宇宙では激烈な艦隊戦、地上が空中砲艦と巨大歩行兵器による大乱戦に陥る中、施設の奥深くを金属の通路を疾走する一つの影があった。
連邦軍の先遣隊として潜入していた元ジェダイ・マスター、クインラン・ヴォスである。
ジェダイが滅んでから散々苦労した彼は、クワイ=ガン・ジンの教えを基本として育てられている若者たちの在り方に激しく共感して連邦へと合流したのだ。
何人もの付いてこようとした教え子たちを残したヴォスは、静かにかつ迅速に目的地に向かっていく。
彼の類まれなるサイコメトリー(残留思念を読み取る能力)と野性的な直感は、施設の防衛網を容易にすり抜け、目的の科学者ゲイレン・アーソが囚われている独房エリアへと彼を導いていた。
「順調だな」
501大隊の為のビーコンを設置しながら進むヴォス。
だが──ヴォスは突如、足を止めた。
通路の先、暗闇に沈むブラスト・ドアの前に、信じられないほど濃密で、冷たく、そして濁ったダークサイドの気配が渦巻いていたからだ。
「……何者だ」
ヴォスが緑色のライトセーバーを起動する。その光に照らし出されたのは、漆黒のローブを纏った男の姿。
男がゆっくりと顔を上げると、赤と黒の刺青に覆われた顔に、憎悪と苦痛に歪んだ黄色い瞳が光った。
「ジェダイ……か」
ダース・モール。
かつてシスの誇りを胸に銀河の裏社会を支配しようと企み、そして皇帝パルパティーンによって完全に心を折られ、ただの駒として飼い慣らされた哀れな獣。
彼の両手から、紅蓮の双刃ライトセーバーが凶悪な音を立てて伸びる。
「マスターの邪魔をする者は、死ね!!」
言葉を交わす暇すらなかった。
モールは凄まじい跳躍力で空間を詰め、双刃の嵐をヴォスに叩きつけた。
「くっ!」
ヴォスはアクロバティックな動きでモールの連撃を捌き、カウンターを狙う。
クインラン・ヴォスもまた、クローン戦争を生き抜き、一度はダークサイドの淵を覗き込んだ経験を持つ屈指の剣士である。通常であれば、十分に対抗できるだけの実力があった。
だが、目の前のモールは異常だった。
かつてオビ=ワンと戦った頃のような、武術としての洗練を持ったまま、「任務に失敗すれば、シディアスに再びあの地獄の苦痛を与えられる」という絶対的な恐怖に突き動かされた狂乱を叩き込んでくる。
激しい剣戟の火花が通路を照らす。
モールの猛攻に、ヴォスは次第に後退を余儀なくされる。
(こいつ、なんて重い剣だ。いや、刃に恐怖が乗っている! その分ダークサイドが強まっている!)
