強欲の旅人は神の恩恵を受けない   作:ルクエリシオン

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第3部の始まりです。


第3部 巨獣討伐戦
第16話 神々と英傑


最初に見えたのは、砂煙だった。

 

黒い砂漠とは反対の方角。

 

リオードへ続く交易路の向こうで、地平線が薄く霞んでいる。

 

朝の風に舞う砂にしては広すぎた。

 

一か所ではない。

 

東から。

北東から。

さらに遠く、街道の先から。

 

いくつもの砂煙が、ひとつの大きな帯になってハルファへ近づいていた。

 

見張り台にいたリクが、遠眼鏡を覗いたまま息を呑む。

 

「船団です!」

 

集落の中央へ向けて、鐘を鳴らす。

 

一回。

 

二回。

 

三回。

 

警戒ではない。

 

来訪を知らせる鐘。

 

けれど、これまでハルファに入ってきた行商隊へ鳴らすものより、ずっと長く、強く響いた。

 

「数は!」

 

下からジャミルが叫ぶ。

 

リクは遠眼鏡を動かした。

 

「分かりません!先頭だけでも二十……その後ろにもいます!荷車と騎馬、それに砂漠船が何列も!」

 

鐘を聞いた住人たちが、次々に外へ出てくる。

 

ナジュも酒場から姿を現した。

 

片手には布巾。

 

もう片方には、朝食の豆を混ぜていた木べら。

 

バンは酒場前の椅子に座り、平たいパンに焼いた肉を挟んで食べていた。

 

肩と脇腹の傷はまだ残っている。

 

右腕の痺れも、完全には抜けていない。

 

だが、飯を持つ程度には問題なかった。

 

バンは肉を噛みながら、砂煙を眺める。

 

「多いな」

 

隣ではザルドが大きな椀を持ち、豆と肉の煮込みを食べていた。

 

「あれが本隊だ」

 

「全部お前んとこの連中か?」

 

「半分ほどはな」

 

「残りは?」

 

「ヘラの眷族だ」

 

その名を口にしたザルドの声が、ほんの少しだけ重くなった。

 

嫌っているわけではない。

 

警戒している。

 

長く共に戦ってきた者だからこそ知っている、面倒を前にした声だった。

 

バンは横目でザルドを見る。

 

「怖ぇのか?」

 

「面倒なのだ」

 

「似たようなもんだろ」

 

「違う」

 

「何が」

 

「怖いものは斬ればいい。面倒なものは、斬るとさらに面倒になる」

 

「なるほどな」

 

バンは妙に納得した。

 

ナジュが木べらを持ったまま近づく。

 

「ヘラってのは、そんなに厄介な神なのかい」

 

ザルドは一度黙った。

 

「最高神の一柱だ」

 

「答えになってないね」

 

「正面から答えれば問題が増える」

 

「よく分かったよ」

 

ナジュはため息をついた。

 

バンは笑う。

 

「お前、暴喰のくせに変なとこ慎重だな」

 

「食ってよいものと、口にすれば毒になるものを見分けるのも暴喰だ」

 

「神様を毒扱いしてんじゃねぇか」

 

「していない」

 

ザルドは真顔だった。

 

説得力はなかった。

 

やがて、砂漠船団の先頭が見えるようになった。

 

最初に目へ入ったのは、旗だった。

 

雷を思わせる紋章。

 

その下を進む、重装の冒険者たち。

 

巨大な盾。

長槍。

大剣。

弓。

大杖。

 

何十人もの団員が、同じ歩調で砂を踏んでいる。

 

その後ろには、水袋や食料、薬草、木材、金属板を積んだ荷車。

 

さらに、治療班らしき白布の一団。

 

砂漠用の外套を着た斥候。

 

荷物を管理する支援者。

 

装備の修理道具を背負った鍛冶師たち。

 

その列は、一つではなかった。

 

雷の旗とは別に、白と金を基調とした旗が風にはためいている。

 

優美な意匠。

 

遠目には婚礼衣装の飾りのようにも見える。

 

だが、その下を歩く女たちの表情に、柔らかさはほとんどなかった。

 

長杖を持つ魔導士隊。

 

細身の剣を携えた前衛。

 

治療術師。

 

結界具を運ぶ支援班。

 

全員が整然としていた。

 

美しい。

 

けれど、近づきたくない。

 

ハルファの男たちは、ほとんど同時にそう感じたらしい。

 

門の近くにいた若者が、小声で言った。

 

「……怖くないか、あの女の人たち」

 

隣の男が即座に答える。

 

「見るな。目が合ったら責任を取らされるぞ」

 

「何の責任だよ」

 

「知らん。知らん方がいい」

 

ナジュが振り返る。

 

「馬鹿なこと言ってないで、水袋を運ぶ場所を空けな!」

 

二人は慌てて走っていった。

 

