変態狂人肉体派呪術師、冒険者ギルドを追放されたのでアステカとヴードゥを源流に持つ新呪術体系「カパック・ナワル」を操りソロ冒険者を極める!   作:大地の杖

3 / 9
第3話「本当に勘弁してください」→「大漁だァ!!!」

クレイリンとチクルを仕込んだその日の晩…

 

「グゴーッ!フゴゴーッ!」

 

イツァムは熾天使が出た場所だというのに全然イビキかいて寝てた

なんやコイツ

 

「起きろ、コールマン家の末裔」

 

しかしそれを起こす影アリ!

 

「末裔ってほど廃れてないです」

 

「マジ?そりゃいいジョークだ」

 

◆軽口を叩くこの男の目的は─?

 

「…だれ?」

 

「テスカトリポカ♡」

 

「は?マァァァァァァ↑」

 

イツァムが絶叫を上げる!

さもありなん、彼にとってテスカトリポカとはトナルポワリで導きだされた守護神であり、しかしコールマン家、ひいてはカパック・ナワルにおいて絶対に呼び出してはならない禁忌だからである

 

(えっオレ寝ぼけながら降ろしちゃった????マジ???死ぬのかオレ????)

 

「殺しゃしないさ、まぁでも、その代わりに…ねぇ?」

 

「わかりました。こちらトウガラシ入りクレイリンの熾天使の肝漬けになります!」

 

「うん、他にもあるよね?」

 

(なぜそれを…)

 

「続きましてこちら、熾天使の脳と心臓とタバコの葉を限界まで細かくしてチクルに混ぜ混んだ噛みタバコ風ガムです。クソ辛くてクソ苦くてクソ甘いです」

 

「…ふーん…?いいじゃん、他は?」

 

(他にはねぇよ!クソ!!)

イツァムは完全に狼狽え「黙っててくんない?オレ今コイツにだけ話してるからさ」アッハイ!

 

「…無いです…!!」

 

「じゃあ…まぁ、合格にしてやっても…」

 

「…!」

 

「ダメだやっぱ!もう少し面白いもの見せてよ、ほら呼んだからさ」

 

「呼ん…何を…?」

 

遠くから羽音が聞こえる…

 

「コールマン家!見つけたぞ!!」

 

人面イナゴの集団のエントリーだ!!

 

「まぁこれならギリギリ生き残れると思うしさ、頑張ってよ」

 

テスカトリポカ神はどこからともなく取り出した椅子に座り観戦の構えだ

登場してすぐにキャラ立ちする(作者が制御不能になる)のやめてもらえますか?「なに?意見?」滅相もございません…

 

イツァムはマントにくくりつけられている呪物および儀式に必要な素材を確認している…

 

「えぇ…?えーと…トウガラシある、クレイリンある、チクルない、プルケある、アカジェトルある、ボティオある、ブゥードゥ人形ある…なんとかなるか!」

 

「ぬかせ!大罪人!」

 

「まぁまずはボティオで弱体化させます」

 

「…ボティオ…貴様!」

 

「もう遅いッ!食らえ!!」

 

イナゴに化けたボティオの足をもぐ!

 

「うぐおっ…?!感覚が…無い…!」

 

「続きまして羽をむしりましょう」

 

ボティオの羽をちぎるようにむしり取る!

 

「やめろーっ!」

 

イナゴは飛べなくなった!

 

「集団でこられるとワングループ扱いになってちょっと効きが悪かったり有効時間が短くなったりするけどまだ効いてるみたいですね、ほな最後に尾をもいで首折るね…」

 

「よせーーっ!うごっ!」

 

イナゴはピクリとも動かなくなった!

 

「結局ボティオがNo.1!じゃあ解体してテスカトリポカ神が面白いと思ってくれそうな呪物作るか…」

 

「そりゃいい、どんなのを作ってくれるんだ?」

 

「えーと、とりあえず一匹目の解体が終わりましたので…呪物に出来そうなのが…牙!目玉!尾!髪!羽!くらいですかね」

 

「…死ね…コールマン家…!」

 

「あっボティオ切れた!じゃあ仕方ないコイツを食らえ!」

 

「皮を剥がれた我らが主よ!力を!」

 

プルケとクレイリンを口に含み吹き付けるようにアカジェトルの煙に乗せる!

