強欲の旅人は神の恩恵を受けない   作:ルクエリシオン

25 / 111
第22話です。


第22話 喰らう覚悟

敗走した夜、ハルファから笑い声は消えていた。

 

 集落の中央では、いくつもの火が燃えている。

 

 けれど、それは宴のための火ではない。

 

 湯を沸かす火。

 

 傷口を焼くための鉄を熱する火。

 

 黒砂に触れた装備を処分する火。

 

 そして、帰らなかった二人へ捧げる火だった。

 

 酒場は救護所となり、机の代わりに担架が並べられている。

 

 薬草と血、灰、焼けた布の臭い。

 

 時折聞こえる呻き声。

 

 その奥で、ロウムはまだ眠っていた。

 

 黒砂に侵された脇腹は切除され、傷口は焼かれている。バンが《贈物》で渡した生命力によって心臓は動いているものの、助かったと断言できる状態ではない。

 

 バンも酒場の壁際へ寝かされていた。

 

 右腕には厚い包帯。

 

 指先はまだ動かない。

 

 《贈物》を使った反動で身体の熱が落ち、何枚も毛布を掛けられている。

 

 本人は、その扱いが不満だった。

 

「暑ぃ」

 

「身体は冷えています」

 

 サナが即座に答える。

 

「汗出てんぞ」

 

「熱があるからです」

 

「じゃあ暑いんじゃねぇか」

 

「毛布を取ると悪化します」

 

「どっちだよ」

 

「黙って寝てください」

 

 サナは薬を入れた椀を差し出した。

 

 色は濃い緑。

 

 臭いだけで苦いと分かる。

 

 バンは顔をしかめる。

 

「酒で割れ」

 

「駄目です」

 

「蜂蜜」

 

「ありません」

 

「肉汁」

 

「薬の効果が分かりません」

 

「飲みづれぇな」

 

「子どもですか」

 

「酒なら一息なんだけどな」

 

「薬です」

 

 バンは諦めて椀を受け取り、一気に飲んだ。

 

 直後、さらに顔をしかめる。

 

「まずい」

 

「効いています」

 

「味と効き目は別だろ」

 

「文句を言えるなら大丈夫ですね」

 

「お前、強くなったな」

 

「誰かさんのおかげです」

 

 サナは空になった椀を奪い取り、別の負傷者へ向かった。

 

 その背中を見送ってから、バンは身体を起こす。

 

 すぐ横の壁には、暗い赤の長いコートが掛けられていた。肩口は裂け、黒砂と血で汚れている。

 

 床には、神器クレシューズが置かれていた。

 

 見た目は、バンが以前使っていた三節棍とは違う。

 

 鎖で繋がれた四本の棍。

 

 それぞれの両端には、打撃だけでなく斬撃や刺突にも使える鋭い先端がある。

 

 ただ振るだけの武器ではない。

 

 鎖を伸ばし、節を折り曲げ、相手の死角へ回り込み、予測できない方向から急所を穿つ。

 

 扱う者の集中力が足りなければ、自分の身体を斬りかねない変則的な神器。

 

 バンは左手で柄を握った。

 

 軽く手首を返す。

 

 四本の棍が床へ触れる直前で方向を変え、椅子の脚を避け、壁際に置かれた空の椀だけを引っかけた。

 

 椀が宙へ浮く。

 

 バンの左手へ戻った。

 

「左でも動くな」

 

「だからといって、遊ぶな」

 

 声がした。

 

 入口にはアルフィアが立っている。

 

 彼女も治療を受けたらしく、口元の血は拭われていた。灰色の長髪は下ろしたまま。顔色は白いが、自分の足で立っている。

 

「遊んでねぇよ。手の具合見てんだ」

 

「寝たまま確認しろ」

 

「無茶言うな」

 

「お前が言うな」

 

 アルフィアは酒場の中へ入り、向かいの椅子へ座った。

 

 バンは少し意外そうに見る。

 

「何だ。見舞いか?」

 

「違う」

 