「オオオオオォォォッ!!」
モールの双刃が風車のように回転し、ヴォスの緑の刃を弾き飛ばす。体勢が崩れたヴォスの腹部に、モールの機械の義足による蹴りが情け容赦なくめり込んだ。
肋骨が砕ける嫌な音と共に、ヴォスは壁まで吹き飛ばされる。
体勢を立て直そうとヴォスがフォースで身体を起こそうとした瞬間──それよりも早く、モールの左手から放たれた強烈なフォース・チョークがヴォスの首を締め上げた。
「がっ……あ……!」
「貴様らのような愚かな光の信奉者が、どれだけ希望を抱いて足掻こうと同じことだ」
空中に吊り上げられ、苦悶に顔を歪めるヴォスを見上げながら、モールは冷酷に、しかしどこか自嘲するように言い放った。
「光も、闇も、この銀河のすべてはあの怪物の遊戯場に過ぎない。大人しく、絶望に呑まれて死ね」
モールの赤い刃が、無慈悲な軌道を描いてヴォスへと振り下ろされた。
その瞬間。
甲高い金属音が通路に響き渡った。
火花が散り、絶対に何者も両断するはずのモールのライトセーバーが、空中でピタリと止められていた。
「ベスカー……マンダロリアンか!」
モールの前に立ち塞がったのは、特徴的なT字バイザーのヘルメットを被り、全身の幾つかの箇所を鈍く輝く純銀の装甲で包んだ重武装の戦士だった。
彼の腕を覆うベスカー鋼のガントレットが、モールの光刃を完全に受け止めている。
「報酬分は働かせてもらおう」
連邦軍に傭兵(※「そろそろ『ナイト・アウル』のマンダロリアンと同じくウチに所属しないか」と口説かれ中)として雇われたマンダロリアン、ディン・ジャリンである。
彼は初めて見えた勝ち目が薄いシス相手でも一切の動揺を見せず、もう片方の手首の火炎放射器から猛烈な業火を放ち、モールを強制的に後退させた。その隙に首の拘束が解けたヴォスが床に転がり、辛くも窮地を脱する。
「マンダロリアン! 貴様らも歯向かうというのか!」
「裏切らず金払いの良い依頼主は貴重だからな」
高額な報酬と引き換えに冷徹かつ完璧に任務を遂行する孤高の賞金稼ぎの発言に、激昂したモールが再び跳躍しようとした、その時。
「そこまでだ、赤黒のお化け! これ以上ウチのジェダイとマンドーをいじめんなよ!」
通路の反対側から、強烈なブラスターの連射がモールを襲う。
硝煙を切り裂いて現れたのは、青い装甲服を身に纏い、猛然とブラスター・ピストルを撃ちまくるハン・ソロと、咆哮を上げるチューバッカ。そして、重武装の第501大隊の精鋭たちだった。
青いトルーパーたちによる息の合った圧倒的な弾幕に、さしものモールも双刃を高速回転させて防御に徹せざるを得なくなる。
「ハン! 遅いぞ!」
肋骨を押さえながらヴォスが叫ぶ。
「文句は上の対空砲火に言ってくれ! マンドー、助かったぜ! あんたの特別ボーナスは俺がベイダーのおっさんに掛け合って保証してやる! ファルコンに積んでるベスカーも全部持って行ってくれ!」
「なら、もうひと働きしないとな」
ベスカー更に上積みと聞いた瞬間、賞金稼ぎとは思えぬ義理堅さを持つディンは、民族の孤児の為にと更に働く。
低く呟くと同時に、左腕のガントレットをモールへと向ける。
ピピピッ、という甲高いロックオン音が鳴り響き、ガントレットから超小型誘導ミサイル(ホイッスリング・バード)が一斉に射出された。
「小癪な……!」
四方八方から飛来するミサイルに対し、モールは双刃を猛烈な速度で回転させて弾き落とす。だが、その一瞬の足止めと視界の遮りこそが、古来より対ジェダイ戦闘を極めた教義を持つマンダロリアンの狙いだった。
爆発の煙幕に紛れ、ディンは背中のジェットパックを吹かして一気に跳躍。モールの頭上を取ると同時に、アンバン・スナイパー・ライフルから強力な電撃波を放ち、モールの動きを強制的に鈍らせた。
そこへ、体勢を立て直したヴォスのフォース・プッシュと、チューバッカのボウキャスターによる破壊的な一撃が重なる。
「グアアアッ!?」
