「敵大編隊、進路を統一! まっすぐに、インペリアル・パレスへ向かっています!」
コルサントに降下した連邦編隊の向かう先を解析したオペレーターの悲鳴に近い報告に、大総督ターキンの背筋を冷たい悪寒が駆け抜けた。
(狙いは、皇帝陛下か!)
ターキンはホロテーブルに浮かぶ一万五千の光点を見つめ、彼らの恐るべき意図を瞬時に悟り、驚愕に目を見開いた。
かつてのジェダイであれば、少数の精鋭で潜入し、ライトセーバーによる戦いを挑むという
今回もそうするだろうと高を括っていたターキンは、それが己の過信でしかなかったと思い知らされた。まさかジェダイたちがあっさりとその精神を放り捨てるとは思っていなかったのだ。
彼らは個人の武や旧来の流儀などというちっぽけな誇りを完全に捨て去り、戦闘機に積めるだけのプロトン魚雷と対地爆弾を玉座の間に叩き込み、宮殿ごと皇帝を物理的に蒸発させるという、極めて野蛮で、かつ最も確実な殺害計画を実行に移したのだ。
「亡霊どもめ、なんと合理的な真似を……っ!」
ある種の賞賛を込めてターキンは唸るように吐き捨てると、即座に司令部全体へ号令を飛ばした。
「軌道上の全艦隊! 対空砲塔群をインペリアル・パレスの上空へ向けろ! 迎撃部隊はパレス防空圏に急行し、死に物狂いで敵爆撃機を落とせ! 陛下に傷一つ負わせるな!!」
指示に応えて急ぎコルサント上空へ向かっていたエグゼクター級とインペリアル級スター・デストロイヤーが、ゆっくりとその巨大な対空砲塔群を、皇帝の座所──インペリアル・パレスの上空へと向け始めた。
だが、事態はターキンの迅速な指示すらも置き去りにする速度で進行していた。
迎撃に飛び立った無数のTIEファイター群は、防衛網を形成する間もなく瞬く間に光の塵と化していった。
装甲もシールドも持たない帝国の標準機では、連邦のXウイングやYウイングやディフェンダーの強靭な偏向シールドを抜くことは難しく、圧倒的な火力と重装甲の前に手も足も出ずに蹂躙されていく絶望を、司令部は目の当たりにした。
だが、完全に一方的な屠殺というわけではなかった。
「防衛直掩のTIEディフェンダー隊、連邦軍のXウイングを多数撃墜!」
絶望に染まる司令部に、一矢報いる報告が上がる。
連邦側でいち早く量産化されていたのと同じく、帝国軍側にも少数──それでも千機近く──が配備されていた傑作TIEディフェンダー。強力な偏向シールドと圧倒的な重武装を備えたその一握りの部隊だけが、連邦の精鋭たち相手に唯一互角の死闘を演じ、皇帝の盾として戦線を辛うじて支えていたのである。
ホロテーブルの戦況図を見つめるターキンの目に、無数のTIEファイターが羽虫のように無力に散っていく光景と、粘り強く生き残り敵を落としていくTIEディフェンダーの光点が、残酷なほど対照的に映っていた。
(『安価な機体を圧倒的な数で運用する』という我が帝国のドクトリンが、完全に裏目に出ている)
ターキンは明晰な頭脳で、眼前の惨状から即座に戦訓を導き出していた。
使い捨ての数頼みの戦術は、これほどの乱戦で質に勝る連邦軍の前では単なる的に過ぎなかったのだ。
「この首都防衛戦を生き延びた暁には、直ちに我が軍の戦闘機ドクトリンを改める」
ターキンは血の滲むような声で、周囲の将校たちに、そして何より己自身に誓うように言い放った。
「標準機の生産ラインを直ちに変更する準備を進めろ。今後、帝国の主力戦闘機はすべてTIEディフェンダーへと転換する。後継機の開発も急がせろ!」
「だ、大総督閣下! それには莫大な予算が!」
「背に腹は代えられん! 奴らと正面から殴り合うには、こちらも数ではなく質で対抗するしかないのだ! 撃墜されたパイロットたちを一人でも多く救出しろ! いや、今回戦い抜いた兵たち全員をだ! 彼らが敗れたのは技量や忠誠心の欠如ではない。彼らには一切の咎はない! 大総督たる私が、彼らに相応しい装備を与えなかったのだ!」
それは、帝都陥落の危機という絶望の淵にあっても決して思考を止めず、次なる勝利への布石を打つ、大総督としての凄みであった。
