うたをつぐもの―うたわれるもの・After―   作:根無草野良

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~第四幕・24~ 闇の宮・打破

 

『キュイイイイイイイ!』

 天井と共に落とした巨鳥の向こう、瘴気渦巻く法陣の端に、歓声を上げるアルルゥを見た。

 その動きを封じているラクシャインと、呪言を唱え続けるハクビ。

 そして、その背後に控えるリュウガ兄の姿も。

 見つけるまで延々と壁を崩す羽目になるのかと思っていたが、見当は間違っていなかったようだ。

 となれば、後はアルルゥを取り返すだけ。

 だが、周囲に群れなす黒装束たちも、そうそう黙ってはいまい。

 行動は、迅速かつ大胆に。

『ティティカルオゥル』の精神は、すでに某(それがし)の骨髄にまで染みこんでいる。

「いつまでも鳥の相手などしていられん。

 一気にカタをつけるぞ」

「応!」

 リネリォ殿の声を受け、剣を一度鞘に納めた。

 瓦礫の山から身を起こそうとしている巨大な大鷲に備え、構える。

『キュイイイイイイイ!』

 咆哮と共に迫り来る、鉄の重さを宿した羽ばたき。

 だが、もはや某(それがし)の行く手を遮る手段とはなり得ない。

「ツアア!」

 抜き放つ居合いの技は、今や意のままに風の壁を斬り裂くことができる。

 斬撃の威力はそれだけに留まらず、法術により生み出された炎と岩の協撃と共に、巨鳥の首を殴り払った。

『キュイイイイイイイ!?』

 響く、憎悪と苦痛の咆哮。

 あまりに強い感情は、周囲の『怨(オン)』にも負けぬほど。

 それが消え去るより速く、某(それがし)の拓いた道を駆け抜けたテルテォが、双刃の旋撃を巨鳥に向けた。

「ぬおお!」

『ギィィィィア!!』

 鋼鉄の肌と羽を裂き、胴に刻まれる十字の傷。

 吹き上がった血が落ちるより早く、さらに一撃。

 いや、二撃が続く。

「これで――」

「お終い、ですわっ」

 巨鳥の首を、リネリォ殿の槍刃が上から、炎を纏った剛剣が下から襲った。

 それはさながら、龍の頭を落とす断頭台(ギロチン)。

 上下から加えられた加減のない渾身、『ティティカルオゥル』最重高の協撃に、いかな森の主(ムティカパ)とて耐えられるはずもない。

『キェ――』

 巨鳥は断末魔すら残すことなく、その首を弾くように飛ばしていた。

 

 天井の落下からことが終わるまで、要した時間は脈二つ。

 なにが起きたのかを理解できた者が、果たして何人いただろう。

 ただ、その中で一人だけは、確かに意味を解していた。

 それは、いつの間にか止んでいた呪の響きからも明らか。

「ジャカウっ!?」

 驚愕の悲鳴は初めて聞く、ハクビの感情的な声だった。

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