 

「赤か!いいぞ、使え!」

 

「ぐお、おお、お…!主よ…我らのアバドンよ…!なにも見えぬ…なにも感じぬ…!導きが…失われ…」

 

煙に巻かれたイナゴの肉体は皮をむいたようにその身が剥がれ落ちていきながら融解し、しかし精神もグズグズと溶けていく!

イナゴの集団は完全に沈黙した!

 

「…フゥーッ!やっぱアカジェトルはキマりますね…」(しかし呪術素材…あまりに惜しい…!)

 

「ああ、ニコチンの含有量が桁違いだ」

 

その含有量、通常の紙タバコの9倍!

 

「あとオレにも寄越せ」

 

「献上いたします…!」

 

真新しいアカジェトルを差し出す!

 

「プルケももちろんあるよな?」

 

「ございます!」

 

一番新しいプルケをスッと差し出す!

 

「…ああ、おまえ赤だけじゃなくてダンバラ・ウェドのガキでもあるのか」

 

「へ?」(なんでそれを?)

 

「なんで?そりゃあイナゴが死んだ跡に実りがあるからだろ」

 

「実り…?」

 

イツァムが振り向いた先には、馬体ほどもあるイナゴの、その集団の皮膚が剥がれ落ち、溶けた跡にはトウモロコシの「畑」といえるほどの実りが出来ていた

 

「…我らの、肉…」

 

「ああ、赤も使わせてやったからな」

 

「…アバドンのイナゴから出来た我らの肉!?!?!!?最高の呪術素材だーーーッッッ!!!!!全部刈り取るッッッッッ!!!!!!」

 

「ほどほどにして戻ってこいよ、面白いものを見せてもらって捧げ物ももらった、なら神として渡すものの一つや二つあるからな」

 

「ヘエッ?!」(いったいどんなトンチキ渡してくるんだ…!)

 

~~~

変態収穫中…

~~~

 

「大漁すぎる…!!!」

 

およそ馬15頭ほどの重さ分のトウモロコシを収穫した!

 

「よかったじゃねえか…さて、渡すものだが…」

 

「ハイ!」

 

「これだ」

 

額に輝く黒曜石の鏡を戴く、ジャガーの意匠を実に美しく、そして勇ましく施したマスク、つまりどうみてもルチャドールのマスクなのだ!

 

「ホァッ?!?」

 

「被れ、次もある」

 

「ハイ!ヨロコンデ!あっちょっとバラクラバ脱ぐんで失礼します…」

 

トウモロコシの後ろに隠れ、ジャガーマスクを被る!自認ルチャドールはこういうとこ律儀

 

「力が…滾る…溢れるゥ…!!」

 

満ちるジャガーの力!オセロトルとしての開花だ!

 

「お待たせしました…次はなんでございましょう…」

 

「おう、これだ」

 

ジャガーの顔が堂々と象られたマント付きチェストアーマーだ!マジックボックスにしまっておいたセラフィムの皮膚がマントに勝手に使われている!

 

「イナゴの真似って訳じゃないが、おまえにも与えようと思ってな」

 

「ありがとうございます!さっそく付けさせていただきますね…」

 

…これはなかなか…

「ああ、馬子にも衣装ってな」

 

「さらに力が満ちる…?!」

 

「ああ、普通はこの時点で肉体から魂が爆裂しているがおまえはジャガーのナワルと10の葦だからな、堪えるだろう」

「それとあと、おまえは自認がルチャドールらしいな、ということでマエストロ(関節技を主に使うルチャドール)としての才覚とおまえの内に眠るナワルとしてのジャガーを目覚めさせてやった。漲る力はそういうことだろうな」

 

「神ィ~!テスカトリポカ様ァ~!!」

 

イツァムはテスカトリポカに平伏している!