無能な将ならば敗北の責任を兵に押し付けるだろうが、ターキンは違う。
この大乱戦の中で帝都と市民を護るために戦い抜いた将兵たちを、彼は帝国軍を支える最も価値ある資産として正確に見定めていた。
だが、その決断を現実のものとするためには、まずはこの地獄の今を生き延びねばならない。
「閣下! 艦隊及びコルサント対空砲の砲塔照準、敵の侵攻速度に追いつきません! 対空砲自体も叩かれています! 防衛ライン、持ちこたえられません!」
オペレーターの悲鳴が司令部に響き渡った。
少数のTIEディフェンダー部隊は、確かに超人的な奮戦を見せていた。だが、彼らがどれほど戦果を上げようとも、一万五千機という絶望的な数の暴力の前では猛火にバケツで水を撒くようなものだった。
「──お待ちください! 陛下直属の尋問官部隊が敵先陣に突入しました! 敵の進撃が停滞! ベイダーの機体をディフェンダー・エリート十三機で完全に包囲しています!」
更なる絶望に沈みかけていた司令部に、期待のどよめきが走る。
ダークサイドの力を操る尋問官たちが、極限までチューンされた上位機種で反逆者の首魁を追い詰める。盤石にして完璧な包囲網。
これならばいける。ここでダース・ベイダーを討てば戦争にすら勝てる。誰もがそう信じ願った。
だが、その願いはわずか数十秒で氷点下へと凍りついた。
「尋問官の機影、一機喪失! いえ、二、三……馬鹿な、次々と撃墜されていきます! 尋問官たち、包囲を解いて逃げ……ああっ! 大尋問官の機影も消失! 尋問官部隊、全滅しました! ベイダーにっ! たった一機のベイダーにぃ、全機やられましたぁ!」
司令部は水を打ったように静まり返った。
圧倒的な機体性能の差も、数の暴力も、フォースの連携すらも。ダース・ベイダーという『天駆ける才覚(スカイウォーカー)』の前では、文字通り児戯に過ぎなかった。
帝国の誇る最凶の切り札を単騎で粉砕した漆黒の機影とその部下たちは、もはや誰にも止められない。
尋問官という最後の要を失い、完全に崩壊した防衛網。
「砲台やられます! 有効な砲台、最早ありません!」
「そんな馬鹿な! 起動すらしていなかった秘匿砲台までもが悉くッ!」
「ジェダイ……なんて奴らだ」
彼らは指揮する編隊を分厚い弾幕の嵐を未来でも見ているかのように最小限の機動ですり抜けさせ、電子機器に頼る帝国軍では探知すら不可能な伏兵を、フォースの知覚で次々と炙り出しては正確に潰していく。
兵器の性能や戦術論すらも嘲笑うかのようなその姿に、帝国軍の防衛網はついに完膚なきまでに打ち砕かれた。
皇帝の玉座までの道を切り開らかれたのである。
「敵のYウイング爆撃部隊、防衛網を完全に突破! いえ、爆弾を発射しました! 万に届く対地爆弾です! この数の爆弾が到達すれば、パレスは基礎ごと蒸発します!」
ターキンは血を吐くような思いでホロテーブルを睨んだ。
首都の頭上であるが故に、帝国最大の強みである艦隊やデス・スターのターボレーザーの弾幕が敷けない。航空戦力も抜かれ砲台もやられた今、防ぐ手立てはゼロに等しかった。
──このままでは、皇帝の座所が物理的に蒸発する。
その時、上空の艦隊指揮官ウルフ・ユラーレン提督が『最悪にして最善』の決断を下した。
『アナイアレイター、及びリーパー、大気圏へ降下! 船体そのもので宮殿の盾となれ!』
「なに!?」
ターキンを含めた司令部の目を疑うような光景が、ホロテーブルに映し出された。
全長十九キロメートルを誇る超巨大艦エグゼクター級が二隻、コルサントの強烈な重力に逆らうように反重力エンジンを軋ませながら、真っ逆さまに降下していく。
宮殿の近くでホバリングし、その絶大な質量とシールドをもって、千を超える爆撃機から降り注ぐ対地爆弾の雨を直接受け止めようというのだ。狂気の沙汰だが、皇帝を守る手段としては最も確実で有能な判断だった。
『シールド出力、二〇〇パーセントへオーバーロード! 残りの出力は対空砲に全て当てろ! 本艦が壊れても構わん! 陛下に傷一つ負わせるな!!』