船団が近づくにつれ、規模がはっきりしてくる。

 

百人では収まらない。

 

ゼウス・ファミリアとヘラ・ファミリア。

 

その双方から集められた遠征隊に、リオードの砂漠船組合、商人、現地の案内人、医療要員まで加わっている。

 

戦う者だけではない。

 

食料を運ぶ者。

水を守る者。

武器を直す者。

負傷者を運ぶ者。

地図を作る者。

魔物の動きを観測する者。

 

人の集まりというより、一つの移動する都市だった。

 

バンは食べかけのパンを見た。

 

「これだけいりゃ、飯も相当食うな」

 

ザルドが頷く。

 

「食料管理を誤れば、怪物に会う前に遠征が終わる」

 

「誰が作んだ?」

 

「各班の炊事担当だ」

 

「まずかったら代わるか」

 

「数百人分だぞ」

 

「鍋でけぇの使えばいいだろ」

 

「そういう問題ではない」

 

ザルドは言いながらも、少しだけ興味を持った顔をしていた。

 

船団の先頭がハルファの外壁前で止まる。

 

大勢が一度に止まったというのに、隊列は乱れなかった。

 

最初に前へ出たのは、一人の大男だった。

 

ザルドほど縦に長くはない。

 

だが、身体から発せられる圧が違う。

 

砂漠の熱気すら、その男の周りだけ押し退けられているように感じる。

 

荒々しい髪。

 

重厚な鎧。

 

武器は見当たらない。

 

それなのに、無手とは思えなかった。

 

男が一歩進むだけで、ハルファの門番たちは無意識に背筋を伸ばした。

 

後ろにいたザルドが立ち上がる。

 

「団長」

 

それで、男の名を知らない者にも立場が分かった。

 

ゼウス・ファミリア団長。

 

マキシム。

 

男はザルドを見る。

 

次に、包帯だらけのバンを見る。

 

「随分と面白いものを拾ったようだな、ザルド」

 

声だけで空気が震える。

 

大きい声ではない。

 

ただ、低く、重い。

 

聞いた者の腹の底まで届く声だった。

 

バンは座ったまま、最後のパンを口へ入れる。

 

「拾われた覚えはねぇぞ」

 

周囲が静まる。

 

ゼウス・ファミリアの団員の何人かが、わずかに目を見開いた。

 

マキシムに対して、座ったまま返事をした。

 

それだけでも珍しいのだろう。

 

マキシムはバンを見下ろす。

 

「神の恩恵を持たぬ旅人が、黒砂の流れを変えたと聞いた」

 

「ちょっと横にどかしただけだ」

 

「そのちょっとで集落が残った」

 

「飯と酒があったからな」

 

マキシムの口元が動く。

 

笑ったのか、呆れたのか、判別しづらい。

 

「名は」

 

「バン」

 

「所属は」

 

「ねぇよ」

 

「主神は」

 

「いねぇ」

 

「目的は」

 

「うまい飯と酒」

 

今度こそ、マキシムは笑った。

 

豪快な笑いではない。

 

ただ、口元だけで笑う。

 

「英雄には向かんな」

 

「なる気ねぇしな」

 

「ならば、向いているかもしれん」

 

「どっちだよ」

 

マキシムは答えず、視線を黒い砂漠へ向けた。

 

その横へ、もう一人の男が歩み出る。

 

穏やかな顔立ち。

 

年齢はマキシムやザルドと大きく変わらないように見える。

 

長槍を持ち、背には大盾。

 

鎧は派手ではないが、よく使い込まれていた。

 

男はザルドへ近づくと、その腕や傷を一度だけ確認する。

 

「先に来るなら、せめて負傷報告くらい送れ」

 

「送った」

 

「『生存、行動可能』の六文字だけだった」

 

「十分だ」

 

「治療班が十分だと言うまで、十分ではない」

 

男はため息をつく。

 

ザルドは少しだけ顔を逸らした。

 

バンは面白そうに二人を見る。

 

「お前、怒られてんじゃねぇか」

 

「報告の確認だ」

 

「怒られてる顔だぞ」

 

「していない」

 

長槍の男はバンへ視線を向ける。

 

「君がバンか。パァルだ。ゼウス・ファミリア副団長を務めている」

 

「ザルドの世話係か?」

 

「役職に含まれてはいないが、実際には近い」

 

「パァル」

 

ザルドの声が低くなる。

 

パァルは穏やかな顔のまま言う。

 

「間違ってはいないだろう」

 

「いい奴だな、お前」

 

バンが笑う。

 

パァルもわずかに笑みを返した。

 

「その評価は、もう少し付き合ってからにしてくれ」

 

「真面目だな」

 

「そうでなければ、うちの神と団員たちの後始末はできない」

 

その言葉に、ゼウス・ファミリアの何人かが気まずそうに視線を逸らした。

 

