かつて始まりの英雄を名乗ったアルゴノゥトに同行していたクロッゾという鍛冶師。
その子孫の1人と出会ったが、ドワーフの血を宿したハーフドワーフのクロッゾであるようで、鍛冶には自信があると言ってきたハーフドワーフのクロッゾ。
そんなハーフドワーフのクロッゾに黒蠍の鋏や尾に甲殻を見せてみたが、強度が高い黒蠍の素材は、生半可な火では加工できないのは確からしい。
クロッゾが血を授かったウルスとはまた別の火精霊と契約しているハーフドワーフのクロッゾは「火精霊の火をもっと強力にできれば加工できるかもしれんが」と言いながら残念そうにしていたが、火精霊の火をより強力にできそうなものには心当たりがある。
天の炎が存在するオリンピアへと、ハーフドワーフのクロッゾを連れて向かい、天の炎を守っている知人のエピメテウスと交渉した結果、黒蠍アンタレスの素材で作られた武具と防具をエピメテウスに1つずつ譲ることを条件に、天の炎で火精霊の火を強化することを許したエピメテウスに感謝し、ハーフドワーフのクロッゾに鍛冶仕事をしてもらった。
鍛冶仕事に自信があるだけはあり、ハーフドワーフのクロッゾがアンタレスの大鋏を素材に作成した大剣と、甲殻を使って作った軽鎧は見事なものだったが、それらはエピメテウスに渡し、此方はアンタレスの尾を使用して作り出された槍だけを受け取っておく。
天の炎は、この世界の神の力であり、アンタレスを含む黒い特殊な怪物には天の炎は効かないそうだが、精霊の力なら効果がある為、今回はハーフドワーフのクロッゾが契約している火精霊の火を強化することに天の炎を使ったことで、強化された火精霊の火で黒い怪物であるアンタレスの素材を加工することが可能となったようだ。
天の炎と神創武器エトンでは黒い怪物は倒せないと理解したエピメテウスは、アンタレスより作られし武具を用いて鍛練を積むつもりらしい。
天の炎の加護により、常人よりも肉体が強靭で遥かに長生きすることが可能なエピメテウスは、神創武器と天の炎が通用しない相手と戦う為に、長い時を鍛練に費やすつもりであるようで、鍛練の手伝いを此方に頼んできた。
それからひたすら鍛練に励んだエピメテウスを手伝い、剣と槍を交えること幾百年。
天の炎の加護で向上した身体能力で、アンタレスの大剣を磨いた剣術で振るうエピメテウスは、黒き巨獣の怪物であるベヒーモスの単独討伐を成し遂げる。
海の怪物であるリヴァイアサンは足場の作成が難しい海が住みかである為、後回しとなるが、ベヒーモスよりも強い黒き竜を討伐する為に更なる鍛練を積み重ねたエピメテウスを手伝った此方も、槍の技量が向上していたのは確かだ。
合計で1000年以上も鍛練に費やしたエピメテウスは、ついに黒き竜に挑むことにしたようだが、エピメテウス1人だけに任せるのは性分に合わんので手伝っておくとしよう。
怪物が産み出されていた大穴がある場所に住み着いた黒き竜。
巨大な黒竜へと挑みかかるエピメテウスとこの身に、加勢をしてきた男が1人居たが、どうやら黒竜と戦おうと考えていたのはエピメテウスだけではなく、風の大精霊アリアと契約したアルバートという男もまた、黒き竜に戦いを挑むつもりであったらしい。
黒き終末とも呼ばれていた黒竜へとバイデントを振るい、黒竜が放射する火炎にバイデントを叩きつけて斬り裂き続け、竜の息吹を防いだこの身が振り下ろすバイデントの一撃。
穂先の近くの柄を握り、振り下ろすように振るう長柄を握る手を開かずに、手の中の柄を滑らせるように動かしていき、長柄の端を力強く掴んで握り締めた二又槍を勢いよく振り下ろし、叩きつけたバイデントは頑強な鱗を砕き、黒竜の身体に傷を付けた。
絶叫のような咆哮を上げた黒竜へとエピメテウスとアルバートが追撃を叩き込み、より激しく暴れまわる黒竜と戦い続けたこの身も血を流すことになる。
この身から流れた特別な血、プルートイーコールがバイデントへと流れ込むと、二又槍が変化していき、大剣のような穂先へと変わった槍こそが宿命の四血槍。
四血槍デスモスを構え、口笛を吹きながら、流れた血で前髪を後ろに撫で付け、身を深く沈めて力を溜めてから、放つ四血槍の一撃。
「受けよ、黒竜、我が渾身の一撃を」
この身の生命力を吸い、より強力となった四血槍による剛刺突。
「血が導きし曙光」
四血槍デスモス最強の槍撃。
「イーコール・エーオース!」
黒竜が放つ極炎すらも容易く掻き消して、突き進む四血槍が黒竜の頭部へと直撃し、触れた部位を消し飛ばしながら突き進んだ四血槍が完全に黒竜の頭部を全壊させた。
後に残るは首から上が失われた黒竜の死体だけとなり、黒竜の討伐が完了しても死者が出ることはなかった今回の戦い。
その後、核となる石を砕かれた黒竜の身体が残した素材は、オリンピアに戻るというエピメテウスに預けることになり、共に戦ったアルバートは家族が待つ場所に戻るつもりであるそうだ。
黒竜討伐から数年が経過し、風の大精霊アリアとアルバートの娘であるアイズがアルゴノゥトに似た外見の男性と結婚したりもしたが、アルバートと風の大精霊アリアは健在で、元気にしているらしい。
家族仲が良いのは、悪いことではないだろう。
エピメテウスとハデスは、以前小人族の騎士団と共に大穴を塞ぐ為に戦った時に知り合って、知人となっていました