デカ乳戦隊デカパイダー!   作:宇迦之たま猫

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第1話 「その弱点、設計ミスでは?」

 

デカ乳戦隊デカパイダー!

 

第1話

「その弱点、設計ミスでは?」

 

夕焼けに染まる湾岸都市、デカパイシティ。

 

高層ビルの谷間を縫うように、黒い怪人たちが飛び交っていた。鋼鉄の外骨格、昆虫めいた脚、そしてやたらと耳に残る高笑い。

 

「フハハハハ! この街の牛乳工場は我ら“フラット団”がいただいた!」

 

「やめろ!」

 

爆炎の中から、白と赤の装甲をまとった女戦士が飛び出す。

 

ヘルメットのバイザー越しに、鋭い赤い瞳が怪人を睨んだ。

 

「豊かさを奪う悪は許さない! デカレッド、乳久保(ちちくぼ)アカネ!」

 

続いて、青白い装甲をまとった二丁銃の戦士が、ビルの壁を蹴って宙に舞う。

 

「静かに、でも確実に仕留める。デカシアン、乳深(ちぶか)アオイ」

 

黄金の光をまとった斧槍使いが、瓦礫の上に着地する。

 

「元気と栄養は街の宝! デカイエロー、乳原(うばら)コハク!」

 

最後に、緑のラインが走る装甲の戦士が、巨大なハンマーを肩に担いで現れた。

 

「叩き潰す。デカグリーン、乳(みぶ)ミドリ」

 

四人が並ぶ。

 

白を基調にした未来的なスーツ。各所に走る赤、青、黄、緑の発光ライン。黒いインナースーツの上に装甲が重なり、膝、肩、腕には重厚なプロテクター。

 

そして。

 

何より目立つのは。

 

圧倒的なまでに主張の強い胸部であった。

 

「……毎回思うんだけど」

 

デカシアンことアオイが、銃を構えたまま小さく呟く。

 

「このスーツ、視線誘導がひどくない?」

 

「気にしたら負けよ、アオイ!」

 

アカネは勢いよく剣を抜く。

 

「私たちは正義の戦士! 胸が大きいとか小さいとか、そんなことで揺らぐわけにはいかない!」

 

「いや揺れてるのは主にアカネ先輩の物理挙動です」

 

コハクが真顔で突っ込んだ。

 

ミドリは無言で頷く。

 

その時、怪人のひとり、カマキリ型怪人カマキリーナがぴくりと触角を動かした。

 

「ほう……デカパイダーども。今日こそ貴様らの弱点を暴いてやる!」

 

「弱点?」

 

アカネが鼻で笑う。

 

「そんなもの、私たちにあるわけ――」

 

本部通信が割り込んだ。

 

『あるぞ』

 

四人の動きが止まった。

 

通信画面に映ったのは、デカパイダー司令官の胸山デカコと、デカパイダースーツの開発者の胸咲ヨワコ博士だった。

 

白衣を着た女性は、なぜか目を逸らしながら咳払いをする。

 

『デカパイダースーツには、ひとつだけ致命的な欠点がある』

 

「博士?」

 

アオイの声が冷えた。

 

『胸部装甲の防御性能を極限まで高めるため、感覚フィードバックを一点集中型にした結果……その、ええと、特定部位への接触刺激に非常に弱い』

 

「博士?」

 

今度はコハクの声も冷えた。

 

『掠っただけでも、戦闘不能になる可能性がある』

 

「博士」

 

ミドリがハンマーを地面に置いた。

 

『すまん』

 

「すまんじゃないよ!?」

 

アカネの叫びが夕焼け空に響いた。

 

だが、その会話を聞いていた怪人たちの目が一斉に光る。

 

「フハハハハ! 聞いたぞデカパイダー! つまりそこを狙えば勝ちということだな!」

 

『しまった、通信の秘匿回線をオンにしてなかった!』

 

「博士ぇぇぇぇ!」

 

戦闘は一気に泥沼と化した。

 

真正面からなら、デカパイダーは強い。

 

アカネの剣技は鋭く、量産怪人をまとめて薙ぎ払う。

 

「デカレッドスラッシュ!」

 

赤い光の軌跡が走り、三体の怪人が爆発する。

 

アオイは二丁銃で的確に敵の関節部を撃ち抜いた。

 

「デカシアン・ツインバースト」

 

青い弾丸が空中で曲がり、背後に回り込んだ怪人を撃墜する。

 

コハクは斧槍を振るい、重装甲の敵を正面から打ち砕いた。

 

「デカイエロー、パワーランス!」

 

ミドリはただ一歩踏み込み、斧を振り下ろす。

 

「潰す」

 

地面ごと怪人が沈んだ。

 

強い。

 

あまりにも強い。

 

だが敵は卑怯だった。

 

「正面から勝てぬなら、弱点を突くのみ!」

 

カマキリーナの鎌が、アカネの胸部装甲すれすれを掠める。

 

「ひゃっ――お゛っ゛!?」

 

アカネの全身がびくりと跳ねた。

 

赤いバイザーの奥で目がぐるぐるになり、そのまま膝から崩れ落ちる。

 

「アカネ先輩!?」

 

「だ、大丈夫……正義の心は……まだ……」

 

言い終える前に、アカネは白目をむいて倒れた。

 

胸元から謎の煙がぷしゅう、と上がる。

 

『デカレッド、戦闘不能』

 

スーツの自動音声が無慈悲に告げた。

 