通信回線から、決死の覚悟を決めた帝国将校たちの絶叫が響く。
直後、コルサントの空が、エグゼクター級二隻の対空砲火とシールドと数千発の対地爆弾とプロトン魚雷の着弾によって白く染まり上がった。
対空砲を撃ちまくる二隻のスーパー・スター・デストロイヤーの広大なシールドが、狂ったように青白い閃光を放つ。
惑星一つを焦土と化すほどの質量兵器の雨を、十九キロの巨体とシールドが文字通り傘となって受け止める光景は、神話の最終戦争すら思わせるほどに黙示録的だった。
「シールド持ちこたえています! 敵の飽和攻撃を相殺!」
オペレーターの報告に、司令部には僅かな安堵の息が漏れた。
だが、ホロテーブルの戦況図を睨み続けていたターキンだけは、そこに表示された異常な兆候に息を呑んだ。
「……なんだ、あの動きは」
連邦軍の爆撃機群──数千機に及ぶ大編隊の動きが、突如として変質したのだ。
先程まで各個に機動を取っていた有象無象の群れが、まるで一つの巨大な意志を持った単一の生命体のように、不気味なほどの完全な同期を始めたのである。
「敵機、通信波の交信なし! コンピューターによる外部統制も確認できません! ですが全機が完全に連動しています! こ、こんな機動、あり得ない!」
「馬鹿な……有機生命体のパイロットたちが、ミリ秒単位で完全に同期しているというのか!?」
混乱する将校たちをよそに、ターキンはかつてのクローン戦争で目にした悪夢を思い出していた。
僅かなジェダイが可能としたフォースを通じて軍全体と意識を共有し、数万の兵と共に意思を統一して戦う神業。
それを指揮官として成したたった一人の悪夢の名を。
「オビ=ワン・ケノービ……奴が生きていたのか――通りで合理的なわけだ」
ジェダイ狩りで最優先抹殺対象(※どんなことしても、コイツだけは殺せという意味)の一人だった悪夢の名をターキンは呻いた。
そして、悪夢は再現された。
「敵爆撃機群、プロトン魚雷を一斉発射! ……なっ!? 全弾、同一の座標に集中しています! 散布界ゼロ! 数千発の魚雷が、ミリ秒のズレもなく完璧な一点に吸い込まれていきます……ッ!!」
それは軍事の常識を根底から破壊する悪夢だった。
シールドの再生サイクルに生じる、数万分の一秒という極小の隙間。そこを狙い澄ました、狂気的なまでの超精密飽和攻撃。完璧な一点に束ねられた連邦の槍は、帝国の誇る究極の装甲すらもあっさりと凌駕した。
「──っ! アナイアレイターのメインシールド、限界を突破! 崩壊します!」
「馬鹿なぁ! たかが戦闘機群の攻撃だぞ! あのエグゼクター級のシールドが抜かれるなどあり得るはずがないッ!」
「装甲融解! 内部リアクターへ直撃、アナイアレイター、沈みます!! ──きゅ、宮殿にむけてぇ!?」
「なにぃぃっ!!!???」
司令部に、現実を拒絶するような悲鳴が響き渡る。
全長十九キロメートル。一個艦隊すら単艦で蹂躙しえる、帝国の恐怖と絶対的な力の象徴として君臨してきた無敵の超巨大戦艦。それがたかだか航空機の飽和攻撃によって撃ち落とされるなど、帝国の常識では決して起きてはならない悪夢であった。
だが、現実は非情だった。連邦の攻撃を最前線で浴び続けたアナイアレイターは、ついに致命的な内部誘爆を起こした。無数の火柱が分厚い装甲を内側から突き破り、十九キロの巨体を支えていた強靭な反重力エンジンが断末魔の如く沈黙する。
絶対に墜ちるはずのなかった天空の要塞が、ゆっくりと、絶望的な質量をもって墜落していく──護ろうとした宮殿へと。
それこそが、降下を始めたエグゼクター級を目にした瞬間、オビ=ワン・ケノービが下した決断だった。
この巨艦を撃沈し、宮殿もろとも皇帝を塵一つ残らず消滅させる。
それが、皇帝抹殺を最優先とした帝国の悪夢の──クローン戦争において、ジェダイ評議会の一員として聖人の顔をしながら平然と禁じ手を連発した冷徹な『交渉人』の狙いだった。
「総員、恐慌を起こすな! ダメージコントロール急げ!」
