変態狂人肉体派呪術師、冒険者ギルドを追放されたのでアステカとヴードゥを源流に持つ新呪術体系「カパック・ナワル」を操りソロ冒険者を極める! 作:大地の杖
「難しいことは考えないとは言ったが…」
見渡す限りに大理石の床と雲が広がっている
下界のそれではないかのようだ
「しかしすっごいな…なんだこの景色…」
しかしその歩みを止める影アリ!
妙にデカいウサギだ!
「ウサギ?…アブラハム一神教に、ウサギ?そんなん居たか?」
しかしよく見ると違和感がある…
口元が血で濡れている!
「肉食…!コイツ、マージナリアの!」
イツァムは強心飴を噛みしめる!
マージナリアのウサギ が 現れた!
ウサギは立ち上がり歯を剥き出しにして飛びかかる!
しかしその歯はただの歯にあらず
ハルバードのように鋭く肉を切り裂く牙である!
「齧歯類なら齧歯類らしい歯の形をしていろ!…いや、呪術素材として目新しい部類か?」
イツァムの目の色が変わる!
哀れウサギはイツァムの獲物として認定されてしまった!
「ボティオ!出番だぜ!」
しかしそのトウモロコシの生地を膨らませて出来たボティオはウサギに奪われ喰らわれてしまう!
「お前ッ!お前お前ッ!!どんだけ苦労して作ると思ってるんだ!!!」
カパック・ナワル式ボティオ
儀式にてバロン・サメディとママン・ブリジット両方を一人の身に降ろし3日3晩踊り明かすことで陰と陽の気をヴェヴェと呼ばれる呪術式の上に安置されたトウモロコシの人形に全て注ぎ込むことでようやく完成する!
「おのれ許すまじクソウサギ!生かしてはおれぬ!」
なにやらウサギの様子がおかしい…
どこからか現れた黒いステッキとを手に持ち、シルクハットを被り、トウガラシの突き刺さったクレイリンを煽る!
「…マジ?」
ウサギはバロン・サメディをシュヴァルした!
もちろんウサギの意識はそこにはない!
『…ウィ、ヒック!おお?誰だお前…お前の墓を掘ればいいのか?』
ウサギは喋り、ステッキをイツァムに向ける!
「マズい!オレのことがわかってない!」
向けられたステッキから放たれる死の気配を回避する!
「緊急儀式、開始!!」
イツァムはおもむろに駆け出す!しかしそれはウサギに向かってではない、はるか後方に向かってだ!
『…んー…?アイツじゃねぇのか…?でも、アイツ…ヒック!オレのこと知ってそうだし…まぁ、追うか…』
イツァムを追った先、そこは十字路だった
その真ん中にヴェヴェを描き、卵とミルク、綺麗な水、そしてトウモロコシの髭で編んだ紐を捧げるイツァムの姿があった
なんとマスクとチェストアーマーを脱ぎフォーマルスーツを着ている!正装である!ルチャドールとしての誇りはどこに行ったのか!
「今それどころじゃねぇ~ッ…!」
『…あ?それ…ヒック!…お前、同郷?』
「パパ・レグバ、あなたの鍵をお借りします!」
木の杖を取り出し、コンコンと二回床を叩く!
トウモロコシの髭で作られた紐は白く変色していき、しかしその姿は蛇のように大きくなりながら変わっていく!
ヴードゥにおける創世神、ダンバラ・ウェドのエントリーだ!!
『…いや、待ってくれよ…オレはアンタに楯突くつもりは…』
しかしダンバラ・ウェドは蛇のごとき唸り声しかあげられない
ダンバラ・ウェドは神聖すぎる存在であるため言語を操れない!しかし理解はできる!
「ダンバラ・ウェド!我が神聖なる守護精霊よ!我が驚異を取り除きたまえ!マジでお願い!パパン!ダンバラパパン!」
『チッ!割に合わねぇ!オレは帰らせてもらう!』
ステッキが、シルクハットが、そしてクレイリンが消えてゆく!
バロン・サメディは帰ったようだ!
取り残されたのはウサギとダンバラ・ウェド
そして術者であり召喚者であるイツァムのみ
ダンバラ・ウェドは大口を開けウサギを頭から喰らう!
哀れウサギは丸のみにされてしまった!
ダンバラ・ウェドの依代であるトウモロコシの髭で編んだ紐から骨をへし折るようなゴキゴキという音が鳴り響く!
そして依代から色が抜け、元の大きさに戻り、最後には依代は丸のみにしたウサギの体に内側から破られてしまった!
ダンバラ・ウェドは帰ったようだ
「なんとかなったァ~…!さて、ウサギウサギ…呪術素材…」
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見せられないよ!
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「皮!歯!肉!まぁこんなもんだろ…あっ内臓は体内で骨折した骨が突き刺さったりしてて使いもんになりません」
「今回はクラフトタイムから!」
今度はなにを作るのやら…
「まずは骨組みを組みます」
木材をマジックボックスからとりだし加工していく
それ何時間かかる?「練習しまくったから30分あればできるんじゃない?」そう…
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30分後…
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「よし!出来た!これに皮を被せて縫い付けたら完成!」
出来上がったウサギを象った骨組みにウサギの皮を被せていく…がこれ、何?
「は?アステカにおける月とウサギの話をご存じない?」
あぁアレか
えっそれ逸話通りの効果ならエグい強いのでは?
