強欲の旅人は神の恩恵を受けない   作:ルクエリシオン

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修正版の第2話です。
赤い旅人の続きになります。


第2話 飯の礼

声のした方へ走ると、そこには小さな荷馬車があった。

 

街道と呼ぶには荒い道。

草原の中に踏み固められた土の線があり、その上で荷馬車が横倒しになっている。

 

車輪は片方が外れ、積み荷の袋が散らばっていた。

麦袋らしきもの。

乾燥野菜の束。

木箱。

割れた壺。

 

そして、その周りを囲むように、さっきの狼もどきより一回り大きな獣が三匹いた。

 

背の毛は黒く、口元には血がついている。

狼に似ているが、肩の盛り上がりが異様に大きい。

牙も長く、前脚の爪は地面を引っかくたびに土を抉っていた。

 

荷馬車のそばには、男が一人倒れている。

 

その男を庇うように、まだ若い少年が棒を構えていた。

 

震えている。

 

だが、逃げてはいない。

 

獣たちはその震えを嗅ぎ取っているのか、ゆっくりと距離を詰めていた。

 

「来るな……来るなよ……!」

 

少年の声は裏返っていた。

 

それでも、倒れた男の前から動かない。

 

バンはその光景を見て、頭をかいた。

 

「食後の運動にしちゃ、ちょい面倒だな」

 

一匹の獣が跳んだ。

 

少年の棒が上がる。

 

だが、間に合わない。

 

獣の牙が少年の肩へ届く直前、赤い影が横から割り込んだ。

 

バンの右手が獣の首を掴む。

 

「よっと」

 

そのまま、地面へ叩きつけた。

 

鈍い音。

 

獣の身体が土にめり込み、動きが止まる。

 

少年は何が起きたのか分からない顔で、目を見開いていた。

 

「え……?」

 

「棒の構え方は悪くねぇな」

 

バンは横目で少年を見る。

 

「でも、腰が引けすぎだ」

 

次の獣が横から来る。

 

速い。

 

バンは体を少しだけずらし、獣の前脚に触れた。

 

跳躍の力。

 

踏み込みから牙へ続く勢い。

 

その端を盗る。

 

「強奪《スナッチ》」

 

小さく呟く。

 

獣の動きが一瞬だけ鈍った。

 

だが、さっきの狼もどきと同じだ。

 

深く盗れない。

 

力の芯まで奪うには、感覚が遠い。

この世界の獣の身体に流れる魔力のようなものが、バンの知る魔力とは微妙に違っている。

 

だから、盗れたのは外側だけ。

 

勢いの表面を、ほんの少し剥がす程度。

 

「やっぱ、浅いな」

 

それでも十分だった。

 

速度を失った獣の顎を、バンは左膝で蹴り上げる。

骨が砕ける音がして、獣は後ろへ倒れた。

 

三匹目が唸る。

 

仲間が一瞬で倒されたことで、警戒したらしい。

 

バンは手をひらひらさせた。

 

「来ねぇのか?」

 

獣は答えない。

 

代わりに、低く身を沈めた。

 

逃げるつもりではない。

 

跳ぶ前の溜め。

 

バンは口元を上げる。

 

「腹減ってる時なら食ってやったんだけどな」

 

獣が地面を蹴った。

 

今度は正面ではなく、横へ回り込む軌道。

 

人間相手に慣れている。

 

真正面から突っ込めば、武器で迎え撃たれると知っているのだろう。

 

だが、バンは人間の中でもかなり面倒な部類だった。

 

横へ回り込む獣に合わせ、バンは足元の土を蹴る。

 

目潰しではない。

 

獣の視界を一瞬だけ散らす。

 

その隙に、懐へ入る。

 

右拳が獣の腹に沈んだ。

 

「ぐっ……!」

 

獣が変な声を漏らし、宙に浮く。

 

続けて、バンはその首筋を掴み、地面へ転がした。

 

動かない。

 

