うたをつぐもの―うたわれるもの・After― 作:根無草野良
クンネカムンの大乱から八年。
若きエヴェンクルガの武士(もののふ)タイガは、雇兵団(アンクァウラ)『ティティカルオゥル』の一人として、世に戦を広めてまわる仮面の女ハクビを追っていた。
途上、トゥスクルの混乱を聞き、これの調査に乗り出す。
流民の暴動を鎮圧したトゥスクルであったが、直後に大国バンジジェジュからの宣戦布告を受けた。
ハクビと共にその先陣に立っていたのは、アルルゥの姉、エルルゥであった。
いよいよ始まる戦を前に、『ティティカルオゥル』の面々はエルルゥとハクビを追い、孤軍で独自の道をとり、バンジジェジュの中枢へと向かう。
その途中で、ティティカは自らの秘密を明かした。
身を蝕む不治の病と、雇兵団(アンクァウラ)を募った理由。
彼女の一族を滅ぼしたのが、バンジジェジュのネグネウロ皇であることを。
ティティカの覚悟を汲んだタイガたちは、バンジジェジュの都に辿りつき、重兵と銃砲に囲まれながらも、ネグネウロに迫った。
追いつめられたネグネウロは、盾としたアルルゥに凶弾を放つ。
それを、ティティカは身をもって制した。
今の彼女にとって、復讐よりも家族を守ることの方が大事であったから。
ティティカの犠牲を代償に、『ティティカルオゥル』はネグネウロを討ち、大国バンジジェジュを瓦解させた。
だがそれも、すべてはハクビの思惑通り。
広域にわたる戦は頭目を失うことで、さらに混乱と火種を撒き、より大きな乱れと『怨(オン)』を生んでいく。
そして『ティティカルオゥル』は、団員ニコルコの裏切りにより、アルルゥとムックルを奪われてしまった。
彼もまた戦乱に翻弄された者であり、地獄(ディネボクシリ)の復活に負の望みを託す一人であったのだ。
だが、『ティティカルオゥル』の一員として過ごした日々は、ニコルコの心に迷いを生んでいた。
アルルゥたちを追う手段を失い、途方に暮れていた一行の前に現れ、その行方を告げる。
ニコルコを疑いながらもその導きに従い、『ティティカルオゥル』は霧深き渓谷の底に辿りついた。
タイガたちはアルルゥを助け出すが、同時に敵も、目的の達成に至る。
ムックルの体を依代に、漆黒の巨獣『地獄(ディネボクシリ)』は現界を果たした。
蘇る死者がもたらした混乱を、からくも越えた一行は、死を望むニコルコを、葛藤しながらも許した。
それが、家族を愛したティティカの遺志であったから。
そして『ティティカルオゥル』は、ムックルを『地獄(ディネボクシリ)』から解放するため、その行方を追うのであった。