直後。

 

船団の後方から、楽しそうな笑い声が聞こえた。

 

「いやあ、壮観じゃのう!世界の命運を賭けた大遠征!英雄譚の始まりに相応しい!」

 

雷の旗の間から、一人の男神が現れる。

 

赤みを帯びた髪。

 

少年のような姿。

 

軽い歩調。

 

大遠征を率いる主神には見えないほど、妙に楽しそうだった。

 

ゼウス。

 

彼は両手を広げ、ハルファを見回す。

 

「ここが境界集落か!うむ、酒場はどこじゃ?」

 

バンの目が少しだけ動いた。

 

「話が早ぇ神様だな」

 

ゼウスはその声を拾い、すぐバンを見る。

 

「おお!お主が例の赤い旅人か!ザルドから聞いておるぞ!神の恩恵なしで黒砂に手を突っ込み、酒一樽で災害に首を突っ込む大馬鹿者!」

 

「最後のはいらねぇだろ」

 

「褒め言葉じゃ!」

 

「お前の褒め方、変だな」

 

「お主には言われたくないのう!」

 

ゼウスは大笑いしながら近づいてくる。

 

そして、バンの肩を叩こうとした。

 

その手首を、横からパァルが掴む。

 

「負傷しています」

 

「おお、そうじゃった」

 

「先ほど治療班から説明を受けたばかりでしょう」

 

「忘れておった」

 

「忘れないでください」

 

ゼウスは仕方なく手を下ろした。

 

「うちの副団長は厳しくてのう」

 

「お前が悪いだろ」

 

「初対面で見抜かれたわい」

 

バンはゼウスを眺めた。

 

神。

 

確かに、普通の人間とは違う。

 

力を押し出しているわけではない。

 

むしろ、かなり巧妙に隠している。

 

それでも、奥にあるものが分かる。

 

底が見えない。

 

人の形をした、別の何か。

 

だが、威圧感より先に酒場を探す辺りは、妙に親しみやすい。

 

「神様ってのは、もっと偉そうだと思ってた」

 

「わしは偉いぞ!」

 

「偉そうには見えねぇな」

 

「それはそれ、これはこれじゃ!」

 

ゼウスが笑った直後。

 

空気が冷えた。

 

実際に気温が下がったわけではない。

 

そう感じただけだ。

 

ヘラ・ファミリアの列が左右へ分かれる。

 

その中央を、一柱の女神が歩いてくる。

 

美しい。

 

その一言では足りないほど整った顔立ち。

 

けれど、近づく者を安心させる美しさではなかった。

 

笑みを浮かべていない。

 

怒ってもいない。

 

ただ、視線一つで相手を裁けそうな威圧がある。

 

ゼウスの顔から笑みが消えた。

 

「……おお、ヘラ。久しいのう」

 

「昨日も顔を合わせたでしょう」

 

「一日千秋という言葉があってじゃな」

 

「黙りなさい」

 

「はい」

 

ゼウスは素直に黙った。

 

バンは少し感心する。

 

「強ぇな、あの女神」

 

ザルドが低く言う。

 

「別の意味でな」

 

ヘラはゼウスを一度だけ睨み、それからバンへ目を向けた。

 

「あなたが、神の恩恵を受けていないという旅人?」

 

「ああ」

 

「私の前で座ったまま話すのね」

 

バンは自分の椅子を見る。

 

それから、ヘラを見る。

 

「立った方がいいか?」

 

「好きになさい」

 

「じゃあ座ってる」

 

周囲の空気が凍った。

 

ヘラ・ファミリアの団員たちの視線が、一斉に鋭くなる。

 

ゼウス・ファミリアの一部は、面白いものを見る顔をした。

 

パァルは静かに目を閉じた。

 

ザルドは椀の残りを食べた。

 

もう止める気がないらしい。

 

ヘラは数秒、バンを見つめた。

 

そして、わずかに口元を上げる。

 

「怖くないの?」

 

「怖ぇぞ」

 

即答だった。

 

ヘラの眉がわずかに動く。

 

「その割には態度が変わらないわね」

 

「怖いからって腹は膨れねぇしな」

 

「……妙な男」

 

「よく言われる」

 

ヘラはバンの傷へ視線を移した。

 

「黒砂の侵食を、自分の魔力で一部抜いたそうね」

 

「少しだけな」

 

「神の恩恵もなしに?」

 

「ああ」

 

「どこの精霊と契約しているの?」

 

「してねぇよ」

 

「では、その力は何」

 

「俺のだ」

 

バンは短く答えた。

 

ヘラは目を細める。

 

神の恩恵を受けない。

 

精霊の加護でもない。

 

それでも、人の力や物の流れを盗む。

 

この世界の物差しに乗らない存在。

 

女神として興味を持ったのだろう。

 

だが、その興味を口にする前に、ヘラの背後から一人の女性が歩み出た。

 

