パーツが大好きなタイプの姉御肌生徒ちゃん   作:フェチズム和尚

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愛でたいけれど愛でられない

「で、あたしはここに辿り着いたってワケ」

 

「あっははは〜! これからよろしくねぇ、平社員……派遣社員さん?」

 

「はいよ。よろしく頼むねムツキ室長」

 

 

 色々なアルバイトを体験しつつ転々としていたところ。

 中々なトラブルに見舞われている(?) 癖の強い集団に巻き込まれてしまって。

 あっという間に仮社員へと変貌してしまった。

 

 何を言ってるのかわからないだろう? あたしも全然わかんない。

 流れに身を任せてたらこうなっちゃった。

 

 

「その……よ、よろしくお願い、します!」

 

「よろしくハルカ、階級おんなじなんだからもっと気楽に話そうぜー?」

 

「えっ、でも私みたいな雑草以下の存在が、雨墨先生と対等だなんて……」

 

「え、先生って何さ。あたしこの子に何かしたっけ」

 

 

 入社初日からなんか同僚に敬遠されてしまっています。

 ……あれ、会社の先輩として尊敬した方が良かったかな。

 

 

「……ハルカ先輩? あの、タメ口じゃなくて先輩扱いの方が良かったか」

 

「ひいっ!? ち、ちがっ、わわわた、私はっ……」

 

「???」

 

 

 はて、なんかめちゃくちゃビビられてないかい。

 あれー?

 

 ……いやなんか確かに、この子は距離が遠かった気がしなくもないけどね。

 そんなに恐れられるようなことしたっけか。

 

 

「あっははははっ! ハルカちゃんってばだめだよ〜? 白住(しろずみ)カリナせんせ〜のこと好きだからって。こんなとこでバラしちゃさ〜」

 

「ん?」

 

「ひ、ひぅ……」

 

 

 白住カリナ……?

 

 …………。

 

 誰だっけそれ。

 

 

「………………あぁ、あたしのペンネームか」

 

「そうだよぉ? あれ、忘れてたの?」

 

「ん、まぁねぇ」

 

 

 黒い雨墨(あたし)だから、くろずみ。

 それをちょっと弄って、白住。

 

 んで、マナは真名だから、仮名→カリナ。

 

 ……めっちゃ忘れてた。

 

 

「しばらく活動してなかったから余計に抜け落ちちゃってたよ」

 

「ひっ、ごめんなさいっ……私のせいで余計なことを……!」

 

「ん? ああいや別にいーよ。嫌いってわけじゃなし、むしろ思い出させてくれてありがとうって言いたいくらいさ。ありがと〜ハルカ」

 

 

 アキラはいっつも本名フルネームであたしの水墨画家職のことを指摘してくるもんだから余計に実感湧かないというかなんというか。

 

 

「白いあたしのこと好きなの?」

 

「白い……? あ、はい、その、なんというか……雨墨先生の絵は、その……見てるとすっと心に響くというか……余韻が、綺麗なんです」

 

「ふむふむ」

 

「白黒の絵だからでしょうか、色のフィルターがないというか……その、すみませんっ! これ以上は……!」

 

「あ、こっちこそごめんね無理させちゃって」

 

 

 あたしの絵のファンという人に直接会うのは初めてな気がする。

 んー……なんだかとってもむず痒いねぇ!

 

 

「…………というか、よくあたしだってわかったね、白住。あんまし写真に写ったりとかした覚えないんだけど」

 

 

 あたしが顔出したのほんとに数回だけだと思うんだけど。

 よく見つけたというか、なんというか。

 

 

「あ、はい。先生に関することは全部集めてます」

 

「先生はやめとくれー? 普通に雨墨とかマナとかでいいからさ、おんなじ、というか正規社員と派遣社員だからハルカの方が立場上だったり」

 

 

 なんとなくだけど。

 先生という役目はあたしに似合わないような気がする、というかそんな大層なことした覚えはないし。

 

 

「!? ……ぁ、う……」

 

「…………ん、全部?」

 

「……?」

 

「あ、いや。うん。まぁ、無理無茶はしないように。そんなのでファンが傷付いたらあたしも嫌だから」

 

 

 あたしってそんな響く絵描いてたりしたっけか。

 んー、他人の感性までは把握しきれないねぇ。

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