変態狂人肉体派呪術師、冒険者ギルドを追放されたのでアステカとヴードゥを源流に持つ新呪術体系「カパック・ナワル」を操りソロ冒険者を極める!   作:大地の杖

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第1話「ひさびさに見上げた空は青かった」

「イツァム・V・コールマン」

 

「おまえをこの冒険者ギルドから追放する」

 

「理由はわかっているな?」

 

「いちいち詠唱の時にポージングして注意を引くこと」

 

「脱ぎ出す癖があること」

 

「それらは本当にすいませんでした」

 

「男女問わずその呪術が不気味だと俺に相談が相次いでいること」

 

「それはうちの滅んだ村に喧嘩を売ってるってこと?呪術で作る強心薬(ザクロ味の噛みしめ飴)作るのに必須なんすけども」

 

「そんなつもりはないがあまりにも相談が多すぎるのだ!なぜ倒したモンスターの解体を皆の前でする!しかも心臓をコレクションしていると聞いたぞ!おまえのところの呪術はどうなっているんだ!」

 

「かつてアスティッカとブゥードゥと呼ばれた呪術をガッチャンコして産み出した最新の呪術、「カパック・ナワル」とされていますが?」

 

「ええい成り立ちを聞きたいわけではない!いいか!今すぐうちのギルドから出ろ!身支度をしろ!早く!もう相談数が多すぎて限界なのだ!」

 

「こっちが下手に出てりゃ調子に乗りやがって!俺が出てったらどうなるのかわかってんのか!うちのギルドの呪術師率なめんな他ジョブ9の呪術師1だぞ!どんだけ不人気ジョブだと思ってる!」

 

「うるさいうるさい聞きたくない!衛兵を呼ぶぞこれ以上は!」

 

「いいだろうわかったよそうまで言うなら出てってやるよォ!毒に蝕まれたヤツ、俺の強心薬でもう助けられねぇだろうけど後悔すんなよ!!」

 

「強心薬だけ残していけ!」

 

「断る!!」

 

~~~

 

「まったく…でも、これでしたい格好が出来るってワケよぉ…」

 

イツァムは路地裏で重厚なローブを脱ぎ捨て、マント一体型マスク(バラクラバのような目だけだすモノに口の穴をさらに開けたもの)とポージング・トランクス(ボディービルダーの下着みたいなくい込みのエグいアレ)だけを着て町を練り歩いた!

 

その筋肉はデカかった

 

筋肉から「ライトウェイト・ベイビー!」という声が聞こえてきそうなくらいにはデカかった

 

それもそのはず彼は2m45cmに345kgというすさまじい巨漢だった!

 

しかし脂肪だけでその体重になっているのではなく、筋肉を掛け合わせてその体重になっているのだ

 

うーん、まさにガチムチ!さらに呪術的スカリフィケーション(皮膚、あるいはその下の肉をカミソリなど刃物で剃り落とし肉体そのものに刻むタトゥー)まで全身に刻まれている!

 

もちろん衛兵に不審者として捕まり、街すら追い出された!

 

彼は自分のやりたいようにやりたいだけなのに

あまりにも踏んだり蹴ったりである

 

「なんだってんだ…まぁどうにか呪物の持ち出しは許可してくれたが…」

 

彼の野宿生活が始まってしまう…

 

しかしその見上げた空はどこまでも広く、青く

彼の新しい旅立ちを祝福しているようだった

 

「…まぁ、なんとかなるだろ!」

 

その日の晩

彼は風呂にはいっていた!

 

「♪~♩~」

 

彼は街ではいわゆる富裕層の出であり、さらにギルドではアレでも稼ぎ頭ではあった

そのため風呂桶を買えるほどの手持ちがあるのだ

しかも自作の石鹸まで持っている!

 

「アイツラ、稼ぎ頭のオレを追い出して本当に大丈夫なんだろうか…一週間くらいたったら顔見せに行くか…?」

 

その背を狙う猛獣の気配アリ!

 

「…!」

 

しかしイツァムは立ち上がるだけで猛獣に向き直らない!

マスクを付けてないからだ!

ルチャドールにとってマスクを付けていない姿を見られるのは動物であれど禁忌!

顔を向けるわけにはいかない!

だがしかし彼はルチャドールではない!自身をルチャドールだと思っている狂人である!

 

「ヴォフッ、ヴォッフ!」

 

猛獣はデカイ獲物に興奮している!

 

「ヴァウッ!」

 

ついに飛びかかる!

 

しかし!

 

「バァッック!ラット!!スプレッドォ!!!」

 

背中に鬼の顔が宿る!

 

猛獣を鬼の顔が睨み付ける!

 

「ギャウッ?!」

 

驚いた猛獣は飛びかかりを中止し様子を見る…

 

「サイド…トライセプス!!」

 

ポーズを維持し威嚇!

そしてその隙に泡を流し、マント一体型バラクラバとポージング・トランクスを履き臨戦態勢になる!

 

「お ま た せ」

 

「ヴヴヴヴ…!」

 

猛獣は獲物に嫌悪感を覚えつつも倒さねば逃げられないことに、自らも獲物だと思われていることに気付く!

 

「今晩の飯兼呪術素材!よく来てくれた!!」

 

台詞が気狂いのそれである!普通襲われたら警戒するのが普通だが異常に興奮している!

しかしこれにも理屈がある

心臓に植えた特殊な薬草を心臓ごとザクロ果汁と砂糖とでミキサーで混ぜて混ぜて混ぜに混ぜて最後に煮詰めた噛みしめ飴、これがギルドマスターの言っていた「飴」である

 

それを二粒も噛みしめている!

 

「フゥーッ!!フゥーーーッ!!!」

 

全身の血管が浮かび上がる!

肌が赤く染まる!!

目が血走る!!!

 

外見も合わさり完全に

圧 倒 的 不 審 者

である

 

「おまえの心臓はオレのモノ!おまえの肉もオレのモノだァ!!」

 

ダッシュエルボーを狙うッ!しかし獣の回避力を侮るなかれ、単発の攻撃など簡単に避けられてしまう!

 

「ヴェヘヘヘヘ…」

 

「ウワッコイツ笑い方キモッ!」

 

この笑い方から推測するにこいつはハイエナ型魔獣

本来は群れているはずだがはぐれだろうか

一匹しかいない…?

 

「ヴァアッ!」

 

さらに飛びかかる!

 

「甘い!」

 

フロントチョークが飛び込みと噛み合う!

 

「ぬぅぅぅぅおおおおおお!!」

 

ハイエナ型魔獣の首を絞め上げる!

 

「コヒューッ…コヒュッ、カハッ!」

 

呼吸が弱くなっていく…

 

「そろそろか」

 

マントの内ポケットから小さいナイフを取りだし、頸動脈を二回刺す!二回だ!

ホースから水をだしたかのように勢いよく出血する!

 

「ゲエッ…」

 

酸欠と大量出血のショックでハイエナ型魔獣は死に至った!

 

「一匹だけのハイエナ型魔獣に本気だしたら稼ぎ頭の名が廃るワケですわ…さて、今日の肉ぅ~!助かるぅ!ハーブ使って香草焼きか煮込みにしようかな!」

 

案外追放されてもなんとかなりそうな男のトンチキ冒険譚、はじまりはじまり

 