圧倒的だった。

 

美しいという点では、ヘラ・ファミリアの女性たちは皆そうだった。

 

けれど、その女性は美しさより先に、強さを感じさせる。

 

視線。

 

姿勢。

 

指先。

 

何一つ無駄がない。

 

装備は豪奢ではない。

 

それでも、立っているだけで周囲の空気を支配する。

 

ハルファの住人は、誰に教えられなくても彼女が最上位の人間だと理解した。

 

ヘラ・ファミリア団長。

 

女帝。

 

その本名を呼ぶ者はほとんどいない。

 

役職でも、二つ名でもなく、彼女そのものを表す呼び名として、誰もがそう呼んでいる。

 

女帝はバンを見る。

 

「恩恵なしで黒砂に触れた愚か者とは、お前か」

 

「そうらしいな」

 

「自覚がないのか」

 

「あるぞ。触るもんじゃなかった」

 

「なら、二度と触るな」

 

「それは無理だな」

 

女帝の目が細くなる。

 

場の空気が沈む。

 

バンは続けた。

 

「黒砂が飯と酒を飲み込みに来るなら、ちょいとどかす」

 

「自分の命より酒か」

 

「命がなくなりゃ飲めねぇだろ」

 

女帝は一瞬、言葉を止めた。

 

その横でゼウスが小さく笑いそうになり、ヘラに睨まれて口を閉じる。

 

女帝はバンを見たまま言う。

 

「少なくとも、死にたがりではないらしい」

 

「死ぬのは嫌だぞ」

 

「そう言いながら、災害へ向かうのか」

 

「まだ行くって決めてねぇよ。飯次第だ」

 

「……本当にそれだけなのか」

 

女帝の問いは、試すようなものだった。

 

バンは黒い砂漠を見る。

 

ハルファの外壁。

 

補強された水路。

 

酒場の煙。

 

忙しく動く住人たち。

 

ナジュ。

 

サナ。

 

ジャミル。

 

サイモン。

 

リク。

 

面倒な連中。

 

飯と酒を用意する連中。

 

「泣き声聞きながら飲む酒はまずい」

 

バンは言った。

 

「それだけだ」

 

女帝はしばらく何も言わなかった。

 

そして、ほんの少しだけ顎を引く。

 

「十分ね」

 

その言葉に、ヘラ・ファミリアの団員たちが微かに反応した。

 

女帝が初対面の相手を認めることは、珍しいのだろう。

 

だが、バンがその意味を考えるより早く、別の女性が前へ出た。

 

ハイエルフ。

 

長い淡金色の髪。

 

濃紺の外套。

 

手には大杖。

 

女帝ほど直接的な圧はない。

 

その代わり、隙がなかった。

 

周囲を見ている。

 

風。

 

黒砂。

 

水路。

 

住人。

 

兵站。

 

どこへ誰を置くべきか、すでに頭の中で組み立てているような目だった。

 

「女帝。紹介より先に、陣地を決めるべきです」

 

声は落ち着いている。

 

ヘラが少し眉を上げた。

 

「私を無視するの?」

 

「しておりません、主神。あなたがゼウスを処刑する前に、住民の避難場所を確保した方が有益だと申し上げています」

 

「処刑は後でもできるものね」

 

「そういう意味ではありません」

 

ハイエルフは深く息を吐いた。

 

それからハルファの者たちへ向き直る。

 

「ヘラ・ファミリア副団長、リシェル・ヴァン・アステリアです。これより、魔導士隊と結界班を集落南側へ配置します。水場を守る班と、住民避難を担当する班に分けます。現地の責任者はどなたですか」

 

ナジュが木べらを持ったまま手を上げた。

 

「私だよ」

 

リシェルはナジュを一度見た。

 

女将。

 

弓。

 

腕の傷。

 

周囲の住人たちが彼女の指示を待っていること。

 

ほんの数秒で見抜く。

 

「状況を聞かせてください」

 

「その前に、木べら置いてきていいかい」

 

「可能ならお願いします」

 

ナジュは自分の手を見て、やっと木べらを持っていたことを思い出した。

 

「……朝飯の途中だったんだよ」

 

バンが言う。

 

「飯冷めるぞ」

 

「誰のせいで話が長くなったと思ってるんだい」

 

「神様たちじゃねぇか?」

 

ナジュは否定できず、酒場へ戻っていった。

 

次に、ヘラ・ファミリアの列から灰色の髪が見えた。

 

ざわめきが消える。

 

本人が何かしたわけではない。

 

ただ、彼女の周囲だけ音が薄くなる。

 

長い灰髪。

 

閉じられた瞼。

 

細身の身体。

 

戦場へ来た者とは思えないほど白い肌。

 

それなのに、バンの身体は本能的に警戒した。

 

ザルドやマキシム、女帝とは違う。

 