「じゃあ飯か」

 

「それも違う」

 

「暇なのか」

 

「殺すぞ」

 

「元気そうだな」

 

 アルフィアは反論せず、クレシューズへ顔を向けた。

 

「先遣で使っていた武器か」

 

「ああ」

 

「四節棍か。随分と扱いにくそうだ」

 

「俺にはちょうどいい」

 

「伸縮するだけではないな」

 

「軌道も変わる。相手が前を守ってんなら、横から行く。横も守ってんなら、後ろから行く」

 

「防御の意味がない」

 

「だから神器なんだろ」

 

 バンは左手を軽く振る。

 

 クレシューズの鎖が伸びる。

 

 四つの棍が梁の間を蛇のように抜け、天井近くに吊るされていた小さな薬草袋へ巻きついた。

 

 他の袋には一つも触れていない。

 

 引き戻された薬草袋を、バンは鼻先で嗅いだ。

 

「これ、酒に入れたらうまいか?」

 

「毒草だ」

 

「先に言えよ」

 

「見れば分かる」

 

「初めて見たぞ」

 

 バンは袋を元の場所へ戻した。

 

 先ほどと逆の軌道を通り、周囲の物へ一切触れずに紐へ引っかける。

 

 アルフィアの閉じた瞼が、わずかに動く。

 

「精度だけなら、今でも落ちていないのか」

 

「左手だけなら少し鈍い」

 

「今のどこが鈍い」

 

「本調子なら袋じゃなく、中の葉っぱ一枚だけ取れる」

 

「……気味の悪い武器だ」

 

「褒め言葉として受け取っとく」

 

 外から、鍋の蓋が開く音がした。

 

 濃い肉の香り。

 

 バンの腹が鳴る。

 

「飯か」

 

「病人は寝ていろ」

 

「腹減って死ぬ」

 

「先ほど薬を飲んだだろう」

 

「薬は飯じゃねぇ」

 

 バンが立ち上がろうとすると、足元が揺れた。

 

 アルフィアが腕を伸ばす。

 

 倒れる前に肩を支えた。

 

「弱っているな」

 

「生命力やったからな」

 

「分かっていたことだ」

 

「言われなくても分かってる」

 

「なら立つな」

 

「飯が来ねぇんだよ」

 

 アルフィアは呆れたように息を吐く。

 

 それでも手は離さなかった。

 

 酒場の外では、ザルドが大鍋をかき混ぜていた。

 

 漆黒の鎧は脱ぎ、臙脂色の短髪を火に照らされている。

 

 鍋の中には、羊の骨、根菜、豆、干し肉。

 

 強火で煮込むのではなく、弱い火で長く温めている。負傷者でも飲めるよう、脂は丁寧に取り除かれていた。

 

 ナジュが味を確かめる。

 

「悔しいけど、うちのよりうまいね」

 

「塩を減らした。血を失った者には、後から少しずつ足せ」

 

「料理まで指図するのかい」

 

「死なせたくないなら従え」

 

「そういう言い方なら、従うよ」

 

 ザルドは黙って椀へ汁を注いだ。

 

 その顔に、普段の穏やかな笑みはない。

 

 バンはアルフィアの肩を借りながら外へ出る。

 

「うまそうだな」

 

 ザルドが振り返る。

 

「寝ていろ」

 

「お前までそれか」

 

「立っているのがやっとだろう」

 

「腹は元気だぞ」

 

「身体が先だ」

 

「飯食わなきゃ身体も戻らねぇだろ」

 

 ザルドは反論しなかった。

 

 鍋から一杯すくい、バンへ渡す。

 

 バンは左手で受け取った。

 

 一口飲む。

 

 骨の旨味。

 

 干し肉の香り。

 

 根菜の甘さ。

 

 傷ついた身体へ、熱がゆっくり広がっていく。

 

「うめぇな」

 

「当然だ」

 

「酒入れたらもっとよさそうだ」

 

「今のお前には出さん」

 

「ケチ」

 

 アルフィアにも椀が渡される。

 

