ちょっとルークが家出した話   作:サリエリキキ

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【全銀河緊急中継】ターキン艦隊 VS ベイダー艦隊

 これは、カミーノの難民たちが無事にベイダーの領地に降り立ち船から降り始めたのとほぼ同時刻のことである

 

 

 

『──現在、全銀河のホロネット回線は、この前代未聞の事態を緊急中継しています!』

 

 ホロネット・ニュースのキャスターの、恐怖と興奮で完全に裏返った声が、銀河中の無数のスクリーンから響き渡っていた。

 コルサントの高級ラウンジから、アウター・リムの薄汚れたカンティーナ、そして各星系の元老院議事堂に至るまで、今この瞬間、銀河の何兆という瞳がただ一つの映像に釘付けになっていた。

 

『カミーノ星系境界宙域。数時間前にグランド・モフ・ターキンによって下された浄化作戦の残り火を挟み……現在、二つの巨大な帝国艦隊が完全に正面から対峙しております! ご覧ください、この信じられない戦力規模を! 双方合わせて、なんとインペリアル級スター・デストロイヤーだけでも23隻! 建国以来、これほどの巨大戦艦群が対陣した歴史はありません!』

 

 画面に映し出されているのは、宇宙空間を真っ二つに割るかのような、異様で、そして息を呑むほどに恐ろしい光景だった。

 

『右翼に展開するのは、グランド・モフ・ターキン率いる帝国第1宙域艦隊! 旗艦たる「エグゼキュトリクス」を頂点とした14隻のインペリアル級と、百隻を優に超える随伴戦艦及び巡洋艦。そして、既に展開を終えた約1000機のTIEファイターによる、寸分の狂いもない伝統的な陣形です! 圧倒的な主砲の火力を誇示するかのように、各戦艦のエネルギー・コンデンサーは既に充填が始められ、冷たい青白い光を放っています! まさに「帝国の秩序」を体現する、巨大な鉄の壁です!』

 

『対する左翼は、ダース・ベイダー卿率いる特区防衛軍! アクバー戦隊をはじめとする彼らは、数時間前のカミーノ浄化作戦開始と、ベイダー卿自らの救出出撃の報を聞きつけるや否や、各地での治安維持や航路護衛の任務を急遽切り上げ、怒涛の勢いでこの宙域へと駆けつけました! ベイダー卿自らと、ゲレラ隊長麾下の501大隊による住民救助中に続々と集結したのです! 旗艦「デバステーター」を中核とする9隻のインペリアル級と、雑多な百隻近い随伴戦艦及び巡洋艦を揃えています。艦艇数では劣りますが、その陣形は帝国軍の標準教義から完全に逸脱しております! 何よりも! 戦艦の隊列よりも遥かに前に展開しているのは、通常のTIEファイターとは明らかに異なる無数の黒い点、シールドとハイパードライブを備えた最新鋭機「TIEディフェンダー」と見慣れぬX字の翼を持つ戦闘機少数、そして重武装爆撃機の群れ! その数、なんと1400機以上と推測されます!』

 

 たった一隻で星系の文明を灰燼に帰す力を持つ巨大戦艦が、合わせて二十三隻。それに付き従う百を超える戦艦と巡洋艦群が、宙域の星々の瞬きを鋼鉄の巨躯で完全に覆い隠している。

 かつて銀河を焼いたクローン戦争でさえ、これほどまでに濃密な破壊の質量群が砲火を交えた回数は片手の指で足りる。

 さらに全銀河の度肝を抜いたのは、画面の左半分を埋め尽くすベイダー艦隊の異常な航空戦力である。

 これほどの数の戦闘機が展開すること自体が異例だが、その群れがただの消耗品ではなく、一機一機が戦局を左右しかねない絶大な火力を誇る高コストな最新鋭機で構成されているなど、大艦巨砲主義を是とする帝国の軍事教義を根本から覆す狂気の沙汰であった。