草原に、獣の荒い息も、唸り声も消えた。

 

少年は棒を握ったまま、固まっていた。

 

バンは倒れた獣を見下ろす。

 

血も、毛皮も、牙も、そのままだ。

 

体内に魔石らしい硬い核も感じない。

 

「こいつらも、さっきの獣と同じか」

 

バンがぼそりと言うと、少年がびくっと肩を震わせた。

 

「あ、あの……」

 

「あ?」

 

「助けて、くれたんですか?」

 

「見りゃ分かるだろ」

 

少年は慌てて頭を下げた。

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「礼は後でいい。そっちの男、まだ息あるぞ」

 

少年の顔色が変わる。

 

「父さん!」

 

倒れていた男は、脇腹を押さえていた。

 

獣に引っかかれたらしい。

傷は深くはないが、血は出ている。

それより、足首が妙な方向に曲がっていた。

 

バンはしゃがみ込み、男の顔を覗く。

 

男は苦しそうに息を吐いた。

 

「あんた……何者だ……?」

 

「旅人」

 

「旅人が……素手で魔物を三匹……?」

 

「細けぇこと気にすんな」

 

バンは男の脇腹の傷を見る。

 

出血は止められそうだ。

足首は折れているか、ひどく捻っている。

 

すぐに死ぬ傷ではない。

 

だが、このまま放っておけば、村まで運ぶ前に悪化する可能性はある。

 

バンは少しだけ眉をひそめた。

 

この世界へ来てから、《強奪》の感覚が遠い。

それなら、《贈物》はどうか。

 

煉獄で身につけた、生命力の扱い。

他者へ力を分け与える感覚。

 

エレインを生かすために使った、あの力の系統。

 

もちろん、今ここで誰かを完全に治せるわけではない。

そもそも、バンは治癒師ではない。

 

だが、血を止めるまでの間、命がこぼれ落ちるのを少しだけ支えるくらいならできるかもしれない。

 

バンは男の胸元に手を当てた。

 

「おい、痛ぇかもしんねぇけど、少し我慢しろ」

 

「な、何を……」

 

「治すんじゃねぇよ」

 

バンは目を細める。

 

「ちょっと貸すだけだ」

 

指先に、自分の生命力を集める。

 

薄く、細く。

 

相手の身体に流し込む。

 

贈物《ギフト》。

 

力を奪う《強奪》とは逆に、自分の中にあるものを相手へ渡す感覚。

 

だが、ここでも違和感があった。

 

この男の身体を流れる生命の感覚は、バンの知るものとはわずかに違う。

 

何か薄い膜のようなものが、力を渡す指先に引っかかっていた。

 

それでも、血を止めるまでの間、命がこぼれ落ちるのを支える程度ならできる。

 

渡しすぎると、うまく馴染まない。

 

だから、ほんの少し。

 

傷を塞ぐのではなく、血が流れすぎないように身体を支える。

意識が落ちすぎないように、火種を足す。

 

男の呼吸が少しだけ落ち着いた。

 

少年が目を見開く。

 

「父さん……!」

 

「傷は塞いでねぇ。布で縛れ。あと足は動かすな」

 

バンは手を離した。

 

少しだけ息を吐く。

 

腹の奥が、軽く空いたような感覚があった。

 

さっき肉を食っておいてよかった。

 

「……これも、ちょい使いづれぇな」

 

バンは小さく呟く。

 

少年は慌てて荷物の中から布を取り出し、父親の傷を縛ろうとした。

 

手が震えている。

 

バンはそれを見て、布を奪った。

 

「貸せ。下手くそ」

 

「あっ」

 

「こうだ」

 

血が出ている場所を押さえ、強く巻く。

きつすぎず、緩すぎず。

 

少年は真剣な顔で見ていた。

 

「覚えたか」

 

「は、はい」

 

「次から自分でやれ」

 

「次がない方がいいです……」

 

「そりゃそうだ」

 

バンは口元を上げた。

 