「私は要らない」

 

 ザルドは無言で差し出したまま動かない。

 

「要らないと言っている」

 

「食え」

 

「命令するな」

 

「食え」

 

 アルフィアとザルドの視線がぶつかる。

 

 数秒後。

 

 アルフィアが椀を受け取った。

 

 バンが笑う。

 

「負けてんじゃねぇか」

 

「黙れ」

 

「暴喰には逆らえねぇか」

 

「お前も食ってから喋れ」

 

 三人は火を囲んだ。

 

 広場の端には、帰らなかった二人のための布が置かれている。

 

 その周りには、武器や水袋、黒砂に汚れた装備。

 

 持ち主だけがいない。

 

 ザルドは椀へ口をつけず、炎を見ていた。

 

「ロウムは」

 

 バンが尋ねる。

 

「まだ予断を許さん」

 

「死んじゃいねぇな」

 

「ああ」

 

「なら食って待つか」

 

 ザルドはゆっくり頷いた。

 

 しばらくして、マキシムの使いが来た。

 

「団長が招集をかけています。動ける幹部は作戦天幕へ」

 

「また会議か」

 

 バンが言う。

 

「お前は寝ていろ」

 

 アルフィアが立ち上がる。

 

「俺も行く」

 

「今のお前は幹部ではない」

 

「最初から違ぇよ」

 

「なら来るな」

 

「怪物の流れ分かんの、俺だけだぞ」

 

 アルフィアは否定できず、顔を背けた。

 

 ザルドがバンの前へ立つ。

 

「運ぶぞ」

 

「自分で歩く」

 

「遅い」

 

「襟掴むなよ」

 

 ザルドはバンの身体を片腕で持ち上げた。

 

 荷物のように肩へ担ぐ。

 

「おい!」

 

「襟は掴んでいない」

 

「そういう問題じゃねぇ!」

 

 バンの抗議を無視し、ザルドは作戦天幕へ向かった。

 

 天幕の中には、すでに主要な者が集まっていた。

 

 ゼウス。

 

 ヘラ。

 

 マキシム。

 

 女帝。

 

 パァル。

 

 リシェル。

 

 エルン。

 

 治療師のセリア。

 

 そして、両ファミリアの部隊長たち。

 

 ザルドがバンを椅子へ下ろす。

 

 パァルが眉を寄せた。

 

「患者を連れてきたのか」

 

「本人が聞かん」

 

「役に立つぞ」

 

 バンが答える。

 

「倒れたら外へ出す」

 

「横暴だな」

 

「副団長なのでな」

 

 地図の上には、先遣で得た情報が書き込まれている。

 

 ベヒーモスの頭部。

 

 肩。

 

 前脚。

 

 外殻。

 

 呼吸によって黒砂が薄くなる瞬間。

 

 咆哮の範囲。

 

 そして首元に確認された、外殻の隙間。

 

 エルンが細い棒でそこを指した。

 

「外殻の構造上、首を持ち上げた時だけ、この部分が露出します」

 

「時間は」

 

 女帝が問う。

 

「一呼吸より短いかと」

 

「攻撃を当てるには短いわね」

 

 リシェルが地図を見る。

 

「しかも咆哮の直前です。近づくだけで黒砂と毒を受ける」

 

 アルフィアが言う。

 

「咆哮は私が消す」

 

 セリアがすぐに反対した。

 

「先ほどの負担を忘れたのですか」

 

「忘れていない」

 

「次は保たない可能性があります」

 

「保たせる」

 

「身体は意思だけでは動きません」

 

「動かす」

 

 セリアが言い返そうとする。

 

 女帝が先に口を開いた。

 

「アルフィアの静寂だけには任せない。前回と同じ失敗になるわ」

 

 アルフィアは不満そうだったが、反論しなかった。

 

 マキシムが地図へ拳を置く。

 

「問題は外殻だけではない。仮に隙間へ刃を入れても、浅い傷では黒砂に塞がれる」

 

 ザルドが低く言う。

 

