ!!!】
ゼッツがパニッシュゴアに突貫し、渾身のライダーキックを放つ。
「ゼッツゥウウウゥウウウ!おのれぇええええ?!!」
「ハァアアアアア!!」
「グァアァアアアア?!!」
パニッシュゴアナイトメアがライダーキックを受け爆発。空中に浮かぶ777がZZZへと変わる。
「mission complete(任務完了)」
「最近の撮影は派手だなぁ」「すごい爆発!」「爆薬使いすぎでしょww」「ゼッツ監督かっこいいー!」
「ありがとうみんな!撮影はここまで!次もよろしくお願いします!」
ゼッツは一芝居打ってくれたTV局の人間や市民に感謝を述べてからバイクに乗り走り去った。
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「千束、大変です!TVにゼッツとナイトメアが!」
「ブフォッ?!まじで?!」
「楠司令、これは、どうしましょうか……」
「もう隠し切れないだろう。気づく奴は気づく。全くゼッツめ。勝手なことを……」
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やぁ、みんな。俺は万津 獏。俺の演技には驚いてくれたかな?それにしても、パニッシュがこうも上手く引っかかるとは思っていなかった。奴の目は節穴だったのだろう。罪人を裁くことしか見えていない目では何も見えはしない。
こうして俺は最恐の敵パニッシュゴアナイトメアを倒す事に成功した。だが、俺の戦いはこれからだ。物語のラストまで俺は走り続ける。例え、その先に何が待ち構えていても。