それから、横倒しになった荷馬車を見る。

 

車輪は外れているが、完全に壊れてはいない。

積み荷も半分ほどは無事だ。

 

「村は近いのか」

 

少年が頷く。

 

「こ、この道を少し行った先です。ミーネ村っていう、小さい村で……」

 

「そこに飯はあるか」

 

「え?」

 

「飯」

 

少年は一瞬ぽかんとした。

 

それから慌てて何度も頷く。

 

「あ、あります!たぶん!村に戻れたら、母さんが何か作ってくれると思います!」

 

「酒は?」

 

「えっと……大人用の麦酒なら……」

 

「よし」

 

バンは立ち上がった。

 

「案内しろ」

 

「え、でも荷馬車が……」

 

「起こせばいいだろ」

 

バンは横倒しになった荷馬車の横へ行き、片手をかける。

 

少年が慌てて止めようとした。

 

「む、無理です!大人三人でも――」

 

言い終える前に、荷馬車が起きた。

 

ぎし、と木が軋む。

 

バンは外れた車輪を見て、木軸を確認する。

 

「折れてねぇな。はめ直しゃ動く」

 

少年は口を開けたままだった。

 

「……旅人って、みんなそんな感じなんですか?」

 

「俺以外は知らねぇよ」

 

バンは車輪をはめ直し、積み荷を適当に戻す。

 

倒した獣も見る。

 

肉は残る。

皮も牙も使えそうだ。

 

「こいつら、持ってくか」

 

少年が驚く。

 

「ま、魔物をですか?」

 

「肉になるだろ」

 

「えっと……食べられるやつもいますけど、ちゃんと血抜きしないと臭いですし、牙と皮は村で売れます。地上の魔物は体が残るので……」

 

「地上の?」

 

バンが聞き返す。

 

少年は少しだけ不思議そうにした。

 

「はい。オラリオのダンジョンにいる魔物とは違うって、村の大人が言ってました。ダンジョンの魔物は魔石があるけど、地上の魔物は魔石がないやつが多いって」

 

「魔石?」

 

「魔物の中にある石です。オラリオでは、それを売ったり、道具に使ったりするって」

 

「へぇ」

 

バンは倒した獣の腹を見た。

 

「こいつらにはねぇのか」

 

「たぶん。地上の魔物は、肉や皮が残るから、それを使います。ダンジョンの魔物は、倒すと灰になるのも多いって聞きました。でも、素材や肉が落ちることもあるとか……僕は見たことないですけど」

 

「なるほどな」

 

バンは少しだけ納得した。

 

この世界の魔物は、一種類ではない。

 

地上にいるもの。

ダンジョンにいるもの。

魔石を持つもの。

肉体を残すもの。

灰になるもの。

食えるもの。

食えないもの。

 

面倒だ。

 

だが、面白い。

 

「飯の種類が多そうでいいな」

 

少年は困ったように笑った。

 

「そういう考え方、初めて聞きました」

 

「そうか?」

 

「普通は、魔物は怖いものです」

 

「怖くても、食えるなら食える」

 

「……すごいですね」

 

「腹減ってるだけだ」

 

バンは獣の足を縛り、荷馬車の後ろへ括りつけた。

 

男を荷台へ乗せる。

 

少年は何度も礼を言いながら、荷馬車の横を歩いた。

 

バンが後ろから押すと、荷馬車は驚くほど軽く進んだ。

 

「うわ……」

 

「道案内しろ」

 

「はい!」

 

ミーネ村は、本当に小さな村だった。

 

木の柵。

畑。

低い屋根の家。

煙突から上がる細い煙。

 

村人たちは、横倒しになっていたはずの荷馬車が戻ってきたのを見て、慌てて集まってきた。

 

「トマ!ガルド!」

 

「何があった!」

 

「魔物に襲われたのか!」

 

少年――トマは泣きそうな顔で叫んだ。

 

「父さんが怪我した!でも、この人が助けてくれたんだ!」

 