~~~

 

「勝手に第一話を終わらそうとするな!まだ晩飯食べてないだろ!」

 

あっメンゴメンゴ

 

「たくよぉ…まずはあの飴の原液にリブを漬けて…その間は呪具の点検でもするか…」

 

飴の原液

マンドラゴラを生やした魔獣の心臓をマンドラゴラごと潰してマンドラゴラを殺しつつザクロ果汁と砂糖とで混ぜて混ぜて混ぜに混ぜて最後に煮詰めた汁

冷ますと飴になるし砂糖の代わりに塩をいれると調味料になる

 

~~~

数十分後…

~~~

 

「よし漬かった!

これを…どうするか

…煮込みにするか!」

 

グツグツ…

「うーん、ザクロ果汁のいい香りですねこれは…」

 

「煮込みって全部ドボン方法なら火の加減見るだけでいいからラクだよなぁ~」

 

「最後に炙るか…」

 

呪具を引っ張り出す!

ドラゴンの形をしたおもちゃに見えるがバーナー程度の火なら吐き出せるぞ!

 

ジュウウウウウ…とよく焼ける音がする!

ハイエナ型魔獣の肉の癖が抜けきってないのか煙が臭い!

 

「ヴォエ!」

 

抜けきるまで炙ることにした!

そしたら焦げたので焦げを削って完成!

 

本日のディナー

 

ハイエナ型魔獣のリブの香草煮込みを炙ったもの

 

呪術に使われるハーブを香草に使ったモノ

魔獣の肉は滋養強壮にいい!

味や肉汁はそれなりだが風味は野趣あふれるモノとなっていて人を好むが好きな人はとことん好きな肉料理である

 

「うん!食える!臭くない!まぁまぁうまい!煮込んで固くなったけど、まぁそれなりにリブの骨の出汁が出てるし…そこそこの味はしてる!」

 

「…でも、アイツラと一緒に食べた方がうまいな…今からでも…いや、追放されたのにすぐ戻るのどうなの?と自問自答してみる」

 

ド深夜の林道でいつまでもぶつぶつ言っている…やはり狂人…?

 

「…今日は寝るか!おやすみ!もうこの話閉じていいよ!」

 

簡単に第四の壁を抜けないでほしいものだ

それはアメコミの特権だろうに

 

まぁいい

 

今度こそ、案外追放されてもなんとかなりそうな男のトンチキ冒険譚、はじまりはじまり

 

「グゴーッ!フガーッ!」

 

…こいつ林道でこんなイビキかいてて襲われないのか?

 

~~~

 

現地点

アブラハム一神教神話体系

白亜の終末

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