強欲の旅人は神の恩恵を受けない   作:ルクエリシオン

100 / 104
第96話 炎の中の道

 灰と熱に覆われた第四十五階層の奥へ、バンは靴跡を追って進んでいた。

 

 地面に積もった灰は、歩くたびに赤い長衣の裾まで舞い上がる。

 

 足跡の数は十人分以上。

 

 その横には、幅の広い二本の溝が続いていた。荷車か、荷物を載せた橇のような物を引いた痕跡だろう。

 

 進む方向は同じだった。

 

 第四十六階層へ続く道を知らないバンにとって、これほど分かりやすい目印はない。

 

「消えねぇうちに追った方がよさそうだな」

 

 山肌から赤い蒸気が噴き出すたび、積もった灰の表面が崩れていく。

 

 何度も噴出が起これば、靴跡も荷車の跡も埋もれてしまうだろう。

 

 バンは歩く速度を少し上げた。

 

 先ほど赤い煙の中へ消えた朱色の影は、まだ近くにいるらしい。

 

 姿は見えないが、ときおり低い鳴き声が山々の間に響いていた。

 

 鳥の声に似ている。

 

 だが、羽ばたく音は重く、一度空気を叩くたびに灰が舞い上がる。

 

 足跡が細い谷へ入った。

 

 左右の岩壁は高く、頭上には赤黒い煙が溜まっている。

 

 煙の奥で何かが動いた。

 

 バンが顔を上げる。

 

 朱色の影が、岩壁から岩壁へ飛び移った。

 

 今度は全身が見えた。

 

 細長い身体。

 

 前後に二対、合計四本の脚。

 

 背中には、腕ほど長い骨を朱色の皮膜で繋いだ一対の翼がある。

 

 頭部は蜥蜴に似ていたが、顎の両脇から後方へ向かって湾曲した角が伸びている。

 

 怪物は岩壁へ爪を食い込ませ、逆さに張りついた。

 

 喉が膨らむ。

 

 鱗の隙間から赤い光が漏れた。

 

「吐く奴か」

 

 バンは進行方向から横へ動いた。

 

 怪物の口から、炎が細長く吐き出される。

 

 火球ではない。

 

 赤く細い炎が鞭のように谷を横切り、バンが立っていた地面を焼いた。

 

 灰が一瞬で吹き飛び、黒い岩肌が赤く変色する。

 

 炎はバンを追うように横へ動いた。

 

 バンは地面を蹴り、岩壁へ向かって跳ぶ。

 

 クレシューズの先端を突き出た岩へ巻きつけ、そのまま身体を引き上げた。

 

 炎が足元を通り過ぎる。

 

 赤い長衣の裾が熱風に煽られた。

 

「それ、荷物に当てんなよ」

 

 怪物は炎を止め、翼を広げる。

 

 岩壁から飛び立とうとした瞬間、バンが片手を向けた。

 

「獲物狩り(フォックスハント)」

 

 朱色の胸から魔石が引き抜かれた。

 

 怪物の翼から力が抜ける。

 

 岩壁を離れた身体が、飛ぶことなく谷底へ落ちた。

 

 地面へ激突する直前に灰へ変わり、朱色の鱗だけが数枚残る。

 

 バンの手元へ飛んできた魔石は、握り拳より少し大きい。

 

「また増えちまったな」

 

 捨てようとして、背中の鞄へ目を向ける。

 

 第四十四階層で倒した赤岩種の魔石は、帰還分隊へ渡してきた。

 

 わずかなら隙間がある。

 

 バンは鞄を下ろし、魔石を布の隙間へ押し込んだ。

 

 酒瓶へ直接触れない位置へ入れる。

 

 鞄の口を閉じた時、頭上から再び鳴き声が聞こえた。

 

 一つではない。

 

 三つ。

 

 さらに後ろから二つ。

 

 赤い煙の中に、複数の朱色の影が浮かんでいる。

 

「群れだったのか」

 

 一体ずつ魔石を抜いても倒せる。

 