村人たちの視線が、一斉にバンへ向く。

 

赤い服。

軽い笑み。

荷馬車の後ろに括られた三匹の魔物。

 

普通なら怪しい。

 

かなり怪しい。

 

バンは片手を上げた。

 

「飯と酒があるって聞いた」

 

村人たちは数秒固まった。

 

それから、一人の年配の女性が噴き出した。

 

「……まずは怪我人だよ!」

 

「それもそうだな」

 

ガルドと呼ばれた男は、すぐに村の小屋へ運ばれた。

 

村の薬師らしい老人が傷を見て、眉を上げる。

 

「血は止まりかけておるな。誰が処置した?」

 

「この人です」

 

トマがバンを指す。

 

老人はバンを見た。

 

「旅の薬師か?」

 

「旅人」

 

「旅人がこの処置を?」

 

「昔、色々あってな」

 

老人は疑うような目をしたが、傷を見るとそれ以上何も言わなかった。

 

「命に別状はない。足はしばらく使えんが、助かった」

 

その言葉で、トマの母親らしき女性が涙を流した。

 

トマも崩れるように座り込む。

 

バンはその様子を見て、少しだけ視線を逸らした。

 

重い空気は苦手だ。

 

泣き声はもっと苦手だ。

 

腹が減っている時ならなおさらだが、腹が満ちていても、やはり味が悪くなる。

 

だから、バンは言った。

 

「で、飯は?」

 

女性は泣きながら、少しだけ笑った。

 

「すぐ作ります」

 

村の中央に、小さな火が焚かれた。

 

倒した魔物は村人たちによって手際よく解体される。

皮は剥がされ、牙は抜かれ、肉は部位ごとに分けられた。

 

バンはその作業を興味深そうに見ていた。

 

村人の一人が説明する。

 

「こいつは黒背狼《くろせおおかみ》だ。地上の魔物だな。肉は少し臭いが、煮込めば食える。皮は丈夫で、牙は細工物になる」

 

「黒背狼ねぇ」

 

「ダンジョン産じゃないから、魔石はない。倒せば体が残る」

 

「地上の魔物は、だいたいそうなのか?」

 

「全部じゃないがな。大昔にダンジョンから出た魔物が地上で変わったとか、普通の獣と混ざったとか、神様でもなきゃ分からん話もあるらしい。俺たちには、倒したら肉と皮が残るかどうかの方が大事だ」

 

「分かりやすくていいな」

 

「オラリオの冒険者なら、魔石がどうとか素材がどうとか詳しいんだろうが、村じゃそんなもんだ」

 

バンは頷いた。

 

この世界の理は、少しずつ分かってきた。

 

ダンジョン。

魔石。

地上の魔物。

体が残る獣。

神の恩恵。

 

まだ知らないことだらけだ。

 

だが、飯に関わることなら覚えられる。

 

バンは解体された肉を見て、自然と口を出した。

 

「そのまま煮ると臭ぇぞ」

 

村人が振り返る。

 

「分かるのか?」

 

「血の匂いが残ってる。内側の脂も少し重い。先に焼いて脂を落としてから煮ろ。あと、苦い草でもあれば入れろ」

 

「苦い草?」

 

「臭みが抜ける」

 

村人たちは半信半疑だったが、バンの指示通りにした。

 

肉を強火で炙り、脂を落とす。

焦げ目がついたところで鍋へ入れる。

畑で採れた根菜、豆、干し肉の欠片、そして苦味のある野草。

 

水を足し、塩を入れ、ぐつぐつ煮込む。

 

匂いが変わった。

 

獣臭さが完全に消えたわけではない。

だが、脂と野草の苦味がうまく混ざり、力強い香りになっている。

 

村人たちが鍋を覗き込んだ。

 

「おお……」

 

「いつもの黒背狼より、うまそうな匂いだ」

 

「兄ちゃん、本当に旅人か?」

 

「旅人だって言ってんだろ」

 

