脳を入れ替える魔法   作:Fronta

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第一話です


第一話

勇者ヒンメルの死から31年後 帝都

 

「たった今ここにいる千人の市民たちに埋め込んだ魔導具の封印を解いた。」

そう袈裟に身を包み長い黒髪と特徴的な前髪そして、"額に縫い目"を携えた男ケンジャクは言った。

 

その言葉に、目の前の白髪のエルフの女────フリーレンの眉がピクリと上がる。

 

「封印?」

 

「そう」

まるで明日はいい天気とでも言うような晴れやかな調子でケンジャクは答えた

 

「数百年かけて研究して作り出した魔導具たちだ。効果は人間の体を魔族に変質させるといった感じかな。」

 

それを聞いたフリーレンの仲間、フェルンとシュタルクは息を飲んだ

 

「彼らには今から私の実験に付き合ってもらう。私が厳選した魔族を基にしたものだ。千人の七崩賢クラスの魔族が生まれたとでも思ってくれ。」

帝都のあちこちで悲鳴が上がり始める

 

「お前なんでそんなことを...」

フリーレンが尋ねる。口調はいつもと変わらないが言葉の節々に困惑と怒りがにじみ出ていた。

 

「言わなかったっけ?私はこの世界の知的生命体を一つにしたいの。魔族か人間に統一したいんだよ。」

 

ケンジャクの身勝手な物言いに三人が肩を震わせる

 

「...魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)

フリーレンがケンジャクを睨みつけながら魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)を放つ

 

「おっと」

ケンジャクはそれを横にずれて避ける

 

「スグル、お前は馬鹿げているそれも魔族以上に...だからここでお前を止める。」

フリーレンが今までにないほどの怒気を放っている。

 

「怖いねぇ。でもいいのかいこのままだと罪のない人が同じく罪のない人々を殺すことになるけど。あとスグルというのはこの体の名前でね、私の本当の名前はケンジャクというんだ。」

 

「あなたは死者すらも冒涜しようというのですか...⁉」

フェルンが普段なら明らかにしない感情を爆発させた返答をした。

 

「次に会ったら容赦しない。ケンジャク、私はお前を絶対に許さない。」

 

「覚えておくよ。」

ケンジャクが悲鳴の方向に去っていく三人にそう返し闇へと消えていく...

 

時間は遡り2年前...

 

魔法都市オイサーストにその男はいた。

 

「変わらないねここも」

その男、ケンジャクはつまらなさそうにそう言った。

 

彼は北部高原に穏便に入るため一級魔法使いの資格を取りにオイサーストに現れた。

すでにこの体の持ち主、スグルが二級魔法使いの資格を得ていたのだがやはり現在は一級魔法使いにのみ通行可能なため仕方なく資格を取得しに来たのである

 

~大陸魔法協会 北部支部~

「すみません一級試験を受けたいのですが。」

物腰は柔らかく親しみやすいような声音で受け付けに話しかける。他者に取り入るため彼の千年分の経験に基づく方法である。

 

「わかりました。試験は二か月後に実施されます。また受験資格には五級以上の魔法使いの資格が必要になります。お名前をお聞きしてもよろしいですか?」

 

「スグルです。」

いつも通りスグルの名を使う

「スグル二級魔法使いですね。了解しました。」

手続きは滞りなく済んだようだ。

 

そして手続きが済んだころケンジャクの目にはある三人組が写っていた。

人間二人に今となっては珍しいエルフ一人の団体で何やら問題があったようだ。

その中のエルフにケンジャクは見覚えがある。

 

(フリーレン...魔王を殺した魔法使いか)

「いいね。面白くなりそうだ。」

 

北部支部を出たケンジャクは今回の試験に参加する魔法使いたちを探っていた。

 

「勇者一行の魔法使いフリーレン、その弟子フェルン、北部魔法隊隊長ヴィアベル、宮廷魔法使いデンケン、一級魔法使いを殺したユーベル...悪くないね。」

 

そして二か月後

 

「これより一級魔法使い選抜試験を行う。」

そう一次試験の試験官であるゲナウ一級魔法使いが話している。

 

「今年はなかなか粒ぞろいですな。長年に渡り魔王軍の残党と戦ってきた北部魔法隊隊長のヴィアベル二級魔法使い。血みどろの権力争いに勝ち抜き、宮廷魔法使いの座に就いた海千山千の老獪さを持つデンケン二級魔法使い。史上最年少で三級試験をトップの成績で合格したフェルン三級魔法使い。そして二級試験をトップの成績で合格したスグル二級魔法使い。」

「まあ問題児もいますが...二年前の二級試験で試験官を殺害し失格処分になったユーベル三級魔法使い。」

「あと有望そうなのは...」

ファルシュが魔力を制限したフリーレンに目を向ける。

「(なんか熟練の老魔法使いみたいな魔力してる人いる...)あれ誰?」

「しらん」

そうゼンゼが返答する興味なさげだ。

 

「それでは第一次試験の内容を発表する。パーティー戦だ。総勢57名。三人一組のパーティーに分かれ試験を受けてもらう。」

「では組み分けを行う。」

 

ケンジャクは腕輪をつけると17と書かれていた。

「第17パーティーということらしいね。」

腕輪の反応をたどると少女といっても差し支えないような女と立派な口ひげを付けた男がいた。

 

「初めまして私はゲトウだよ。よろしく」

「儂はエーデルじゃ。」

「私はドゥンストです。よろしくお願いします。」

ここに第17パーティーのメンバーは集まった。

これからこの男が何をするのかここにいる誰もがまだ知らない。

 

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