 しかし、炎を同時に吐かれれば荷物を守る方が面倒だった。

 

 バンは鞄を背負い直す。

 

 呼吸を浅くし、身体から漏れる気配を薄くしていく。

 

「絶気配(ゼロサイン)」

 

 谷を進むバンの存在感が消えた。

 

 朱色の怪物たちは翼を動かしながら、谷底を見下ろしている。

 

 灰の上には、バンの足跡が残っていた。

 

 だが、怪物たちの視線はその先にいる本人を敵として捉えていない。

 

 一体が低空まで降りてきた。

 

 長い尾がバンの頭上を通り過ぎる。

 

 怪物は灰の中へ鼻先を近づけ、先ほど倒された仲間の臭いを嗅いでいた。

 

 バンはすぐ横を歩いて通り抜ける。

 

 怪物が顔を上げる。

 

 一瞬だけ視線が重なった。

 

 しかし、敵を見つけた反応はない。

 

 首を傾けたあと、再び地面へ鼻を近づけた。

 

「便利だな、これ」

 

 声は出さない。

 

 気配を消したまま、谷の出口まで進んだ。

 

 朱色の怪物たちは追ってこなかった。

 

 

        ◇

 

 

 谷を抜けると、荷車の跡が途切れていた。

 

 正確には、地面そのものが途切れている。

 

 巨大な亀裂が山道を横切り、反対側まで二十メートル以上離れていた。

 

 亀裂の底には赤熱した液体が流れている。

 

 激しい熱気が吹き上がり、上方の景色を歪ませていた。

 

 こちら側の崖には、太い杭が二本打ち込まれている。

 

 切れた縄が垂れ下がっていた。

 

 反対側にも同じ杭が見える。

 

「橋があったのか」

 

 遠征隊が張ったものか、以前から使われていたものかは分からない。

 

 谷へ落ちたのか、焼けて切れたのか、現在は縄の一部しか残っていなかった。

 

 荷車の跡は崖の手前で大きく曲がっている。

 

 右側。

 

 山肌に沿うように、細い迂回路が伸びていた。

 

 バンは迂回路を見る。

 

 人が一人通れるほどの幅しかない。

 

 左側は岩壁。

 

 右側は赤い谷。

 

 途中には、崩れかけた場所も見えた。

 

「荷車であそこ通ったのか?」

 

 地面に残る溝は、確かに迂回路へ続いている。

 

 十数人で荷車を支え、少しずつ運んだのだろう。

 

 バン一人なら、崖を直接越えた方が早い。

 

 クレシューズを伸ばす。

 

 先端が反対側の杭へ巻きついた。

 

 数度引き、杭が抜けないことを確認する。

 

 バンは後ろへ下がった。

 

 地面を蹴る。

 

 亀裂の上へ身体が飛び出した。

 

 下から噴き上がる熱風が鞄を持ち上げる。

 

「おっと」

 

 片手で鞄の紐を掴む。

 

 身体が谷の中央まで来た瞬間、反対側の岩壁から赤い蒸気が噴き出した。

 

 視界が赤く覆われる。

 

 熱そのものは問題ない。

 

 だが、蒸気がクレシューズの節と節の間へ吹きつけ、金属が急速に熱を持った。

 

 バンは腕へ力を込める。

 

 長くぶら下がれば、鞄の革や長衣が焼ける。

 

 クレシューズを縮め、反対側へ一気に身体を引き寄せた。

 

 崖の縁へ足が掛かる。

 

 直後、杭の周囲へ細い亀裂が走った。

 

「崩れんのかよ」

 

 岩ごと杭が抜け始める。

 

 バンはクレシューズを解き、崖の縁を掴んだ。

 

 杭と大きな岩塊が谷へ落ちる。

 

 赤熱した液体へ沈み、激しい火花と蒸気が噴き上がった。

 

 バンは片腕だけで身体を引き上げた。

 

 鞄を背負ったまま、崖の上へ転がる。

 

「危ねぇな」

 

 立ち上がり、鞄を下ろす。

 

 革の一部が熱くなっている。

 