絶望的な状況でもアナイアレイターの艦長が、崩壊する巨体を立て直そうと冷静な指示を矢継ぎ早に下す。
「予備電源をすべて姿勢制御スラスターに回せ! インペリアル・パレスの上にだけは絶対に落とすな! 機関部員は死んでも出力を維持しろ!」
「艦長! 駄目です! 反重力エンジン、完全に沈黙しているとのことです!」
「ならば、墜落の軌道を少しでも逸らすんだ! 絶対にインペリアル・パレスに本艦を落とすんじゃない! それと同時に、操艦に関わらん手空きの者はすべて脱出ポッドへ向かえ! 通信士、貴様もだ! 士官として兵たちを先導しろ!」
「か、艦長!?」
「急げ! 本艦が沈もうと、この戦争はまだ続くのだ! 貴様らの命をここで無駄にするな! 肝に銘じろ、反乱軍は──いや、連邦は紛れもなく強い! 今までの有象無象の小さな反乱とは次元が違う! 帝国を、我らの祖国を護るために、一人でも多く生き延びて、戦い続けろ!!」
それは、破滅を免れない状況での極めて有能かつ献身的な判断だった。
艦長と操舵クルーたちの決死のコントロールにより、アナイアレイターは宮殿への直撃軌道を逸した。巨体が業火を吹き上げながら落ちていく中、その腹部から射出された無数の脱出ポッドが、炎の雨を縫うようにして空へと散らばっていく。
「アナイアレイター、沈みます! 馬鹿な! 無敵のエグゼクター級が沈む! 沈んでしまう!」
「直下に緊急避難警報!! 宮殿の物理防壁を最大展開しろ!!」
全長十九キロメートルを誇る帝国の誇りが、地殻そのものを砕き割る絶望的な轟音と共に、コルサントの地表に突き刺さった。
艦長たちの決死の操艦により、皇帝の座所であるインペリアル・パレスへの直撃だけは辛うじて避けられた。
「墜落直前のアナイアレイターより、多数の脱出ポッドの射出を確認!」
「直ちに近隣の防衛部隊にポッドの回収を命じろ。あの絶望的な状況で的確に兵を逃がした艦長の判断、決して無駄にするな」
コルサント司令部で、防衛指揮官の一人は即座に救難指示を飛ばす。
「あの中から生き延びた将兵たちは、今後の戦争を戦い抜くための貴重な財産だ。火の海に呑まれる前に、一人でも多く拾い上げろ!」
「はっ!!」
防衛指揮官の迅速かつ合理的な判断により、空中に散らばった脱出ポッドに向けて無数の救難艇が発進していく。
──かくして、一つの艦の戦いは終わった。
しかし、宮殿の数百キロ手前に墜落したその巨体は、それ自体が隕石衝突にも等しい質量兵器だった。
凄まじい衝撃波と地殻変動、そしてリアクターの誘爆による業火が、摩天楼が林立する美しき帝都を瞬く間に一面の火の海へと変えていく。
そして──その猛火に呑み込まれたのは、単なるビル群ではなかった。
アナイアレイター、その墜落軌道の先に存在していたのは『元老院地区(セネイト・ディストリクト)』であった。
旧共和国の時代から数千年にわたり銀河政治の中心であり続けた、巨大なキノコ型の元老院議事堂。それが津波のように押し寄せた戦艦の残骸と熱線に飲まれ、飴細工のように溶けて崩落していく。
帝国軍最高司令部、情報部本部、各省庁、高級官僚たちの居住区、そして──帝国中央銀行。
銀河の金融の重要部を占めていたムーニリンストがすでに連邦へと寝返っている現在、このコルサントの帝国中央銀行とその地下に眠る莫大な現物資産とメイン・データバンクこそが、帝国クレジットの信用を支え、帝国の巨大な軍事機構を回し続ける心臓であった。
それらを含めた銀河の富と権力がすべて集約された最重要官庁街が、凄まじいクレーターと衝撃波と火炎に飲み込まれ、地図ごと物理的に消滅していく。
帝国の絶対的な力を誇示するための無敵の戦艦が、あろうことか帝国の権威と歴史の象徴たる元老院を含めた帝国の心臓と頭脳を、自らの質量をもって完全に押し潰し、焼き払ってしまったのだ。
おそらくは数億に及ぶ人の命とともに。
「救援急げっ! ……ッ、何という被害だ」
あと十年歳を取っていれば卒倒したであろうターキンは、ギリッと奥歯を噛み締めて何とか踏みとどまった。