圧を撒き散らしていない。

 

むしろ、すべてを静かに消している。

 

彼女の周りに立つ団員たちは、誰も無駄口を叩かない。

 

音を立てること自体を恐れているようだった。

 

女性は閉じた目のまま、歩みを止める。

 

「騒がしい」

 

最初の一言だった。

 

ゼウスが、わずかに後ずさる。

 

バンはそれを見逃さなかった。

 

「お前、あいつも怖ぇのか」

 

「静かにせい!」

 

「どっちだよ」

 

灰髪の女性がゼウスの方へ顔を向ける。

 

「ゼウス。今、何か不快な音を出したか」

 

「出しておらんぞ!」

 

「声が大きい」

 

「すまん」

 

バンは思わず笑った。

 

女性の顔が、今度はバンへ向く。

 

目は閉じたまま。

 

それでも、確実にバンを捉えている。

 

「何がおかしい」

 

「神様が怒られてんの、面白ぇなと思ってな」

 

「お前も十分に騒がしい」

 

「よく言われる」

 

「なら黙れ」

 

「それは無理だな」

 

空気が鋭くなる。

 

サナが少し離れた場所で青ざめた。

 

ザルドが椀を置く。

 

マキシムは口元だけで笑っている。

 

女帝は止める気がない。

 

ヘラに至っては、面白そうに見ていた。

 

灰髪の女性――アルフィアは、バンの気配を探る。

 

「恩恵がない」

 

「ああ」

 

「それで、この濁った力は何だ」

 

「濁ってんのか?」

 

「この世界の理に馴染んでいない。流れが不自然だ」

 

バンの表情から、軽さが少し消えた。

 

初対面でそこまで見抜いた者は、まだいなかった。

 

アルフィアは続ける。

 

「身体の使い方は洗練されている。生命力も異常。だが、魔力の動きだけが遠い。何か薄い膜を通して力を伸ばしているようだ」

 

「よく分かるな」

 

「雑音が多いから分かる」

 

「俺、雑音扱いかよ」

 

「今のところは」

 

バンは少し笑う。

 

「じゃあ、そのうち静かになるかもな」

 

「なら早くしろ」

 

「気が向いたらな」

 

アルフィアの眉がわずかに動く。

 

怒ったのか。

 

呆れたのか。

 

まだ分からない。

 

だが、バンは別のことにも気づいていた。

 

呼吸が浅い。

 

立っているだけで、身体の奥に負荷がある。

 

魔力は桁外れ。

 

技量も異常。

 

それなのに、肉体そのものは脆い。

 

強さと弱さが、同じ身体の中に無理やり押し込まれている。

 

「お前、身体悪ぃだろ」

 

バンが言った。

 

アルフィアの周囲の空気が止まった。

 

ヘラ・ファミリアの団員たちの目が一斉に鋭くなる。

 

サナは両手で顔を覆いそうになった。

 

アルフィアは閉じた目のまま答える。

 

「だから何だ」

 

「無理して立ってんなと思ってな」

 

「余計な世話だ」

 

「倒れるなら、飯食ってから倒れろよ」

 

「黙れ」

 

「腹減ってんじゃねぇか?」

 

「黙れと言った」

 

アルフィアの声は静かだった。

 

だが、周囲の砂がわずかに震えた。

 

バンはにやりと笑う。

 

「当たりか」

 

「殺すぞ」

 

「殺す前に飯食え」

 

ザルドが大きく息を吐いた。

 

マキシムが低く笑う。

 

女帝は腕を組んだ。

 

ヘラは愉快そうに口元を隠している。

 

ゼウスだけがアルフィアと距離を取っていた。

 

パァルがバンへ小声で言う。

 

「忠告しておく。彼女に食事を勧め続けた者は、過去に何人か地面へ埋められている」

 

「死んだのか?」

 

「生きてはいた」

 

「なら大丈夫だな」

 

「判断基準がおかしい」

 

アルフィアはバンから顔を背けた。

 

「不快だ」

 

「俺もよく言われる」

 

「それしか言えないのか」

 

「便利だからな」

 

最悪の初対面だった。

 

けれど、アルフィアはバンを完全には無視しなかった。

 

その力を感じ取った。

 

身体の異常を見抜かれた。

 

そして何より、恐れも憐れみもなく、ただ「飯を食え」と言われた。

 

それが彼女にとってどういう意味を持つのかは、まだ誰にも分からなかった。

 

船団の後方で、別の騒ぎが起きる。

 

「道を空けてくれ!その木箱、右だ!水袋と薬箱を一緒にするな!」

 

聞き覚えのある声。

 

アルヴィンが支援班を走り回り、荷物の置き場を指示していた。

 

その隣ではエルンが、到着した本隊の情報役へ黒砂の記録を渡している。

 