 水袋は破れていない。

 

 酒瓶にもひびはない。

 

 クレシューズの節は赤くなっていたが、神器の表面に変形は見られなかった。

 

 バンは近くの岩へ腰を下ろす。

 

「ちょっと冷ますか」

 

 水をクレシューズへ掛けることはしなかった。

 

 急激に冷やせば、どのような影響が出るか分からない。

 

 神器なら壊れない可能性も高いが、試す必要もない。

 

 代わりに鞄を岩陰へ置き、自分の身体で熱風を遮る。

 

 しばらく待つ。

 

 クレシューズから赤みが消えた頃、バンは水袋を取り出した。

 

 一口飲む。

 

 水はかなり温かい。

 

 喉を潤すというより、薄い湯を飲んでいるようだった。

 

「地上に戻ったら、冷てぇ酒飲みてぇな」

 

 今持っている酒も、すでに同じような温度になっているだろう。

 

 それでも捨てる気はなかった。

 

 水袋を鞄へ戻し、立ち上がる。

 

 崖の先には、遠征隊が残した白い矢印があった。

 

 矢印の近くに、縦へ二本の傷。

 

 その下には、数字の四十六が刻まれている。

 

「次の階層か」

 

 バンは第四十六階層へ足を踏み入れた。

 

 

        ◇

 

 

 第四十六階層は、第四十五階層よりも暗かった。

 

 赤い亀裂の光は強い。

 

 だが、空中を漂う黒い煙が光を吸い込み、少し先の景色さえ霞ませている。

 

 山は低くなっていた。

 

 代わりに、地面を深く切り裂く谷が増えている。

 

 谷底には赤熱した液体が流れ、何本もの赤い川となって山岳地帯を分断していた。

 

 足跡と荷車の溝は、再び地面へ現れていた。

 

 遠征隊は迂回路を使い、この場所まで荷物を運んだらしい。

 

 バンは跡を追う。

 

 しばらく進むと、地面に大きな円形の跡が残っていた。

 

 直径は十メートルほど。

 

 中心部の岩は粉々に砕け、周囲へ向かって放射状に亀裂が伸びている。

 

 近くの岩壁には、何か巨大な物が叩きつけられたような窪みがあった。

 

「派手にやったな」

 

 怪物の灰も残っていない。

 

 戦闘から時間が経ち、ダンジョンが修復を始めているようだった。

 

 円形の窪みの底では、黒い岩が少しずつ盛り上がっている。

 

 砕けた岩壁も、表面が粘土のように蠢き、元の形へ戻ろうとしていた。

 

 荷車の溝は、修復途中の窪みを避けて曲がっている。

 

 バンもその外側を進んだ。

 

 正面の道には、巨大な岩が横たわっていた。

 

 自然に落ちた物ではない。

 

 片側には深い爪痕があり、黒い血のようなものが乾いている。

 

 遠征隊が怪物を倒した際、岩壁から崩れ落ちたのだろう。

 

 足跡は岩の手前で二つに分かれている。

 

 軽装の者は左側の細い隙間を通り、荷車は右へ大きく迂回していた。

 

 バンは巨大な岩へ手を触れる。

 

「邪魔だな」

 

 持ち上げることはできる。

 

 だが、投げれば山道や谷の壁を壊す可能性がある。

 

 この場所で大きな音を立てれば、周囲にいる怪物も寄ってくる。

 

 バンは岩の向こう側を確かめた。

 

 道幅は狭い。

 

 岩全体を動かさなくても、人が通れる隙間を作れば十分だった。

 

 片手を伸ばす。

 

「強奪(スナッチ)」

 

 巨大な岩の表面から、必要な部分だけが引き剝がされた。

 

 黒い岩片が宙へ浮かび、バンの横へ移動する。

 

 もう一度。

 

 さらに一度。

 

 岩を砕くのではなく、道を塞いでいる箇所だけを少しずつ奪い取っていく。

 

 やがて、人一人と鞄が通れる穴が開いた。

 

「これでいいな」

 