 それらはまるで怒り狂う殺人蜂の群れのように、複雑怪奇な乱数軌道を描きながら、今にも大艦隊の巨大な懐を食い破らんばかりの殺気を放って乱舞している。

 

『ターキン大総督とベイダー卿……両陣営ともに、現在まで一切の通信を発しておりません! 両者の距離は既に主砲の有効射程圏内に突入! もしここで火蓋が切られれば、数千門のターボレーザーと二千機以上の戦闘機が入り乱れ、この宙域の航路は数十年使い物にならなくなるほどのデブリの海と化すでしょう!』

 

 銀河中のほとんどが、固唾を呑んで見守っていた。

 総督府の官僚たちはデータパッドを握りしめ、モン・モスマやベイル・オーガナたちは青ざめた顔で祈るようにモニターを見つめていた。

 シスの暗黒卿と、帝国の大総督。

 皇帝の右腕と左腕。

 無慈悲な『恐怖』による力で銀河を縛り上げようとするターキンと、絶対的な力による『保護』で新たな秩序を築きつつあるベイダー。

 政治思想も、大艦巨砲と機動戦という軍事ドクトリンも、何もかもが水と油のように真っ向から反発し合う『宿命の政敵』が、今まさに、焼け落ちた星の残骸を挟んで互いの喉首に牙を突き立てようとしているのだ。

 

 本来ならば、こんな破滅的な状況は起こることはない。

 両者の絶対的な主である銀河皇帝が一喝すればそれで終わるからだ。

 だが、帝国成立以来、長らく公の場から姿を消し、実務を宰相に丸投げしている最高権力者が、この非常時にわざわざ表舞台に立って仲裁の労を取るなどとは、キャスターを含め、全銀河の誰一人として期待すらしていなかった。

 元老院はとうに形骸化しており、星を容易く焼き払う武力を持つ彼らを制止する権限も度胸も持ち合わせてはいない。

 行政のトップたるマス・アメダ宰相にしても、所詮は皇帝の威光の代行者に過ぎず、絶対的な軍事力と特権を握る二人の巨頭を実力で押さえ込めるだけの力が決定的に不足していた。

 これこそが、現在の帝国統治システム最大の欠陥であった。

 すべての権力を玉座のただ一人に集中させておきながら、当のトップがその責任と調停の義務を完全に放棄している。

 ゆえに、皇帝の左右の腕たる最高幹部同士が一度衝突の軌道に入ってしまえば、それを制止できる安全装置が、この広大な銀河のどこにも存在しないのだ。

 

 もし、どちらかが一発でもターボレーザーを撃てば。

 もし、血気盛んな一機の戦闘機がミサイルを放てば。

 その瞬間に、銀河を再び血の海に沈める号砲となる未曾有の大艦隊決戦が始まる。緊張の糸は、今にも千切れそうなほどに極限まで張り詰めていた。

 

『果たして、歴史の歯車はどちらに回るのか! 最初の火蓋を切るのは、大艦巨砲を掲げるターキン総督か、それとも機動戦の権化たるベイダー卿か──ッ! 昨今ホロネットを賑わせる帝国の二大巨頭! 全く異なる統治スタンスで常に対立し、いつ全面衝突するのかと噂されていた宿命の二人が、ついに、ついに業火に焼かれた星を挟んで砲火を交えるのかッ! 銀河はどうなってしまうのかっ! ──誰かっ助けてぇぇぇぇ!!!???』

 

 悲鳴となったキャスターの声を聴く全銀河の市民が、歴史が凄惨な音を立てて真っ二つに引き裂かれるその瞬間に立ち会うかもしれない。そんな底知れない恐怖と絶望に震えていた。

 

 誰か止めてくれと、必死に祈りながら。




 ターキンに対抗可能なエイリアンに権利認める実力者の軍に、反乱同盟軍(こっちではまだ結成されてないし絶対にされない)に入るようなガンギマリ共が入隊しないなんてありえない! この状況を座視するなんてもっとありえなぁぁい!!! (魂の叫び
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