ホロテーブルに映し出される未曾有の惨劇。だが、ターキンの胸中にアナイアレイターの艦長やクルーを責める念は一切なかった。彼らは命令通り、その巨体をもって玉座を守り抜いたのだ。そして絶望的な状況下で反重力エンジンが沈黙したあとも、文字通り死に物狂いでインペリアル・パレスへの直撃だけは逸らしてみせた。
この結果は、彼らの無能ゆえではない。連邦の攻撃が想定を凌駕していただけであり、あの状況下における最善を尽くした彼らに何の咎もない。
それに、帝国はまだ死に絶えてはいない。
銀河帝国を運営する中枢たるマス・アミダ宰相とその官僚団は、警告音が鳴り響くと即座に大深度の防空シェルターへと退避している。
官僚機構の首の皮一枚は、辛うじて繋がっている。
帝国の頭脳と心臓は、致命的な損傷を受けながらもまだ生きているのだ。
──ターキンを卒倒させかけたのはこの先の暗い未来だった
帝国全土に散らばる直轄領の予備資産とデータをかき集めれば、今日明日の国家運営が即座に停止するわけではない。
だが、巨大な帝国を円滑に回していた経済という名の血流は完全に滞った。
ムーニリンストの経済力をバックにした連邦に対し、こちらは中央銀行を物理的に粉砕されたのだ。これからしばらくは、兵士への給与支払い一つ、艦隊の燃料調達一つを取っても、大混乱という重いコストがのしかかってくる。
圧倒的な国力と大艦隊による確実な勝利──それが銀河を二分した最悪の大戦争において、ターキンの描いた『何とか豊かな帝国が生き延びられる未来』であった。
だが、連邦のたった一度の作戦によって、帝国の経済システムは大動脈を滞らされた。もはや、この戦争に絶対の勝利など保証されていない。
いや、たとえ勝ったとしても、元老院地区の如く焼け野原になるであろう帝国に輝かしい未来は無い。
(我々が、帝国が、連邦に負ける……っ!? 帝国に未来が──ない……っ!?)
脳裏をよぎった最悪の未来図に、視界が揺らぐほどの強烈な眩暈が襲う。
ホロテーブルに次々と表示される被害報告が、帝国の威信と国力が根底から崩れ去ったことを告げていた。それでもターキンは血が滲むほど奥歯を噛み締め、最高司令官としての意地だけで、何とか意識を繋ぎ止めた。
──なお、大深度シェルターへ逃げ込んだマス・アミダ宰相は、崩壊する元老院地区の映像と、完全にシステムダウンした帝国中央銀行の資産データを見て「嘘だ……(NOooo)」とポロポロ涙をこぼしながら、そのままあっさりと卒倒していた──
皆さん、オビ=ワン・ケノービに「清廉潔白な聖人」のイメージを持っていませんか
とんでもない。あの男、善人ですが畜生です。善人ですが。
EP3のムスタファーを思い出してください。
あの時、オビ=ワンはパドメの船にこっそり潜り込んでパドメの説得が失敗に終わった途端に出てきましたよね。そのせいでアナキンは「パドメがオビ=ワンを連れてきた(=自分を裏切った)」と認識し疑心暗鬼に陥りパドメの首を絞めてパニックに陥りました。
オビ=ワンは、あの時点のアナキンの精神状態ならば自分の姿を見た途端にパドメが裏切ったと誤解してしまうと理解していました。だからこそ、アナキンを討つ任務を完遂するために、その誤解すら利用してアナキンをパニックに陥らせて弱体化させたのです。
実にド畜生です。大好きです。それでこそオビ=ワン・ケノービです。
でも、善人で何よりもアナキンを愛していたために止めを刺せませんでしたし、パドメの説得が成功していたら絶対に戦わなかったでしょう。
そんな情愛のないシディアスには今回の話の通りに冷徹なド畜生。それがオビ=ワン・ケノービです。
ちなみに、今回の作戦を立案した時、他の元ジェダイたちは「え……、そこまでやるの?」と最初ドン引きしていました。しかし、オビ=ワンとベイダー(アナキン)師弟の二人は軍部と一緒にノリノリで立ててました。クワイ=ガン系譜って怖いですね。
まあ、本来のジェダイならOKらしいから良いかなあ(笑)