 外した岩片は、崖から離れた場所へ静かに置く。

 

 バンは穴を潜り抜けた。

 

 背中の鞄が上部へ擦れそうになり、身体を低くする。

 

 反対側へ出たところで、背後から小さな音が聞こえた。

 

 削った岩の一部へ亀裂が入る。

 

「崩れんのか?」

 

 バンが振り返る。

 

 だが、落石ではなかった。

 

 岩の表面が内側から膨らんでいる。

 

 黒い岩肌を突き破り、太い腕が現れた。

 

 続いて、頭部。

 

 岩壁の中で新しい怪物が生まれようとしている。

 

「こんな所から出んのか」

 

 現れたのは、人間を大きくしたような上半身だった。

 

 皮膚は黒い岩に覆われ、胸部の亀裂から赤い光が漏れている。

 

 下半身はまだ岩壁と繋がったまま。

 

 怪物が片腕を振り上げた。

 

 狭い通路で避ければ、背中の鞄が岩壁へぶつかる。

 

 バンは怪物の胸へ手を向けた。

 

「獲物狩り(フォックスハント)」

 

 形成途中の身体から、魔石が引き抜かれる。

 

 怪物は拳を振り下ろす前に動きを止めた。

 

 岩壁から出ていた上半身が灰へ変わる。

 

 その奥では、ダンジョンの壁が再び蠢いていた。

 

 新しい怪物を生むのではなく、今度は空いた穴を埋めようとしている。

 

「勝手に出て、勝手に直すのか」

 

 灰が埋まり、数分も経たないうちに黒い壁へ戻った。

 

 バンは魔石を手に取る。

 

 鞄へ入れる場所はない。

 

 岩の上へ置こうとしたが、少し考えて赤い長衣の内側へ入れた。

 

「小せぇし、これくらいならいいか」

 

 先へ進む。

 

 

        ◇

 

 

 第四十六階層を進むにつれ、山岳地帯は静かになった。

 

 怪物の声が聞こえない。

 

 岩が転がる音もない。

 

 代わりに、地面の下から低い振動が続いている。

 

 一定ではない。

 

 強くなり、弱くなり、再び強くなる。

 

 バンは足を止めた。

 

「何か来んのか?」

 

 地面へ手を触れる。

 

 振動は遠くから伝わっているのではない。

 

 階層全体が、ゆっくりと脈打っているようだった。

 

 少し先の岩壁に、遠征隊が刻んだ傷がある。

 

 縦に三本。

 

 そのすぐ横には、矢印ではなく、半円の印が描かれていた。

 

 半円が示す方向を見る。

 

 岩壁の一部が内側へ窪み、人が数人入れる空間になっている。

 

「入れってことか?」

 

 振動が強くなる。

 

 足元の小石が跳ね始めた。

 

 周囲の赤い亀裂が、先ほどまでより明るく光る。

 

 バンは迷わず窪みへ入った。

 

 直後、階層全体から轟音が響いた。

 

 山の呼吸。

 

 そう呼びたくなるほど巨大な音だった。

 

 谷底を流れていた赤熱した液体が一斉に膨れ上がる。

 

 複数の噴出口から炎と蒸気が噴き出した。

 

 山肌から赤い岩が剝がれ、広範囲へ降り注ぐ。

 

 バンが入った窪みの前にも、大小の岩が落ちてきた。

 

 入口を塞ごうとする。

 

「なるほどな」

 

 遠征隊が残した三本の傷は、噴出の前兆を知らせる印だったらしい。

 

 バンはクレシューズを構えた。

 

 落ちてくる岩をすべて砕けば、破片が鞄や長衣を傷つける。

 

 代わりに先端を伸ばし、大きな岩の側面へ巻きつけた。

 

 振り抜くのではない。

 

 落下の向きだけを横へ変える。

 

 一つ目の岩が入口の左側へ落ちる。

 

 二つ目は右へ。

 

 小さな岩は腕で弾き、足元へ落とした。

 

 だが、最後に山肌から剝がれた岩は、窪みの入口よりも大きかった。

 