「なら、塞がる前に斬る」

 

「お前の剣でも一撃では届かん」

 

「分かっている」

 

「ではどうする」

 

 ザルドは答えなかった。

 

 代わりに、腰の袋から小さな肉片を取り出した。

 

 黒い布で何重にも包まれている。

 

 セリアの顔が変わる。

 

「それは」

 

「黒砂に深く侵されたサンドホーンの肉だ」

 

「処分したはずです」

 

「一つ残した」

 

「なぜ」

 

 ザルドは肉片を地図の上へ置いた。

 

 黒い筋が肉の内側まで走っている。

 

 腐ってはいない。

 

 それでも食べ物には見えなかった。

 

「俺には、食ったものの力を己へ変えるスキルがある」

 

 天幕の空気が静まる。

 

 神饌恩寵《デウス・アムブロシア》。

 

 ザルドが口へしたもの。

 

 その性質。

 

 その強さ。

 

 その生命。

 

 食した存在が優れているほど、彼の身体へ与えられる恩恵も大きくなる。

 

 暴喰という二つ名の根源。

 

 昆虫。

 

 毒草。

 

 モンスター。

 

 通常なら口へ入れられないものまで喰らい、己の力へ変えてきた。

 

「ベヒーモスの肉を喰う」

 

 ザルドは言った。

 

 誰も、すぐには言葉を返せなかった。

 

 バンが先に口を開く。

 

「お前、前に言ってたよな」

 

「何を」

 

「喰うべき敵と、腹に入れちゃいけねぇもんは違うって」

 

「ああ」

 

「矛盾してんぞ」

 

「だからこそ、今決める」

 

 ザルドの声は静かだった。

 

「奴の外殻を破るには、今の俺では足りん。なら、奴の力を喰らい、足りない分を補う」

 

 セリアが首を振る。

 

「不可能です。黒砂へ触れただけでも生命力が侵されます。ベヒーモス本体の肉なら、含まれる毒は比較になりません」

 

「分かっている」

 

「分かっていません。内側から侵食されれば、切除も洗浄もできないのですよ」

 

「それも分かっている」

 

「死にます」

 

「それでも、奴は斬れる」

 

 ヘラがザルドを見つめる。

 

 普段の苛烈さではない。

 

 神として、自分の眷族ではない一人の人間を量る目。

 

「毒を喰らい、戦いの間だけ力を得る。その後に何が残るかは分からないわよ」

 

「承知しています」

 

「二度と剣を振れなくなるかもしれない」

 

「それでも振ります」

 

「死ぬつもり?」

 

 ヘラの問いへ、ザルドは即答した。

 

「生きて勝つつもりです」

 

 バンが目を細める。

 

 死を覚悟している者の言葉ではない。

 

 死を受け入れてもいる。

 

 それでも、最初から死ぬつもりはない。

 

 勝つために喰う。

 

 生き残るために喰う。

 

 その結果として毒が残ったなら、後で自分が背負う。

 

 ザルドはそう決めている。

 

 マキシムが問う。

 

「肉を得るまで、誰が傷を作る」

 

「俺たちだ」

 

 女帝が答えた。

 

「私とマキシムで脚を止める。アルフィアが咆哮と外殻を崩す」

 

 マキシムの視線がバンへ移る。

 

「首の隙間へ、攻撃を通せるか」

 

 バンは地図を見る。

 

 外殻は幾重にも重なっている。

 

 正面からでは、攻撃が内側へ届く前に閉じる。

 

「武器だけなら届く」

 

 バンはクレシューズを持ち上げた。

 

 四つの棍が鎖に従って垂れる。

 

「こいつは真っ直ぐ飛ばす武器じゃねぇ。外殻の横を抜いて、裏へ回せる」

 

「肉を抉れるか」

 

 ザルドが問う。

 

「隙間が開けばな」

 

「その肉を俺へ渡せ」

 

「自分で取りに来いよ」

 

「俺は剣を振る」

 

「忙しい奴だな」

 