ロウムは重装前衛隊へハルファ南側の地形を説明し、セリアはヘラ側の治療術師たちと薬草の種類を確認していた。

 

第2部で共に動いた者たちは、もう本隊の中に埋もれてはいない。

 

自分たちが見たものを持ち帰り、それを数百人へ伝える役になっている。

 

サイモンとジャミルも、砂漠船の配置を決めている。

 

現地の者と、オラリオから来た者。

 

それぞれの動きが、少しずつ噛み合い始めていた。

 

マキシムが一歩前へ出る。

 

声を張る。

 

「全員、聞け!」

 

数百人の動きが止まった。

 

ハルファの住人たちまで、思わず姿勢を正す。

 

「ここより先は、遠征ではない」

 

マキシムの声が、砂漠へ響く。

 

「国境も、派閥も、名誉も関係ない。相手は獣ではない。都市を喰い、国を潰し、世界を蝕む災害だ」

 

黒い砂漠から、重い風が吹く。

 

旗が鳴る。

 

マキシムは続けた。

 

「前線に立つ者だけが戦うのではない。水を運ぶ者も、傷を塞ぐ者も、道を測る者も、飯を作る者も、全員が戦力だ。一人の怠慢で百人が死ぬ。一人の仕事で百人が生きる」

 

バンは少しだけ目を細めた。

 

悪くない。

 

大声で格好をつけているだけではない。

 

この男は、戦う者以外の重みを知っている。

 

「ベヒーモスを討つ」

 

マキシムは言い切った。

 

「だが、今日すぐに首を取りに行くわけではない。地形を測る。毒を調べる。避難路を作る。補給を繋ぐ。失敗できる場所で失敗し、死んではならぬ場所で生き残る」

 

ゼウス・ファミリアの団員たちが、武器を鳴らす。

 

ヘラ・ファミリア側は静かだった。

 

けれど、その目には同じ熱がある。

 

女帝が前へ出る。

 

「ヘラ・ファミリアは南側へ陣を敷く。魔導士隊は黒砂の観測と結界。前衛は魔物の流出を止める。治療班はゼウス側と統合しなさい」

 

続いてパァルが指示を出す。

 

「ゼウス・ファミリアは三隊に分ける。外壁防衛、先遣準備、補給路維持。支援者は勝手に前線へ出るな。前衛は勝手に英雄になるな。命令を守れ」

 

最後の一言に、一部の団員たちが不満そうな顔をした。

 

パァルは見逃さない。

 

「勝手に死んだ者は英雄ではない。補給表の損失欄に書かれるだけだ」

 

不満げだった団員たちは黙った。

 

バンは笑う。

 

「副団長向いてんな、お前」

 

「褒め言葉として受け取っておく」

 

リシェルも杖を上げる。

 

「結界班は私に従ってください。黒砂の流れを止めるのではなく、誘導します。無理に押さえ込めば、地下へ潜って水脈を汚します」

 

バンが反応する。

 

「お前も、ずらすのか」

 

リシェルはバンを見る。

 

「あなたの《強奪》と同じではありません。結界によって流れやすい道を作ります」

 

「似たようなもんだろ」

 

「仕組みが違います」

 

「細けぇな」

 

「細部を軽視する者から死にます」

 

「真面目だな」

 

「副団長ですので」

 

パァルが横で小さく頷いた。

 

二人の副団長は、違う派閥に属していながら、似た種類の苦労を背負っているように見えた。

 

主神。

 

団長。

 

幹部。

 

天才。

 

問題児。

 

それらをまとめて、遠征を一つの形へする者。

 

バンはそういう連中を嫌いではなかった。

 

ゼウスがマキシムの横へ立つ。

 

「さて!堅い話は終わりじゃ!まずは飯にしよう!」

 

パァルが即座に言う。

 

「まだ配置が終わっていません」

 

「腹が減っては戦はできぬぞ!」

 

「あなたは先ほど馬車の中で食べていました」

 

「それとこれとは別じゃ」

 

ヘラが低い声で言う。

 

「ゼウス」

 

「何じゃ」

 

「私の目の前でだらしなく食べたら、口を縫います」

 

「上品に食べればよいのか?」

 

「黙って食べなさい」

 

「結局食べてよいのじゃな」

 

ゼウスは嬉しそうだった。

 

バンは立ち上がる。

 

「飯なら手伝うぞ」

 

ナジュが酒場から戻ってきた。

 

今度は木べらを置き、代わりに大きな鍋の蓋を持っている。

 

「数百人分だよ。本当にやれるのかい」

 

「鍋いくつある」

 

「本隊が持ってきたのを入れれば、十以上」

 

「肉は」

 

「干し肉、羊肉、豆、根菜。あと普通のサンドホーン肉が少し」

 

バンの目が動く。

 

「あるのか」

 

「リオードから持ってきたんだとさ」

 

ザルドも立ち上がる。

 