 

「…さて、そろそろ発つがオレはしばらく来ない。この世界を裏から見つつ調停しなきゃならんからな…こういうのは白の仕事だが、こうなった世界ではそうも言ってられないからな」

 

イツァムはなにか思い当たることがあるかのように考え、一つの答えを思い出す

 

「…こうなった、世界…もしや…」

 

「ああ、おまえのカパック・ナワルの言う通りだ」

 

黒のテスカトリポカはアカジェトルを大きく吸い、吐き出しながら告げる

 

「カパック・ナワルの終末論において人類はすぐには滅ばない。しかし繁栄することもなく、自らを慰めるためのプロパガンダのみにすがり、しがみつきながら生き、ゆっくりと腐っていくだけだ」

「ここはアブラハム一神教神話体系、白亜の終末」

「約束された滅びの地であり、かつて人類が栄えた地だ」

 

「…規模が、でかすぎる…ついていけない…!」

 

「今はそれでいい、だが赤い竜か4騎士に相対する頃にはおまえの答えを見つけておけ、滅びに抗い人類の地を取り戻すか、街に戻り腐っていくかを」

 

「…」

 

「じゃあな、また面白いものを用意しておけよ」

 

煙と夜風と共に黒のテスカトリポカは消えてしまった…一人取り残されたイツァムは、夜明けまで寝ることなく考え続け、だが結局保留とし、旅を続けることにした

 

「…一徹しちまったけども、立ち止まるのはちげぇよなぁ…とりあえず、マジックボックスにトウモロコシしまうか!」

 

馬14頭ほどの重さのトウモロコシをマジックボックスに入れて残りの馬1頭ほどのトウモロコシで呪物を作る!

 

蒸発させたプルケの煙とクレイリンの煙とトウモロコシの茎を焼いた煙とトウモロコシの果汁だけを煮て出た煙を閉じ込めた瓶を手に入れた!

トウモロコシで作ったタマルとトルティーヤを手に入れた!

トウモロコシの乾燥させた根を手に入れた!

トウモロコシの乾燥させた葉を手に入れた!

トウモロコシの乾燥させた髭をよりあわせた紐を手に入れた!

トウモロコシの乾燥させた包皮を手に入れた!

 

「あまりにも…あまりにも大量…!トウモロコシの根や葉はボティオに使えるし、煙はダンバラ・ウェドをパパ・レグバを介さずに呼べるし、髭をよりあわせた紐はそのダンバラ・ウェドを降ろす触媒に出来る…!他にはタマルとトルティーヤは腹が膨れるだけでなくドーピングとしても使える上にボティオも、肉人形として囮も作れる…!完璧だァ…!」

 

それらを全てマジックボックスにしまい出立の準備を始めるイツァムはひとりごちる

 

「テスカトリポカ神が出てきた時は死を想ったが…まさかこんな収穫があるとは…実は家訓は間違っていた?」

 

赤を使う不遜とかそれをアバドンのイナゴという滅びの象徴に使ったのとかそういうのが刺さったと思う

 

「なるほどな!よっしゃア!!デッパツ!!!」

 

行く道もわからぬのに元気なことだ

しかし赤い竜と4騎士…どうなることやら…

 

「あっ!!解体したイナゴの呪物作るの忘れてた!!!」

 

またか!

 

「毒腺つきの尾!目玉!羽!髪!歯!こんなもんですかね生体素材は…ほなクラフトタイムだ!今回はデッパツ直前ということでサクサクいきましょう」

 

「髪を半分にわけます、毒腺を破らないよう慎重に引き抜きます、毒腺から毒を搾り出します、そして半分にわけた髪を歯を浸します。この間に目玉と羽と残った尾の神経を編み込んでいきましょう」

 

あみあみあみあみ

 

「編んだものが出来上がったらもう片方の残ってる髪で編み込みを縫いより結び付きを強固にします。そしたらそこで死にたてほやほやのイナゴがいるのでコイツの脳漿に浸けておきましょう」

 

~~~

放置タイム

~~~

 

「そろそろ髪に毒が馴染んだ頃なので絶対に皮膚に触れないように引き上げます」

 

すさまじい悪臭を放っているがなぜコイツは平気なんでしょうかね「慣れてるからです」左様で…

 

「イナゴの歯が中に入るように髪で毬を作りつつプルケの空き瓶を突っ込んで持ち手を作ります。底の方が中に入るようにしましょう、ここミスると投げづらくなります。こうして毬ができたら自然乾燥を待ちましょう。」

 

~~~

自然乾燥中…

~~~

 

「自然乾燥が終わったらイナゴの脳漿から呪物を取り出します!呪術版手榴弾、および蠍の針もつ飛行する目玉型のドローンが完成です!」

 

コイツ呪術のことになると生き生きするよな

「やかましいが???」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。