さしものモールも、対フォース感応者戦を学んだマンダロリアンと、ジェダイ、ウーキー、そして連邦最強の501大隊による波状攻撃には耐えきれず、激しく壁へと叩きつけられた。
「今だ! 501大隊、そのまま赤黒を釘付けにしろ! チューイ、マンドー、扉をぶち破るぞ!」
ハンの的確な号令とともに、青いトルーパーたちがモールに一歩も前進させない完璧な制圧弾幕を展開する。
その隙にディンがブラスト・ドアの強固なヒンジ部分に爆薬をセットし爆破、チューバッカの怪力と合わせてこじ開けた。
暗い独房の奥には、白衣を纏い憔悴しきった十名ほどの科学者たちが身を寄せ合っていた。その中心で、初老の男──ゲイレン・アーソが眩しそうに顔を上げた。
「君たちは……」
「アウター・リム連邦軍だ。迎えに来たぜ、博士たち。あんたらが作らされたバカでかい丸いののせいで、銀河中が大迷惑してんだ。さっさとズラかるぞ」
ハンのぶっきらぼうだが力強い言葉に、科学者たちの間に微かな安堵が広がる。ゲイレンの虚ろな瞳にも光が宿った。彼は震える手で、衣服の奥底に大切に隠し持っていた一つのデータ・ディスクを差し出した。
「これを! 帝国は、我々が完全に屈服し、彼らの手先になったと思っている。だが、我々十人は命懸けで設計の中心部に、ほんの小さな罠を仕掛けた」
「罠?」
「排熱ポートだ。主反応炉に直結するそのポートを破壊すれば、要塞は内部から連鎖爆発を起こす。……離れ離れになった娘の、ジンのためにも、どうかこの希望を届けてくれ!」
「上等だ。あんたらの命懸けの希望、確かに受け取ったぜ……あと、娘さんは──ジンは元気だ。とても元気だ。後で会わせる」
訝しげにこちらを見てくるゲイレンの顔には、死の淵にいるような濃い疲労の色があった。
だからハンは、『ジンは、俺の恋人であるレイアの親友だ。そして、キャシアンという男と共に連邦の特務機関で宇宙を駆け回る女傑している。なんならこの激戦地にも首を突っ込んできそうだった。妊娠5ヶ月の身空で。そして結婚はしてない』という濃すぎる情報を伝えるのは後回しにした。
今にも倒れそうな父親に聞かせるには、あまりにも刺激が強すぎる。
ハンはデータ・ディスクを素早く背中の通信ユニットに接続すると、上空の軌道上で帝国艦隊と砲火を交わしている指揮官に向かって叫んだ。
「トゥーク提督! 荷物は受け取った! 科学者十名全員の確保完了、及びデス・スターの弱点データだ。今すぐ暗号化してそっちに送信する!」
『──よくやった、ソロ大佐。ただちにデータを受信し、連邦中央へ転送する。戻ってこい。お前たちを収容し次第引く。急がなくていい。絶対に全員で帰ってこい』
通信機から返ってきたのは、マール・トゥーク中将の独特な抑揚を持った声だった。
「敵のほうが数が多い! 大丈夫か!」
『我が軍の盾を破れはせんよ。お前たちの退路は完璧に確保してある、確実に生還しろ』
敵に劣る艦艇数で圧倒的な優勢を確保しているデータを見せながらマール・トゥーク中将は断言した。
「頼もしいねえ、相変わらず」
ピポパポッ、という軽快な電子音と共に、銀河の命運を分かつデータが宇宙空間へと送信されていく。
背後では、501大隊とマンダロリアンの苛烈な連携攻撃を前に、モールが撤退の判断を下していた。
シディアスへの恐怖はあれど、ここで無駄死にしては元も子もない。
「貴様ら、いずれその希望ごと、我がマスターの絶望に焼かれるがいい」
呪詛の言葉と共に、モールはフォースを使って天井の通気口を破壊し、暗闇の中へと姿を消した。
直後、データ送信の完了を知らせる緑色のランプが点灯する。
「よっしゃ、送信完了だ! 博士たちと負傷者を真ん中に固めろ、盾になって守り抜け! 全員、ファルコンと揚陸艇に撤収! この星からおさらばするぞ!」
ハン・ソロの号令と共に、連邦の精鋭部隊は十名の科学者たちと負傷者を円陣で囲み脱出へと向かう。
帝国が絶対の自信を持っていた恐怖の要塞の急所は、今、アウター・リム連邦の手へと渡ったのだった。
ディン・ジャリンもそれに続こうとしたが、ふと、通路の脇から微かな違和感を感知した。
(なんだ……?)