バンは木の椀を受け取り、煮込みを口に運んだ。

 

熱い。

 

肉はまだ少し硬い。

だが、噛むほどに味が出る。

豆と根菜が脂を受け止め、野草の苦味が後味を締めている。

 

「悪くねぇ」

 

バンは満足そうに言った。

 

その一言を合図に、村人たちも食べ始めた。

 

トマは涙の跡を残したまま、椀を持ってバンの隣に座った。

 

「あの……本当にありがとうございました」

 

「飯もらってるからな」

 

「でも、父さんを助けてくれました」

 

「飯の礼だ」

 

「まだ食べる前でしたよ」

 

「じゃあ、先払いだ」

 

トマは少し笑った。

 

バンも薄く笑う。

 

そこへ、トマの母親が木の杯を持ってきた。

 

「これ、村の麦酒です。たいしたものではありませんが」

 

バンの目が少しだけ輝いた。

 

「待ってた」

 

杯を受け取り、一口飲む。

 

薄い。

 

酸味が強い。

 

麦の香りも粗い。

 

だが、悪くない。

 

汗をかいた後の身体に、やけに染みた。

 

「いい酒だ」

 

女性はほっとしたように笑った。

 

「ありがとうございます」

 

バンは煮込みを食べ、麦酒を飲む。

 

周囲では村人たちが笑い始めていた。

 

魔物に襲われた恐怖はまだ残っている。

怪我人もいる。

壊れた荷馬車も直さなければならない。

 

それでも、鍋を囲めば少しだけ空気は変わる。

 

泣き声より、笑い声の方が飯はうまい。

 

バンはそう思った。

 

夜が近づく頃、ガルドが横になったまま礼を言いに来た。

 

「助かった。あんたがいなきゃ、俺もトマも死んでた」

 

「大げさだな」

 

「大げさじゃない。あの黒背狼は、村の若い衆が三人いてようやく追い払える相手だ。それを素手で……」

 

「腹減ってたからな」

 

「腹が減ると強くなるのか?」

 

「飯のためなら、大体のことはできる」

 

ガルドは困ったように笑った。

 

「変な旅人だ」

 

「よく言われる」

 

「礼になるか分からんが、今夜は泊まっていけ。納屋でよければ寝床もある」

 

「飯と酒があるなら、文句ねぇよ」

 

「明日の朝も出す」

 

「いい村だな」

 

バンは即答した。

 

その夜、バンは村の納屋で横になった。

 

干し草の匂い。

木の隙間から入る夜風。

遠くで鳴く虫の声。

 

見知らぬ世界の一日目にしては、悪くない。

 

ただ、《強奪》の感覚はまだ遠い。

《贈物》も、元の世界のようにはすんなり馴染まなかった。

 

この世界の生き物は、少し違う理で動いている。

 

神。

恩恵。

魔石。

ダンジョン。

 

トマたちの話だけでは、まだ断片しか分からない。

 

バンは腕を枕にして、天井を見た。

 

「オラリオ、ねぇ」

 

村人たちの話に出てきた都市の名。

 

世界で唯一、ダンジョンを抱える迷宮都市。

神々がいて、冒険者がいて、魔石が集まる場所。

うまい飯と酒も、きっとある。

 

そして、もしかすると、迷子になったクレシューズの手がかりもあるかもしれない。

 

バンは目を閉じる。

 

腹は満ちている。

酒も飲んだ。

泣き声も、最後には笑い声に変わった。

 

なら、今日は十分だ。

 

「飯の礼にしちゃ、悪くねぇ一日だったな」

 

赤い旅人は、小さく笑って眠りについた。




第2話でした。
修正版では、地上の魔物とダンジョン産モンスターの違いを少しだけ説明し、地上魔物は肉体が残るものとして扱いました。

また、バンの《強奪(スナッチ)》の感覚がまだこの世界に馴染んでいないことと、《贈物(ギフト)》を万能回復ではなく、生命力を少し分け与える力として描写しました。

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