「そうそう、ぶつけた対象への時間停止とか夜空にぶん投げて強制的に新月にしたりとかできる」
相変わらず呪術についてはバケモンだよな
「歯は…ミスリルナイフ、古いんだよな…せや!これでナイフ作ればエエやろ!」
「用意するのは黒曜石、そしてさっきのウサギの歯です」
「まずは歯をぶち壊します」
ハンマーで粉々にしていく!
えっそっちなの?
「アステカにおいて黒曜石はテスカトリポカの肉体に近いものだからナイフの刃に加工して敵を切り裂くことで間接的に血を捧げられるってスンポーよぉ…!」
なるほど…?
「まぁ見とけってホラホラ!この時歯髄とかもろもろ混ざるけど後ですりばちで粉々にするので一切問題ありません」
「さらにうちの村の近くの活火山から取れる火山灰!なんとこれ食べられます」
食べられる火山灰とはたまげたなぁ
実際問題現実では食べられないから真似するのは止めときな!
「味をみて火山灰の状態を確認しながら歯髄と混ざりあった歯と混ぜつつすりばちで粉々にします」
ゴリゴリネチャネチャと混ざり合う音がする!
「粉々にしたらこれを焼き固めつつ黒曜石とくっつけます」
イツァムはマジックボックスの中に入り込んでしまう!カメラ回ってるんだぞどこに行くつもりだ!
「さすがに竈は持ち出せないから多少はね?気になるならそっちから来てホラ」
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映像が乱れております。少々お待ちください
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ここは…
「テスカトリポカ神が言ってた「世界の裏」ってとこ」
こんな簡単に行けていいの?
「もちろんコールマン家の特権、だってオレが取り出してるあの杖パパ・レグバの鍵のレプリカだもん」
お前んち本当なにしてンの???
「じゃあ早速やっていきましょう…ん?…黒曜石…ネチャつくこのすり潰したブツ…アレ?なんかもっといいのが作れそうだぞ?黒曜石…なーんか喉元まで出かかってるんだよな…ん?」
イツァムが視線を落とした先、そこには平たく分厚い鉄製の船こぎオールがあった
「…オール…黒曜石…ブツ…あっ、マカフィトル!」
マクアウィトル
マカフィトルとも呼ぶ
鋭い黒曜石の刃を複数用意しそれを木製のベースに刺す、または挟み込んで接着剤で固定したもの
ちょうど接着剤になりそうなブツがあるのだがこれを作るのか?
「もちろんさ!さーてそうと決まったらオールを竈で熱してちょうどいい長さに切ります!」
バギン!と小気味良い音をならしてオールの持ち手が割れる!
イツァムの手に馴染むちょうどいい長さになった
「まあオールなので幾分持ち手が太いがオレは恵まれた体をしているので片手で持てる!何ら問題はないだろう!この長さのオールの二つ目を作ったら接着剤としてさっきのグチャグチャのブツを敷いていきます」
ネチャりと粘つく音を立てながら歯髄と歯の混合物を伸ばしていく…が、総量が足りないようで全体に伸ばしきれない…
「…チクル足すか!」
チクルを足してようやく足りたようだ
次はどうするんです?
「これを焼き固めます!鉄製にしたのはこれが理由なんですね~木だと焼いたら炭になってしまうからね!」
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焼成中…
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「チクルが半生の状態になったら取り出して…アッチアチチッ!フゥー…冷めないうちに黒曜石を埋め込んでいきます…!」
グッ!グッ!グリグリ!と黒曜石を埋め込んでいく
そして埋めこみが終わったらまた竈に入れ加熱して焼き固めていく…
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再焼成中…
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「よし、鉄の表面が溶け始めたので取り出してアステカの特徴的な紋様を描いていきます」
ゴリゴリと切り取ったオールの持ち手で描いていく
髑髏や蛇、黒曜石のマークをつけていくようだ
「覚まして…!」
冷たい油が凄まじい沸騰音を響かせる!
「完成だ!!」
マクアウィトルが出来た!
しかしそこに歩み寄る影アリ!
この男は─
「なんだ、お前ルチャドールじゃなくてオセロトルになりたいのか」
テスカトリポカ神だ!
「神ィ~!ルチャドールとしても生きたいけどオセロトルとしても生きたァい!!」
「お前、武器の扱いは?」
「…うーーん…こんなデカイ(2m以上ある)のはあんまり使いませんねぇ…」
「長物は苦手か、まぁオセロトルなら当たり前だな」
「まぁオセロトルとなると密林での戦闘が基本なんで長物なんて使わないっすね、エエハイ」
「まぁ白亜の終末なら密林なんて障害物はない、好きに使えるだろう…ふむ、そうだな…オセロトルとして、オレに付き合えるか?」
「ハイ!もちろんでございます!」
「なら良し、ついてこい」
「喜んで!」
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映像が乱れております。少々お待ちください。
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「ここ、白亜の終末ッスね」
「ああ、あそこを見てみろ」
雲を裂く煙のようなものが見える…そしてそれは確実にこちらに向かってきている!
「…ん?ほぇ?ちょっと?アレナニ?神??」
「ゴグとマゴグの集団だ、マクアウィトルだけ、かつ一人で止められたらオセロトルとして認めてやる」
「神ィ?!?テスカトリポカ神ン!!?」
しかしテスカトリポカ神は「世界の裏」に帰ってしまう!
「じゃあな、生きてたらまた会おう」
「神ィィィィィィィ!!!!!」