 そのまま落ちれば、完全に閉じ込められる。

 

「邪魔だぞ」

 

 バンは空いている片手を伸ばした。

 

「強奪(スナッチ)」

 

 巨大な岩の中心部から、塊が引き抜かれる。

 

 穴の開いた岩は、落下しながら自重で二つに割れた。

 

 左右へ分かれ、窪みの入口を避けて地面へ激突する。

 

 激しい振動。

 

 赤い灰が吹き込んだ。

 

 バンは長衣で鞄を覆い、噴出が収まるのを待った。

 

 轟音はしばらく続いた。

 

 やがて赤い液体の膨張が収まり、山肌から落ちる岩も減っていく。

 

 地面の振動が弱くなった。

 

 バンは窪みから出る。

 

 目の前の景色は、先ほどまでと変わっていた。

 

 道の一部が岩に埋まり、谷底の赤い流れは別の方向へ進んでいる。

 

 白い布も何本か焼け落ちていた。

 

「道まで変わんのかよ」

 

 幸い、遠征隊の足跡は完全には消えていない。

 

 噴出を避けた者たちが窪みから出た後に残した、新しい足跡が別の道へ続いていた。

 

 バンはその跡を追った。

 

 

        ◇

 

 

 足跡の先には、長い下り坂があった。

 

 第四十六階層の赤黒い山々を抜け、さらに深い場所へ続いている。

 

 下へ進むにつれ、空気の中に混ざる灰は少なくなった。

 

 代わりに、熱がさらに重くなる。

 

 呼吸するだけで肺の奥まで温められるような空気。

 

 普通の冒険者なら、鎧の内側へ冷却用の布や道具が必要になるだろう。

 

 坂の途中には、空になった水袋が捨てられていた。

 

 一つだけではない。

 

 破れた物。

 

 熱で変形した物。

 

 口の部分が使えなくなった物。

 

 遠征隊も、この山岳地帯を抜けるために大量の水を使ったらしい。

 

 バンは自分の鞄へ手を回す。

 

 二つあった水袋のうち、一つはすでに半分以下。

 

 もう一つは、まだほとんど残っている。

 

「第五十階層までは持ちそうだな」

 

 食料もある。

 

 酒も残っている。

 

 鞄と長衣は焦げているが、まだ使える。

 

 探索を続けられないほどではなかった。

 

 下り坂の終わりへ、黒い石柱が二本立っている。

 

 中央には、四十七の数字。

 

 バンは石柱の間を通り抜けた。

 

 第四十七階層。

 

 そこには、これまで以上に巨大な谷が広がっていた。

 

 谷の両側には黒い山脈がそびえ、壁面のいたるところから赤い液体が滝のように流れ落ちている。

 

 赤い滝は谷底へ届く前に細かな火花となり、暗い空間を照らしていた。

 

 遠くには、一本の細い岩道が見える。

 

 谷の中央を横切り、反対側の山へ続いていた。

 

 だが、その道の手前は大量の岩で塞がれている。

 

 先ほどの噴出で起きた崩落らしい。

 

 さらに、岩山の周囲には複数の足跡が残っていた。

 

 人間のものではない。

 

 太く、大きく、深い。

 

 崩れた岩の向こう側から、何かが地面を引っかく音が聞こえる。

 

 バンはクレシューズを肩から下ろした。

 

「道塞いでんのは、岩だけじゃねぇみたいだな」

 

 赤い滝の光に照らされながら、崩落した道へ向かって歩き始めた。




第96話までお読みいただき、ありがとうございます。

今回は第四十五階層から第四十七階層まで進み、〈紅蓮の山岳〉特有の高熱、噴出、崩落によって道そのものが変化する危険を描きました。

バンは戦闘を避けられる場面では《絶気配》を使い、障害物に対しても力任せに破壊するのではなく、《強奪》で必要な部分だけを取り除いています。本人が無傷でも、荷物や足場を守らなければならない点は引き続き意識しています。

引き続き楽しんでいただけると嬉しいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。