「俺もやる」

 

ナジュは二人を見る。

 

「暴喰と強欲が揃って料理かい」

 

「食うだけじゃねぇぞ」

 

「悪食を極めるには、美食も知る必要がある」

 

ザルドが真顔で言う。

 

バンは少し笑った。

 

「お前、分かってんな」

 

「当然だ」

 

アルフィアが冷たく言う。

 

「遊びに来たのではない」

 

バンは振り返る。

 

「飯も戦いだって団長が言ってただろ」

 

マキシムが口元を上げる。

 

「言ったな」

 

「ほら」

 

アルフィアはマキシムを睨む。

 

「余計なことを」

 

「事実だ」

 

「あなたまで同調するな」

 

女帝が静かに言う。

 

「食べなさい、アルフィア」

 

「必要量は取ります」

 

「それを食べなさいと言っているの」

 

「分かっています」

 

バンはにやりと笑う。

 

「やっぱ腹減ってんじゃねぇか」

 

「黙れ」

 

「肉多めにしといてやるよ」

 

「余計なことをするな」

 

「じゃあ豆多めか?」

 

「お前を鍋に入れるぞ」

 

「食えねぇと思うぞ」

 

ザルドが真面目に答える。

 

「筋が多そうだ」

 

「お前まで何言ってんだ」

 

ナジュが腹を抱えて笑い始めた。

 

ハルファの住人たちも、張り詰めていた空気を少しだけ緩める。

 

数百人の遠征軍。

 

最強の眷族。

 

最高位の神々。

 

世界を滅ぼしかねない怪物。

 

それらが一度に集まったというのに、酒場の前では、誰を鍋に入れるかという話をしている。

 

奇妙な光景だった。

 

けれど、その奇妙さが人を落ち着かせた。

 

まだ飯を作れる。

 

まだ笑える。

 

まだ怪物にすべてを奪われてはいない。

 

やがて、ハルファの中央にいくつもの大鍋が並んだ。

 

ゼウス・ファミリアの炊事班。

 

ヘラ・ファミリアの支援者。

 

ハルファの住人。

 

リオードから来た商人。

 

全員が一緒になって、食材を切り、火を起こし、水を量る。

 

バンは大鍋の一つを任された。

 

ザルドはその隣。

 

バンの鍋には、豆、羊肉、根菜、少量のサンドホーン肉。

 

ザルドの鍋には、干し肉を強く焼いてから加える。

 

「先に肉焼くぞ」

 

「分かっている」

 

「焦がすなよ」

 

「お前こそ香辛料を入れすぎるな」

 

「俺は加減分かってる」

 

「前に砂葡萄を豆へ入れたと聞いた」

 

「うまかったぞ」

 

「今度試す」

 

「気に入ったか?」

 

「可能性はある」

 

二人は完全に料理人の顔をしていた。

 

周囲の団員たちは、何とも言えない表情で見ている。

 

エルンは帳面へ何か書いていた。

 

バンが気づく。

 

「何書いてんだ」

 

「遠征記録です」

 

「料理まで書くのか」

 

「数百人分の食事を、現地の食材で調整した記録です。兵站上、重要です」

 

「真面目か」

 

「情報役ですので」

 

アルヴィンは焼き上がったパンを班ごとに数えている。

 

ロウムは鍋を守るように立っていた。

 

セリアとサナは負傷者向けに味を薄くした汁を分けている。

 

ミラとダリオは、食事前の警戒班へ回った。

 

誰もが自分の仕事をしている。

 

バンは大鍋をかき混ぜながら、その様子を眺めた。

 

数百人。

 

これだけの人間が、たった一体の怪物を倒すために集まった。

 

強い者だけではない。

 

逃げ足の速い支援者。

 

口うるさい治療師。

 

地図を書く情報役。

 

砂を読む船頭。

 

飯を作る女将。

 

水を運ぶ子ども。

 

前線に出ない者まで、全員が必要になる。

 

ベヒーモスという怪物は、それほど大きい。

 

バンは黒い砂漠を見る。

 

遠くで地面が鳴った。

 

低い。

 

長い。

 

大鍋の表面が、わずかに揺れる。

 

笑い声が止まった。

 

数百人が、一斉に黒い砂漠へ目を向ける。

 

黒砂の向こう。

 

まだ姿は見えない。

 

だが、そこにいる。

 

大地に沈んだ災害。

 

人の暮らしを、飯も酒も笑い声もまとめて呑み込むもの。

 

バンは鍋を混ぜる手を止めなかった。

 

「焦げるぞ」

 

ザルドが言う。

 

「分かってる」

 

バンは鍋底をゆっくりと混ぜる。

 

黒い砂漠の奥から、もう一度地鳴りが届いた。

 

今度は少し近い。

 

マキシムが立ち上がる。

 

女帝も同時に黒砂の方を見る。

 