感知能力に優れた元ジェダイすら何も感じなかった空間。だが、数々の死線を潜り抜けてきた賞金稼ぎの勘と、ヘルメットの赤外線スキャナーと、何よりも『得体の知れないナニカ』が、壁の奥に隠された熱源を見逃すなと告げていた。
探ると、巧妙に偽装された隠し扉があった。
ディンが警戒しながら足を踏み入れた小部屋の中央には、不思議なほど厳重な封印が施された小型のホバー・ポッドが鎮座していた。
フォースを遮断する合金で作られたその表面には、皇帝パルパティーンへの極秘貨物であることを示す紋章が刻まれている。
「……皇帝への、献上品か」
何かのデータかあるいは危険なアーティファクトか貴重品か。ディンはブラスターを構えながら、ガントレットのコンソールを操作して暗号を破り、封印を強制解除した。
プシュッ、という冷却ガスの排出音と共に、ポッドの蓋が開く。
「ん??」
ディンはバイザーの奥で目を瞬かせた。
そこにあったのは、データでも貴重品でも、恐ろしい兵器でもなかった。
緑色の肌、大きな尖った耳、そしてビー玉のように丸く巨大な黒い瞳。ゆったりとした麻のローブを着せられた、小さな赤子のエイリアンだったのだ。
「……なんだ、これは?」
「あうー」
ポッドの中で丸まっていたその小さな生き物は、ディンの銀色の装甲を見ると、怖がるどころか、嬉しそうに短い両手を伸ばしてきた。
「おい、触るな。俺は子守りじゃないぞ……」
ディンは戸惑いながらも、自分を見上げるその純粋な瞳を見下ろした。
皇帝への献上品の赤子。こんな所に放置していけば、ろくな目に合わないか、この後の激しい戦火に巻き込まれて死ぬだろう。
「おい、マンドー! 何油売ってんだ! さっさとズラかるぞ!」
通路の先からハンの怒声が飛んでくる。
こんな無力な赤子を見捨てるのは、孤児(ファウンドリング)を重んじるマンダロリアンの掟が許さない。
とりあえずここから連れ出し、後で連邦の連中にでも引き渡せばいい。
そうすれば、ハンが約束した追加ボーナスを更に追加させる良い口実にもなる。
これも何かの縁──あるいは『我らの道(This is the way)』か。
「……はぁ。追加料金は弾んでもらうからな」
ディンはため息をつきながら、緑色の赤子を乗せたホバー・ポッドを起動して自らの傍らに追従させると、右手でブラスターを構え直した。
「悪いが、こいつも連れて行く」
「はあ!? なんだその緑色のチビが入ったカプセルは! どっから拾ってきた!」
「皇帝の隠し財産だ。とりあえず連れ出し、後で連邦に引き渡す。戦利品として貰っていくぞ」
「お前、どんだけガメついんだよ! ……まあいい、ファルコンまで走るぞ! 俺が先行する! 赤子を護ってくれ」
赤子の乗ったポッドを庇いながら走る重武装のマンダロリアンという奇妙な光景に、ハンは目を剥いた。
(金のためだなんだと言いながら、見ず知らずの赤ん坊を見捨てられねぇお人好しってわけだ。相変わらずだな)
自分もまったく同じなハンは内心で感心しながら、この長い付き合いの賞金稼ぎに対する信頼を更に高く確かなものへと更新していた。
「急げ! 帝国軍のお出ましだ! チューイ! 赤ん坊だ! 援護を!」
ハンが叫びながら、赤子のポッドを無事にファルコン号へ乗せるための血路を切り開こうとした。ディンも赤子のポッドを庇いながら、激しい銃撃戦が続くプラットフォームへと駆け抜けた。
『赤ん坊』
極限の戦場に響き渡ったその一言は、撤退戦を繰り広げていた味方に劇的な反応を引き起こした。