 バンは軽く笑った。

 

 けれど、その目は真剣だった。

 

「取るだけならやれる。ただ、今の右腕じゃ一度だ」

 

「一度で十分だ」

 

「外したら?」

 

「外すのか」

 

「俺を誰だと思ってんだ」

 

 バンはクレシューズの鎖を左手へ巻く。

 

「取ってやるよ。お前が腹壊す分くらいはな」

 

 セリアが強い声を上げた。

 

「認められません!」

 

 天幕の全員が治療師を見る。

 

「ザルドさんが肉を食べた後、毒を抜く方法がありません。バンさんの《贈物》でも、生命力を一時的に補うだけです」

 

「ああ」

 

 バンが答える。

 

「俺にも治せねぇ」

 

「では」

 

「でも、やらなきゃ他の奴が死ぬ」

 

 ハルファ。

 

 リオード。

 

 砂漠の交易路。

 

 井戸。

 

 集落。

 

 遠征軍。

 

 ベヒーモスが動き続ければ、ここだけでは終わらない。

 

 セリアも分かっていた。

 

 分かっているからこそ、顔を歪めた。

 

「治療師の前で、治せない傷を負う相談をしないでください」

 

 ザルドがセリアを見る。

 

「すまん」

 

「謝らないでください」

 

「だが、頼む」

 

「何を」

 

「俺が戻った時、死なせるな」

 

 セリアは唇を噛む。

 

 やがて、ゆっくり頷いた。

 

「できる限りのことはします」

 

「それでいい」

 

 会議の後。

 

 ザルドは一人で集落の外壁へ向かった。

 

 黒い砂漠の奥には、まだ巨大な影が見える。

 

 動く山。

 

 遠く離れていても、その呼吸に合わせて地面が微かに震えている。

 

 バンも少し遅れて外壁へ出た。

 

 歩けるようにはなったが、右腕は布で吊られている。

 

「酒でも飲んでんのかと思った」

 

「今は要らん」

 

「重症だな」

 

 ザルドは答えず、黒い砂漠を見ている。

 

 バンは隣へ立つ。

 

「怖ぇか」

 

「ああ」

 

 意外なほど、素直な答えだった。

 

「毒が?」

 

「違う」

 

「じゃあ何だ」

 

「届かないことがだ」

 

 ザルドの手が、空の鞘を握るように閉じる。

 

「剣を振り続けた。三大クエストを終わらせるために食い、鍛え、殺してきた。それでも、今日の俺の刃は奴へ届かなかった」

 

「だから喰うのか」

 

「ああ」

 

「死ぬかもしれねぇぞ」

 

「生き物は、何を食っても最後には死ぬ」

 

「極端だな」

 

「なら、勝つための一口を選ぶ」

 

 バンは少し黙る。

 

 それから、左手でクレシューズを持ち上げた。

 

 四節棍の鋭い先端が、月明かりを反射する。

 

「肉は俺が取る」

 

「任せる」

 

「でもな」

 

 バンはザルドを見る。

 

「死ぬために食うなら渡さねぇ」

 

 ザルドもバンを見る。

 

「言ったはずだ。生きて勝つ」

 

「なら、食った後も飯作れよ」

 

「当然だ」

 

「酒も飲め」

 

「お前より飲む」

 

「言ったな」

 

「ああ」

 

 黒い砂漠の奥で、ベヒーモスが低く息を吐いた。

 

 大地が震える。

 

 ザルドはその音へ背を向けなかった。

 

「次は、俺が奴を喰う」

 

 暴喰の男は静かに言った。

 

 そこにあったのは、死を受け入れる諦めではない。

 

 災害すら己の糧に変え、必ず刃を届かせるという決意だった。




第22話でした。

今回はザルドのスキルと、ベヒーモスの肉を喰らって不足する力を補う作戦を描きました。

また、クレシューズを四節棍として描写し、軌道を変えて外殻の裏側へ攻撃を通せる特徴を、ベヒーモス戦の役割へ組み込んでいます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。