アルフィアは閉じた目をわずかに上げた。

 

ゼウスとヘラの表情から、軽さが消える。

 

神々と英傑。

 

数百人の遠征軍。

 

それらすべてを前にしても、眠る災害の気配はまるで怯まない。

 

当然だ。

 

怪物は、まだこちらを敵とも認識していない。

 

ただ寝返りを打っただけなのだ。

 

バンは鍋の味を確かめる。

 

塩が少し足りない。

 

苦草を少し。

 

香辛料は控えめ。

 

最後に、焼いた肉の脂を落とす。

 

「よし」

 

ザルドが隣の鍋を味見する。

 

「こちらもできた」

 

ナジュが大声を張る。

 

「飯だよ!班ごとに並びな!押すんじゃないよ!」

 

数百人の遠征軍が動き始める。

 

武器を持つ者も。

 

魔法を使う者も。

 

神に愛された者も。

 

名前を持たない支援者も。

 

同じ椀へ飯を受け取る。

 

バンの鍋からは、豆と肉の煮込み。

 

ザルドの鍋からは、濃く焼いた肉の香り。

 

アルフィアが自分の椀を受け取る番になる。

 

バンは肉を少し多めに入れた。

 

アルフィアの顔が険しくなる。

 

「余計なことをするなと言ったはずだ」

 

「鍋の底に多く残ってたんだよ」

 

「嘘をつけ」

 

「食わねぇなら返せ」

 

アルフィアは一度、椀を見る。

 

そして、そのまま持っていった。

 

バンは笑う。

 

「食うんじゃねぇか」

 

アルフィアは振り返らない。

 

「黙れ」

 

ザルドが低く言う。

 

「今のはお前が悪い」

 

「どこが」

 

「わざとやっている」

 

「何のことだか」

 

バンはとぼけた。

 

やがて、自分の分も椀へ入れる。

 

ゼウスが黒砂酒を出そうとして、パァルに止められている。

 

ヘラはそれを見て呆れている。

 

女帝は立ったまま地図を見ながら食べている。

 

マキシムは前衛班の報告を受けながら、鍋を空にしていた。

 

リシェルは食事中も結界班へ指示を出している。

 

アルフィアは人から少し離れ、静かに食べている。

 

ザルドはすでに二杯目だ。

 

バンは椅子へ座り、煮込みを口に運ぶ。

 

大勢で作った飯。

 

砂と汗と緊張の匂い。

 

うまい。

 

特別な食材ではない。

 

上等な酒もない。

 

けれど、うまかった。

 

黒い砂漠の奥で、災害が眠っている。

 

その目の前で、人は飯を食っている。

 

明日、誰が傷つくか分からない。

 

誰が戻らないかも分からない。

 

それでも食う。

 

水を飲む。

 

武器を研ぐ。

 

誰かと話す。

 

それが、生きているということなのだろう。

 

ゼウスが椀を掲げる。

 

「うまい!」

 

ヘラが冷たく言う。

 

「声が大きい」

 

「感動を表現しただけじゃ!」

 

アルフィアがさらに低い声で言う。

 

「耳障りです」

 

「わしの味方がおらん!」

 

バンが笑う。

 

「神様も大変だな」

 

ゼウスがこちらを見る。

 

「お主、笑っておるが、ヘラとアルフィアの近くで暮らしてみろ!毎日命懸けじゃぞ!」

 

「ゼウス」

 

ヘラが名を呼ぶ。

 

ゼウスは黙った。

 

ハルファに、小さな笑いが起きた。

 

黒い砂漠の前で迎える、最初の食事。

 

神々と英傑と、名もなき数百人。

 

強欲の旅人。

 

暴喰の男。

 

それぞれが同じ地面に立ち、同じ鍋を食べる。

 

戦いはまだ始まっていない。

 

怪物の姿さえ、まだ誰も見ていない。

 

それでも、この日。

 

世界を脅かす巨獣を討つための軍勢は、確かに一つの形になった。

 

バンは椀を空にし、黒い砂漠を見る。

 

「で、明日は何すんだ」

 

マキシムが答える。

 

「作戦を決める」

 

「飯は?」

 

「出す」

 

「酒は?」

 

「作戦が決まった後だ」

 

バンは満足そうに笑った。

 

「なら、悪くねぇな」

 

黒い砂漠の奥で、地面がもう一度震えた。

 

神々と英傑を迎えるように。

 

あるいは、まるで気にも留めていないように。

 

眠る巨獣は、ゆっくりと呼吸を続けていた。




第16話でした。

ゼウス・ファミリアとヘラ・ファミリアの本隊は、戦闘員だけでなく、治療・観測・輸送・整備・炊事なども含めた数百人規模の遠征軍として描いています。

また、主要人物以外は部隊や役割単位で描写し、登場人物の名前が増えすぎない形にしました。
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