「ウオォォォォォン!! (その子に手を出す奴は、俺が片っ端から引き裂いてやる!!)」
誰よりも早く反応したのはチューバッカだ。ウーキー族の幼き者を慈しむ本能を爆発させた彼は、大地を揺らすような咆哮を上げると、自ら身を乗り出してボウキャスターを連射。
殺到してくるストームトルーパーたちを緑色の爆発的な閃光で次々と吹き飛ばし、赤子をファルコン号まで無事に届ける道をこじ開ける。
そして、同じ反応を示した者たちがいた。
連邦の精鋭でありハンの部下たちである第501大隊の兵士たちである。
「聞いたかお前ら! 博士たちに加えて、赤ん坊だとよ!」
「帝国のゴミどもめ! 赤子を一人だけ別にして保管してたってのか!? 許せねえ」
「あんな幼い命まで戦火に巻き込むなど、連邦軍の、第501大隊の誇りにかけて絶対に許さん!」
「防衛陣を拡張! マンドーと赤ん坊を中央へ迎え入れろ! 帝国の白いポンコツ共に、誰一人として指一本触れさせるな! 盾になれ!!」
科学者たちを守りながら後退していた501大隊の兵士たちが、即座にその陣形を維持したまま広げた。
そこにいるのは、かつて帝国が使い捨てたような画一的なクローンではない。そんなクローンたちから学んだ、人間、トワイレック、ザブラク、ローディアン──帝国の圧政に抗うために種族の壁を越えて集った多様で今の時代を生きる戦士たちだ。
種族ごとに異なる体格や特技を活かした完璧なコンビネーションでブラスター・ライフルを撃ち放ち、激しい光条により雨霰のごとく帝国兵を薙ぎ払っていく。彼らは自らが分厚い盾となるように、科学者たちだけでなくディンとホバー・ポッドの左右にも展開して見事に船への道を切り開いた。
その時、小気味よい電子音が鳴り響く。
ファルコン号の上面銃座が旋回し、機関砲が火を噴いた。留守番を任せていたアストロメク・ドロイドL5が、自ら銃座を操作し始めたのだ。正確無比な狙いで、物陰から顔を出そうとするストームトルーパーの頭上を爆砕し、連邦兵の頭上を援護の弾幕で覆う。
「ハッ! L5の奴、いい腕してやがる!」
ハンはニヤリと笑うと、背後のディンを振り返った。
「マンドー! ここは俺たちに任せろ! あんたは赤ん坊を守って先に行け! 船のエンジンは温めてある、合流次第すぐに離陸だ!」
「……大した連中だ」
背中を完全に預けられる歴戦の戦士たちの見事な連携に、ディンはバイザーの奥で短く感嘆の息を漏らす。
彼は敵の反撃を一切気にすることなく、何時の間にやらずっと自分の服を掴んでいる赤子のポッドを庇うことだけに専念し、科学者たちと共にファルコン号のタラップへと一気に滑り込んだ。
すぐさま、501大隊も擲弾や煙幕をバラ撒き、帝国の視界を完全に遮断しながらそれぞれ船のタラップへと雪崩れ込む。最後の一人が乗り込むや否や、ハンが操縦席から叫んだ。
「全員乗ったな! L5、銃座を固定しろ! お嬢ちゃんたち、とっととウチに帰るぜ!」
ファルコン号のエンジンが爆音を響かせ、重厚な船体が浮き上がる。
帝国の追撃が殺到するプラットフォームを蹴り飛ばすように、高速で旋回する船体。頭上でやり合う艦隊がいる自由なる星々へと向かって、船は光の彼方へと消えていった。
かくて、帝国が絶対の自信を持っていた恐怖の要塞の急所、そして皇帝が渇望していた謎の赤子は、今、アウター・リム連邦の誇り高き賞金稼ぎや戦士たちの手によって、無事に守り抜かれたのだった。
──言うまでもないことだが、皇帝その人にとって重要なのは、要塞の急所などではなく、小さな緑色の赤子であった。