変態狂人肉体派呪術師、冒険者ギルドを追放されたのでアステカとヴードゥを源流に持つ新呪術体系「カパック・ナワル」を操りソロ冒険者を極める!   作:大地の杖

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第4話「どこ?どこなのここ!?怖いよぉ!」

ルチャドールとしてのマスクとチェストアーマーを授かったイツァムはしかし、完全に遭難していた

 

「どこ行っても似たような景色で狂う!」

すでに狂ってるだろおまえ

「たしかにそうだけども!」

自認狂人の狂人が一番たちが悪い

「うるせぇ!」

 

「はぁー…ほんとにどこだここ、なんか知ってる?」

 

…さぁ…それに言ったらネタバレになるし…

 

「だよなぁ~…てかなんでどこもかしこもおんなじ景色なんだ?なんか攻撃されてる?」

 

そう、この男実は街を出てすぐの林道から抜けれてないのである

 

「…こうなったらちょっと儀式するか」

 

またなんかやるつもりなのか…

 

「ふんふんふん♪」

 

地面に紋様を描いていく

それはヴードゥのそれに見えるが…

 

「お、気付いた?まぁちょっと見てなって」

 

おもむろにマジックボックスからドラムセットを引きずり出す!

それはひとりでに音を奏でだす!

どうやら自動演奏機能がついているようだ

 

「踊れーーーッ!!!」

 

大股を開き膝に手をつきケツを突き出しながらリズムに合わせ腰を振り踊る!

なにをしているんだコイツは!

 

「グビッ、ブゥーーーッ!」

 

クレイリンを霧状に吐き出すな!汚い!

 

「フーーッ…」

 

タバコを吹かすな!

ほんとに儀式なのか!

おいクレイリンちゃんと持て!

股間にこぼれたぞ!「わざとだよ」えぇ…?

 

「グビッ!グビッ!ゲフッ!…アッ!来た!ここで前回作った煙の瓶を開けて紋様にかけていきます」

 

モワァ…と紋様に煙がかかっていく…

そしてイツァムがマントから取り出したのは1本の木製の杖だ

それで地面を二度コンコンと叩く

 

「偉大なる冥界の主、ロアたちの鍵の守護者たるパパ・レグバ、鍵をお借りします…」

 

~~~

 

「…おっ?呼ばれたか?俺を呼ぶビチグソヤロウは…おお!コールマンのガキか!捧げ物はトウガラシ漬けのクレイリンとアカジェトル、タマルにトルティーヤか…コールマンのガキにしては質素だが、まぁ行ってやるか…ママン!呼ばれたから少し空けるぞ!」

 

~~~

 

「来る!来る!来てる!来た!」

 

ビクリと跳ねるように痙攣し、イツァムのすべての動きが止まる

そしてマントがイツァムを包み、その姿を隠す

そして出てきたのはイツァムではなく─ドクロのアクセサリがあしらわれたシルクハットを身に付け、黒の燕尾服を纏い、真っ黒なステッキをその手に持つ、「死」の気配を濃密に感じさせる、父性ある男であった

 

「さて、誰の墓を掘ればいいんだ?」

 

彼の名は「バロン・サメディ」

ヴードゥ教における死神、下品な言葉と下品な振る舞い、ケツを突き出しながら踊るような下品だが激しいダンスとトウガラシをいれたクレイリンをこよなく愛する墓守であり、「ママン・ブリジット」という嫁を持つ既婚者でもある

 

「そこのノグソか?」

草むらにステッキを向けると、死を感じさせる寒気が草むらを襲う!

「ウヒィッ!?」

飛び出してきたのは全裸の男女…に見える魔族、インキュバスとサキュバスだ!

 

「このクソどもらの墓を掘ればいいのか?まぁいい、ほれ」

 

腰を抜かして動けないインキュバスとサキュバスをステッキでツンと、一度だけ突く

すると二人の魔族はピクリとも動かなくなった

たったそれだけで死んだのだ

死神とはかくも恐ろしいものである

 

~~~

 

一方その頃、イツァムはと言うと…

 

「…ん?え?ここどこ?てかシュヴァルで魂がとばされるの初めてなんだけど?」

 

そこはある現代的なホテルの一室だった

もちろんイツァムは富裕層とはいえ村育ちなのでホテルなんてものは知らないし、この世界の人間はそこまで発展できなかったのでこの世界にはホテルなどない、あったとしても宿屋である

 

「あんた、コールマンの子だね!」

 

腰を振り踊りながら現れたのは巨漢でありながらグラマラスな女性であった!

 

「えっえっえっ、誰?」

 

「あたしゃママン・ブリジット!それにしてもアンタ、コールマンの子なのにウチに来たら縮こまったイチモツみたいにへにゃへにゃになっちゃって!恥ずかしい子だね!ほら!おったちな!ビンッビンにね!」

 

気付けばレコードプレーヤーから音楽が流れている

その音楽に合わせケツを突き出し跳ねるように踊っている!そのケツをイツァムに突きつけるように向けながら!

 

「あわわわわ」

 

「ハァ?!アンタほんとにコールマンの子かい!?ケツをつきだされた程度で狼狽えてみっともない!立ちな!踊りな!まだ夜は始まったばっかりだよ!」

 

「…ママン・ブリジット…えっ、ここロアの部屋?」

 

「なぁにをいまさら言ってんだい!アンタから迷いこんだんじゃないか!」

 

「帰ったぞママン!」

 

「アナタ!お帰り!ンーマッ!!」

 

バロン・サメディ(パパ)のお帰りだ!

ママン・ブリジットは熱烈なお帰りのキスをしている!

 

「ん、む…ふぅ…坊主!とりあえず墓は掘っといた!とっとと帰りな!」

 

バロン・サメディはステッキをイツァムのマントの縁に引っかけドアの外に向かって投げ飛ばす!

 

「ホワァァァァ…」

 

~~~

 

「…ハッ!」

 

イツァム、現世への帰還である

 

「…なにが、おき…ええ…?」

 

イツァムがいままで林道だと思い込んでいたその場所、それは大理石の床が敷かれた、雲上に佇む巨大建造物であった

 

「…ここまで世界が壊れてるとは…たまげたなぁ…」

 

全くである

しかしバロン・サメディとママン・ブリジットに出会い、かつバロン・サメディのシュヴァルになれるイツァム…彼は一体…

 

「…まぁいいか、難しいことは考えない!それに遭難から解放されたし!改めて、デッパツ!!」

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