「本当に一撃で落ちた!?」

 

アオイが叫ぶ。

 

コハクは顔を青ざめさせる。

 

「これ、欠陥商品じゃないですか!?」

 

『ヒーロースーツだ。商品ではない』

 

「言い訳が弱い!」

 

ミドリがアカネを回収しようと前に出る。

 

だが怪人たちは、すでに勝ち筋を理解していた。

 

「囲め! 正面から戦うな! 胸部を狙え!」

 

「最低すぎる戦術……!」

 

アオイは銃を連射しながら後退する。

 

だが、敵の一体が煙幕を張った。

 

視界が白く染まる。

 

「しまっ――」

 

何かが、ほんのわずかに掠めた。

 

「ん゛お゛っ゛……!」

 

アオイの身体が硬直する。

 

次の瞬間、彼女の銃が手から滑り落ちた。

 

「……ごめん。これ、無理」

 

そのまま、ぺたんと座り込む。

 

『デカシアン、戦闘不能』

 

「アオイさーん!」

 

コハクが叫ぶ。

 

残るはイエローとグリーン。

 

コハクは斧槍を構え直し、涙目で吠えた。

 

「なんですかこの戦隊! 敵が強いとかじゃなくて、味方スーツの設計思想がおかしいですよ!」

 

『胸部防御力は最高値だ』

 

「守れてないんですよ大事なところが!」

 

ミドリは静かに周囲を見渡した。

 

「博士」

 

『なんだ、ミドリ』

 

「帰ったら話がある」

 

『……はい』

 

ミドリはハンマーを構え、真正面から突撃してくる怪人を一撃で吹き飛ばした。

 

重い一撃。

 

だが、その隙にカマキリーナが背後から迫る。

 

「もらった!」

 

「甘い」

 

ミドリは振り向きざまに蹴りを放つ。

 

怪人の鎌が空を切り、ミドリの蹴りが胴体にめり込む。

 

「ぐはっ!」

 

「私は近接戦闘型。そんな小細工――」

 

その瞬間。

 

倒れ込んだ怪人の触角が、ほんの偶然、ミドリの胸部装甲の一点に触れた。

 

「……っ♡♡♡」

 

ミドリは固まった。

 

沈黙。

 

数秒。

 

そして。

 

「……博士」

 

『はい』

 

「絶対に許さない」

 

それだけ言って、ミドリも崩れ落ちた。

 

『デカグリーン、戦闘不能』

 

「ミドリさーん!?」

 

残るはコハクひとり。

 

コハクは震える手で斧槍を握った。

 

敵はにやにやと距離を詰めてくる。

 

「さあ、残るは貴様だけだデカイエロー」

 

「ひ、卑怯ですよ……!」

 

「戦場に卑怯も正々堂々もない!」

 

「それ悪役が言うやつです!……悪役でした!?」

 

コハクはじりじりと後退する。

 

倒れた仲間たち。

 

欠陥すぎるスーツ。

 

妙に自信満々な博士。

 

そして街の牛乳工場。

 

コハクは奥歯を噛みしめた。

 

「……でも」

 

彼女の黄色いバイザーが光る。

 

「ここで逃げたら、明日の給食からミルクが消えます!」

 

「規模が地味!」

 

「でも大事!」

 

コハクは斧槍を地面に突き立てた。

 

「デカイエロー、最終奥義!」

 

スーツの胸部装甲から、まばゆい黄色の光が溢れる。

 

怪人たちが思わず目を覆った。

 

「な、なんだこの光は!」

 

『警告。胸部感覚フィードバック過負荷。使用者への負担、大』

 

「知ってます!」

 

コハクは叫ぶ。

 

「けど、これしかない!」

 

彼女は斧槍を高く掲げる。

 

「デカパイダー・フルバースト!」

 

胸部装甲の光が全身に巡り、斧槍へ集束する。

 

巨大な黄金の衝撃波が放たれ、怪人たちをまとめて吹き飛ばした。

 

「ぎゃあああああ! 胸の力に負けたあああああ!」

 

爆発。

 

夕焼け空に、四色の火花が咲いた。

 

コハクは肩で息をしながら立っていた。

 

「勝った……」

 

だが次の瞬間。

 

『デカイエロー、反動により戦闘不能』

 

「ですよね……」

 

コハクもその場に倒れた。

 

数分後。

 

四人は本部の医務室に並んで寝かされていた。

 

アカネは天井を見つめ、ぽつりと言う。

 

「博士」

 

『なんだ』

 

「次の改修で、絶対に弱点なんとかして」

 

アオイも布団を被ったまま続ける。

 

「あと通信の秘匿化も」

 

コハクが手を上げる。

 

「あと胸部感覚フィードバックの仕様変更も」

 

ミドリは静かに拳を握る。

 

「あと博士への説教時間を三時間」

 

博士はモニター越しに深々と頭を下げた。

 

『すまん。次回までには改善する』

 

四人は沈黙した。

 

そして同時に言った。

 

「絶対してね」

 

こうして、デカ乳戦隊デカパイダーの初陣は勝利に終わった。

 

ただし。

 

戦隊史上もっとも致命的な設計ミスを抱えたまま、彼女たちの戦いは始まったばかりである。

 

次回。

 

「第2話 「改善不能!? 胸咲博士のないない会議!」

 

デカパイダー、絶体絶命?

 





AIイラスト生成してて気に入った物から思い付きで書いたから続かないと思います
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